ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった   作:七夕茸

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十四話です。今回はあとがきに色々と。


十四話

「私のターンドロー」

 

 引いたカード含め手札6枚の順番をマナカーブに沿って入れ替える。相手のデッキは全て把握していて、私の手札も悪くはない。何をケアすべきなのかも頭にある。

 

「春陽~クレアは初心者なんだから普段は省略してるとこもちゃんと宣言した方がいいよ~」

「それもそっか、私は4コストでアイドルグループFI(フォーチュン・アイランド)のリーダー!信夫(しのぶ)ちゃんを召喚!」

 

 召喚されたのは肩の辺りまで伸びた黒髪とは対照的にピンクと白を基調としたフリフリなアイドル衣装を身にまとった少女、容姿の方は一見するとどこにでもいそうでクラスの中では3番目にかわいいと噂されてそうな感じの女の子だ。

 

「お~信夫ちゃんだ~春陽がその子使ってるの見るのもなんか久々に感じる~」

「効果二つあってどちらも常在効果です。一つは私が使用するFlカードの使用コストは常に1少なくなる効果で、もう一つは私の場のFIシルエットのパワーは同じアイドルグループのメンバー(場のFIシルエット)の種類×300アップします」

 

 信夫ちゃんの素のパワーは1000だが自身の効果で1300だ。これで小型除去能力持ちのチンウーの破壊対象にはならない。

 

「バトルはせずにターン終了です」

「じゃあボクのターン!ドロー!今度はちゃんと引けた!うーん……」

「悩め悩め~初心者はそうやって成長するのだ~」

 

 すごい先輩風を吹かしているが、夏雲(なぐも)もマキアを始めて1年くらいだ。去年の今ぐらいの時期私と冬雪(ふゆき)がマキア部に入ることを話しあってるときに剣吞な雰囲気を携えて一緒に部活に入ろうとしてくれたのだ。

 そういえばなんであんなな雰囲気だったんだろうか?今にして思えば夏雲があんな感じになる原因がよくわからない。

 部活に入った当初も若干ピリピリしていたから距離をとっていたけど、私が夏雲にマキアを教えるように四季神部長から指示があったので渋々毎日付きっきりで教えてたらいつの間にか今の雰囲気になっていたのでほんとによくわからない。

 

「ボクは5コストで《観測されるモノ(オブザーブド)・ブッロ》を召喚!ライフを1払うことで召喚時効果発動!ボクの場のシルエットの数だけエナジーを増やし、場のシルエットの数だけドローする!つまり、エナジーが2つ増えて2枚ドロー!」

 

 召喚されたのはあまり大きいとはいえないサイズのロバで、確かステータスはパワー1700で打点が2、中コスト帯ではよくあるステータスだ。そしてこの対戦限定とはいえ私にリアルダメージを発生させる召喚時効果しか持ってない。

 それにしてもクレアの手札が減らないしリソース差が地味にヤバいかもしれない。相手のエナジーの総数は7、手札は初期手札5枚から1枚増えて計6枚。対して私のエナジーは次のターン増える分も加味して5、手札も5だ。ライフはクレアが残り8で私が9。

 

「勝っているのはライフだけ……」

「それもこのターンでカミヤマが負けることになるよ!バトル!ブッロでカミヤマに攻撃!」

「ライフで!くっ……」

「ターンエンド、これでカミヤマのライフは7だよ!」

「春陽~初心者に負けちゃうね~」

 

 ……外野のギャル(夏雲)だけでもどうにか黙らせられないだろうか。いや、流石に今のはただの現状からの予測だからムカついた私がおかしい。

 

「私のターンドロー!」

 

 観測されるモノシルエットの効果は基本ライフ1をコストに発動する効果だ。ではどう対策するか答えは以前実践されてる。

 

「まずは信夫ちゃんの効果で1コスト軽減して2コスト《赤い牛からのお届け物》このカードはFI名称としても扱い、使用済みのエナジーを一つ増やす!さらに1コスト軽減で3コスト!FIのまとめ役お鶴さんを召喚!」

 

 白い小袖に白い袴、桜が散らされた浅黄色の羽織を着て長いポニーテールで眼鏡の少女が私の場に召喚される。

 

「お鶴さんの効果も2つありますが一つは今使えないので先にもう一つの方を、常在効果で私のFIシルエットは相手のシルエットに指定攻撃できます」

「補足するけど~例えば先にブッロが攻撃されたらゲットはそれをブロックできたりはするからね~」

「オッケー!」

「あ、信夫ちゃんの効果でどちらもパワーは600ずつ上がっています。バトル!信夫ちゃんでゲットに攻撃!」

「そのまま破壊されるよー」

 

 信夫ちゃんはどこかから桃を持ち出してそれをゲットに投擲する。ひょろひょろと放物線を描いているのにゲットにぶつかるとしっかりと昏倒させる一撃で破壊される。

 

「この瞬間お鶴さんの効果発動!私のFIシルエットが戦闘で勝利したときデッキから1枚ドローできます。そして私はターンエンドです」

 

 信夫ちゃんの効果もあってお鶴さんでブッロを攻撃して破壊することがもできるがそれはしない。クレアのデッキにはアサドからの魅了せし狂気の跡(ルナティック)のコンボがあるからだ。現在私のライフは7アサドのコストは6で素の打点が2だから十分即死圏内だ。

 

「じゃあボクのターンドロー、観測されるモノ(オブザーブド)・アサドを召喚!召喚時の効果でコストをライフで賄えるけど……全部行っちゃえ6コスト全部をライフで賄う!そして5コストでスペル発動魅了せし狂気の跡(ルナティック)、対象はアサドに!これでアサドはコスト6未満のカードの効果を受けずアサドがカミヤマにダメージを与えた時このターン減ったライフコスト分つまり追加で6ダメージ与える!元の打点含めて8ダメージだ!」

「おお~」

「バトルだ!アサドでカミヤマに攻撃!」

 

 私がよく使うコンボだがそれにだって弱点はある。

 

「お鶴さんで()()()()します」

「無駄だよ!アサドは相手のカードの効果を……なんで戦闘が開始されてるの!?」

「アサドのパワーは2000お鶴さんのパワーは信夫ちゃんの効果で上がってるとはいえ1800バトルはお鶴さんの負けですね」

 

 クレアの困惑を他所にプレイマットはプレイヤーの指示した挙動を実行し、ライオンが少女を一方的に八つ裂きにする。

 

「夏雲、解説よろしく」

「はいは~い、効果を受けないっていうのはあくまでそのシルエットやスペルが持つ効果を受けないってだけでブロックとかはルールの話なんだよね~」

 

 そうアサド自身にはブロックされない効果などないため壁一枚で止まってしまうのだ。そしてルナティックの効果は付与シルエットが相手にダメージを与えたとき、つまるところこの2枚のコンボは殺傷能力はあるが相手のアクティブ状態のシルエット一枚で止まるコンボなのだ。

 

「さて、まだブッロが攻撃できますけどどうします?」

「ライフ残したいしターンエンド……」

 

 意気消沈といった様子でターンが渡される。地味にアサドが召喚コストにした6ダメージもしっかりこちらに来たのだ。軽いジャブの威力のものが6連発で。

 まあこれでクレアの残りライフは2でブロックできるシルエットは一体、よしいける。

 

「では私のターンドロー、FI一番は人気のこの子!1コスト軽減して5コスト!お姉さま系アイドル安積(あさか)様!」

 

 アイドルグループFIのセンターである少女が現れる。腰まで伸びた髪に白いパニエと黒のフィッシュテールスカート、クール系のアイドル衣装といった感じで身長も女性にしては大きい方である160センチ後半くらいだ。

 

「さらに1コスト軽減して2コスト!《信夫ちゃんが選ぶ三温泉!》効果はFIカードであることと、私の場のFIシルエットの数だけ相手のシルエットをダウン状態に!」

「バトル!信夫ちゃんでクレアに攻撃!」

「イ、インタラプトスペル!3コストで《うさぎの献身》!ブッロを破壊してライフを打点分回復しつつ1枚ドロー!これでライフは4!」

「だがダメージは受けてもらいます!信夫ちゃんの打点は安積姉さまの常在効果、私の場のFIシルエットの打点は1上昇する効果で2になってます!」

「ライフで受ける!」

「ぐほっ……」

 

 2ダメージ分の痛みが私の方に襲い掛かる。想定はしていたけどなんでこれ私が与えたダメージでもこっちにフィードバックされるんだろうなぁ!?

 

「これで終わりです!安積姉さまでトドメ!」

「使えるインタラプトスペルもないしライフ!」

 

 安積姉さまは自身の効果も合わさって打点は3、安積姉さまがクレアに向かってハイキックをかましたところで

 

終了(プレイオーバー)、対戦ありがとうございました」




 47の国が群雄割拠するヒモノトの国、その国の隆盛を見守る八百万の神々がおり、その神々は宣言した。

「最近アイドルにハマったので巫女の皆にはアイドルをしてもらいます。巫女の舞とか祝詞とか実質歌って踊るアイドルだしいけるよね?」

 クソクライアントの指示のようなお告げを聞いた巫女たちは各々アイドル活動を余儀なくされた。そうして各国の中で競い合っていき、ファンの流れが固定されてきたため舞台はヒノモト全土に移る。

「全国で競い合うなら自国の皆とは仲よくしてほしいから皆にはグループを組んでもらいます!」

 二度目のお告げ、それはそれまで競い合っていた相手と組めという指示であった。
 それぞれの国でも仲たがいや結束が深まる中、47の国の一つフクシマの国ではリーダーに選ばれた巫女が嘆いていた。

「リーダーはその国の首都の巫女が行うものとするって、うちの国だと……私!?」
「そういうことになるわね。頼んだわよ信夫」
「無理ですよ、安積(あさか)姉さま!」
「信夫さん、ほとんどの国では首都の巫女が一番ファンの数が多いので神々もその決定を下したんだと思いますよ」
「それは知ってるけど私のファンの数お鶴ちゃんも知ってるよね!?この国の中で3位だよ3位!他の国の首都の巫女だって1位じゃないのはいるっぽいけど2位以内なんだよ!?だけど私、安積姉さまにもマリンちゃんにも負けてるんだよ!?」
「それは4位の私に対する当てつけですか?というよりそのマリンさんは何処に?」
「……あ、マリンちゃんから連絡来たよ。今日寝坊したから来ないって」
「あの人はなんでこんなにも時間にルーズなんですか!」
「まあまあ、怒らないでお鶴ちゃん」
「あなたも私の怒りの原因の一つなのわかってます?」
「ふええ……」
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