一番星は消えない   作:ディバル

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1章 出会いと始まり
プロローグ


 

 

 

転生というものを知っているだろうか?一般的に、「死んだ魂が別の肉体や姿を得て、この世に再び生まれ変わることを意味する概念」とされている。最近だと異世界転生やアニメ、漫画の世界に転生する二次創作物がよくある。それ自体は悪い事ではない。寧ろ二次創作に関しては、その原作のifストーリーが見れるから個人的には好きだ。

 

何故こんな前置きをしたのか。それは……現在俺が転生し【推しの子】と言う漫画の世界にいるからだ。最初は、ただ前世の記憶を持っているだけだと思ったが、それが違うとわかったのはつい最近だ。

 

話は変わるが、俺は施設で暮らしている。別に虐待されたとか親が精神疾患を患っていたわけではない。単純に貧困だったのだ。母親は俺を女で一つで育ててくれていたが、子育てというのは金がかかる。幼稚園生までは何とかしていたが、小学校に入ってからは金がさらにかかった。それにプラスで生活費や家賃代など、生きていくには金が必要不可欠だ。母親は限界を迎えた。俺を育てきれないと判断し、この施設に預ける事に。

 

母親は最後まで俺に謝罪していた。それから数年が経過したが、あれから母親とは会ってはいない。何か別の事情があるのか、施設に預けた事を負い目に感じているのか、はたまた何処かで幸せにしているのかはわからない。

 

父親の方だが、此方に関しては会った事すらない。母親曰く、俺が生まれて数日後には家から出て行ったそうだ。これに関して思う事はない。そう言う事情もあるのだと思った。今世の親は余りいい者とはいえなかったが、前世は普通の親だった。何を普通に定義するのかはわからないが、ちゃんと愛情を注いでくれた。そして、大学まで行かせてくれ、家に帰るとご飯が用意されており、不自由なく暮らせていた。前世に悔いがあるとするなら、親よりも先に逝ってしまった事だ。

 

俺が死んだ理由に関しては、また今度話すとして、何故ここが【推しの子】の世界だとわかったのか……それは、今目の前にいる子だ。

 

「天野くん?………おーい」

 

星野アイ。【推しの子】で重要なキャラであり、主人公のアクアとルビーの母親だ。そして、俺の推しでもある。初めて会った時は目を疑った。幼いとは言え、推しが目の前にいた事が。それと同時に彼女の結末を思い出した。彼女はアイドルになり順調に売れていき、ドーム公演にまで届いたが、その当日にファンによって刺されて死んでしまう。推しの子の始まりとも言える場面だ。それを思い出し、複雑な気分になった。

 

最初は悲観していたが、今は違う。彼女の死まで、まだ時間がある。だから、星野アイと過ごしつつ、彼女の死を回避する。これが俺の今世の目標となった。具体的な案はまだ思いついていない。

 

「ねぇ……聞こえてないの?おーい天野くん?」

 

おっと、一人語りをするのはここまでにしようか。と言うか、アイさんや俺の苗字は天野ではない。

 

「聞こえているよ……と言うか星野さん、俺の苗字は天城だから」

 

「そうだっけ?ごめんごめん」

 

テヘッと笑う彼女。彼女の容姿は同年代とは思えない程整っていた。そして、その特徴的な瞳。白く光っており、その瞳には見る人を惹きつける力を感じた。こうして見ると、彼女がアイドルとして有名になるのは必然だったのかもしれない。

 

「ご飯の時間だってさ……行こ」

 

彼女がそう言いながら笑う。今、いろいろと考えていても仕方がない。とりあえず今は食事を取ることにしよう。

 

世の中の大抵がフィクションだ。誇張し、捏造し、作り変える。本来ならこの世界は一番星を失う。しかし、それは彼が見ていた物語上の話であり、今いる世界は無数に枝分かれしているifの世界だ。

 

この物語は、俺が推しと楽しく過ごしつつ彼女を救う為に足掻く……ただそれだけの物語だ。

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