リボルバーをとりあえず全弾撃つ。
だが、見事に1発も当たらなかった。僕のエイムがゴミなのか、ホシノが凄いのかどっちだろう?僕としては後者を推したい。
僕の方は銃を避けるとか耐えるとか無理なので、ホシノの銃を警戒しなければ。
そんな事を考えているとホシノが銃で殴りかかって来た。ファッ⁉︎うせやろ。それ殴る道具じゃないって。
必死に体を逸らして避けるが、流れる様にホシノが蹴りを放ってくる。
普通に避けきれずモロに喰らう。
「ごはぁっ‼︎」
そのまま教室の端まで転がって行き、壁にぶつかってようやく止まる。
……やばい、超強い。今の低い天井じゃビナー相手に使用した巨大化も使えないし、擬態を解いてスライム形態で戦ったらせっかく持って来た銃やグレネード類が使用できなくなる。
その為、スライム形態だと触手だけで近接戦をしなければならない。普通に殴り合おうとしたらもう一回同じ事になるだけだ。
だから僕がすべき戦い方は──
「……強いね、さすがホシノ」
「……でしょ〜?だからもうやめない?」
「……帰らせてくれるんならやめるよ」
「……」
銃を装填しながらゆっくりと立つ。
少し距離は空いているが、ホシノがその気になれば一瞬で詰められるだろう。銃を撃って来なかった事といい、どうやら僕は手加減してもらっているらしい。ありがたい。
銃を構え、撃つ──振りをして、背中から二対の触手を出し、ホシノへ攻撃する。ホシノが盾を取り出し、全ての触手を防いだ。ついでと言わんばかりに、触手達に盾を叩きつけ、潰された。
今度は三対出し、再びホシノに向かわせる。
同じように処理されるが、今度は仕掛けを施している。
順調に潰されて行って、最後の触手を破戒しようとした瞬間、急に眩い光を発する。こっそり閃光弾を付けていたのだ。
ホシノが一瞬で目を腕で庇う。やはりそういう搦手への対応も早い。だが、僕にはその一瞬で十分だ!
素早くホシノの近くへ寄り、持って来たグレネードや閃光弾、発煙弾の全てをばら撒き、大量の触手を使い爆発させる。
完全に自爆だが、狙い通りだ。爆発の衝撃で吹き飛んだ先には、教室のドアがある。
これでホシノも少しはダメージを喰らっただろう。
まだ煙が残っている内に、さっさと逃げよう。
「うへ〜、どこに行くの〜?」
背筋が凍った。現実を認めたくなくてゆっくりと振り返ってみると、煙の中から悠然と無傷のホシノが歩いて来ていた。
……本当にホラゲーの敵みたいだ。もしくは強過ぎて主人公達を絶望させるラスボス。
「いや〜、おじさんも歳だねぇ〜。すっかり油断しちゃってたよ」
「……無傷なのに油断ね」
明らかに堅すぎるだろう。今ならヒーロー相手にチートが……!っていってる触れたものを崩壊させられる某ヴィランの気持ちがよく分かる。こんなん反則だろ。
「……もうこんな事やめてさ、一緒にゆっくりとお昼寝でもしようよ〜」
「……それは楽しそうだね。まるであの頃みたいだ」
「……うん。だからさ、戻って来てよ。あの時みたいに仲良く……」
「……ごめんね」
触手を大量に出し、ホシノと自分の間に壁を作る。接続部分を切り落としたので壁としてもちゃんと使えるはずだ。まぁ数秒もあれば突破されてしまうだろう。早く逃げねば。
「ッ!スイッ!待って!待ってよ!」
「……じゃあね、ホシノ」
大きなダメージを喰らったのと、触手を大量に出した影響で、体が非常に重いが、無理矢理動いてアビドス高校の校舎から出る。
……?門の所に誰かが居る?あれは……先生?
「"……スイ。本当にいいの?"」
「……えぇ、自分で考えて決断した選択です。後悔はありません」.
「"でも、スイの顔。今にも泣き出しそうだよ"」
「……大丈夫です。それよりもホシノを気にしてあげて下さい。掠り傷ひとつなかったですけど」
「"……本当に、良いのかい?"」
「しつこいですよ。いいんです。……僕は、ホシノ達の側にいる資格なんてないですから」
「"そんなことは……"」
「スイッ‼︎」
……ホシノの声が校舎の方から聞こえた。
いけない、もうすぐそこまで来ている。
「では、先生。僕はこれで失礼します。さようなら」
「"待っ……"」
先生を無視して思いっきり走る。追いつかれないか不安だが、ダメージが回復したら鳥に擬態して逃げよう。
……それにしても上手く逃げ切れた。やはり最後の触手で作った壁がなければ駄目だっただろう。……逃げ切れたのは嬉しいが、逃げる原因になったのはこの体のせいなので複雑だ。
……もっと普通でいいから、みんなと一緒に楽しく過ごしたかった。
そんな事を考えつつ、僕は拠点まで逃げ帰るのだった。
今日は少し久しぶりにスクランブルエッグを食べました。塩胡椒をかけて食べるととても美味しかったです。