スライム(?)で行くブルーアーカイブ   作:強酸性のTKG

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番外編
番外編1


ある日の昼下がり。僕と先生は、シャーレで書類仕事をやっていた。

僕も一応ブラックマーケットで仕事をしていた時期があった。なのでその時に書類仕事は経験済みだ。先生だって慣れた手つきで書類を処理している。

その日の書類が少なかった事もあり当番の仕事は早めに終わった。

 

「"……暇だね"」

「そうですねぇ。ゲームでもやりますか?」

「"う〜ん……それでも良いんだけど……そうだ!スイ、ドッキリとかやらない?"」

 

……おっと?この流れはブルアカのssで何回も見た気が……いや、きっとちょっとしたドッキリだろう。仮にも聖職者だ。過激なドッキリなどやる筈が無い。

 

「……ちなみに聞くんですけどなんのドッキリをするつもりですか?」

「"せっかくならスイも一緒に仕掛けて欲しいから……死亡ドッキリとかどうかな!」

 

待て待てなーんにも分かってねえじゃん。頼むぜ先生。

……いや、本当にヤバい。下手したら生徒テラー化するぞ。もしかして先生はキヴォトス滅亡RTAでもやるつもりなのか?何を考えているんだ?

……ん?先生の目の下にクマが……?

 

「……先生。最後に寝たのいつですか?」

「"えーっと……3日か4日前だね。仕事が忙しくて……"」

 

……マジか。シャーレってそんな魔境だったのか……?

 

「……先生。今日は寝ましょう。せっかく時間があるんです。お昼寝したって良いじゃ無いですか」

 

窓を開けて換気をする。うーん、良い天気だ。こんな穏やかな天気の中お昼寝したらさぞ気持ちいいだろう。というかホシノとかは寝てそうな気がする。

 

「"……でも、もう連絡しちゃったし……"」

「そうですか。もう連絡……は?誰に?」

「"ヒナが今日は休みって言ってたから呼んでみた!"」

 

スイは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の先生を除かなければならぬと決意した。スイには先生の仕事が分からぬ。スイは、アビドスの生徒である。セリカ辺りを揶揄い、みんなと遊んで暮して来た。けれども邪悪(ヒナの曇らせ)に対しては、人一倍に敏感であった。

ざけんなヒナ曇らせはルールで禁止だろ。え?曇らせ隊はルール無用?それもそっか……

 

「……もう呼んじゃったんですよね?なら、ふたりでお出かけしてくるとかはどうですか?僕はシャーレで留守番してるので」

「"……いや、ドッキリやろう!ヒナには後で謝ればいいよ!優しいから許してくれる筈!"」

 

……嘘だろ?マジでやるつもりなのか?

はぁ……ここまで来たら先生はやるだろう。なら、僕も参加しよう。どうせやるならぜひ特等席でヒナの曇った顔を見てみたい。

 

「……分かりました。やりましょう。僕は何をすれば良いですか?」

「"ありがとう!スイにはこれをやって貰いたくて……"」

 

……マ?

 

──数十分後。シャーレに来客があった。そう、空崎ヒナだ。

 

(ふふっ、先生に呼んで貰えた……!でも、こんな急になんてなんの用事かしら……)

 

少しだけ不安になったものの、先生に呼んでもらえたという嬉しい気持ちがそれを塗り潰す。

そうしている内に、普段先生がいる部屋に着いた。

扉を開けようと手を掛けた瞬間、何かの匂いがする。強い鉄の匂いだ。

ヒナは驚きつつも勢いよく扉を開け、銃を構える。

 

「先生ッ!どこにいるの!?無事!?聞こえたら返事……を……」

 

誰がが床に倒れている。しかも辺りには大量の血の様なものが散らばっていた。人ならば確実に死亡している量。

 

(嫌、嫌嫌嫌嫌──)

 

ヒナはその誰がの顔を覗き込む。だが──現実は非情だった。

その顔は、先生のものだった。血塗れで、苦しそうな表情を浮かべているが、間違いなく先生の顔だ。

 

「嫌ぁぁぁぁっ!!」

 

悲鳴を上げながら先生の体を抱える。両腕がだらんと下がり、この体の持ち主は間違いなく事切れているという事実を突きつけてくる。

 

「嫌ッ!先生ッ!なんで!?なんでこんな事に……!」

 

ピシリと、ヘイローにヒビが入る。そのヒビはどんどん大きく──

 

「先生ェー!これ以上はまずいですよ!」

「……え?」

 

どこかから声がした。なんとなく聞いた事がある気がするが、今はそれどころでは無かった。

 

(……この人、今先生を呼んだ?先生はもう──)

 

「"……ヒナ"」

「え──」

 

ヒナが抱えている体から、声がした。間違いなくいつもの先生の声だ。

 

「先生──!」

「"ドッキリ大成功!!"」

「……は?」

「"いやー、まさかあそこまで悲しんでくれるなんて!嬉しいよ!」

 

ヒナの胸から、安堵感がスッと消える。代わりに、怒りが湧いて来た。

 

「……先生」

「"ん?どうしたの?ヒナ。もしかしてこのドッキリのネタを教えてほし──」

「正座」

「……えっ?」

「……あと、そこのあなたも。ちゃんと話を聞かせてもらうからね」

 

こっそりと部屋を立ち去ろうとしていたスイに声を掛ける。肩をビクッと震わせ、ゆっくり振り向いた。

 

「……ぼ、僕は止めようとした。だから怒るなら先生だけに──」

「いいからこっち来て正座」

「……逃げ」

 

スイの横を何かが通り過ぎる。ヒナが放った弾丸が頬を掠めたのだ。掠った部分から血が垂れる。

 

「……こっちに来て」

「……ハイ」

 

渋々戻って来て正座をした。……こうして、長い長い説教の時間は始まった。

 

──本当に最悪だ。先生のせいでヒナに何時間も説教された。

……あ、あのドッキリの仕組みだが、結構単純だ。

まず僕が大量の血に擬態をする。その上に先生が寝転がり、睡眠剤を飲む。これにより先生は意識が無くなるのでパッと見死体に見える様になったのだ。あまり強力なものではないので強く呼び掛ければ意識も戻る。

こういう仕組みだ。単純だろう?

……衝撃的すぎてヒナは直ぐ気付かなかった様だが。というかあの時ヘイローにヒビが入ってた気がする。ヒナ・テラーとか言われても絶対倒せないし本当に焦った。

……まぁ、無事止められたしいいか。さっさと帰ろう。

夕暮れの中、シャーレから出てアビドスへ向かった。




アンケートの結果、スイもパヴァーヌ編に参戦する事となりました。皆様、ご投票ありがとうございました。

ちなみにこの話にヒナを登場させたのは作者の趣味です。他意は有りません。
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