王宮で白い羽を渡された。
廊下には衛兵の靴音だけが響いている。
内密の呼び出しだ。背筋が伸びる。
外に漏らすべきでない事態があったようだ。
失踪した王子の良きお方が、ついに発見されたのだろうか。
それとも、外国との戦争だろうか。
思考を巡らせているうち、王子専用の書斎へ通される。
「ヴェルトマー家当主アルヴィス。
ご用命により参上いたしました」
書机には紙束が積まれ、地図が広げられている。
新しいインクの匂いだ。
書類から顔を上げ、人好きのする顔で呼びかけてくる王子。
「アルヴィス、また大きくなったね。
今日はそう固くならなくていい。
また、クルトにいさま*1って呼んでくれてもいいんだよ」
後ろから午後のやさしい日差しが、
金髪をよりまばゆく照らしている。
「……御戯れを。
我が家を建て直せたのは、全て王子が御助力下さったからです。」
王子は立ち上がり、応接用の机に向かう。
私を正面へ手で促す。
「本当に今回は気にしなくていいよ。
ほら、周りの従者たちに見覚えがあるだろう」
王子が大仰に侍従たちを指し示す。
以前より老けているが、確かに見覚えがある。
「……だからです。お許し下さい」
けらけらと声をあげ、王子は話を続ける。
「悪かったね。
こんなおふざけもなかなか出来なくなってしまって寂しいんだよ」
私的な書斎ですら、書類が山積みだ。
王子はアズムール王に変わり、力を尽くしている。
従者が私たちの前にカップを置く。
さわやかな香りがふわりと立ち上がる。
だが、弱い。リーネのものが一番だ。
「ほら、果実茶だよ。
その日の運勢をシギュン*2に占ってもらったね。
私は結果を変えようと、カップをゆすったものだ」
リーネの果実茶は、味だけでなく目でも楽しめた。
母上は、その水面にいくつ刻んだ果実が浮かんでくるのかで吉凶を占っていた。
今思えば、あてずっぽうの予言だったのだろう。
だが、良いことがあると言われると気分が良かった。
「アルヴィスは、柑橘多めが好きだったろう?」
あの時のことを語れるのは、
もうクルト様しかいなくなってしまった。
未だに私たちの思い出を覚えていてくれる。
「……懐かしい気持ちになりました」
「ヴェルトマー邸では、よく一緒に遊んだね。
アルヴィスは賢いから教えたことをすぐに覚えてしまう。
教え甲斐があったよ。
おかげで、私も盤上遊戯が強くなった」
「才知溢れる王子という評判には私の一助があったということですね。」
寂し気な微笑を浮かべておられる。
「このまま昼下がりのお茶会、
としたいが、そうは行かないんだ。
でも、この1杯をのみ終わるまでは、いいだろう?」
お互い偉くはなりたくないね、と付け足す王子。
午後の日差しが私たちを照らしている。
―――――
明るい声を出す王子。
これは作っている。
「ここからは、重たくてつまらない政治の話だ。
紅茶に切り替えさせておくれ」
従者がカップごと替え、
湯気立つ紅茶が差し出される。
「暗黒教団の話だよ」
その単語で、従者たちも動きを止めてしまう。
聖戦士の長、光の神器を継ぐ王家*3から出た言葉に身構える。
「イード砂漠*4の友好都市ダーナ、その北方で邪教の集団が確認された」
「暗黒教団*5を放っておくことはできません。
ですが、グランベル王国外のことでは?」
「その通りだよ。
だが、今回は我らが討伐する。
その任をヴェルトマーに任せたい」
「我が一門は、聖ヘイムの盾にして矛。
ご命令とあれば、どのようなものでも」
お互い紅茶を口に含む。
―――――
「そう言ってくれると思っていたよ。
アルヴィス、折角だからまた先生役をやらせておくれ。
なぜこうなったと思う?」
「……4年前のことが関係していますか?」
「察しがいいね。そうだよ」
ソーサーの縁を撫で、王子は私に教授する。
「あの時の疫病は、邪法によるものだと民草に広まってしまった。
事実は分からない。
だが、邪教の集団が領土の側に現れた。
皆、あの地獄を忘れられない」
「だから、聖戦士の末裔が討つ」
「本来、父上か私がナーガ*6を持って出るべきだろう。
でも、まだ国内は完全に立ち直れているわけではない。
だから、王家とレプトール宰相は出られない」
「先の厄災では、我が国ばかりに多くの被害をもたらした。
外へ備えも緩められない」
「斧は西、弓は森、剣は南を睨ませる。
つまり、炎しか動かせない」
再び、口を湿らす王子。
「それに、君たちなら他国をそれほど刺激しない」
「あの時、倒れようが民を助け続けたロートリッター。
それを指揮し、家族が亡くなっても足を止めず正義をなしたアルヴィス。
それらが元凶を討つ」
「他国の民にとっても目的が明確で、実行者に信頼がおける。
余計な摩擦を生まない」
「アルヴィスのことだから、分かり切っていたかな。
君は聞き役が上手だからついつい話したくなってしまう」
王子は紅茶の残りを一息に飲み込む。
カップを置いて、改めてこちらを見つめる。
「私は嬉しいんだ。
君の歩みが世界に認められている。
私も弟が立派になって誇らしいよ」
村々を消し去り、力を持たぬ民草を焼き切った。
多くの仲間が倒れ、リーネまで奪ったあの災い。
私たちの行いは正しかったのだ。
世界は、炎の紋章を認めてくれていたのだ。
「……ありがとうございます。クルトにいさま」
立ち上がり、ローブを翻す。
紅茶には手を付けられなかった。
「それでは、準備が有りますので退出させていただきます。
十全に、されど早急に終わらせてまいります」
返事を待たずに、退出する。
―――――
該当地域へ放っていた密偵の情報を集める。
そのさなか、暗黒教団内部から情報提供者を名乗るものが現れた。
こちらへの謀略か裏切りか。
見定めるため、秘密裡に奥書院へ通す。
ここには、夕日すら差し込まない。
神器を携え、待つ。
アイーダが連れてきた。
―――――
魔導書を引き寄せ、意識して固い声を出す。
「貴様が内通者か」
ランプに照らされた姿は、ただの老人だ。
皺だらけの顔に、やせ細った手。
全身をローブに覆う、みすぼらしい恰好をしている。
邪教らしさは見当たらない。
「……申し訳……ありません。
魔力を……お鎮めに……」
喘ぐ老人。
立っていることすらできず、地に蹲る。
これでは話にならない。
「まともに口がきけぬ様子、抑えよう。
だが、神器を携える以上、一定の圧が出る。
耐えよ」
意識して魔力を抑える。
まだ、息が整わず地に付している。
「端的に用件だけ伝える。
なぜ、邪教を裏切った」
目を見開き、こちらを睨みつける老人。
無様な姿だが、曲げぬ意思だけは読み取れる。
「一つ訂正を。
我らは邪教ではありません」
「それを神器の前でのたまうか」
こいつは悪だ。
邪神へ子供を生贄に捧げることを是とする者は看過できない。
情報を抜き取り次第、殺す。
邪教徒は地に身体を預けるが、
いまだ視線をそらさない。
「……思い違いです。
我らはあの集団で生まれただけです」
「暗黒神ロプトウスを崇拝しているわけではないのです」
「あの集団の中には、本気で暗黒神を信じる者もいます。
ですが、我らは違う。同じにしないでいただきたい」
怒りと悲しみが混ざった声で言いきった。
「ならば、身分を隠して町に潜りこめばいい」
「あの場所で生まれた者は、どの町でも嫌われます。
そして、何かあれば追い出されます。
それも運がいい方です」
拳を震わせ、耐えるように告げる。
「行き場のない者が生き残るには、集まらなければ立ち行かない。
我らのような者が生きるには、あそこしかないのです」
唐突に叫び出した。
「貴方にわかりますか⁉
牛の乳の出が悪くなっただけで、
骨を折られ、身ぐるみをはがされ、川に投げ込まれる辛さが‼」
魔力の抑えを外し、黙らせる。
「……っ‼
申し訳ありません……。
思い出してしまいました。」
魔力を収め、問いかける。
「……ならば、猶の事。
なぜ裏切る。
死にたいのか」
「……そうかもしれません」
老人はゆっくりと立ち上がり、こちらへ向き合う。
「最後に、わしは正義を為したいのです。」
拳を固く握りしめ、口を開く。
「……孫娘が産まれるのです。名前はサラといいます。
父はダーナの民に殺されました。
焼かれた指先しか持って帰ってやれなかった。
よくあることです」
懐から爪のようなものが付着した黒い物体を見せつけてくる。
「このままでは、孫娘が暗黒神の生贄にされてしまうのです」
作り話だ。馬脚を現したな。
「なぜ、生まれる前から性別が分かる」
邪教徒は爪が甘い。
呆気にとられ、本気で疑問に思う顔をしている。
「分からないのですか?」
「……暗黒教団では子供を生贄にします。
性別によって下処理が違うのです」
おぞましい。
我が一門は邪教討伐も担う。
その残骸は知っている。
「……他にも普通の世界とは異なることをしているのでしょう。
そのせいで、そちらにはない技法があるのかもしれません」
切り替えるように咳払いをする老人。
「わしは娘たち、いや、孫娘だけでもいい。
わしらとは違う普通の世界で生きてほしい」
「わしらが差し出せるものは全て献上します」
滔々と語り上げる。
「旅芸人として各地を渡り歩く者もいま」
「杖の扱いが得意な者も数多くいます」
「そうだ、そちらで知られていない技術もあります。
皆明日を生きるために必死に働けます」
「わしは光以外の魔法と杖も使えます。
同胞に裏切り者と罵られながら殺し、死にましょう」
「ですので、どうか、どうか。
若き者達を受け入れていただきたい」
再び地に伏せ、哀願する老人。
「……なぜ、今になって申し出る」
顔を上げ、語り出す。
陶酔しているようにも見える。
「4年前の疫病であなた方は、わが身を顧みず世界を救った。
炎の紋章は、ただのお題目ではないと分かったのです」
「なにより、皆憧れたのです。ご不快でしょうが」
視線はファラフレイムへ注がれている。
「……実を申しますと、受け入れてもらえないことは分かり切っていました。
それでも、いいと皆で決めています」
「あの、正義の騎士団を少しでもお助けする。
それさえできれば、わしらは満足します」
こちらへ顔を上げた。
「ですので、話だけでも聞いていただけないでしょうか」
「ならば、名を名乗れ」
「マンフロイ*7と言います。
死ぬ前に名前だけでも聞いていただけて幸いです」
笑みを浮かべた老人の顔が明かりに照らされている。
刻まれた皺を濃くしている。
―――――
朝日が差し込む回廊をユリスを連れて歩く。
あくびを隠さず、不平をこぼしている。
征伐の最終軍議のため、ヴェルトマー城へワープする。
そのために転移室へ向かっている。
マンフロイの情報から、電撃的に終わらせることになった。
規模がそれほど大きくなく、今動かせる戦力で十分だからだ。
王子が懸念されていた対外感情にも配慮できる。
ユリスの初陣とする。
アゼルの前に経験させ、その際補助をさせる。
転移室の扉をユリスが開ける。
日が差し込まないせいで、少し涼しい。
術者と杖の準備を、並んで座して待つ。
遠征の準備で王都とヴァルトマーをワープで頻繁に移動する者が多い。
そのため、杖が消耗し、修理*8に出していた。
今は正常に修復できているか確認をしている。
信頼の置けるものを近場へワープした。
その者が戻り、正しい場所に転移できたかを確認し、初めて我らが使える。
手持ち無沙汰なのか、ユリスが私の髪をとかしてくる。
「……何をしている」
普段の言動に反して、相変わらず丁寧な手つきだ。
ユリスは手を止めずに返答する。
「そのうねうね髪、何とかしたい。
アゼルみたいなサラサラになりたくない?」
「侍従に任せればいい」
「面倒がってるから、こうなってるんでしょ?」
「頭動かさないで」
勝手にやっている癖、注文を付けてくる。
「……まあ、いい。
今回の征伐、お前はどう捉える。
魔法相性で不利*9な相手が予想される」
図々しいこの娘でも初陣だ。
危険はそれほど無いが、不安に思うはずだ。
「よく分からない」
角櫛が頭頂部に上がってきた。
地肌を撫でる感触が伝わる。
「ロプト教団が悪いって聞いてる。
でも、お父様は昔も疫病が起きたって言ってた。
本当にあれを引き起こしたの?」
「……そうでないとしても、邪悪だ。
ダーナ砦の奇跡*10以前のことは学んでいるだろう」
「あーたーまー、動かすなって言ってるでしょ」
両手で挟まれ、正面を向かされる。
でも、聖戦士は砦の奇跡までは普通の戦士」
「時代は違うけど、正しいことのために戦ったと思う。
ロプト皇帝の弟だったのに立場を捨てた聖騎士マイラも、
特別な力がなかったのに奇跡まで耐えた聖戦士たちも」
櫛を変え、もう一度毛先からとかされる。
歯の目が狭まり、音が変わる。
「なのに、ロプトばかり嫌われるのは分からない。
正しさは血で決まるの?」
「……戦場では迷いは命取りだ。
それまでに、捨てておけ」
「考えるのを止めるのは正しいの?」
「……死ねば思考も出来なくなる」
「そうだね。
正義って難しい……」
お互い無言になる。
外から聞こえる足音が大きくなる。
ユリスは頭頂をとかしながら、
ヒルダの香油瓶を見つめている。
椿瓶と名付けていたか。彫刻は竜胆の癖に。
「分からないから、話してみたい。
……難しいかな?」
私の正面へ回り、目を見つめている。
「こちらへ情報提供した者がいる。
その者はヴェルトマーで受け入れる予定だ。
お前が自分で身の安全を守れるようになれば、会いに行ってもいい」
「ありがとう」
ワープで送った者が帰ってきた。
術者の準備も整っている。
転移陣は黄金の光をたたえ始める。
「ちょっと待って」
香油瓶から椿油を私の毛先に垂らす。
そのまま手で馴染ませていく。
最後に頭頂部を軽く叩かれる。
「うん、無理。
うねうねは直せなかった」
「でも、マシになったよ」
お手入れさぼんないで、と付け加えるユリス。
足元の魔法陣が立ち昇り、その輝きが私たちを包み込む。
―――――
遠くの地平が熱で揺らいでいる。
乾いた砂が靴に入り込み、歩くたびに音を立てた。
日中は該当の集落周辺の捜索と、逃走経路が無いかの確認に専念する。
初夏の砂漠で、ファイアー*13を使うと消耗が激しい。
夜中の砂漠は温度が急激に下がる。
視界の悪化と環境の変化に対応しきれない者が出かねない。
よって、夕刻に攻め入る。
―――――
地の利を持つあちらが有利だと理解していた。
だが、練度ではこちらが上、
それほど苦戦しないと見積もっていた。
砂しかなく、距離感が掴みづらい。
魔法の命中率が悪い。
敵の中には、聖戦士の末裔かと見まがうほどの使い手もいた。
想定以上の反撃を受ける。
マンフロイまで動員し、司祭たちで傷を治す。
我らが負けることはない。
だが、騎士たちを失いたくない。
神器を使う。
「リデール、私が出る」
「わかりました。ファラフレイムを取ってまいります。
それと伝令も。後始末はお任せください」
天幕から飛び出し、動ける者たちへ伝達する従騎士。
即座に皆が動き出す。
蹄が砂を叩く音、声を出しながら駆ける騎士たちの声が広がる。
少し時間を置き、天幕から出る。
そこにはユリスがいた。
「リデールさんから」
神器を抱えている。
「なぜ、お前が持っている」
「私が出来るのはこれくらいだから」
「もしかして、神器が怖い?」
「何を言う、我らファラの末裔の至宝だぞ」
「でも、炎の紋章じゃない。
それは武器。」
「これから使う。
無理をするな。どこかに退避しておけ」
「見せて。見ないふりは、きっと正しくない」
―――――
夕焼けに染まる集落を見据える。
ロプトの技術が見つかるかもしれない。
そこには影響が無い程度に威力を抑えるべきだ。
敵が密集している部分を発見する。
騎士たちが退却している所を責めようと集まっている。
作戦通りに邪教徒どもを集合させられている。
「神器を使う、離れておけ」
「私がアルヴィス様の前に立つ。
何かあっても盾になれるでしょ。」
「無駄だ。
ファラフレイムの加護*14で大抵の攻撃は無意味になる」
「それでも前に立たせて。
目をそらさないって約束したでしょ?」
神器を差し出すユリス。
この娘は弱く、珍妙だ。
だが、炎の紋章を携えている。
これも姉様が火継ぎをしてくれたおかげだ。
「覚悟をしておけ」
魔導書を受け取る。
ユリスが敵の方向を向き、立ちはだかる。
自らを操る感覚になる。
目の前の小さな背が震えている。
その背越しに対象を見やる。
「ファラフレイム」
夕焼けを焼き切り、世界をより深い紅へ帰す。
その熱量で生み出された暴風が巻き起こる。
後ろを庇い、吹き飛ばされないよう抵抗する背中。
絶叫をあげながら、立ち続けようと足掻く。
抵抗虚しく、視界から消え去る。
敵味方問わず、地にひれ伏す。
私だけが立っている。
焼却した空に、夜のとばりが戻る。
―――――
戦場の後始末をロートリッターに任せる。
ユリスと共に司祭のワープでヴェルトマーの邸宅へ帰る。
砂と擦過傷にまみれたユリスを浴室へ行くように指示する。
侍従に砂を落とさせ、執務を行う。
夜中になり、マンフロイが戻ったという報告が来た。
あいつには集落の探索を任せていた。
詳しい者が居れば、見逃しは減る。
再び、神器を携え奥書庫で会談する。
燭台と神器の竜石*15だけが明かりを放つ。
マンフロイを椅子に座らせて、声をかける。
「貴様の前情報が役に立った。ご苦労」
心配を隠し切れない老人。
「それは幸いです。
それで、若者たちの受け入れはどうなりますでしょうか?」
「……集落には貴様の言う、
普通の世界には無いものは見つかったのか」
マンフロイは言いたいことを飲み込み、発言する。
「騎士様達と確認しながら探しました。
何分、戦闘後、夜中だったものでこのぐらいしか持ち出せていません」
懐から、手のひら大の円盤を取り出した。
燭台の明かりで金属光を反射している。
縁には、細かな刻印が刻まれている。
机に置き、説明を始める。
「これは、神の血が発現しているかの確認を行える道具です。
”神々の系図”と呼ばれています」
刻印を指さし、続ける。
「聖痕が発現する前でも感知し、対応する血の部分が輝きます。
円の縁、十二聖戦士は神器を模した目印が光ります。
中央には何も印はございません。
ですが、ロプトの血に反応して黒く輝きます。
光量によって、直系か傍系*16かも図れます」
我がグランベル王国でそのようなものは聞いたことがない。
そもそも、そのようなものが無くてもある程度成長すれば聖痕が表れる。
各家は末裔としての自覚を持っている。
……父上のような者は、そうはいない*17。
「なぜ、そのようなものが暗黒教団にある」
「……理由は二点あります。
まず、子ども狩りの際に聖戦士の末裔がいないかの確認を行うためです」
「ロプトの血が発現した者を見逃さないためです*18。
その者同士を禁忌によって血を濃くするつもりだったのでしょう」
内部には未だに忌まわしき末裔がいるのか。
受け入れる者全てをこれで確認する必要があるな。
これが真実であればの話だが。
「ロプトの血はわしが知る限り、一人しかおりません」
マンフロイは控えめに述べた。
暗黒神の末裔は見逃せない。
「それはどのような者だ」
「もう30年以上前のことです」
遠くを見つめ、話し始める。
「……心優しい娘でした。
森で果物を取り、煎じたものを振舞ってくれました。
その程度のものしか、わしらには手が届かないので」
自虐などいらない。
早く情報を寄越せ。
「不思議な力を持ち、占いを生業にしていました」
声がわずかに掠れる。
「名はシギュン。
たおやかな銀髪を携えていました。
……だから、好色な貴族に連れ去られて……」
神器を握りしめる。
今は、自らを操作しきらなければならない。
ただの偶然だ。
気まずそうに弁明するマンフロイ。
「……どうも懐かしく、長々と思い出話をしてしまいました」
「その後の足取りは、わしらには分かりません。
もう昔のことですが、女癖の悪いと評判だった貴族だったと記憶しています」
「……その女はこちらで対応する。むやみに漏らすな」
「炎の紋章の元に、邪教を信奉しない者のみを我が領地に迎える」
「決して、ロプト帝国の再建は許さない。
我らは貴様らを常に監視している。ゆめゆめ忘れるな」
「ありがとうございます。
ロートリッターの方々に見ていただける。こんなに嬉しいことは有りません。
これで若い世代がわしらのような目に合うことが無くなります」
「貴様は、今後もそのようなものを探すように。
開発出来るのであれば、出資しよう。
利を示せば、その分こちらも返す」
マンフロイを退出させる。
神々の系図に触れる。
ファラと、中心が鈍く私を照らす。
魔導書の熱が、強く感じられる。
現実でも80歳近い王子が存在する。
そのリーダーで神器ナーガを授かったのが王家の先祖。
暗黒神ロプトウスを奉じる集団。
装備時、技+20・速+20・守+20・魔防+20・ロプトウスの特殊効果無効。
原作のステータス上限は最大30。合計+80は破格。
FEでは使い切りが多いので珍しいシステム。
聖戦の系譜が初。
不利側は命中率-20%・回避率-20%。有利側はその反対。
原作で最初に手に入る魔導書。序盤はこれで蛮族を焼くことになる。
神器を使えるのが直系、聖痕が出ているだけなのが傍系。
成長率の補正が倍違う。
筆者が知る限り愛人を持った末裔は二人のみ(不倫除く)。
原作例:スコピオ。今作内ではヴァルターとコーエン。
原作についてご存じですか?
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聖戦の系譜をプレイして覚えている
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触ったことはある
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FEシリーズはやったことがある
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FEシリーズに触れたことはない
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全く知らない