一番星は消えない   作:ディバル

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050 迎えた朝

 

 

 

 

日差しが差し込み、俺はその光によって目が覚めた。朝が来た。いつもと変わらない朝……だったらよかったのだが、隣を見るとまだ眠っているアイ。……服を着ていない。俺もだけど……。

 

やってしまった。なんでこうなった? いや……原因はわかっている。アイが迫ってきてキス攻めされて、そのまま……そこまではよかった。いや、よくないけども。その後、盛り上がって、何がとは言わないが3回戦までしてしまい、そのまま寝てしまった。

 

告白を受けてから数時間も経たない内に、まさかやるとは思わないじゃん。結局俺も雄だった事実に、死にたくなってくる。自分のやってきた行動がこんな形で返ってくるとは、こんなの予想できないだろ。あの時のアイは少し怖かった。あれも一つの「愛」であることには間違いないのだが、こんな愛され方をされたことがなかったから、恐怖を感じていたのかもしれない。今となっては、そんなアイを可愛く思う。だけど……ブレーキが全く機能してなかったな。

 

まさかこの歳で卒業するとは思わなかった。そして当の本人はまだ夢の中。遅くまで起きていたから、まだ眠いのだろう。

 

「……風呂入って、朝食の支度をしよう」

 

 

 

 

 

風呂に入り終わって、朝食の準備を進めていく。今日はホットケーキにする。ついでに目玉焼きとベーコンも焼く。朝食ができたらアイを起こそうかな? そんなことを思っていると、背後から抱きしめられる。

 

「おはよう……アイ」

 

パンケーキを皿に移しながら挨拶をする。

 

「……おはよ、彼方……起きたらいなくて、ちょっと寂しかった」

 

……可愛い。散々昨日、やることやって彼女と喋って、思ったことがこれだった。馬鹿だなぁ……と自分でも思ってしまう。でも、可愛いのは事実なのがなんとも言えない。

 

「ほら……座っていて。もうすぐ朝食ができるから」

 

「えー……もうちょっと、このままでいさせてよ」

 

抱きしめる力が強くなる。俺も、しばらくこの状態のままでいたいが、朝食が冷めてしまう。振り返り……注意をしようとしたが……

 

「……アイさん。なんで服着てないんですか?」

 

振り返ると……生まれたままの姿のアイ。皿を落としそうになったが、なんとか堪えた。

 

「え?……だって、そのままのほうが彼方、ドキドキするでしょ?」

 

……するけどさぁ……せめて服は着てよ!! 俺はアイを離して急いで寝室に向かい、クローゼットを開けシャツを取り出し、急いで戻る。

 

「ほら……じっとして。一旦これで」

 

元々着ていた服は……いろいろと問題があり、洗濯機に入れて今洗濯している。よくよく考えたら、着る服なかったな。今度からアイ専用の服を置こう。そう決意しながらシャツを着させる。

 

「ん……ありがと、彼方」

 

彼のシャツに身を包んだ彼女。

 

「でもさ……こうやって着せられるのも、ちょっと好きかも」

 

……やっぱ破壊力すごい。というか……マジでやったんだなぁ……と思ってしまう。やばい……罪悪感が……湧いてくる。元々は俺のせいだけど……まさかこうなるとは。

 

俺達、まだ15歳なんだけどなぁ………世間一般から見てもダメだろこれ。でも、言い訳になるが逃げられなかったし。逃げたら逃げたでまた拗れた可能性があった。

 

「その……体の方は大丈夫?」

 

「……大丈夫だよ。ちょっとだけ……その、変な感じはするけど……でも、嫌じゃない」

 

よかった……ん? 果たしてこれはいいのか? 

 

「……お腹すいちゃった。早く食べたいな、彼方」

 

どうやら考える時間はないようだ。パンケーキの皿と、ベーコンと目玉焼きが乗っている皿、それぞれをテーブルに並べる。うん、我ながらいい出来だ。そんな大した物は作ってないけど。

 

「「いただきます」」

 

合唱をして食事を始める。今日はナイフとフォークでいただく。時刻は10時。朝食にしては遅めの時間帯だ。食事をしながら……ふと気になったことがあったので聞くことにする。

 

「そう言えばアイ……いつ俺を好きになったの?」

 

「……覚えてる? 数年前に観覧車、乗った時あったでしょ?」 

 

あの時か……だいぶ時間が経ったな。

 

「……あの時から、ずっと好きだったんだよ」

 

覚えている。でも、それって……3年も前からってこと?……3年も気づかなかったの俺?……クソ鈍感じゃあねぇか……。アイもよく3年も好きでい続けてくれたのか……。俺はつい最近それを自覚したのに。自分との落差に驚きながら口にパンケーキを運ぶ。

 

「……3年も思い続けていたのか……ありがとう、こんな俺を好きになってくれて」

 

自然と言葉が溢れていた。そんな言葉を聞いてアイは、少しだけ驚いた表情をしながら……

 

「……お礼なんて、いらないよ好きになったのは、私が勝手にそうなっただけだもん。それにね……ちゃんと好きでいてくれたなら、それで十分だよ、彼方」

 

太陽みたいな笑顔を向けて言葉を返してきた。

 

輝も救えた。後は、アイを救えばいい。と言っても、ほぼほぼ大丈夫だと思う。原作では輝が黒幕だったけど、そんな輝は闇堕ちせずに済んだ。長かったな……ここまで。いろいろしてきた。この数年間は、ずっと救うことだけを考えて生きてきた。でも、もう肩の力を抜いてもいいのかもしれない。

 

これからは、アイと一緒に歩いていこう。そんなことを思いながら笑った。

 

アイの服が乾く頃には、すっかり夕方になっていた。服を取り込んで着替えた彼女は、そのまま家に帰っていった。ベッドのシーツも乾き、元に戻す。

 

「にしても……本当に」

 

一人になったベッドに座りながら思い返す。……アイがアクアやルビーを産んだのって16歳だった。そこから逆算すると……あれ?

 

「もしかして……いや、ちゃんと付けてたし問題ないよな?」

 

子供は10ヶ月くらいで生まれてくる。アイが子を産んだのは16の春頃だった様な………もしかして。……大丈夫だよな? 嫌な汗が出てくる。本来なら父親が煇だった。でも、アイは俺を好きになり、今に至っている。 

 

「……うん。大丈夫だろ……そう信じるしかない」

 

もし……そうなってしまったら……責任を取らないといけない。その時になったら考えるしかない。いろいろ終わったと思ったが、また新たな問題が発生しそうな予感がしていた。

 

 

 

 

 

 

とある部屋の中。部屋中にたくさんの写真が貼り付けられている。しかし、その写真のすべてが同じ人物だ。その部屋の主は、テレビで何度もその人物を見ている。

 

「…………」

 

暗い部屋にテレビの光だけが灯っていた。そして、無言で繰り返し見返す。表情は恍惚としており、その人物に夢中だ。その瞳は黒く濁り、瞳がその人物を捉えて離さない。

 

「……愛している」

 

画面に張り付き、その人物に対してそう言う。他者から見たらその姿は、とても歪である。画面のその人に夢中だ……それこそ怖いくらいに。 

 

「……ずっと見てる」

 

しばらくテレビに映るその人物を見続けた後に、ようやくテレビから離れた。そして、机に置いてあるカッターを握りしめ………

 

「……手に入らないなら、いっそ」

 

その後、一枚の写真を取り出し、その写真に向けてカッターを突き刺す。写真を貫通し、穴が開く。顔には笑みが貼り付けられており、とても不気味で。

 

「……アハハハハハハハハハハハハハ」

 

部屋に笑い声が響く。心底楽しそうに笑い続ける。しかし同時に、何かに取り憑かれたようにも見えた。湧き出る感情は悪意と純粋な思い。その二つが混ざり合い、混沌を生み出す。新たな化け物が誕生しようとしていた。

 

運命は確かに変わった。しかし、それと同時に本来の世界とはまた違った「歪み」が生じた。それが神による干渉なのか……はたまた運命であるかは、わからない。……歯車は乱された。

 

 

 






これで3章「愛と歪み」は終了です。次回からは4章「親と子」に入ります。章タイトルで何となく察しがつくと思いますが……お楽しみに。

皆様の感想や評価が作者のやる気に繋がっています。よければ評価と感想をお願いします。

各章解説と他作品の元ネタ解説いるかどうか。

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