黒服と会ってからも、日常は変わらなかった。
ユメ先輩が騙されて、それをふたりで助けたり。
僕がふざけて、ホシノに怒られたり。
みんなで宝探しに行って、何もなくて落ち込みながら帰ったり。
それがずっと続くと思っていた。
──窓を開けて空を見てみると、どんよりとした曇り空だった。こんな日は少し気が滅入る。
今日は普通に学校がある日だが、どうしても外せない仕事が入ってしまったため、ふたりに休む事を伝えてある。
校舎を出て、ブラックマーケットへ向かう。
さっさと仕事を終わらせて帰ろう。
──予定よりも長引いてしまった。今は昼過ぎくらいだろうか。
誰も見てない場所でこっそりとカラスに擬態し校舎へ帰る。
ふたりは何をしているだろうか。喧嘩とかしてないといいが。
……なんだか胸騒ぎがする。急ごう。
──校舎に着き、生徒会室に入る。
「遅れましたー……?」
……誰もいない。ここは狭いので隠れる様な場所もない。
しょうがない。ふたりに連絡してみよう。
……ユメ先輩には繋がらない。既読もつかない。
いつもなら割と直ぐに返信くるのに。
……ホシノはもう帰ったらしい。
聞いた内容をまとめると、ユメ先輩がアビドス砂祭りのポスターを持って来たが、イライラしていたホシノが破いてしまったとの事だ。
……これユメ先輩失踪した時のやつじゃね?
やばい。まさか今日だとは思わなかった。
シャレになんない。
とりあえずホシノに連絡する。
『……なんですか?』
『ユメ先輩と連絡が取れない。もしかしたらヤバいかもしれない。僕はこれから探しに行くからホシノさんもお願い』
『はい?急に何を……』
よし。要件は伝えたしこれでいいや。
最低限の荷物を持ち、カラスに擬態して、砂漠に飛んでいく。
──砂漠地帯が近くなって来た。ここまで来ると、砂塗れでボロボロな廃墟が多くなって来る。
……何故かさっきからカイザーの部隊が砂漠の方に進行している。
割とガチな装備で、戦車や迫撃砲など、まるで怪獣か何かと戦う様な武器を持っている。
原作にこんな描写はなかったが、本当は居たのだろうか?
……考えても分からない。今はとにかくユメ先輩を探そ──
携帯が震える。誰だろうか。ホシノ?それともユメ先輩か?
……非通知だ。怪しいが出た方がいいだろう。
人の姿に戻り画面をタップする。
『……お久しぶりです。空乃スイさん』
うわっ、黒服だ。キッショ、何で連絡先知ってんだよ。
『……今は用事があって忙しいんだ。言いたい事があるなら早く言って』
『クックック……その用事と言うのは梔子ユメについてですか?』
……!
『何故それを知ってる?まさかお前が誘拐したのか?』
『いえ、その様な事はしておりません。ですが、たまたま梔子ユメの付近にデカグラマトンの第3セフィラが出現したとの情報が……』
『……は?』
デカグラマトンの第3セフィラ?何言ってんだコイツ……こんな所にいるわけが……あっ、ビナーか!忘れていた。ビナーはアビドス砂漠にいるんだった。
……だが、ユメ先輩の死因は脱水症状で、ビナーに殺された訳では……
そこで僕は、さっき見たカイザーの兵士達を思い出した。
そうか。あいつらがビナーとユメ先輩が遭遇するように誘導したのか。
だが何の為に?原作とこの世界で変わった点と言えば……僕?
まさか、黒服が僕がビナー相手にどれだけ戦えるか実験するために……?
『……お前がカイザーにビナーを誘導するよう指示したのか?』
『クックック……なんの話か分かりませんね』
『チッ、じゃあいい。さっさと位置を教えろ。どうせ知ってるんでしょ?』
「えぇ、どうぞ。梔子ユメは此処にいます。どうぞ助けに行ってください。」
スマホに位置情報が送られてくる。大分砂漠化しているいる方だ。
『……よし、分かった。じゃあな』
『クックック……お気をつ』
ブチッ。
我慢できなくて切ってしまった。あんなんと話してる時間なんて無いのだ。急いで向かわなければ。
そうだ、ホシノにも位置を伝えよう。再びホシノに電話をかける。
『……今ユメ先輩探してるんですけど……、見つかったんですか?』
『違う。今ユメ先輩がビナーっていう化け物に襲われてる。今位置情報送るからホシノさんも来て』
『……は?ちょっと待って下さい。何ですかそれ。というかあなたがそんな事知って……』
ホシノはまだ困惑していたが、電話を切る。位置情報も送ったし、ここまで伝えれば来てくれるだろう。後は急いで向かうだけだ。
──その巨体は、少し離れた場所からも良く見えた。
白い大蛇が、何かを追いかけ、攻撃している。ユメ先輩だ。
間に合った!早く助けなければ。
だが、僕が到着する寸前に、ユメ先輩は大蛇──ビナーのミサイルで吹き飛ばれてた。
「ユメ先輩ッ!」
人間に擬態し直し、ユメ先輩に駆け寄る。……どうやら気絶している様だ。……良かった。むしろ好都合だ。
これから始まる戦いは、キヴォトスでありふれている喧嘩感覚の戦いではなく、命の取り合いになる。
どちらが勝とうが、あまり見ていても気分のいいモノじゃないだろう。
……勝てるだろうか?いや、やるしかない。負けたら、ユメ先輩と一緒にゴートゥーヘヴンだろう。それは嫌だ。
擬態を解き、本来の姿に戻る。更に、体を膨張させて、黒い巨人の様になる。
「繧ェ繧ェ繧ェ繧ェ繧ゥ繧ゥ繧ェ繧ェ繧ゥ繧ゥ繧ゥ繝??シ?寂?シ?」
雄叫びをあげ、僕はビナーへと向かって行く。絶対にユメ先輩を助けると決意しながら。
作者はその時のノリでこの小説を書いているので、おかしい所もあると思います。あったら指摘していただけると嬉しいです。
関係ないんですが、今日食べたぶり大根が美味しかったです。大根だけでご飯一杯行けました。