アルヴィス(約14年後の姿)
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アゼル(約14年後の姿)
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ファイ”ア”ー ―グラン歴743年
朝日に照らされる街並みを、車窓から楽し気に見つめる娘。
屋敷から出たことが無い彼女にとって、見るものすべてが興味の対象なのだろう。
馬車の窓に顔を付け、指をさし、飛び跳ねながら夢中になっている。
そして何か見つけるたびにこちらに呼び掛けてくる様子が何とも愛らしい。
このまま一緒に町中を回っていたい。
だが、今日だけはそういうわけにいかない。
アゼル様とユリス、そして何より若き御当主のためにも私情は抑えなくては。
絶対に時間を作って一緒に馬車を乗り回そう。
そう心に誓い、気持ちを切り替える。
ある程度落ち着くまで待ち、声をかける。
「ユリス、ヴェルトマー家のお方にお会いしたらなんというんだい?
もう一度パパに教えておくれ」
私の目の前に立ち、教えた通り深呼吸を一度行うユリス。
「コーエン家のユリスともうします。
つつしんでごあいさつもうしあげます」
狭い車内でのカーテシーで靴を座席にぶつけてしまった。
馬車の揺れもあいまって座席に倒れこむ。
教えたフレーズは完璧だ。所作は愛らしいから満点。私の娘は皆賢いな。
「よくできたね。
今日お会いする方々にはそのようにご挨拶するんだよ。
これからユリスがお仕えする方だ。失礼のないように頑張ろうね」
元気よく返事をするユリスの髪へ手を伸ばす。
ふと、今朝言われたことを思いだす。
「お父様、移動中ユリスの頭を撫でてはいけませんよ。
手触りが良いので気持ちは分かりますが、折角セットした髪型が崩れてしまいます」
アイーダから禁じられている。
あの子も忙しいのにわざわざ夜が明ける前に執務室を出て、
我が家に戻って面倒を見てくれたんだ。
そして私たちより先に出て、到着後の受け入れまで買って出てくれた。
その献身を無下にはできない。
だが、頬に触ることは禁止されていない。ふにふにしている。
ユリスがお返しとばかりに頬を擦り付けてくる。
頭をなでるのとは違った良さがある。
制約は新発見の元となる。
館の正門が見えてきた頃、
ユリスが不安を含んだ声で話しかけてくる。
「どんなかたなの?」
腰のリボンをいじっている。
「精一杯頑張っているお方だよ。そして炎の紋章のような方だ。
ユリスより十歳年上で、同い年の弟君もいらっしゃる。怖い方ではないよ」
ユリスはにこりと笑い、私の手を握る。
世話役にはファイアーエムブレムについて何度も教えるように伝えていた。
だが、娘は理解できていないようだ。
ヴェルトマーに連なる者にとっての支柱。
根幹をなす概念なのだから、すぐに分かるようになるだろう。
繋いだ手を窓へ近づける。
「ほら、あの門をくぐるんだよ。
その向こうにはすてきなお庭があるんだ。
その先でアイーダが待っているよ」
前庭は街並みと風景が異なっているせいでユリスはまた元気になってしまった。
姉の時は庭を見る余裕なんて一切なかったが、この子は大丈夫そうだ。
――――――
馬車止めにはあくびを噛み殺すアイーダ*1がいた。
あの娘も心配性だな。
控室で落ち合う予定だったが待っていられなかったらしい。
私が付いているのだから、移動中に何か起きるわけないだろうに。
外から声が聞こえる。
「お嬢様、もう少しで着きますよ。
止める時揺れるので座っていてくださいね~」
御者が手綱を緩め、緩やかに止まる。
窓越しに姉を見つけたユリスには、その忠告が耳に入らなかったようだ。
座席から立ち上がり、姉へと元気よく手を振っている。
苦笑を浮かべたアイーダも小さく応える。
私も自然と手を振っていた。
この子がいるだけで、私たちの心はほぐされる。
ご家族を守るべく、心を凍てつかせたアルヴィス様にもこの子の熱は届くはず。
此度の件、上手くいかせてみせよう。
朱鷹はまだ、落ちていない。
「お嬢様、扉を開けます。
窓から離れてくださいね」
アイーダがエスコートのために近づいてくる。
少したじろいた。
「ユリス、随分楽しかったのね。
それにしても……これは……
私、ユリスの頭をなでてはいけないと言ったと思うのだけど。
お父様」
撫でてはないぞ‼
頬をつついただけだ。
しかし、身だしなみがかなり崩れている。
あれだけはしゃいでいたんだ、そうもなるな。
アイーダは……如才ないな。
「たのしかった~」
ユリスの頭が馬車の床に近づき、さらに下へ落ちていく。
鈍い衝突音がした。
その背を追い、扉に手をかけ、身を乗り出す。
アイーダへ向けて飛び出したのだ。
姉が無事抱きとめたようで、キャッキャとユリスの甲高い声が響く。
私たちは目を見開くばかりであった。
子供とは、これほど自由なものか!?
もしや、3歳のアイーダもこうだったのか!?
アムネリスは、なぜ逝ってしまったのだ……
「コラ!!
落ちたら大けがするところだったのよ!!
それに、ここは主様の邸宅。はしたないことはなりません」
我が娘ながら、立ち直りの早さには目を見張るものがある。
弱冠十五歳にして、私と同じく当主に侍るだけはある。
「ごめんなさ~い」
満面の笑顔で、反省をしているとは思えない。
「はぁ……ここではこれ以上言わないわ。
でも、約束して。
危ないから、こんなことはもう二度としないって」
先ほどよりも強く姉へ抱きつき、ユリスは返事とする。
「こんなに乱れちゃって……
こんな姿でアルヴィス様にお会いできないわ。もう一度かわいくしてあげる。
控室に行きましょう。」
ユリスを床に下ろし、手を取って控室に導くアイーダ。
今度は常に手をつなぐことにする。
そうすれば肝を冷やすことを防げるはずだ。
身だしなみを整え終わったら、もう一度挨拶と言葉遣いを確認する必要があるな。
――――――
普段から見慣れた扉を前に、ユリスへ声をかける。
「これからヴェルトマー家のアルヴィス様*2へご挨拶申し上げるよ。
準備はいいかい?」
少しだけ手を強く握る。
「だいじょぶ
おねえさまにがんばるってやくそくしたから」
手を握り返し力強く応えるユリス。
身だしなみを整える際、アイーダとそのような会話があったのか。
上手く落ち着かせてくれた。
浮かれていた馬車内ですら挨拶をそらんじられていた。
これなら問題ないだろう。
ユリスの小さな手を放し、一呼吸。
ここからはヴェルトマーの杖へと戻る。
「アルヴィス様へ到着したと伝えてくれ」
扉番へ呼びかける。
「コーエン家のヴァルター様*3とそのご息女様でございます」
彼がノックと共に内側へ呼びかける。
理解してくれたようで、省略しなかった。
返事を受け、静かに扉が開かれる。
――――――
ユリスの背を軽く押し、執務室へ進む。
戸が閉まる重い音を合図に、1歩前に出て声を張る。
「ヴェルトマー家当主、アルヴィス様。
コーエン家のヴァルターにございます。
本日はお時間を賜り、感謝申し上げます。
娘の挨拶をお許しいただきたく存じます」
眉間にしわを寄せ、ユリスのつま先から頭まで凝視なされるアルヴィス様。
側近の幼い娘にも油断無い視線を送っている。
大切にされているご家族に関わるのだから当然だ。
だが、魔力を高めるのは悪手だ。
圧迫感を与え、本性を引き出せる。
同時に害意があると公言しているようなもの。
まして、神器*4ファラフレイムの継承者が行うそれは殺害予告にも等しい。
効果的な場面をご注進差し上げねば。
周りの政務官達も手を止めてしまっている。
これでは、仕事が貯まるばかりだ。
「構わん。それがもう一人の娘か」
彼にしては、低めの声で私の一歩後ろにいるユリスへ続ける。
「なぜ呼ばれたか分かっているか?」
アルヴィス様にとって、弟君と同年代の者を引き合わせるのは初めてだ。
過剰に排他的になってしまっている。
政務に関しては十全にこなせるよう成長なされたが、
対人にはまだ伸びしろがある。
私が教えられることがまだ残っているな。
「さみしいから?」
魔力が霧散する。
ユリスは聞こえていないと思ったのか、
もう一度繰り返す。
何を言っているんだ、この子は。
御当主も呆然としていらっしゃる。
「だって、かなしいかおだし……
わたしにあいたかったんでしょ?」
自己肯定感が高すぎる。
理由を聞かれているのではない。
お前の知性とヴェルトマーへ何をもたらすのか見定めようとしているのだ。
ファラ直系の威圧感をそう捉えられるのはお前だけだ。
アムネリスがいれば、こんな形にはならなかったはずだ。
3年前、我ら一門はかけがえのない女性たちを失いすぎた…。
アルヴィス様は演出ではなく、顔をしかめている。
予想外の事態にはどれだけ場数を踏んでも慣れないものだ。
地金が引き出されてしまう。
娘へのしつけの行き届かなさに、申し訳なさが募るばかりだ。
……これも主君の糧となる。
「リーネの元へ連れていけ。
案内は任せた」
ご当主は側に控えるメイドへ申しつける。
投げやりで動揺が隠せていない。
問いに答えたユリスへの返事ではなく、
身内へ指示を出している。礼法もまだ課題だな。
だが、不意に痛いところを突かれようが判断は誤っていない。
恐らくこう踏んだのだろう。
この小娘に奸計を巡らせる知能が無いことは明らかだ。
相手を慮ろうとする性格なのが読み取れる。気に食わないが。
アゼルと似た性質なのは悪くない。
癪だが、現在一門に漂う空気を変える起爆剤になりえる。
だから、ユリスを奥へ通し、アゼル様との相性を試すのだ。
といった所か。
齢十にして、不服でも目的のためなら感情を飲み込める。
やはり、君主としての大器を持っておられる。
表面を取り繕えさえすれば文句のつけようがない。
指示を受けた年かさの女中に連れられ、ユリスが退室する。
その際、ユリスは教えた通りの退出の言葉を述べた。
そこは出来るのか。
なぜ、先ほど喧嘩を売る発言をした。
まだ昼まで時間があるのに2度も寿命が縮まったぞ。
お前が行った後、父は若様にここで過ごせるよう交渉をするんだ。
おかげさまで、事前に組み上げた論法はお前に潰された。
試験官気分でいたら、抜き打ちの即興弁論考査が始まってしまう。
「奥へ行く。
付いてこい」
――――――
若様の代わりに使用人を呼びつけ、
暖かい飲み物二つ、甘いものを一つ持って来るよう言いつける。
背を追って執務室内の扉をくぐり、内応接室へ。
その先では筆を滑らせる音と周りの目線が消える。
彼らもユリスには驚かされただろう。
今日は私が働けない分忙しいというのに迷惑をかけてしまった。
若様の表情から険が抜ける。
これからが本番とは言え、私も一旦肩の荷が降りた気分だ。
お互いの定位置へ歩み、どちらからともなくカウチへ体を預ける。
「少し休ませてください
あの娘には驚かされてばかりなのです」
気が抜けた返答を受ける。
使用人がやってくるまでしばし無言で休憩。
――――――
私たちは紅茶で喉を潤す。
散々冷やされた肝も温まる。指先の冷たさも取れた。
若様はフィナンシェのバターに癒される。
付き合いが無いと分からない程度ではあるが、眉尻が下がっている。
皿の上で指をすり合わせ、欠片を落とす。
若はカップを持ち直す。
落ち着いた頃を見計らい、切り出す。
「先ずは謝罪させていただきたい。
愚女がとんだ失礼をしました」
あぁ……と遠い顔をなされる若。
思い出したくないのは私も同じです。
ですが、利用させていただく。
「あれには礼儀を仕込み切れていませんでした。
妻はあれを私へと届けてくれた代償に逝きました。
死に目に会えず、立派に育て上げると安心させてやることも出来ず……
あれには悪いことをした……」
「……」
「これは弁明にしかなりません。
当時、私は先代様の後始末と、その代行業務に忙殺されていました。
それに、教えを任せられる者を割く余裕は我ら一門には無かったのです。
何分、誰が信頼のおける者かを見定める所から始めていたので」
苦虫を嚙み潰したお顔をなされる。
しっかりと相手の皮肉を読み取れたようですね。
「若が立派になられたおかげで、下の娘を連れてくる余裕が出来ました。
顔合わせを実現させたのは若の努力でございます。
僭越ながら、傅役として嬉しい限りです」
表情が和らぐ若。菓子よりも甘かったらしい。
あまり率直に褒めて差し上げる機会がなかったせいだろう。
普段からあなたはよく励んでおられる。
しかし、それすら布石となりうるのです。
人は感情の変化量に重きを置いてしまう。
そのままでは相手に絡めとられてしまいますよ。
「ある程度余裕が生まれたとはいえ、私たちが子供たちへ構ってやるのは難しい。
そして、教師を探すこと自体が外部へ人が足りないと公言するのと同じ。
一か所に集め、一門衆で養育するのが良き選択かと」
カウチの背から体を起こし、聞く体制となった若。
こちらへ正対し、考えを明かしてくださる。
「外面を損なうのは得策ではないと理解している。
だが、今もクルト王子の助力には大変助けられている。*5
そちらを頼るのはどうだ?
王子なら卓越した師をそれぞれに送り出してくれるだろう」
事前に準備していたのであろう。よどみなく諳んじている。
若はカップの縁を指先でなぞりながら続ける。
「万一、この館に詰める者たちに何かあったとしよう。
その時、あの娘だけが別の場にいればファラの聖痕が途絶えることはない」
当家の立場と現状を踏まえた考えです。
━━当主として不合格。
「若の分析の通りです。
今の我らでは手が足りていない。
才知溢れるクルト王子の元には傑出した人材が集まっております。
バーハラ王家*6に縋りついた方がアゼル様やあの子のためになる」
「それに王国近衛として、王家周辺との関係強化は良き一手。
リスクヘッジも含めており、良く考えられている」
わずかですが、勝ち誇った顔が隠しきれていません。
悲嘆に続く賞賛には、まだ耐性が付いていないのですね。
真剣な表情を意識し、言い放つ。
「われらは王家の盾であり矛。そして、炎の紋章を戴く一族。
王家の優秀な教師がどれだけ優れていようが、我らの血ではありません。
炎の秘奥と信念だけは我らでなくては伝えられない」
声には嘲笑を込め、顔には満面の笑みを浮かべる。
「いつまでクルトにぃさまへ甘え続けるおつもりで?」
顔を朱に染め、にらみつけてくる若。
拳は白くなってしまっている。
未熟を自覚するあなたには効くでしょう。
「盾とは守るもの。
持ち主に寄りかかる重荷ではありません」
「若、自らの腕でヴィクトル様の騒乱*7を収めたと示し、
いまだファラに陰り無しと諸侯へ見せつけるのです。
ヴェルトマーが健在であれば、
他の五聖戦士家や諸外国も好き勝手を慎みます。
それだけでも王家の盾としての役割を果たせるのです」
否定を許さない。
この矜持だけは、損なえない。
さもなくば、炎魔法に長けた蛮族と違いが無くなってしまう。
「……」
若は朱色の顔をテーブルへ伏せる。
こちらを見ることなくつぶやかれる。
「……アゼルやリーネと共にいさせる必要はないだろう……」
若の癒しになれるのはあのお二人しかいない。
あの子が近づくことで家族での時間が減るとお考えなのだろう。
若の心を解きほぐすような奥方を探さなくてはならぬと決意する。
これもヴェルトマーのため。
更に、踏み込む。
「アゼル様とヴェルトマー家のためになります。」
「弟君の周りには母のリーネ様、
時々様子を見ていただけるヒルダ様、
それに若と私しかおりません。
アゼル様はさみしい思いをしていらっしゃる。」
「今からであれば、あの娘は乳兄弟同然になります。
あんなことをする奴です。寂しさを覚える暇すら与えない。
アゼル様にはそういった存在が必要です」
「……」
「当然、外部からも乳兄弟として扱われるでしょう。
なれば、極上の外交の札となる。
ただでさえ聖痕*8持ち。
主家と縁が深いとなれば、
ヴェルトマーと関係を深めたい家々が放っておかない。
こぞって高値を付けるはず」
「ヴェルトマーにとっては放出しても大して痛くない。
これ以上ない手札。上手く切ってお見せください」
「将来、アゼル様は王都バーハラの士官学校へ向かうことになります。
その際、気の置けない者が側にいれば、心安らかに勉学へ励めるはずです」
残りの紅茶を飲み干し、終わりの合図とする。
若は背もたれに体を預け、窓の外へ視線を逃がしている。
部屋に静寂が落ちる。
━━折った。
王子なんぞには頼るべきではない。
若をバーハラ士官学校へ通わせることはできない。
主家筋で彼とヒルダ様しか公務や家政を担うことが出来る人材がいないからだ。
この欠落は、将来必ず尾を引く。
そこには世界各国から高貴な血、腕に覚えのある者、才気あふれる若者たちが集うのだ。
彼らが互いを研鑽し、私的な交流を結ぶ。
他では得難い機会へ若が手を伸ばす余力は今のヴェルトマーにはない。
恥じ入るばかりだ。
だが、若ならアゼル様の頃には送り出すことが出来る程度に立てなおせる。
我ら家臣団は主家を支えることはすれども、変わることは出来ない。
いっそ、当主としての責務が果たせない程の能力しかなければ別だが。
しかし、若は天稟と上に立つ器、
そしてこれが最も肝要だが、正義を貫く聖者ファラ*9の末裔たる心の強さを備えておられる。
若程賢ければ無能な振りをすれば良いと分かっているだろうに、あえて苦難の道を選ぶ。
そして、弟様にはそのような思いをさせないよう気張っておられる。
その願いだけはかなえてみせる。
王宮を生き抜き、聖者ヘイム*10の末裔を守り抜くにはまだ青い。
若には酷だが、代わりに私が日頃から鍛えさせていただく。
そしてそれが最も貴方の信念に沿うと信じています。
若は嫌そうにカウチから立ち上がす。
「アゼル*11の様子を見に行く。
……相性が悪ければ叩き出す」
投げやりに言葉を放り投げる。
相性はともかく、またけったいなことをしでかしていなければ良いが……
――――――
内応接室から出て、執務室を抜ける。
筆が滑る音が戻り、密室から解放された実感をくれる。
執務棟から渡り廊下を通り、ナーサリールーム*12へ向かう。
差し込む日差しが重くなった気分を照らす。
自然とユリスを思い浮かべる。
子供なら許容される程度の言葉遣いは教えてある。
リーネ様はお優しい方だから目くじら立てることはないだろう。
だが、主家に対しての無礼はイカン。
やはり、もう少し教育してからの方が良かったか……
だが、時は待ってくれない……
「ファイアー」
廊下にまでアゼル様のお声が届いている。
声色からしてファイアーマージごっこだろう。
私も幼いことはしたものだ。
炎の継承は順調だな。
折角だから私の魔法を見せてあげよう。
どうせなら上位のエルファイアー*13
でもいいな。
それ以上はまだ刺激が強すぎる。
でも、盛り上がるだろうなぁ……。
エルファイアーかっこいいもんなぁ……。
もしかしたら、アゼル様は若から見せていただいた経験があるかもしれない。
だが、ユリスは初めてだ。
馬車ですらあれほど喜んでいたのだからどうなるか。
きっと走り回り、私にも飛びついてくれる。
アイーダにはまた叱られてしまうが、受け入れよう。
何ならアイーダも抱き着いてくれればいいのに。
若が足を止める。横を抜け私が扉を押す。
先んじて室内へと進み、戸を抑える。
「うぉぉ‼
エルファイヤー‼」
大きな膜を広げたなにかがアゼル様に威嚇するように叫ぶ。
若様が私を押しのけて進み出た。
こちらに気付いた。勢いよく振り向く。
「さみしんぼう‼
エルファイヤー‼」
ユリスだ。
スカートの端を目一杯高く掲げている。
若の顔は見えない。
「お背中の聖痕が見えていますよ、ユリス」
クスクスと笑いながら窘めるリーネ様。
ほんとうだ、と背中を確認するアゼル様。
助けてくれアムネリス、アイーダ。
私はこのまま帰りたい。
「エルファイヤー‼」
聞こえている。
繰り返すな。
愛らしさでは私を救えない。
「……ファイ”ア”ーだ
魔道において正しい発音は欠かせない」
違う。そうじゃない。
「にいさま‼
エルファイ”ア”ー‼」
真似するな。
「折角ですから、アルヴィス様にエルファイアーを見せてもらいましょうか。
きっと、すごくきれいですよ」
「それは私の案です。
ユリスの抱擁はパパのもの」
キョトンとした顔のリーネ様。
短い息を吐き、恐ろしいものを見るような目を私へ向ける若。
この短時間でユリスにそこまでほれ込んでしまうとは。
父の座だけは渡さない。
この人に話しかけるとそのステージが終わる。
序章で敵を殲滅しながら、ぎんの剣をくれる人。
本作では下の名前の捏造と設定の拡張を行っている。
全て威力が最高の30、加えてステータス補正がある。
アルヴィスを様々な面から助力している(資料集情報らしい)。
特に濃ければ神器が使える。
ゲーム的には、各血ごとに設定されたステータスの成長率に+補正が入る。
神からファラフレイムを授かった人。
神器ナーガを授かり、他の11人を率いた人。
原作開始2ターン目で救援に来てくれる。
しばらくはこのキャラ以外魔法を使えない。
特殊なクラスかファラの血がない限り、この炎魔法が限界。
炎魔法しか使えないファイアーマージですらここ止まり。
魔力の圧力うんぬんはオリジナル要素です。
参考のURLは邪魔になっていませんか?
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まえがきで問題ない
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あとがきの方がいい
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活動報告等別ページがいい
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そもそもいらない