その名は時間管理局   作:クライングフリーマン

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「五十嵐、お前は、壁画は嫌いか?」
「嫌いじゃないですよ。恐竜時代の前だか何だかに描かれた・・・。」



56.大壁画

 

============== これは、勿論フィクションです。 =======

俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。

今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 

午前9時。時間管理局。

出勤するなり、ボスは言った。

「五十嵐、お前は、壁画は嫌いか?」

「嫌いじゃないですよ。恐竜時代の前だか何だかに描かれた・・・。」

「曖昧だね。そこまで古くない。時間軸は2021年だ。差異が生じたのは、『抗の国』。お前がストリートシンガーの女の子と出逢い、涎を垂らした次元だ。」

「涎、垂らしてません!!また、かな子に言いつけるって言うんでしょ?危うく爆弾の餌食になるところだった。」

「まあいい。で、2021年7月17日。その時間軸より少し前だな。首都の駅前ビルの壁面に著名な画家・イラストレーターの横山孝史氏が娘と協力して、アートを描いた。2度目のオリンピックで盛り上がっている最中だった。ところが、翌日、7月18日に黒スプレーで塗り潰された。知事やオリンピック反対派による仕業、という事案に、年鑑で書き変わった。データベースでは、そんな事実はない。」

「了解しました。」

 

俺は、猛烈に腹が立った。文字通り、人の『希望』に『ドロを塗った』と思った。

MRIに似た移送装置に横たわると、睡眠学習が始まった。

2度目のオリンピックとやらは、かなり妨害された。2年前に大震災があった為、費用もかかるし、訪れる外国人に危険はないのか?というのが反対派の意見だった。

後に、不正な支出も問題になったが、オリンピックそのものが成功に終った。

たった一夜で塗りつぶすということは・・・。

 

2021年7月17日。深夜。『抗の国』。大壁画アートのあるビル。

ヘリコプターの音が聞こえる。

俺は、ヘリが3メートル近くに接近した時、ヘリごと砂浜に跳ばし、俺も移動した。

パイロットを『保安檻』に跳ばし、ヘリは墜落させた。

どこかで盗んだヘリだろう。

 

3026年某月某日。午後5時。時間管理局。

俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。

ボスがやってきた。

「お前、ヘリ、どうした?」

「あ。」

「あ、じゃないよ。翌日、知事が乗る筈だったらしいぞ。今度からヘリとかクルマをシッパーが利用したら、安全な場所に飛ばせろ。」

「了解しました。以後、気をつけます。」

 

午後7時。帰宅すると、「出来ちゃった」と、かな子が飛びついてきた。

「いつ、判った?」と言うと、かなこは、大きな鍋のおでんを指さした。

「町内会で、『炊き出し』の練習しているのよ。何時災害が来るか判らないでしょ。」と答えた。

 

はは、俺の勘違いか。

 

―完―

 

※2021年7月17日。横尾忠則氏は、娘と一緒に東京駅の前のビルに大壁画を描いたそうです。このエピソードは、そのニュースを題材にしています。

クライングフリーマン

 

 

 

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