ゲーム部の部室に突如としてユウカが現れた。
うっお、ふともも凄……これはヌッてなるのも納得だ。
「出たな、生徒会四天王の一人!「冷酷な算術使い」の異名を持つ生徒会の会計、ユウカ!」
「勝手に変な異名を付けて、人をモンスターか何かみたいに呼ばないでくれる?失礼ね。……それよりも……先生」
「"やあ、ユウカ"」
「……はあ、こんな形で会うなんて。先生とは色々と話したいこともありますが、それはまた後にするとして……モモイ。本当に諦めが悪いわね。廃部を食い止めるために、わざわざ「シャーレ」まで巻き込むだなんて」
ユウカが説明を始める。モモイは廃部を逃れる為シャーレの先生を呼んだが、ユウカはそれを無意味だと言う。ユウカ曰く、部室の運営については各学校の生徒会に委ねられているらしい。なので、シャーレの先生だろうと連邦生徒会長だろうとゲーム部の廃部は誰にも覆す事が出来ないとの事だ。
それに対しモモイは反論しようとするが、ゲーム部は部活として認められる二つの条件を両方とも満たしていないとド正論を突きつけられる。だがモモイは、全力で活動しているから情状酌量があってもいいんじゃないかと言う。
だが、その『全力』は少しズレたものの様だ。校内でギャンブル大会を開いたり、他の部活を襲撃したり。確かに全力ではあるかもしれないが他人に迷惑をかけすぎている。ユウカも言っていたが、これでよく堂々と部費を請求できるな。その鋼の精神力だけは見習いたいものだ。
ミレニアムでは結果が全てだとユウカは言う。だが、なんとゲーム部は何かのコンテストで入賞した事がある様だ。これには真面目に驚いた。ちゃんと活動もしてるのかと感心していたが、『テイルズ・サガ・クロニクル』という名前を聞いた瞬間全てを察した。どうやら入賞とは「今年のクソゲーランキング」だったらしい。唯一評価されたゲームがクソゲーとは正直……なんか、最早凄いと思う。
ちなみに僕も「TSC」はやってみた事がある。元々ゲームが好きなのでゲーム機は便利屋時代に購入していたのだ。……別にゲームばかり買っている訳ではない。普段の稼ぎはちゃんと他の事に使用している。具体的に言うと大量のドローンと美味しい食料、後は毛布とかの物資だ。何に使っているかは頑張って自分で考えてみて欲しい。
……話が逸れた気がする。そうだ、TSCの話だ。あれは凄かった。植物人間を自称するキャラクターが普通に会話をしているのを見た時は自分がおかしくなったかと疑った事はよく覚えている。あと最序盤のスライムが銃を使って来た時はスライムの癖に銃なんて使うんじゃねぇとキレそうになった。あれほど製作者を憎んだゲームは後にも先にもTSCのみだろう。
「"一位!?すごい、そのゲーム気になる!"」
「「「「……」」」」
……何も言えねぇ……
……ユウカは話を元に戻し、再び喋り始める。部活を続けたいのならば自分達の活動にも意義があるのだと証明しろと。きちんとした功績や成果を出せば廃部は撤回してくれるようだ。例えば何かの大会とかだ。
けれど、クソゲーランキングの事を考えると入賞は難しい気がする。
ユウカも同様の事を思っているようだ。その為、お互い楽に済ませようと言う。今すぐ部室を空けて散らかっているガラクタも捨てれば良いと。
だが、その言葉がモモイに火をつけたようだ。全部結果で示すと言い、その準備もしてあるとの事だ。そして、準備してある切り札を使って『ミレニアムプライス』とやらに『TSC2』を出すつもりらしい。
ただ、『ミレニアムプライス』はミレニアムでも最大級のコンテストらしい。ユウカが言うには、「高校球児がいきなりメジャーリーグに出る」みたいな事らしい。つまり本当に難しい事なのだろう。
ユウカはミレニアムプライスまでは待つと言う。やっぱユウカってロリには甘いんだな。もしユウカに頼み事があったらロリに擬態して頼んでみよう。
先生に別れを告げ、ユウカは去って行った。
部室には、重い雰囲気が漂っていた。
「…… お姉ちゃん。どっちも確率は低いだろうけど……今から私たちがゲームを作るより、部員を募集する方がまだ良いんじゃないの?」
「それならこの一か月、散々やってみたでしょ……結局、誰も入ってくれなかったし。『ぷーっ!VRですら古いのに、何がレトロ風ゲームだよ』ってバカにされるのは、もううんざり」
「……」
「ユウカの卑怯者め!私たちみたいなオタクは友達が少ないってことを利用するなんて!許せない!」
「いや……それはユウカじゃなくて、100%私たちの自業自得だと思うけど」
「とにかく、これ以上部員の募集をしても明るい未来は見えない。それに、まだ他に希望はある」
「あ、そうだ。さっき言ってた「切り札」って、いったい何のこと?」
「それはもちろん、先生のことだよ」
「"……私?"」
モモイはユウカが来る前まで話を戻す。モモイ達の目的は『廃墟』にあるらしい。モモイによる廃墟の説明は僕が知っている事と変わらないので聞き流した。
先生は、なんでそんな危険な場所に行こうとしているのかと聞いた。するとモモイは、なんだかカッコいい事を言い始めた。
モモイが大好きで、幸せにしてくれたゲーム達は、ガラクタなんかじゃなく、大切な宝物だと証明したいのだと。
「……お姉ちゃん」
「そのためには、どうにか廃墟に入って『あれ』を見つけないと」
「"あれ?"」
「あ、順番が良くなかったかも。今度は、この話をしないとね。……先生、G.Bible……って知ってる?」
モモイは、先生にそう問いかけた。