ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった   作:七夕茸

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コオニとか呪文のデドダムとか次のデュエマのパックインフラが整えられすぎてすごい。
それが比較的高値のつきやすいSRとかドリームではなくRとかVRなのがすごくありがたい。


十三話

 間さんがマキアス用のプレイマットをセッティングする。傍目には普段私たちが使っているものと外見上の差異は見られないが色々と準備がいるらしい。間さんがプレイマットの上で文字を書くように細く長い指を動かすとピョロっと謎のケーブルが生えた。何その機能知らない。

 プレイマットはその名の通り見た目は転生前の世界のカードゲーマーが使用していたものと同じだ。そんなものどこに接続するんだと思っていたらクレア側の方には元々有線接続可能な部分があったようだ。

 

「これで、ここを有線で接続して……紙山ちゃん準備できたよー」

「……今どきなのに有線接続必須なんですね」

「無線のもあるけどあれは特注品でもない限りはマキアエナジーのロスが結構あるからね……」

「たまにテレビでマキアスがマキアしてますけど、あれってプレイマットのデザインからして高そうだとは思ってましたけどもしかして……?」

「ああいうのだと、高級スポーツカーくらいなら買えるくらいの値段はあるんじゃないかな」

 

 私は間さんのセッティング方法を頭の中に入れながら高級プレイマットを思い出す。私が見たのは自立浮遊機能もついていたものだ。でもマキアスなら浮遊の魔術とかSFチックな超小型浮遊装置とかを付ければオプション代金は考えないで済むのか?私はその考えに至ったところでふと気になることができた。

 

「やけに詳しいですね」

「一応カードショップの店長だからね」

「答えになってないんですけど」

「あとは知り合いのマキアスの女の子が私を頼ってきてねぇ……あの子が自分から欲求を見せるのが嬉しくなっちゃって頑張って色々調べたんだよ。あの子、パソコンとかの電子機器苦手だから」

「……ロリコン」

「え……いやだから違うからね!?年下好きは否定するつもりはないけど、私は別に小児性愛者とかじゃないからね!」

「はいはい、そういうのいいですから」

 

 間さんがものすごい勢いで反論してくる。まあ年下好きらしいのは否定しなかったのだし、まあよしとしよう。……何がよしなのか私自身にも分からないけど。

 

「カミヤマー始めるよー!起動(セット)!……あれ?」

 

 クレアが意気揚々と彼女のデッキをプレイマットに置いて起動(セット)を宣言したが、プレイマットはうんともすんともならない。

 

「マキアエナジーの問題かもしれませんし、私の方を先にしないといけないのかもですね。起動(セット)

 

 私が普段使いしているプレイマットは問題なく起動できた。その数瞬後クレア側のプレイマットもデッキを認識したのか二つのプレイマットからフィールドが展開される。

 

「「実行(プレイスタート)!」!!あ、それとサモン《コイン》裏表はね、ボクが表で!」

「じゃあ裏で」

 

 クレアが部室で四季神部長がしたようにプレイマットの機能でコインを召喚してコイントスを行う。やや斜め前側に打ち上げられたコインはなんとかキャッチされて結果が出た。

 

「表だ!じゃあボクのターン……ドロー!」

「……ちょっと待ってください」

「あれ、カードがドローできない?テンチョーこれ故障?」

「故障じゃないよ。クレアちゃん一応聞くんだけど……マキアのルールは知ってる?」

「店長がクレアにルール教えたんじゃないんですか?」

「紙山ちゃんが教えてたんじゃないの?」

 

 私と間さんの間に気まずい空気が流れる。意外なことにクレアはマキアのルールを知らなかったらしい。これは真剣勝負だから私がサポートをするわけにもいかないし、今は普通に営業時間中だ。店内には私たち以外にもお客さんはいるし、今だってお客さんが入ってきた。何かあれば間さんはそっちの対応に行かなければならないためこちらに付きっきりになるわけにはいかない。

 

「じゃあ~私が教える~」

「あ、そういえば夏雲がいた。じゃあよろしく」

「春陽~流石にそれはひどいよ~!泣いちゃう~……」

「それはごめん」

「じゃあ今度二人でどっか遊びに行こ~」

「それで許してくれるなら」

「わ~い」

 

 顔を覆って泣いていた夏雲が満面の笑みで返事をしてきた。あれはウソ泣きだったな……まあ私が夏雲のことを完全に頭から抜けていたのは事実だし、悪いのは私だからとやかく言うまい。

 

「じゃあ~まずはね~先行1ターン目にドローはありません!」

「なるほどー!」

「だけど、《エナジー》は先行1ターン目でも増えるよ~」

「はい!センセー!エナジーって初めて聞きました!」

「じゃあ教えて進ぜよう!エナジーはね~シルエットを召喚したり、スペルを唱えるのに必要なものだよ~。ゲーム開始時にエナジーは3つしかないけど自分のターンが来るごとに自動で1ずつ増えていくから覚えておいてね~」

「了解!……センセー!どの数字がコストなのか皆目見当がつきません!」

「あるあるだね~じゃあそこからレクチャーしようか~」

 

 そうして夏雲の初心者マキア講座がはじまった。

 

「あとはカードの見方も教えるね~左上に書いてある数字がそのカードを使うために必要なコストだよ~そんで左下にあるのがパワー、シルエット同士のバトルに必要な数字~そして!その間に書かれてるのが相手にダメージを必要な打点!」

「むむむ……数字がいっぱいだ……」

「まあ~その辺は慣れるしかないね~」

 

 初心者がカードゲームを教わる姿はいつ見たって微笑ましい。私は前世のカードゲーム知識があったからすんなり入ってきたけどカードゲーム初心者はテキストを一度に全て覚えようとしてしまうからわかりづらいのだろう。

 

「でもなんとなくカミヤマたちがしていたことは理解できた!じゃあ2コストで《観測されるモノ(オブザーブド)・ゲット》を召喚!そして効果発動!ライフ1を支払うことでデッキの上から3枚を見てその中から観測されるモノシルエットを手札に加える!」

 

 召喚されたのはいつものゲットだ。普段はお尻の方からしか見えないがこうやって対面に出されると案外かわいい。そう思っていた矢先、お腹に殴られたような軽い衝撃が走った。

 

「っ!?!?!?」

 

 不意にきた衝撃に目を白黒させているとあることに気づいた。クレアはライフコストを支払ったのに何であんなに平然としてるんだ?その答えとして仮説を一つ立てることができたがあまりそうであってほしくない。

 このマキアで消費されるマキアエナジーはすべて私が負担している。有線でつないでいるし間さんがそうセッティングしていた。つまりライフのダメージも全て私が負担するのではないか?

 背中に冷や汗が流れる、不幸中の幸いだがダメージは普段の1ダメージとそう変わらないものだった。先ほどは不意であったため驚いただけで来るとわかっていれば問題ない。

 

「あ、先行1ターン目は一回だけ攻撃できるよ~そうやって相手のライフ10点削った方が勝ちだよ~」

「そっか!じゃあゲットでカミヤマに攻撃!」

「ライフで受ける!っふぅ!」

 

 150センチくらいの大きな兎が私に向かって突進してくる。ゲットの打点は1だ。私はこれくらいは経費だと割り切りライフで受けることを選択する。

 

「もう攻撃できないしターンエンド!」

 

 満足気にターンエンドを宣言するクレアを見て楽しそうでいいなとは思う。割とカジュアルに戦ってクレアに楽しんでもらいつつ、いい感じのところで勝利をもらおうと思っていたが計画変更だ。速攻で倒す。

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