ファラの聖戦 ~椿油和え~   作:AKI久

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ラケシス
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エーディン
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エスリン(別衣装)
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ティルテュ(別衣装)
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あくまで参考イメージであり、今回の話で上記の格好をしているわけではありません。


ヘズルは直情型 ―グラン歴755年

天井の高い講堂に、先生方のお話が反響する。

ずっと座っていると、足先が寒くなる。

 

春になって、また新入生が入ってきた。

私にとっては、2回目。

そして最後の入学式。

 

噂によると、今年は生徒が少ないらしい。

たしかに式では席が少なかった。

聖痕持ちも1名しか居ない。

おかげでこの3年で一番短い時間で終わりそう。

 

横のエーディンが小声で話しかけてくる。

 

「エルトシャン様の妹様がいらっしゃるんですってね。

どんな方かしら?」

 

顔を前に向けたまま返事をする。

 

「兄上に聞いておけばよかったわ。

あの子達みたいに素直な子だといいわね」

 

下級生たちは思いもよらないような事をする。

この前の男子寮への通信には驚いた。

だけど、私たちの注意は無視しない。

かわいい後輩。

 

「ふふ、あの子達のおかげで寮が明るくなったものね。

私たちも色々したわよね」

 

去年は楽しかった。思い出して口角が上がる。

エーディンも口元を隠してる。

初めての後輩で私たち、舞い上がってたのかも。

 

「でも、下級生に悪いことをおしえそうね。

そこは私たちが行き過ぎないようにしないと」

 

「なら新しい子はしっかりした子がいいわね。

アグストリアの子だから向いているかも」

 

閉会の合図。

 

これで、私の人生における入学式は全て終わった。

子供の入学式もあるけど、その頃にはレンスターにいる。

多分、来れない。

退屈で疲れる式なのに、名残惜しいわね。

 

―――――

 

式の後、直ぐに寮に戻される。

私たちにはそれほど関係ないけど、新入生に教えるためだ。

 

「新入生の歓迎をしたい」

 

ユリスが言い出した。

 

「いいわね。

お茶会ならあたしに任せて」

 

1年、いや2年生たちがまた何かを企んでる。

この子達はいつも目が離せない。

 

ティルテュが尋ねてくる。

 

「そういえば、あたしたちの時はどちらの発案だったんですか?」

 

「私よ。それまでの慣例が嫌だったから変えようと思って」

 

「ええ、エーディンが言い出したわね。

それまでのは、あんまり良く無かったわ」

 

「どんなのだったんですか?」

 

思い出したいものではなかったわね。

 

「慣例では、最初に挨拶回り。

でも、ここに来たら勝手が分からなくて、まずは荷ほどきするでしょう?

挨拶のなかった生徒を食堂に呼び出して、いびる。

それで長幼の序を教え込むの」

 

ティルテュが青ざめてる。

あの時も自分より小さいユリスの影に隠れていたわね。

小動物みたいでかわいかったわ。

本人からすれば怖かったんでしょうけど。

 

「そうそう、それで上下関係を叩き込むって習ったわ。

でもこのフロアでそんなことを気にする必要もないわよね。

どうせなら、仲良くやりたいし。

だから、こっちから挨拶に行って手伝おうってエーディンが言い出したの」

 

あれは辛かったわね。

私たちは元から仲が良かったから乗り越えられた。

そうじゃなかったら、同級生同士もギスギスしたでしょうね。

 

「やはり、ゴーイングマイウェイ系シスターしか勝たん」

 

ウルの末裔なのにシスターだものね。

 

「それって褒めてるの?

ユリス、あたしたちも絞められるところだったんだよ?」

 

「大丈夫。

ティルテュならいじめられても生き残れる。

私は既に乗り越えている。

それより新入生の歓迎」

 

たしかに歓迎してあげたいわね。

新入生を迎えられるのは、これが最後だから。

説明してあげましょう。

 

「今年ここに来るのは1人だけ、ノディオンからよ。

エルトシャン先輩の妹さん。

ラケシスって名前よ」

 

「先輩から聞きました。

かなり器用で、将来はマスターナイト*1になるつもりって言ってました。

たしか、救護科に所属するんだったよね?」

 

あら、ティルテュは知っていたのね。

 

「だから身の回りのことも出来る可能性が高い。

私は役に立てそうにない」

 

そうかしら?

それは関係ないように思えるけど。

 

「あたしはいいお店を教えてあげられるわ」

 

ティルテュは色んな子達から可愛がられてるものね。

 

「なら私はこの学校についてね。

救護科の先輩ですもの」

 

「あら、私の役割が取られちゃった」

 

こんな風にのんびりした会話が出来るようになって良かったわ。

上は前の疫病の影響で、婚姻相手の争奪が激化していた。

笑い声より、噂ばかりが聞こえる寮だった。

 

私は決まっていたし、エーディンはまだ興味がないみたい。

巻き込まれなかったけど、居心地が悪かった。

 

上級生はその影響で、派閥を作らざるを得なかったみたい。

兄上たちが居たから、私はその輪から外れられた。

 

下の子たちを見ていると、やっぱり正解だったと思う。

 

「我に秘策あり」

 

面白いことが起きそうね。

 

―――――

 

新入生は教室で自己紹介がある。

だから、私たちよりも後に寮へ訪れる。

その隙に支度を整える。

 

髪を梳くのに時間をかけた。

特に長髪のエーディンは、下の子たち二人がかりでやっていた。

まるで、侍女がいる家に戻ったみたいね。

 

私たちはお互いに痛みを訴えながらコルセットを締めた。

お肉が付いたわけでもないのに、

着るたびに苦しくなってる気がする。

でも笑いながらなら、それほど気にならなかった。

 

ユリスが一番苦しそうに叫んでた。

一番バストとウエストの差が大きいんだもの。

バチが当たったのね。

 

最後にお化粧。

人のを見ることなんて滅多にないから新鮮な気持ち。

動くなってユリスに怒られちゃった。

ここだけパーティみたい。

 

下の階が騒がしくなってきた頃、

私たちは壁に耳をつけて足音を待つ。

どの音が新入生なのか分からなくて、言い合いもした。

 

近づいてくる音が聞こえてきたから、壁から離れる。

片側だけ、化粧が崩れちゃった。

直したけど、なんだかそっちだけ濃い気がする。

 

さあ、行きましょう。

 

―――――

 

ユリスと目配せをする。

私とエーディンは後ろに着いて目を伏せた。

 

扉を三回たたく音。

 

「ノディオンのラケシス様のお部屋でよろしいでしょうか」

 

普段とは違う、凛としたユリスの声。

 

扉が開かれる。

 

「はい、そうです」

 

さり気なく観察する。

とても美しい金髪の少女。

エーディンとは違って、真っすぐな髪質。

エルトシャン先輩と似た、質実剛健な制服。

騎士の国らしいわね。

少し疲れがあるみたい。

 

「えっ⁉」

 

こちらを見て、驚いたみたい。

 

そうよね。

こんな格好をしているんだもん。

 

ユリスは顧みず、告げる。

 

「主がお呼びです。御足労願えますか?」

 

拒否を許さぬ声音。

困惑した様子の新入生。

 

「えぇ、その、まだ荷物をあけられてなくて……」

 

一段と冷たい声音。

 

「荷ほどきの方が重要と伝えてまいりましょうか」

 

上級生を思い出すわ。

新入生の顔が青くなる。

 

この子、随分本格的ね。

老練な女中みたい。ばあやを思い出すわ。

父上もタジタジだった。

 

「いえ‼

ご挨拶に向かわせていただきます‼」

 

ハキハキとした返事。

騎士らしさがあるわね。

 

「では、こちらへ」

 

優雅な所作で廊下を促す。

見かけだけは丁寧。

 

ユリスが先導する。

新入生の脇を固めるように私たちが位置取る。

しっかりと女中みたいに出来てるかしら?

 

新入生は困惑しっぱなしね。

しきりに周りを見回している。

 

従者らしき振る舞いの女がこれほど着飾っている。

それに、その筆頭らしき女の背中の一部が空いている。

しかも、そこから聖痕が見えてる。

 

戸惑うのも無理はないわ。

あのデザインはかなり大胆。正面は深窓の令嬢に相応しいのに。

あれはどんな宝石よりも、目を引きつける。

 

ユリスは、動かず口を開かなければ完璧な貴族令嬢。

今の振る舞いは、無欠の従者。

 

そんな女性が導く先にはどんな方が居るのか。

想像が止まらないわよね。

 

サロンの扉が見えてきた。

エーディンと先に進み出る。

早足で、だけど足音を大きくしないように。

 

扉の取っ手を片方ずつ掴んで待機。

 

ユリスがノックをする。

 

「新入生がご挨拶に参りました」

 

中から返事はない。代わりに小さな鐘の音がした。

ユリスからのアイコンタクト。

 

私たち二人で呼吸を合わせ、扉を開ける。

 

―――――

 

サロンでは着飾ったティルテュが座って、外を眺めている。

こちらに一瞥もくれない。

 

私たちの中で、一番絢爛な装い。

見た目は良家の子女として完成されている。

 

私たちは新入生の横を抜け、令嬢の両脇に侍る。

 

「ラケシス様、この中で最も尊きお方へご挨拶を」

 

女中頭が宣言する。

 

制服が擦れる音。

彼女は状況についていけないのか、口を開けないでいる。

 

導いた女性が優しげな声で告げる。

 

「ラケシス様、少しお聞きください」

 

助け舟だと思ったのね。

拳が少し緩んだわ。

 

「挨拶とは、正しい順番に行われることが肝要です。

序列を過てば、秩序が乱れます」

 

「お耳汚し、失礼いたしました」

 

静寂が重い。

 

新入生は完全に雰囲気に飲まれている。

 

息を飲み、覚悟を決めたようで、

女主人へ向けて声をかける。

 

「ノディオンのラケシスと申します」

 

令嬢はいまだ、窓の外へ視線を送っている。

顔に冷や汗をかき、声を出さずに私たちへ助けを求めている。

 

これからどうするのかしら?

 

「それは淑女かも怪しい生き物、ティルテュです」

 

「どういうことよ‼」

 

「このように、叩けば鳴るおもちゃです。なんなりとお使いください」

 

「えぇ……」

 

……ノープランね。

先輩として、助けてあげましょう。

 

「おふざけはここまで。

固さは十分抜けたでしょう?」

 

―――――

 

お互いに挨拶を済ませ、ラケシスだけ席に着かせる。

反省の意味を込めて、私たちは立ったまま。

座りたくないのもあるわ。

 

「いきなりあんな事をされて驚いたでしょう?

こういうことをするのがユリス、それに乗るのがティルテュよ」

 

私たちも乗ったのは内緒。

 

「本当に驚きました。

それにしてもなぜあのようなことを?」

 

ラケシスの肩から力が抜けている。

 

「私たちが余計なことを言ってしまったの。それでこの子達がね。

もう無くなった悪習の真似事よ。

怖がらせてしまったわね、ごめんなさい」

 

エーディンもあれについては話す気はないのね。

 

「ごめんなさい。

あたし、ここに来た時何もわからなかったし、緊張してたから……。

何とかしてほぐせないかなって」

 

萎れたティルテュ。

この子の顔には毒気を抜かれるわ。

 

「ふふ、さっきはすごい顔をしていたものね。

ラケシスが見たら、別の意味でおどろいていたでしょうね」

 

「見たい。もう一回やって」

 

「いーや‼」

 

この子達はすぐに脱線するんだから。

 

「荷ほどきならそこのユリスが手伝うわ。

この子は身の回りのことが得意なの」

 

「3歳の頃から仕込まれてる。

冠婚葬祭も実践済み」

 

……盛ってるわね。

 

「……そうなんですか。

ならお手伝いお願いします。

実はよくわからなくて」

 

「知り合いを増やしたいなら、このティルテュ。

食堂に行けば、名物マスコット。

多種多様な生徒が寄ってくる」

 

大脱出-エクソダス-の後もこの子は可愛がられている。

天真爛漫な子なんて、この学園に滅多にいないもの。

 

「それ、褒めてるの?

たまにお茶と縫い物を食堂でするの。

優しい子たちが集まってくれるよ」

 

「ふふ、ならあたし達は同じ科の先輩として力添えしましょうか」

 

ラケシスが口を開く。

 

「皆さん、異国の者でも助けてくれるんですね」

 

たしかに、それは気になるわよね。

私たちみんなグランベルの家だもの。

 

「そうよ、だって後輩だもの。

エルトシャン様にもお世話になったわ」

 

「だから片付けの前に真面目な話をする」

 

声が低くなった。

次は何を言い出すつもりかしら?

 

「これは私が現時点で出来るあなたへのアドバイス。

言葉を額面通りにとったら駄目」

 

いきなりどうしたのかしら?

ラケシスも身構えちゃった。

 

「今はこれ以上言えない。

でも近い内に理解してもらえる。

占い屋以上の的中率」

 

「特に、あなたの側には同級生が居ない。

それでも味方は作れる。

応援してる」

 

……あぁ、行軍訓練のことか。

あのおふざけにそんな意図があったのかしら?

 

「……あ‼

うぅ……頑張ってね‼

杖とご褒美のお菓子、それにマッサージも用意しておくね」

 

この子は特に大変そうだった。

 

「?」

 

「いきなり何を言われているか分からないでしょう。

ユリスもおかしなことを言ってるわけじゃないの。

いじわるしているわけじゃないわ。

説明してはいけない決まりなの、ごめんなさい」

 

エーディンもフォローに回った。

私は、切り替えましょう。

 

「それじゃ、ユリスとラケシスは荷ほどき。

私たちは着替えましょう。

それが終わったらお茶会」

 

いまだに怪訝そうな顔をしているラケシス。

ユリスがその手を掴み、立ち上がらせて連れて行く。

 

「そうね。

早く終わらせて、お茶とお菓子をたのしみましょう」

 

―――――

 

私たちは、わざわざコルセットだけ外してお茶会の準備をする*2

茶葉は先輩から聞いていた、ラケシスの好みのもの。

多種多様なお菓子も用意した。

出身のアグストリア風のものから、レンスターらしいお酒が入ったものまで、食べきれないくらい。

 

打ち解けた様子のユリスとラケシスが帰ってきた。

 

「服にもブラッシングするなんて、初めて知りました」

 

「あたしもユリスから教わったわ‼

ちょっとめんどくさい……」

 

ティルテュの緊張も解けたみたいね。

この子は人見知りな所があるから少し心配だった。

 

「コルセットなんて滅べばいい」

 

「人類の半分は賛成するでしょうね」

 

まだユリスだけが付けたまま。

みんなして手伝う。

 

それから、ようやく歓迎お茶会のはじまり。

 

―――――

 

「そういえば、なぜ舞踏会へいくような格好をされてたんですか?」

 

「おふざけよ。

それに近い内にもう一度着る機会があるから、その予行演習?

あなたも持って来てるでしょう」

 

「はい、持たされました。

パーティがあるとか」

 

「婚活パーティ。解説は先輩に任せる」

 

「ユリスも無関係じゃないでしょう?

じゃあ、学年ごとに説明しましょうか」

 

私とエーディンが立ち上がり、その場で回転する。

 

「私たちみたいな、家格の割に地味な格好。

興味がないことをアピールできるの」

 

「次にあたし達。

かなり派手な感じになってるでしょ」

 

ティルテュがユリスの手を取り、席を立つ。

そのまま、社交ダンスのように回転。

フリルが多いから映えるわね。

 

男役を交代してもう一回。

ヒンジライン*3のまま固まっている。

 

「ユリスさんのは、一見すると落ち着いてますよね。

背中が空いているのに驚きました」

 

「最強アクセサリー。ヒルダ様考案」

 

2年生たちの先生が考えたんだ。

本当に何でも教えていたのね。

 

「あたしのは分かりやすく立派でしょ。

これは釣り合うくらいの相手を呼び寄せるためだって。

あたしとしては、がっつり探すつもりは無いよ」

 

「同じく。家が決めるし」

 

「……私も婚約者は居ませんが、探す気になりません」

 

恋愛の話に乗ってくれるのね。

この子、意外とノリがいいわね。

お兄さんと似てる。

 

「どんなのがタイプ?

優しい系、エリート系、努力系なら揃ってる」

 

「誠実で実直な方です。

でも、硬すぎるのはいけません。

好きな物には目を輝かすかわいらしさも持っているような一面も持っていてほしいです。

そして、信念を貫くような心の強さも不可欠です。

勿論、物理的な強さも必要です。誰にも負けない男性であってほしいです。

キザは論外」

 

それ、エルトシャン先輩?

 

「ふふ、そこまで好みが決まっているのね。

初恋の人がそういうお方なのかしら」

 

「初恋……甘酸っぱいわ‼」

 

「つまり、アゼルでは?」

 

「あいつはそんなに強くないでしょ」

 

「……うちの子は心が強いから……」

 

すっかり打ち解けたわね。

 

「うちのティルテュはどう?

エルトシャン様たち直系3人をまとめて倒した。2回も」

 

あれ以外にもやったのね。

兄上たちは怒ってないからいいけど。

 

「そんな⁉

兄上が負けるわけありません‼」

 

「ふふ、事実よ。信じられないわよね」

 

エーディンも乗るのね。

 

「私はエルト様と剣を交えた挙句、燃える抱擁で雷に打たれた仲。

遠乗りにも行った」

 

「⁉

兄上はそんな不埒ではありません⁉」

 

「あれも赤子のため、卑怯とは言われなかった」

 

「ユリス‼

言い方ぁ‼

勘違いされるでしょ‼」

 

「元凶はティルテュ。実質仲人」

 

「あたしを巻き込むなぁ‼」

 

「ここはグランベル王立バーハラ士官学校。

あり得ないことがありえてしまう。

最後はランゴバルト卿を撃退して終わった」

 

えっ⁉

そこは知らない‼

私も残ってればよかった。

 

「エーディン様‼

事実ですか⁉」

 

「事実は事実なんだけどぉ……語弊がかなりあるわ。

秘密基地で学園脱走計画-エクソダス-を一緒に立てたの。

卒業した三人と私たちで実行したのよ」

 

「兄上が……そんな……」

 

「誓って悪いことはしていない。

最後には、彼らはお互いを助け合うことを誓約していた」

 

「……ユリスさんのことが分かりません」

 

「ユリスの事なんて分かるわけないわ‼

幼馴染のあたしですらわかんないもん‼

紅茶を渡した途端、泣いたのよ」

 

ラケシスがギョッとした顔でティルテュを見る。

それだけだと、あなたが何かしたみたいに聞こえる。

 

「私はこの1年の付き合いだけど、一緒にいて飽きないわ」

 

「本当にその通りね。

寂しさを感じる暇すらないわ」

 

こんな風に後輩たちと話せるのは、去年まで想像できなかった。

下の子たちは、早々に秘密基地を見つけると思ってた。

それで、このフロアに帰ってこないの。私たちみたいに。

 

こちらから扉に手を伸ばす、そんな事でここまで変わるのね。

少しくらいなら、キュアンに我儘を言ってみるのもいいかも。

嫁ぐ身でも、やれることがあるかもしれないわ。

 

春風が頬を撫でる。

 

まだ時間はある。

それだけあれば、いくつもの宝物が出来そう。

私たちがストッパーにならないと。

この子達から目も離せない。

*1
万能騎兵。武器レベルが、光C、それ以外全てA(闇は除く)。

余った武器とレスキュー係になりがち。

*2
出来なくはないが非常に面倒。実質着直すのと同じ。

*3
社交ダンスといえばこのポーズ。ここでする必要は全くない。




ティルテュ虐はいくらやってもいい。
原作が最王手。筆者には超えられません。
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