僕は縛られながらの参加となったが、それでも話は聞けた。
なんとアビドス自治区のほとんどがカイザーコンストラクションの土地となっていたらしい。
残っているのはアビドスの現校舎とその周辺のみだった。
彼女達にとっては寝耳に水だったようで、その事実に驚愕していた。
普通土地の取引など出来るものではない。
だが、生徒会の権利があれば可能だ。この取引も2年前に無くなった前生徒会が行ったものらしい。
それを聞いてセリカは怒っていた。なぜ前の生徒会はカイザーなんかに土地を売ったのかと。
他のみんなも、もっと早く気付いていればとか言っていたが、ホシノそれを止めた。
これは対策委員が出来るよりもっと前の出来事だからしょうがないと。
そしてノノミがホシノも生徒会に所属していた事を思い出し、ホシノが説明を始めた。
ホシノが生徒会に入った頃は、その取引を行ったであろう生徒会の人間はほとんどアビドスから去っていたし、そもそも関わりもなかった。
これは僕も同様だ。気付いたら居なくなってたレベルで関わりが無かった。モブだって分かった時点で興味無くなってたし。
生徒会室もパッと見ただの倉庫のような場所だったし、引き継ぎの書類なんてちゃんとした物はなかった。
今の校舎だって、砂嵐から逃れる為何回も校舎を移した結果今ここがアビドスの校舎となっているのだ。元の校舎はとっくに砂の下で埋もれている。
それに最後の生徒会だって、たった3人しか居なかった。
新任の生徒会長とホシノ、それといきなり転がりこんできた僕の3人だ。
懐かしそうにホシノは話す。
「……その生徒会長は無鉄砲で、校内随一のバカで……私の方だって嫌な性格の新入生だったし。そこに居るスイだって最初は凄く怪しかったし……」
……事実だが、もう少し優しく表現して欲しい。
「いや〜……何もかもめちゃくちゃだったよ」
「校内随一のバカが生徒会長……?何それ、どんな生徒会よ……?」
「成績と役回りは別だよ、セリカ」
「そもそも、セリカちゃんも成績はそんなに……」
「わ、分かってるってば!!どうして急に私の成績の話になるわけ!?一応ツッコんでおいただけじゃん!?」
セリカって成績良くないんだ。まぁゲルマニウムブレスレットとか本気で言ってたしちょっとバカみたいだなとは思っていたが。
「うへ〜、いやいや、正にその通りだよ。生徒会なんて肩書だけで、おバカさん3人が集まっただけだったからね」
僕を数えるのやめてくんないかな。まるで僕がバカみたいに聞こえてしまう。まぁ前世で英語のテスト20点台とってたけど。いつも友人とここは日本だ英語なぞやる価値はないと騒いでいた。懐かしい。
「何の間違いだか、生徒会なんかに入っちゃって……いや~、あの時はあちこちに行ったり来たりだったねえ。ほんっとバカみたいに、なんにも知らないままさ……」
「……」
「ホシノ先輩……」
「ホシノ先輩が責任を感じることじゃない。昔の事情は知らないけど、実際に生徒会が解散になった後……アビドスに対策委員会ができたのは、間違いなくホシノ先輩のおかげ」
「う、うん……?」
なんか急にシロコがホシノを褒め出した。……便乗しておこう。
「そうだね。僕だって逃げ出してたしホシノがいなかったらアビドスは無くなってたかも」
「うへっ!?急にどうしたのさ……」
「……ホシノ先輩は怠け者だし、色々とはぐらかしてばっかりだけど、大事な瞬間には絶対に誰よりも前に立ってる」
「そうです。セリカちゃんが行方不明になった時、真っ先に先生に助けを求めたのもホシノ先輩でしたし……」
「……うへ〜、そうだっけ?よく覚えてな──」
「"そうだったね、いつも絶対に先陣を切る"」
……そういえばホシノはいつも前に突き進んで戦っていた。
「私、それ初耳なんだけど!?何で教えてくれなかったの!?」
「ホシノ先輩は色々とダメなところもあるけど、尊敬はしてる」
「それって褒め言葉なの?悪口なの……?」
ギリ悪口な気がしなくもない。まぁ尊敬してるらしいし褒め言葉やろ。
「ど、どうしたのシロコちゃん!?急にそんな青春っぽい台詞を……!おじさんこういう雰囲気、ちょっと苦手なんだけど!?」
「……や、なんとなく、言っておこうかなって思って」
「え、えぇ……?」
……言える時に言いたい事を言っておくのは大切だ。本編のホシノだってユメ先輩と喧嘩別れで次会った時はミイラだったし。
──結局アビドスの前生徒会が土地を売ったのは何故かという話に戻った。シロコが裏で手を組んでいたんじゃないかとか言っていたが、流石にそれはないだろう。
ホシノも前生徒会は頑張っていたんじゃないかと言っている。
土地については借金を返す為に土地を少しずつ売ってしまったのだろう。
だが、砂塗れの土地が高く売れるはずも無く、せいぜい利息を払えた程度だろう。
いくら土地を売ろうとも借金は減らずむしろ増え続ける。セリカがそれをおかしいと指摘する。
それに先生が同意し、アビドスは悪質な罠に嵌められたんじゃないかと話す。
それの意味を何人かが理解し、分かっていない生徒に説明した。
払いきれない程の利子が付いた借金を貸し付けたのはカイザーコーポレーションだ。つまり、最初から土地を売らせる事を狙っていたのだろう。少しづつ土地を売らせ、アビドスの土地はゆっくりとカイザーの物になっていく。そんな計画だったのだろう。
それに対しセリカがカイザーに弄ばれているだけじゃないか、生徒会はどれだけ無能だったんだと怒りを露わにした。
だが、それを先生が宥めた。悪いのは騙された側ではなく、騙した側だと。
その事をセリカも分かってはいたのだろう。たまにゲルマニウムのブレスレットとか買ってるし。
それでも、なんでただでさえ苦しんでるアビドスにそんな事をするんだと言って悔しがっていた。
それでホシノが人は切迫詰まるとなんでもやってしまうという事を言っていた。…‥その通りだろう。実際僕もあれだけ嫌っていた黒服に頼ったのだ。ほんと嫌だったけど。
──会議は最後の段階になり、アヤネが情報を纏める。
カイザーコーポレーションは、今までは一応は正規の方法で土地を自分の物にしていたが、生徒会が無くなりこの校舎の土地を購入出来なくなった。その為、アビドスの生徒達を追い出そうとしてヘルメット団や便利屋68を雇っていたのだろう。
つまり、カイザーの目的は金では無く土地だ。だが、そうなると理由が分からない。こんな廃墟と砂漠しかない土地を手に入れてどうしようというのか。
……合っているかどうか分からないが、確か宝探しか何かだった気がする。いや、そんな子供みたいな理由じゃないか。カイザーの鉄クズ共だって一応大人(笑)の筈だし。
そこで先生が口を開いた。
アビドスの砂漠でカイザーが何かを企んでいるという内容だ。
それを聞いてみんな困惑していたが、セリカがアビドスの砂漠はうちの自治区だ、実際に行けばいいだろうと言い出し、それにみんなも賛同する。準備が出来次第、みんなでアビドス砂漠に行く事となった。
今日は久しぶりに納豆を食べました。久しぶりなのでとても美味しかったです。