その名は時間管理局   作:クライングフリーマン

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出勤するなり、ボスは言った。
「五十嵐、詐欺は好きか?」
俺は間髪入れず答えた。
「犯罪です。何です?」



19.大取引

 

============== これは、勿論フィクションです。 =======

俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。

今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 

午前9時。時間管理局。

出勤するなり、ボスは言った。

「五十嵐、詐欺は好きか?」

俺は間髪入れず答えた。

「犯罪です。何です?」

「差異が生じたのは、『真の国』。お前が墓地が掘り返されるのを見た次元だ。」

「ボス。その解説要ります?」「趣味だ。時間軸は1985年と推測される。何故なら、その時死んだ筈の人間が、3026年、詐欺事件を起こしている。」

 

MRIに似た移送装置の睡眠学習で、俺は詳しいことを知った。

裕福な高齢者が言葉巧みに狙われた詐欺事件が、この年あった。

詐欺の会社の『功績』は後世に受け継がれ、残党は同じ事件を何度も起こし、警察にマークされるようになったが、『集会所』を設けずに行う『特殊詐欺』が流行りだし、根幹が、この事件と言われている。

 

特殊詐欺会社夜明商事の会長は、ある日、マスコミの取材陣の目の前で殺された。

誰一人、止めようとしなかったのは、『取材という名の殺人幇助』だと非難された。

犯人は、「義憤に駆られて」と供述したが、反社の人間だから、金が絡んでいると指摘する者もいたが、報復を恐れて、マスコミは事件の経緯を追うことばかり専念した。

 

事件前日。会長宅。

張り込みをしていた俺は、深夜に幹部が集まるのを目撃、やがて集まったクルマは四散した。

クルマを乗り継ぎ、追っ手がいないことを確かめて、安堵する会長。

「成程な。」

俺は、会長宅にとんぼ返りをした。

いた。似ている。

だが、縛られている。

やはり、トリックがあったのだ。

会長に似た人物を探し出す。

その、そっくりさんを見張り付きで幽閉する。

そして、翌日、反社の人間が乗り込む。

そういう段取りだろう。

 

俺は、そっくりさんが幽閉された部屋に跳んだ。

そして、彼を連れて近くの公園に跳んだ。

「災難だったな。アンタは、このままじゃ殺される。そいつは神様が許さない。」

俺は縄を解きながら言った。

「あんたは、誰だ?」「神様の使い、じゃダメか?」

彼は十字を切った。クリスチャンだったか。

 

俺は、本物の会長のいる場所に跳んだ。

「会長さん、忘れ物ですよ。」

表に部下が出てきたので、俺は、会長の近くに行き、『本来の時間軸と場所』に移動させた。

そして、側にいた人物、詰まり、シッパーの部下を『保安檻』に送った。

 

3026年某月某日。午後5時。時間管理局。

タイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。

どこに連絡場所があるのか俺は知らないが、ボスは確認作業を終えて、連絡に来た。

「『真の国』の組織が丸ごと消えたよ。シッパーの部下を捕まえたのはお手柄だ。ご褒美は、祝福だけだが、おめでとう、お疲れ様。」

 

午後7時。帰宅すると、かな子は、何やら燃やしている。

「大丈夫よ、偽金だから。入浴の時、『本物』を確認するわね。」

 

カッターシャツに汗が滲んで来た。

 

―完―

 

※豊田商事事件:1985年(昭和60年)に発生した、高齢者を中心に約2000億円の巨額の資金を集めたペーパー商法詐欺事件。会長が自宅マンションで刺殺されたことで社会的に大きな衝撃を与えました。

 

 

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