ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった   作:七夕茸

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十一話です。バトスピのスタンダードのデッキ限定戦に参加していたら店員の方から使っていないコアとソウルコアをいただいてしまった。バトスピはそんなに新規に飢えているのか……。
一応パックも購入して白のドロソ能力を持ったXレアも当たったのでそれを軸にデッキを考えてみます。


十一話 冬雪は間さんと親戚でしたっけ

「カミヤマーなーんーでー」

「あれで勝てたんだからいいじゃないですか!」

「ボク以外のカードを使ったー!うーわーきーもーのー!」

 

 ガクンガクンと私の腕を揺さぶってクレアが訴えてくるが、そう言われても困る。デッキを強化する上で汎用カードに頼るのは必須だ。テーマ内だけで戦うこともできるが、それはカジュアルだけで本気で勝ちに行くなら手段は選んでいられない。それにだ。

 

「普段からクレア(プロフィール)以外のカードは使ってるじゃないですか」

「あ、そっか……カミヤマ、マキアで勝負しよ!ボクが勝ったら観測されるモノだけのデッキでデッキ組んで!」

「露骨に話題逸らしますね……いいですけど、じゃあ観測されるモノデッキはクレアが使ってください。私は以前まで使っていたデッキを使うので」

「え」

「あと、プレイマットもマキアス用のものじゃないといけないのでカナリアに行かないとですね、四季神部長、来てそうそう悪いんですけど今日は帰らせてもらいます」

「お疲れ様、紙山部員もしっかり体を休めるように」

「四季神部長こそ、体調にお気をつけて。私たちの学年にも届いてますからね?四季神部長がちょくちょく早退してるってこと」

 

 去年の大会も部長が体調不良で不戦勝が一つつき私と夏雲で巻き返すことが出来ずそのまま敗北してしまった。だからできれば部長には健康な状態で大会に挑んで欲しい。

 

「それは神のみぞ知るからわからんさ」

「体調不良は自己管理の範疇だと思うんですけど……」

 

 それと今の時代どの神に祈るのだ。マキアスの中には向こうの世界では神と分類されるものもいる。だが、マキア上では当たり前だがシルエット(モンスター)判定だ。どこぞの社長の名台詞はこの世界では通用しない。

 

「二人とも行ってらっしゃい、あと(はざま)さんにもよろしく言っておいて」

「ん?どういうことー?」

「確か冬雪は店長とは親戚でしたっけ」

「そうだね、血のつながりとかはほぼないけど親戚の集まりでは顔を合わせるし、一族全体で見たら歳も近い方だからね。よく話す方だとは思うよ」

 

 一族というのは冬雪の生家……上森の家というがここら一帯の地主であり、二人ともその血筋の人間ということらしい。ちなみに冬雪はそこのご令嬢だ。大きな日本家屋に住んでおり、もしこの世界がフィクションであるならメインキャラクターになれるだろうなと思ったものだ。

 

「春陽~私もついて行っていい~?」

「別にわざわざ私に確認とらずに勝手についてくればいいと思うけど」

「ストーカーと思われたくないしね~最近多いらしいよ~不審者」

 

 私たち3人はもう一度冬雪と部長に挨拶をしたのちカナリアへと向かうことになった。いつの間にか秋雨の姿が見えなくなっていたが、まあたまにあることなので気にしないことにした。

 

 

 

「行ったか」

「ですね。秋、聞こえる?そっちの首尾はどんな感じ?」

「聞こえてる、痕跡とかは何にもない。あのマキアスが来て一週間くらいだけど何にもないってことは多分白だと思う」

「そっか、発見初日から間さんの家にいたわけだから何か問題のあるマキアスだったらそっちから報告上がるだろうし、そんな気もしてたけど。ありがとう、秋こっちに戻ってきて」

「うん、冬雪待ってて」

 

 私は端末の電源を切りって物思いにふける。私の幼馴染、紙山春陽が連れて来たあのマキアス……彼女がクレアと呼んでいた少女は謎である。

 マキアスがこの世界にやってくるときその出入口に使われたカードの反応をその地域の管理人は感知できる。つまりはこの辺りでカードを通ってやってきた少女であるはずの彼女は我が家でもその存在を確認できているはずだ。

 なのに彼女がいつこの世界にやってきたのかわからない。およそ一週間前春陽が自分にマキアスが出来たと言って来た時は、ああついに幻覚を見るまでに……と思っていたものだ。その後間さんから上がってきた報告を見ても頭の中に疑問符が浮かび上がるばかりだった。

 

「冬雪、ただいま」

「お帰り、秋」

「考え事?冬雪が忙しいのは理解するつもりだけど、ウチのことも考えて欲しい」

「大丈夫、秋のことは常に脳の7割を使って考えてるから」

 

 私の大切なパートナーである秋雨だってそうだ、彼女がやってきた時だって結界は正常に作動して私は彼女の到来を知ることができた。なのにクレアと名乗る少女がやってきた時はわからなかった。一応他所の地域からカードを使ってやってきて何らかの理由でこちらの管轄内でそのカードが捨てられて、春陽が拾ったという可能性もあるが、現状他の地域に問い合わせても知らないと返答されるばかりだ。

 

(そら)さん」

「なんです?上森嬢」

「やめてくださいよ、ここは部室で誰が訪れるか分からないんですからちゃんと先輩後輩の体をとらないと」

「そう、だな……上森部員」

「それで、どう思います?クレアさんのこと」

「そうだな……あの不審者然とした恰好をどうにかしないと……」

「え?」

「何を言ってるの天」

 

 クレアさんの恰好を思い出すが、普通のその辺りの服屋でも売っていそうなワンピースを着ているだけで街中で見かけてもただの一般人として紛れても何もおかしくない服装だったはずだ。

 しかし、似たような前例があったのを思い出した。

 

「天さん、クレアさんのことどう見えてました?」

「それは……フードを被って顔全体を隠していて、声も男女の性別がはっきりしないようだった。ですかね」

「私の見えていた姿と違いますね……秋は?」

「ウチにはどこにでもいるような女の子にしか見えなかった」

「ありがとう」

「……自分の見ていたクレアがおかしいと?」

「どうでしょう……確か昔の記録にその人の最も嫌なものに変身する能力を持ったマキアスがいたというものがあります」

 

 だがそんな変身能力だったら私たち3人とも同じ姿を見ていなければ説明がつかない。私と秋がクレアを普通の少女と認識して天さんだけがまったく別の人物のように見えていたのは何故だ?

 

「そういえば、春陽の使ってたカード《観測されるモノ》って書いてあったけど関係ある?」

「あると考えるなら、「観測」……見る人によって姿が違って見えるマキアスかな」

 

 そうなると色々厄介だ。彼女が何らかの犯罪を犯した時に私たちは目撃者を探すことが困難になる。彼女が善性のマキアスであることは信じているが事件に巻き込まれる可能性だって0ではない。その場合被害者の特徴が一致しないなんてことになったら迷宮入り確定だ。

 

「とりあえず、春陽たちには頑張って貰おう」

 

 悪性は感じなかったし、今は楽観視しよう。その方が秋とイチャイチャできる時間が増える。それに間さんに丸投げすれば問題ないだろう。

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