「アビドスが、借金をしている相手……」
「か、カイザーコーポレーションの……」
「正確に紹介すると、カイザーコーポレーション、カイザーローン、そしてカイザーコンストラクションの理事だ。今は、カイザーPMCの代表取締役も務めている」
「それはどうでもいい。子供相手にそんな細かい事言って楽しいの?」
「……何だと?」
キレてて草。子供の言う事なのにね(笑)……別にさっき子供って言われたのを気にしている訳じゃない。本当に。
「……スイの言う通りそれはどうでもいいんだけど、要はあなたがアビドス高校を騙して、搾取した張本人ってことでいい?」
「……ほう」
「そうよ!ヘルメット団と便利屋を仕向けて、ここまで私たちをずっと苦しませてきた人があんたってことなんでしょ!?」
「ふむ……?」
「あんたのせいで私たちは……アビドスは……!」
「やれやれ……最初に出てくる言葉がそれか。勝手に私有地へと侵入し、善良なる我がPMC職員たちを攻撃し、施設を散々破壊しておいて……くくっ、面白い」
なんも面白くないよ。こっちは怪我(かすり傷)してんだぞ。
「だが、口の利き方には気を付けた方が良い。ここはカイザーPMCが合法的に事業を営んでいる場所。まず君たちは今、企業の私有地に対し不法侵入しているのだということを理解するべきだ」
「……!」
「……っ!」
「僕いきなり撃たれましたー!凄く痛いでーす!だから僕たちはむしろ被害者だと思いまーす!」
「……さて、話を戻そうか……。アビドス自治区の土地だったか、確かに買ったとも」
思いっきり無視された。悲しい。
「だからどうした?全ては合法的な取引、記録も全てしっかりと存在している。まるで、私たちが不法な行為でもしているかのような言い方は止めてもらおうか。わざわざ挑発をしに来たわけではないのだろう?
ここに来たのは、私たちがここで何をしているのか気になったからか?どうしてアビドスの土地を買ったのか、その理由が知りたいのか?」
普通に教えてくれるんだ。無駄に勿体ぶるかと思ってた。
「それならば教えてやろう、私たちはアビドスのどこかに埋められているという、宝物を探しているのだ」
……え?マジで?本当にそんな理由だったの?理事って宝探しとか好きなタイプなのか?
「……!」
「そんなでまかせ、信じる訳ないでしょ!!」
「それはそう。もしそうだとすると、このPMCの兵力について説明がつかない。この兵力は、私たちの自治区を武力で占拠するため。違う?」
「…… 数百両もの戦車、数百名もの選ばれし兵士たち。数百トンもの火薬に弾薬。たった5人しかいない学校のために、これほどの用意をするとでも?」
……いや、ホシノ相手にいるならこれでも怖いくらいだろ。しかも今は先生もいるんだぞ?もしかしてバカなのか?
「冗談じゃない。あくまでこれは、どこかの集団に宝探しを妨害された時のためのもの。ただそれだけだ、君たちのために用意したものではない」
……どこかの集団ってなんだよ。もしかしてビナー対策とか?流石に違うか。ビナー相手ならいくら兵が集まっても羽虫の様に蹴散らさせるだけだろう。人がまるでゴミの様だ状態になるだけだ。
「君たち程度、いつでも、どうとでもできるのだよ……例えばそう、こういう風にな」
そういうと、理事は何処かに連絡を取り始めた。
「私だ……そうだ、進めろ」
「な、何……?急に電話……それに「進行」って、何のこと?」
「残念なお知らせだ。どうやら、君たちの学校の信用が落ちてしまったそうだよ」
……は?
アヤネの通信から、電話の音が聞こえて来た。アヤネは不思議そうにその電話に出る。
「……?」
「こちらカイザーローンです。現時点を持ちまして、アビドスの用評価を最低ランクに下げさせていただきます」
「!?」
「変動金利を3000%上昇させる形で調整。それらを諸々適用した上で、来月以降の利子の金額は9130万円でございます。それでは引き続き、期限までにお支払いをお願いいたします」
はぁっ!?3000%!?イカれてんのか!?闇金もビックリの超暴利だ。明らかにおかしいし、いきなり信用が最低ランクってのも理解出来ない。
「はい!?ちょ、ちょっとそんな急にどうして……!?」
「きゅ、9000万円!?」
「……くっくっくっ。これで分かったかな。君たちの首にかけられた紐が今、誰の手にあるのか」
「……!」
コイツ……!
「ちょっ、嘘でしょ!?本気で言ってんの!?」
「……」
「ああ、本気だとも。しかしこれだけでは面白みに欠けるか……そうだな、約5億円の借金に対する保証金でも貰っておくとしよう。一週間以内に、我がカイザーローンに3億円を預託してもらおうか」
嘘だろ!?いくらなんでもふざけているだろ。
「この利率でも借金返済ができるということを、証明してもらわねばな」
「そんな……!」
「……っ」
「そんなお金、用意できるはずが……今、利子だけでも精一杯なのに……」
「ならば、学校を諦めて去ったらどうだ?」
「!!」
「自主退学して、転校でもすれば良い。それで全て解決するだろう、そもそも君たち個人の借金ではない。学校が責任を取るべきお金だ。何も君たちが進んで背負う必要は無いのではないか?現にそこにいる空乃スイだって2年前逃げ出しただろう」
「!スイは借金で逃げたんじゃ……!」
「ホシノ、落ち着いて。理由があっても僕がアビドスから逃げたのは事実だ」
「……っ!」
理事の提案に対し、他の生徒も当然猛反対する。
「そ、そんなこと、できるわけないじゃないですか!」
「そうよ、私たちの学校なんだから!!見捨てられるわけないでしょ!」
「アビドスは私たちの学校で、私たちの街」
「ならばどうする?他に何か、良い手でも?」
「……もしもの話なんだけど、急にお前が利子を元に戻すかもしれないよ。まるで別人になったみたいに」
最悪コレを殺した後擬態して成り代われば済む話だ。だけど、ホシノが見てる所で殺人はやりたくない。それに理事は黒服と繋がっていたはずだ。僕の正体について聞いていたら今の言葉の意味を理解するかも知れない。
「!?き、貴様本気か……!?」
お、知ってたみたい。ロボットなのにビビってんのが分かりやすくて笑ってしまう。
「……みんな、帰ろう。スイも止まって」
「ホシノ先輩……!?」
「……いいの?」
「……うん。これ以上ここで言い争っても意味がない、弄ばれるだけ」
「ほう……副生徒会長、さすがに君は賢そうだな」
僕がバカって事か?言い方に悪意を感じる。
「……ああ、思い出したよ。賢そうな君と一緒にいた、あの全くもってバカな生徒会長のこともな」
ホシノ
「……」
「では、保証金と来月以降の返済についてはよろしく頼むよ。お客様」
「ふふっ、ふははははは……!」
理事が急に笑い始めた。側から見るとヤク中かアタオカだ。怖い。
「存外悪くない時間だったな。さあ、お客様を入り口まで案内して差し上げろ」
入り口を出て、みんなで校舎へ帰る。だが、会話などはなく暗く重い空気の帰り道だった。
借金の利子についてなのですが、約9億円の時3000%プラスで9130万円となっていました。この小説だと借金は半額しているはずなので、最初は頑張って調べたり計算しようと思っていました。ですが、調べても出てこないし、計算はよくわからないので元の文で出しました。カイザーが馬鹿みたいな利率にしてたってことにしておいて下さい。すいませんでした。