ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった   作:七夕茸

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十五話です。対戦描写主にライフや手札の枚数等をどう描写するか悩み中。
あとまだ主人公がマキアをする回が続きますが、プロットに急に生えてきて困惑してます。


十五話

 プレイマットのフィールドが解除されて見慣れた店内(カナリア)の風景に戻ってくる。緊張感からの解放のせいか疲れが体に襲い掛かかってきてあと数時間は動きたくない。

 

「負けたー!負けた負けた負けたー!」

「どんま~い、個人的には惜しかったと思うよ~だよね~春陽~」

「うん、そうだね。私の方も結構ギリギリだったよ」

 

 上の空で夏雲(なぐも)の言葉に返事をする。マキアは連戦するとすごい疲れるのだ。多分私たちの身体からマキアエナジーがなくなっているからだとは思うが詳しくは知らない。

 だが私の言葉は知らない声によって否定された。

 

「嘘ね、あなたは終始表情を崩さず余裕そうに見えた。ライフだって盤面だって終始あなたが優勢のように見えたけど」

「……えっと、どちら様で?」

 

 声のした方を見てみると黒い服装……私が服に詳しくないので所謂ゴスロリなのか?白いブラウスに黒のスカートのお嬢様風の美少女が少しムスっとした表情でそこに立っていた。

 

「私のことはどうでもいいでしょ。金髪のあなた、さっきの最後に出したシルエットを私に見せてくれない?」

「アサドのこと?いいよー」

「ありがと……これ、私に貸してくれないかしら。このカード()()()()()()()()()()()()から。あなたのかたきを討ってあげるわ」

「おー?じゃあお願い!」

「承ったわ。聞いてた通りあなたにはマキア受けてもらうわよ。起動(セット)

 

 一人で話を進めないでほしい。だが、売られたマキア(喧嘩)はなるべく買うようにしている。それにアサド(自傷カード)が相性のいいデッキなんてどんなデッキか気になるし。

 

起動(セット)!」

「「実行(プレイスタート)」」

 

 四季神部長戦、クレア戦と続いて本日三度目のフィールドが展開される。というかほんとに何なんだろうこの子。幼さがある顔つきだし年下だとは思うけど。

 

「順番はダイスで決めさせてもらうわ。サモン《ダイス》……5ね」

「サモン《ダイス》……3です」

「……じゃあ後攻をもらうわ」

 

 金髪の美少女は手札を一瞥した後、後攻を選択した。つまり、速攻(アグロ)とかそういった類のデッキかもしくは私に手札を稼がせたくない手札破壊(ハンデス)デッキあたりだ。そして可能性が高いのは前者だろう。アサドは実質コスト0で召喚できる。後攻ならば1ターン目から攻撃回数に制限はないしガンガン攻めることができる。しかしそうなるとどこぞの西洋のお屋敷にでも住んでそうなお嬢様風の見た目には似合ないデッキだなと思う。

 

「では私の先行で、私はFI(フォーチュンアイランド)の一人!4コストでお鶴さんを召喚します!そのままバトル!お鶴さんで攻撃!」

「ライフで受けるわ」

 

 お鶴さんでが腰に携えた刀で少女を袈裟切りにする。見事な太刀筋がとは思うけどそれは果たしてアイドルに必要な技能だったのだろうかと常々疑問に思う攻撃方法だ。まあこれで減少するライフは1だけなのだが。

 

「ターンエンドです」

「じゃあ私のターンね、ドロー」

 

 さて私の推測が合っているとありがたいのだけど。

 

「私は()()()6()を支払いっ……《観測されるモノ(オブザーブド)・アサド》を召喚」

「初手から!?」

 

 謎の少女のライフが一気に3まで減少する、通常のマキアであれば危険域だ。4コストをライフで代用して2コストで出したりもできるのにしなかった、それに彼女がアサドを相性がいいと言ったからには何かあるはず。

 

「さらに2コスト《境界守(きょうかいもり)アミ》を召喚。召喚時効果はないわ、そしてそのままバトルに以降してアサドであなたを攻撃」

「ライフで受ける!」

「ターンエンド、するときにアミの効果発動()()()()()()3()()()()()()デッキからカードを2枚ドローする」

「なるほど、ライフが一定値以下で発動する効果!」

 

 所謂背水の陣だ。デュ〇マで言う革命、シャ〇バの復讐等が該当するけどその効果はピンキリだ。だがあのシルエットは2コストでターン終了時に2枚ドローそれは破格の性能であり、自信満々に挑んできた以上あれ以外にも相応の強力な効果持ちなはず。

 

「私のターンドロー!」

 

 知らないデッキとはいえ相手の残りライフが3であることは変わらない事実。相手にエナジーが余っていることが気がかりとはいえここは攻め時だ。

 

「私はFIで一番の自由人!5コストでマリンちゃんを召喚!常在効果により私のFIシルエットはブロックされない!」

 

 絶賛観戦中の夏雲(なぐも)の《ミグラトリー・スワロー》と同様の効果だ。だがマリンちゃんの方がコストが高い分それ相応に打点も2でありこれで決める!

 

「バトル!マリンちゃんで攻撃!」

「ライフで受けるわ」

「続いてお鶴さんで攻撃!これでトドメです!」

「……インタラプトスペル《ボーダー・オブ・ライフ》」

 

 彼女がスペルを唱えると一瞬周囲が暗転し空気が変わったような気がした。しかしその違和感も目の前で起こった事象の前ではすぐに意識の外へ吹き飛んでしまった。

 

「お鶴さんの刀が止まった!?」

「スペルの効果よ、私のライフが相手の攻撃によって0になる時に発動できる。その攻撃を無効化し、私はエナジーを1つ増やす」

「ターン……エンドです」

 

 決めきれなかった……いや違う、私が焦りすぎた。もう私には次の相手のターンに回せるエナジーはないし、盤面もダウン(行動済み)状態のシルエットが2体だけだ。ライフは8あるが相手のシルエットの合計打点はミアが分からないけど多分3点、それにああいったデッキタイプには当然……。

 

「私のターンドロー、じゃあさっさと終わらせるわ。私は《境界守ロザリー》を2体召喚、このシルエットは通常時は打点が1だけどライフが3以下の時は2、ライフが1の時打点は3になるわ」

 

 やっぱりいた!背水条件の打点強化のシルエット!そして条件もしっかり段階強化されるタイプで便利だ!そしてかわいい!

 

「一斉攻撃よ、合計打点は9これで終りね」

「全部ライフで受けます!」

 

  私の残りライフ8点を全部削られて負けてしまった。それにしてもロザリーとアミか……かわいいシルエットたちだったな。

 

終了(プレイオーバー)、一方的に負けるとどんな気持ちになるかわかったかしら?これに懲りたら初心者相手に大人げないことするのやめなさい」

「……はい?」

 

 脈絡のない話で頭が追い付かない。

 

「そこの金髪の子、途中からしか見ていないけれど初心者なのよね?なのにあんな勝ち方して……気づいてなかったのね」

「あ、なるほど」

 

 なんとなく合点がいった、彼女は私がクレアを理不尽な初心者狩りをしたと思っていたのだ。まあ結果だけ見るならそうなのだけれど……いい感じに互いのライフを削る戦いをしていたら合計15ダメージ以上受けなければならなかったわけだし、そこそこ痛い。いや誰にも話すつもりはないから言い訳だな。事実は事実だ反省しよう。

 

「ああ、それとこの辺りに上森という家を知らないかしら?」

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