一番星は消えない   作:ディバル

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お気に入り登録2000突破!!ありがとうございます。ここまで来れたのは読んでくださる皆様のお陰です本当にありがとございます。これからも頑張っていくのでよろしくお願いします。では、本編をどうぞ!!





104 まだ見ぬ未来へ

 

 

 

前回のあらすじ……なんと先輩がアイドルになりました!!やったね!!

 

「まぁ……元・天才子役のアイドルに変わっただけ……どのみち何かしらのカンフル剤は必要だったし………」

 

「自分を納得させるのに必死だねー」

 

素直に「やります」って言えばいいのに、最後まで理由をつけて納得しようとしている。でも、なんだかんだで契約書にサインしたんだから、やる気がないわけじゃないんだと思う。

 

「それに、アイツと同じ事務所になれば、一緒に仕事をする機会も増える。何か盗める技術があると思うのよね」

 

先輩の視線がお兄ちゃんの方に向く。

 

「そうそう!それにうちの事務所には、あの伝説の元アイドル・アイと、伝説の役者って呼ばれた天城彼方がいるんだよ?」

 

確かに、苺プロって超大手!って感じではないかもしれないけどさ。でもね、所属してる人の凄さなら負けてないよ!だって、ママとパパがいる事務所だもん!

 

「そんな場所に入るんだから、もう大船どころか豪華客船に乗ったと思っていいよ!」

 

「……よりによって、天城彼方と同じ事務所なのね」

 

「え?先輩、天城さん苦手なの?」

 

先輩の反応は、どこか複雑だった。ママの名前が出た時は普通だったのに、パパの名前が出た瞬間だけ空気が変わった気がする。

 

「苦手っていうか……あの人だけは、なんか反則なのよ」

 

「え?反則って何が?」

 

「あの人の演技って、上手いとかそういう話じゃないの。見てるだけで調子狂うのよ」

 

先輩の言葉には、冗談っぽさがなかった。

 

「上手い」じゃなくて「反則」。

 

そんな言葉が出てくるくらい、天城彼方という役者は業界の人から特別に見られているんだ。……改めて、とんでもない人なんだなって思った。

 

「天城彼方の話はおしまい。そう言えば、アクアって次の仕事とか入ってないの?」

 

「ん………あるにはあるよ」

 

話はお兄ちゃんのことに戻る。最近、お兄ちゃんはちょい役だけどドラマに出て、久しぶりに役者の仕事をしてた。

 

パパなんて、それが嬉しかったのか何回も録画を見返してて、すっかり親バカ全開だった。……そこまでは良かったんだよ。でも、次に決まった仕事っていうのが……。

 

「何か渋い顔してるわね………」

 

「………これ」

 

私は、パソコンのある画面を見せた。

 

「えっ………アクアが恋愛」

 

お兄ちゃんが取ってきた次の仕事は、恋愛リアリティショーだった。

 

……正直、複雑。

 

だって、お兄ちゃんって放っておくと、すぐ女の子と仲良くなるんだもん。本人にその気があるわけじゃないのは分かってる。でも、無自覚だから余計にタチが悪い。

 

また変なフラグを立てなきゃいいけど……。

 

 

 

 

 

「お疲れ様です」

 

トーク・バラエティの収録が終わり、家に帰る支度をする。色んな仕事に呼んでくれるのは嬉しい。随分と顔と名が売れたことを実感する。この生活をあと何年、いや数十年くらいするのかな?

 

そんなことを思いながら、帰り支度をする。そして、帰る前にトイレに寄り、変装を施す。ウィッグを被り、カラコンをして印象を変える。この業界では、スキャンダルは付き物。

 

だから、外に出る時は変装を施す。もう何年もやってるので慣れたものだ。そのまま歩いて帰る。深夜帯だし、迎えに来てもらうのも悪いし、タクシーもお金が掛かる。それに、歩いてでも帰れる距離だったので歩くことにした。

 

プルルルル……。

 

歩いていると電話がかかってきた。スマホの画面を見ると、アイからの電話だ。

 

「もしもし………まだ起きてたんだ」

 

『うんっ。彼方が帰ってくるまで寝ないって決めてたから♪』

 

もう日付を越えているんだけど。それよりも、元気だな、アイ。俺にはそんな元気ないなぁ………年々衰えてきている。そういえば、前世の年齢を超えたな………そんなどうでもいいことが頭をよぎった。

 

「アイも仕事あるでしょ? アイドルとして一線は引いたけど、仕事はそれなりにきてるんだから、体を大事にしないと」

 

『彼方にだけは言われたくないなぁ。人のこと心配する前に、自分の体もちゃんと大事にして?』

 

なんとも耳が痛い話だ。もう古傷とは言え、文字通り体を張って守った。その代償はそれなりにあった。脚は9割戻っている。歩いたり走ったりと問題はない。

 

『ねぇねぇ彼方、聞いて! アクアの次のお仕事が決まったの!』

 

アクアの仕事が決まった。それは嬉しいことだ。あの一回だけだと思っていたが、父親として嬉しい。でも、仕事を取ってくるのが早いな………子役の時に少し活動していたとは言え、今のアクアはほぼ無名だ。

 

『今日あま』のドラマもそこまで伸びたとは言えないなら、一体誰がアクアに仕事をくれたのか? アクアが自ら自分を売り込んだとは考えないし………

 

「………ちなみに、次の仕事ってのは?」

 

『そのお仕事ね……恋愛リアリティショーなんだって♪』

 

………ちょっと待って? 数日前に、そうはならないだろうと見越していたのに、まさかの本筋通りの道を辿っていた。と言うことは、鏑木さんだ。あの人からは、俺もアイもよく仕事を貰っていた。

 

なんで受けるのがアクア? いや、本人の自由だから別にいいけど。理由が分からない。アイは生きているから復讐とは違うだろうし。そういうお年頃なのかな?

 

アクアだって高校生だからな………うん。

 

『もしかしたら、アクアにも春が来るのかなぁ……なんて、ちょっとだけ思っちゃった♪』

 

「………とりあえず、見守ろうか」

 

『そうだね。きっとアクアなりに考えて決めたことだもん』

 

親は余計な口出しをしない。限度を超えるなら話はまた別だけど。でも、アクア自身が自分で決めたことだ。温かい目で見守ってあげよう。それが、親としての役目だと俺は思う。

 

「じゃあ………そろそろ切るよ」

 

『はーい♪ちゃんと気を付けて帰ってきてね。待ってるから』

 

そうして、電話を切る。

 

理由はもちろん気になるけど、聞く気はない。もう、そんなに子供じゃないから干渉し過ぎるのはよくない。それに、アクアから嫌われるのは嫌だ。大事な息子、娘に嫌われたら普通に立ち直れないし。

 

ピロリン♪

 

スマホがまた鳴った。今度はLINEの着信音。色んな人と連絡先を交換しているから誰だか分からない。スマホを再び開いて見てみる。予想外の人物だった。

 

黒川あかねである。

 

前に仕事で共演した時に、連絡先を渡した。捨てずに登録してくれていたのか………メッセージ画面を見てみる。

 

『こんばんは、天城さん。夜分遅くに失礼します。少しご相談したいことがあるのですが、お時間をいただくことはできますか? お忙しいと思いますので、ご都合の良い日で構いません。』

 

どうやら、彼女は相談したいことがあるみたいだ。これ、絶対に『今ガチ』についてだよなぁ………。前々からどうしようかと思っていたが、都合がいい。あまりにも都合が良過ぎる気もするけど。

 

本筋を辿るなら、彼女は近い未来で炎上する。言葉とは刃だ。人を生かすことも、殺すこともできる。その本筋を辿らないようにするためにどうすればいいか悩んでいた時のこれだ。

 

『いいよ………明日とかどうかな? 夕方には仕事が終わるから、個室の店で食事でもしながら』

 

とりあえず、返信を送っておく。こういうのは早い方がいい。それに、そろそろ収録が始まるだろうし。

 

ピロリン♪

 

すぐに既読が付いた。そして、返信も返ってくる。

 

『ありがとうございます。急なお誘いだったのに、お時間を作っていただいてすみません。明日の夕方、よろしくお願いします。』

 

というわけで、明日は黒川さんとの食事という予定が入った。とりあえず、話を聞いてから考えよう。

 

スマホをしまう。明日のことは明日考えればいい。アイが家で待ってるから、早く帰らないとな。

 

そう結論付けて、帰路を辿って行くのだった。

 

 

 







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