ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった 作:七夕茸
文字コード変換というものを知りました。濁点を付けられるの便利
カードを引く。私はその行為をただ事務的に行っていた。
だが四季神部長曰くプレイヤーの気持ち次第では狙ってカードを引くことが出来るとか。
オカルトだ、非現実的だ。
だがそれはあくまで前世の常識だ。
ならこの世界では常識なのかもしれない。そもそも私自身、転生なんてものをしているのだからオカルト云々は今更だ。
だからやる価値はある。気持ちを込めるだから、手間もかからないし。じゃあなんの感情を込めようか。
……決めた『殺意』だ。
自己紹介もしてないから名前も知らない目の前のミニスカメイド少女。だが私からの第一印象は最悪だ。夏雲や
逃避ではなく排除を真っ先に考えてしまった。だから『殺意』
引いたカードで相手を殺しきる、そう思いを込めて私はカードを引いた。
「ドロー……」
引いたカードは
でも、今引けたところで私の残りライフは6で相手のライフは9、このターンでライフ5を支払ってもそのままだと届かない。幸いエナジーは8もある、だからまだだ。
「3コストで《
「隣のやつか、ダウン状態で召喚なんて気合いが足りてねーな」
「さらに5コストで
これでライフは7、相手のシルエットは一体だけだしプロフィールの効果もあるならまず耐えられるはずだ。サイクルスペルはいわゆる永続魔法で、毎ターン効果が使える。だからある程度の耐久が期待できる。
ミニスカメイドの顔色を見てみるが心底不機嫌そうだ。少しすっとした気持ちになる。
「うざってぇ……めんどくせーな!あぁ!?ちまちまライフ回復して勝つ気あんのか?ちっ……雑魚だから時間稼ぎしかできないってか。あーなるほどな潰す」
うるさいな、大きな声ばかり上げて……うちのクレアが怖がったりしたらどうする。
あとプレイヤーとその使うデッキは似るみたいなことはないが、それでもカードが勇者を名乗ってるのになんでそんなにヤンキーみたいな言動なんだろうか、謎だ。
「俺のターンドロー!ちゃっちゃと終わらせてやる8コストで《
三種類目の《フラム》……
「そしてそのままバトルだ、赤炎の勇者で攻撃してその時に効果発動!手札からスペルをノーコストで発動する!《勇者の激励》!このターンの間俺のシルエット全員の打点を1追加するぜ。これで赤炎の勇者は打点4、赤熱の勇者は打点3だ!」
「ライフで受ける……!」
エナジーを使い切っている以上ライフで受けるしかない……覚悟はしていたとはいえ一撃で4打点は想定外だ。
「ライフが5以下に減少したとき時にプロフィールの効果発動!赤熱の勇者を選びこのターン攻撃不能に!」
「ちっ、クソうぜぇ……ターンエンドだ」
残りライはフ3、《満ちる鏡面》で回復できるとしても4……逆境だ。だからこそ勝ちたい、殺意と脳の回転を緩めるな。
「ドロー」
引いたのは見覚えのないカード。そういえば
気持ち悪い……自分のデッキじゃ勝てないと宣告されたようだ。それはつまり私のデッキの否定で、私自身への否定だ。
…………あ、まずい。対戦相手だけでなく自分のデッキも嫌ってしまうダメだ。これはクレアのデッキで私が彼女とともにあるために必要なデッキだ。これからも付き合っていくものを嫌ってはダメだ。
「カミヤマ!」
「……なんですか?」
クレアの声が聞こえてそちらを見る。できれば今話しかけないで欲しい。彼女のことも嫌いになってしまいそうだ。
「ボクを見て!」
「見ましたけど」
「ボクはカミヤマにどう見えてる?」
「質問の意図がわかりません……マキアスの女の子?」
「ボクが普段通りに映っているならいいんだけど、変な風になってない?」
「大丈夫です」
クレアに心配されてしまった、我ながら情けない。自分が嫌いになる。
「カミヤマ!」
「はい」
「また変な風になろうとした!」
「……よくわかりますね」
「ボクはカミヤマのコンビだからね!」
答えになってない気がするが……何はともあれクレアのおかげですっかり感情の糸が切れてしまった。今からもう一度暗いあの感情を作るのは難しい。ドローはできているので何をすべきか考えよう。
相手の盤面のシルエットは行動済みなのが
私の盤面はプロフィールが一体のみ残りライフは3。手札は潤沢、エナジーは9もある。
「まずは、サイクルスペル《満ちる鏡面》の効果でブッロをデッキの下に戻してライフを1回復して4にします。そして5コストで
「あん?やっと攻める気になったか?」
「さらにライフ1っっあ゙あ゙あ゙……と!2コストを支払ってスペル《口伝されしモノ》を発動!このターンの間私がライフを失った時に同じ値回復する!そしてバトルプロフィールで攻撃!」
「そっちのパワーは1600ぽっちか?なら《赤熱の勇者》でブロックだ!」
「この瞬間!インタラプトスペル発動!2コストで《狂戦士の特攻》!このターンの間パワープラス1500!」
攻撃力3100となった
無手の女の子対武器と鎧を身にまとった大柄な人間。現実だったら勝負は火を見るより明らかだがマキアにおいては違う。
少女が素早い動きで鎧の上から中段蹴りを放つと受け止めた人間はそのまま倒れてしまった。
「くそっ!《赤熱の勇者》はバトルに負けて破壊される。ただこれでお前の攻撃は終……」
「まだ私の攻撃は終わってない」
「は?」
「《狂戦士の特攻》の効果により付与したシルエットのバトル終了時私はライフは1減少すっっる……。そしてプロフィールと《口伝されしモノ》の効果発動!私のライフは1回復し、プロフィールはライフが減少したとき5以下なら
「待て。」
「もう一度プロフィールで攻撃!」
「待て……待て」
「元々の打点プラス
「くそっ!ライフだ!」
「《狂戦士の特攻》、《口伝されしモノ》、《
一々痛みで声を上げるのも億劫になってきた。しょうがないので舌噛んで食いしばる。
「そいつは今、バトルはしてねぇはずだろ!?」
「
「クソが!インタラプトスペル《再起する勇者》!俺のライフが5以下場にコスト7以上の勇者シルエットがいる時、そしてこのターン自分の勇者シルエットが破壊されてる時にノーコストで発動できる!俺は《赤炎の勇者・フラム》を指定し、そいつの打点分のダメージを俺が受けることで……クッソ痛ぇ!アクティブ状態にさせる!赤熱の勇者でブロック!」
動かないと思ってたのに動かれたことで慌てて赤炎の勇者のパワーを確認するがそれでも3000だ。プロフィールのパワーには100だけ届かない。
「なら、赤熱の勇者は破壊!そしてコンボによりプロフィールは回復し再度攻撃!」
「ライフだ!」
「
「くそがっ!くそがくそが、くそが!」
プロフィールが右手で拳を作ってミニスカメイド少女のお腹に一撃を加えて勝敗は喫した。私は勝利の余韻を噛みしめながらいつも通りの言葉を宣言する。
「
とてもすっきりした。