ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった   作:七夕茸

16 / 16
一六話です。百合回です。架空現代舞台だと好きに店が配置できるのが素晴らしい、だけど東京どころか関東にすら足を踏み入れたことのない東北の民なので都会感が分からない……。
設定の破綻がないかたまに自分で読み直した結果、二話のアサドの踏み倒しライフが1足りてなかったり(一応うさぎの献身を使えば足りる)、部長のカード名ミスってたり(森長可だよヨシナリって誰だよ、あとおそらく4コスなのに何で打点2の上で墓地肥やしと回収効果もってるんだよスペック盛りすぎだよ)、クレアの一人称(この作品唯一のボクっ子なのに)が安定してなかったりガバが見つかりすぎて怖い。


一六話

 クレアとマキアをした日から数日、私は夏雲なぐもと一緒に遊びに街に繰り出していた。現在は夏雲の要望でショッピングモールの服屋に来たところだ。

 

「春陽は強情だね~いい加減ミニスカ履きなよ~」

「履かないってスカートは履いてロングだけだから!」

 

 なぜわざわざ足を晒すのか分からない。風の通りがいい?ただ風邪を引きやすくなるだけだ。タイツとか履けばマシになるかもしれない、でも何故自分で着る服に手間をかけなければならないのか。納得できない。

 そもそも私は身長がある方ではないから見栄えなんか気にしたところで無駄だ。メリハリのある体の持ち主である目の前の女巨乳ギャルには理解されないだろうけど。

 

「じゃあ~トップスの方見る?」

「そっちも要らない。私、パーカー沢山持ってるから」

「沢山ってそれしか持ってないでしょ~!?春陽の私服でパーカー以外見たことないし!」

「でもパーカーは便利」

 

 まずフードがついてる。急に雨に降られても頭部が濡れることを避けることが出来るのだ。それにポケットもついているものも多い。小物がいくつも入れられてバックの容量を圧迫しないとても機能的だ。そしてカラーバリエーションは豊富だ、主に白や黒、グレーそしてそのほか沢山だ。

 それに今日着てきたグレーのパーカーにはコアラと胸の辺りに英字で書かれてたり左脇腹の辺りにはリアル調のイラストもある。基本無地のものしか買わない私からすれば多分一番オシャレなパーカーではある。

 

「ダサいよ~!前から思ってたけどないよ~!」

「え……」

「もう春陽の要望聞かないからね~今日1日は私の着せ替え人形になってもらうよ~!ミニスカも履かせるから!」

「ええ……」

 

 ……まあ、今日は夏雲に付き合うって言ったししょうがない。ゲームセンターのUFOキャッチャーに新しい景品が入ったから一緒に行こうと思っていたんだけど。

 

「まずはね~春陽~服のサイズいくつ~?分かんないなら最近測った身長でもいいよ~」

「基本Sサイズのものを買ってる」

「うんうん想像通り~じゃあまずはこれ着てみて~」

 

 私は試着室に押し込まれながら夏雲に手渡された服を受け取る。……うん、いや存在自体は知ってるし前世でも見たことあるけどまさか私がこれを着るなんて。

 

「とりあえず着てみたけど、どう?」

「うん、かわいい~!」

 

 彼女が一着目に用意したのは暗いピンク色の襟にフリルのついたブラウスと真っ黒なかぼちゃみたいな形に膨らんだミニスカ……所謂地雷コーデだった。初手からか、初手からこれなのか私は後に来る(厄災)に絶望していると彼女のスマホのカメラのシャッターがパシャリと音が鳴った。

 

「……撮っていいとは言ってないんだけど」

「春陽は私が褒めても信じないでしょ~?でも冬雪(ふゆき)とか部長も同じ意見なら信じるよね~?」

「それはそうだけど……」

「あ、もしかして~私以外に見せたくないとか~?かわいい~」

「違うから、恥を共有すんなって話」

「いやいや~私も大切に保存したいけど、春陽のオシャレ意識改革には必要なことだから~」

 

 夏雲がスマホを操作して送信ボタンを押す。ご丁寧にマキア部のグループに共有したので私の恥ずかしい姿が私のスマホにも残ってしまった。

 

「お、早速二人からも既読が付いたよ~」

「終わった……」

 

 私は通知が届かないことを祈ったが二人とも連絡はマメに返してくれるのですぐに通知が来てしまった。ちなみに秋雨も確認しているだろうけど常に冬雪と一緒にいるので大体連絡は冬雪経由でやってくる。

 冬雪からは【そういう春陽は初めて見るけどいいと思うよ。秋雨も頷いてる】、四季神部長からは【紙山部員、趣味は人それぞれだが流石に肌の露出が激しいようにも感じる。似合うかどうかなら似合うとは思うが】と来ていた。

 

「ほら~似合ってるって~」

「いや四季神部長は肌の露出が激しいって言ってるし、別のにして」

「これから夏本番だよ~暑いと思うよ~?」

「半袖のパーカーは持ってるから別に買わなくても……」

「ダメだって~!とりあえず他の服見繕ってくるからちょっと待ってて~!」

 

 風のように服を物色しに行ってしまった。……元の服に着替えとくか。

 そういえば、冬雪で思い出したけどあのゴスロリ?の女の子はあの後冬雪の家にたどり着いたのだろうか。できれば彼女が使っていたカードについて詳細を聞きたいからもう一度会いたいが……まあマキアスでもないのに濃い外見だったし、冬雪の関係者なんだし会えるだろう。

 

「春陽~追加で持ってきたよ~」

「ありがと」

 

 次に彼女が持ってきたのは……なんだ?あ、なんか持ちにくいと思ったら肩の辺りに布がない服だ。スタイルのいい人間が着れば多分胸が強調されたりするんだろうけど最低限の膨らみすらない私だとストンとしてしまい見栄えが悪い。

 

「ど、どうかな?」

「うん、すっごい、いい……」

 

 パシャシャシャと夏雲の連写が止まらない……いや一体何枚とる気だこいつ。手持ち無沙汰なので膝までしかないスカートをつまんでピラピラとさせてみる。なんか気持ち連射速度が上がったような。

 

「はぁ……夏雲の態度的にお眼鏡に叶ったようで何よりだよ」

「叶うもんじゃないよ~!想像を超えてきてヤバ~い!」

「だったらその写真消して」

「それは無理~」

 

 そう言いながら彼女はまた私たちのグループに写真をあげた。あんだけ連写していたのに共有されたのはたったの1枚だけだ。なら他の写真なんて容量を圧迫するだけの無駄(ゴミ)なのになぜ消さないのだろうか。

 

「あれ~二人とも返信来ないね~」

「いや即レス来るほうがおかしいでしょ。二人にだって用事はあるんだし」

「じゃあ、待ってる間に3着目も行ってみよ~!」

「おー」

 

 そうして私の夏雲のためのファッションショーは続いた。服を変える度に夏雲がグループに共有していくのですごい恥ずかしい。言うなれば《魅了なんてされない狂気の跡》だ。

 そういえば《魅了せし狂気の跡(ルナティック)》はのカードイラストは結構謎だ。何もない荒れ果てた灰色の大地と黒い空だった。それのどこに魅了されるのだろうか意味不明だ。

 

「ふ~春陽~気に入ったのあった~?」

「不承不承ながら気に入るのは何着かあったよ」

「素直じゃないな~でもあったようで何よりだよ~それ買って次の店に行こ~」

「次って、まだ服を!?」

「いやいや普通にご飯屋さんに行こうって話だよ~」

「よかった……じゃあ私会計済ませてくるから、って何でついてくるの?」

「え~?私が選んだんだからどれがお気に召したのかな~って」

「それもそうだ」

 

 私が購入した服は普段の私なら手に取ろうともしないタイプの服だ。足元まで丈が長いカーディガンとショートパンツ、後はシンプルな無地の半袖のシャツだ。

 ショートパンツなんて食わず嫌いしていたが案外性に合っていた。ロングパンツの方は身長の問題から似合わないとわかっていたがショートパンツの安心感がすごい。

 

「春陽って~オーバーサイズの服が好きだったりする?」

「……そう言われればそうかも」

「春陽は小っちゃいから大きく見せたいの?」

「うっさい」

 

 軽いローキックを夏雲に向けて放つが彼女は一歩引いただけでひらりと躱されてしまった。足のリーチ差っ……!

 会計を済ませた後、私たち二人はショッピングモールのフードコードにやってきた。チェーン店しかないが、安定して美味しい食べ物が食べられるわけだしとてもありがたい。

 

「春陽は何食べる~?私はクレープ!」

「え、それお昼ご飯にするつもり?私はえっと……ハンバーガーにしようかな」

 

 先に席だけ確保しておいて各々昼食を買いにいくことになったが、ハンバーガーの方はさっさとできたのだがクレープの方は列が長くまだまだ時間がかかりそうだ。

 ……さっきの夏雲は納得ができるものだった。他の人に褒めてもらえた方が自信がつく。だから私はグループ共有された画像から先ほど私が買ったセットの画像を保存して、(はざま)さん相手のチャットアプリにも流した。【この服買ったんですけど似合ってますか?】というメッセージを添えて。

 十数秒待った後間さんからはサムズアップのスタンプが送られてきた。もっと文章で褒めてほしい気持ちも強かったが今日は午後からシフト入ってるしそうすれば生の声で聴くことが出来る。早くバイトの時間にならないかな……。

 

「春陽~お待たせ~いや~クレープ長くってさ~」

「待ってる間にシェイク飲み終えたんだけど」

「ごめんって~ほら一口」

「許す……美味しい」

 

 夏雲が買って来たのは季節限定春のフルーツ盛り合わせクレープというらしい。私が食べたのは桃の部分だが他にもいちごとかゴロゴロ入ってる。

 

「お返しにポテトどうぞ」

「わ~い、あ。食べさせてくれてもいいんだよ~」

 

 そう言って彼女は口を開けてポテトを迎え入れる準備をする。今日の服を選ぶことができたのは夏雲のおかげだしこれくらいの恩返しはすべきだろうと思って、私はポテトを一本手に取って彼女の口に運ぶ。

 

「春陽の手から渡されたからすごっく美味しい~!」

「手汗とか出てた?」

「違うって~も~春陽はそれを本気で言ってるのが怖いよ~」

 

 その後雑談をしながら昼食を終えた。ちなみにポテトを夏雲の口に運ぶ作業は5回目あたりからめんどくさくなったので残りを夏雲にあげることにした。

 

「ごちそうさまでした。この後だけど前から伝えてたけど私バイトあるから解散ね」

「バイトバックレる気とかない~?」

「ないない、オリンピアに向けてデッキを強化したいし軍資金はあった方がいいし」

「あ~オリンピア~私も勝ちたいけどデッキどう強化しよ~」

「ミグラトリーはやることシンプルだから強化の方向性悩むのはわかる」

 

 あのデッキはスワローの効果で全員にアンブロッカブルを付与して一斉突撃、受けはインタラプトスペルに頼る中速除去ビートデッキだ。私のFIと動きは近いが私の方は能動的な除去は全てシルエットだよりで相手のライフを詰めるターンとシルエットを取りにいくターン両方必要になってくる。そのため結構立ち回りが異なる。

 強化案だが防御を薄くして打点を上げる効果のスペルを入れてもいいし、逆に除去札を増やしてロングゲームを視野に入れてもいい。その人の方向性で如何様二も伸ばせるいいデッキだ。しかし夏雲がそこまで悩むなら……。

 

「いっそ私みたいに別のデッキを握るとかは?」

「デッキ動き覚えるの苦手だから~春陽みたいにそう簡単に乗り換えはちょっと難しいかも~」

「そっか……」

 

 会話が途切れてしまった。私と夏雲はマキアがなければ関わり合いにならなかった人間だ。そのマキアの話題が尽きると何を話せばいいのか途端んい分からなくなってくる。

 そうして話題を考えていると不意に私たちのスマホが同時に着信をメッセージを受け取った。

 

「あ、冬雪からだ~」

「四季神部長からもだ」

「同時ってことは一緒になんかやってたのかな~」

「かもね」

 

 送られてきた内容は先ほどとそう変わらない内容だったがなぜか四季神部長の方からは露出についての言及がなくなっていた。あれだけミニスカとか履いていたから感覚がマヒったのかもしれない。まあ何にせよ今度50勝先取の命令権で間さんと遊びに行く時の服は決定して何よりだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

これがカードゲーム世界というやつか(多分違う)(作者:初心者)(オリジナルファンタジー/日常)

▼ ある日、カードゲームの世界に転生した俺。まだネットが普及してなかったから、先んじてカードゲームアプリを作る。▼


総合評価:475/評価:7.36/連載:7話/更新日時:2026年03月15日(日) 12:17 小説情報

ザコ妖魔ごときに私の処女が雑にコキ捨てられるなんて!?という退魔巫女たちがヒロインのエロゲーにTS転生してしまった元男の私が発情して妖魔を食う話(作者:エルフスキー三世)(オリジナル現代/コメディ)

よくあるエロゲー世界にTS転移してしまった元男の話▼主人公は黒髪赤目の黒塗りセーラー服を着た素でなんか企んでそうな(企んでない)ツラしてる妲己系美少女です!▼女子高生(ガワ)×女子大生(退魔巫女)のカップリング!▼疑似百合です!▼それでもよろしいという方はGo!▼


総合評価:1725/評価:8.05/短編:6話/更新日時:2026年01月20日(火) 00:15 小説情報

(ガワだけ)胡乱なカードゲームおじさん(作者:十田心也)(オリジナル現代/冒険・バトル)

【バトルワールド】▼それはただのカードゲームに非ず▼それは世界中の人々を熱狂に導き、いまだ醒まさせない▼ある国では1枚のカードを手に入れるため、世界有数の富豪が一文無しになり都市が壊滅した▼またある国では、そのカードゲームが最も強い者が皆を率いるリーダーとなった▼長年争っていた両国が、1回のカードゲームの勝負で終戦に合意したこともある▼カードゲームの枠を超え…


総合評価:2907/評価:8.3/連載:15話/更新日時:2026年05月20日(水) 18:30 小説情報

強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました(作者:Yura0628)(オリジナル現代/冒険・バトル)

ミサイルの爆発に巻き込まれた強化人間イーグル1。目覚めた先は、魔法少女が戦う過去の地球だった…!▼自身の体が女性に成っている事に困惑しつつ、元の世界に戻るため、イーグル1は魔法少女として戦う事の対価に、この世界の組織に協力を取り付ける。だが、襲いくる強力な魔獣を相手していく上で、身体的損傷を許さざるを得ない状況に追い込まれ…彼女に救われた魔法少女達は、目から…


総合評価:1868/評価:8.5/連載:37話/更新日時:2026年05月09日(土) 11:11 小説情報

監視クローン大量生産系TS主導者「どうしてこうなった」(作者:ギンの助)(オリジナルSF/冒険・バトル)

類稀なる天才的な頭脳を持ったある青年は、世界をひっくり返すような大発明をするが、それが原因で世界が滅び、自分も死んでしまう。▼女神からチャンスを与えられ別の崩壊世界で生き直すことに。▼↓▼その世界で心機一転「頑張るぞい!」ということでTS娘として頑張った結果、TS娘をオリジナルとしてTS娘のクローンロボットが一家に一台レベルで配置され、そのロボットが世間を監…


総合評価:1557/評価:7.8/連載:6話/更新日時:2026年01月30日(金) 22:24 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>