ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった 作:七夕茸
竜剣士マジェスティPの効果で白き森のフィールド魔法を持ってきて白魔女ディアベルゼと断罪のディアベルスターを並ばせる感じです。
相手ターンに出た、マジェスペクターユニコーンと白き森の幻妖でそのターン中にバロネスが出来るのが楽しい。
ザゼゼーン回避!ザゼゼーン回避!ザゼゼーン回避!
運営は連続攻撃型のザゼゼーンを見捨てなかった!
「っかー!負けたー!んだよそのコンボ……止められねーわ」
「これでボクたちが雑魚じゃないってショーメーできたでしょ!謝って!」
「そんな勝負でしたっけ?」
振り返ってみればなんで私たち勝負してたんだろう。一応ここにいるのはマキアをするためなのはわかってるけど……なんとなくマキアをしてただ勝った、それだけな気がする。
「なんでマキアをしてたてめーがわかってねーんだよ。俺がお前らが侵入者かどうか見極めるそんな話だったろ?」
「違うよ、こいつがボクたちのことを雑魚って言ったことが原因だよ!」
「私としてはマキアに勝てて部の皆のポイントになれたのでよかったということにしたいです……」
勝ちはしたが嫌悪感はまだ完全には拭いきれていない。さっさとこの場を離れたいなと思っていると空から今回の主催である
周囲を見回すとカメラとマイク、スピーカーのついたドローンが飛んでいた。どうやらそこから彼女の声が聞こえてくるようだ。
「素晴らしいマキアでしたわ!春陽さんは去年とは全く違うデッキを持ってきたのには少々驚きましたが、それで
「えっと、ありがとうございます」
直前まで負の感情で埋め尽くされていた私の心に、京さんの純粋な好意が混じってきて気恥ずかしくなってくる。
「それはそうと……
「マジか……」
「でも今回は乱入制を導入してますし二人の手助けもすれば多少は穏やかになるのではなくて?」
「確かに!こうしちゃいられねぇ、行ってくる!《召喚》!」
見るのは四季神部長たち含めてこれで3度目だが、何度見たってあり得ないと思ってしまう。もしかしたら今見ているのは夢なんじゃないかと疑ってみるが自分の頬をつねってもちゃんと痛い。
「えっと?春陽さん急に頬をつねってどうなさりましたの?まさかこの一年にそういったご趣味に目覚められて……だからそういったデッキを!?」
「なんのことですか!?そういった趣味はありませんけど!?」
「そうだよ!カミヤマはそうった趣味もないのにボクを使ってくれてるんだよ!」
なんかさっきまでの衝撃が吹っ飛んでいってしまった。夢であってほしいけど比較的脈絡があるのでこれは現実だ。悲しいことに。
「それで春陽さん、これからどちらに行かれるのですか?決まっていないのなら少しお話をしませんか?」
「いいですよ、歩きながらでよければですけど。こっちからも聞きたいことがありますし」
私は目標地点に定めていた山頂へ向けて歩みを進める。クレアも休憩は十分に取れていたようで元気に山道を歩いている。
「それでは三春さん、わたくしに聞きたいことってなんなのですわ?」
「あ、こっちから話すんですね。では単刀直入にあの《召喚》ってなんなんですか?」
先ほど
「……春陽さんはあれを見るのが初めてでいらして?」
「そりゃそうですよ、クレアも初めてですよね?」
「うん!」
「そ、そうなんですのね。……あれは……そう!最新技術なのですわ!」
「やっぱりそうなんですか」
最新技術なら仕方ない……ってなるかぁ!カルテさんが召喚してた時も四季神部長がすごい冷や汗だらだらだった。そして今の言い淀む京さんの態度、絶対既存の技術だ。
しかし、何か知っているのはわかっても絶対に教えてくれないだろうな……ここからどうやって深堀りしていこうか。
そう考えていると意外な方向から助け舟がきた。
「さっきカミヤマもできてたけどすぐに消えちゃったし、コツとか知りたいんだよねー!」
「そ、そうですね!」
「春陽さんも召喚できたんですの?」
「ええ、まぁ四季神部長やカルテさんがしてるの見てマネしてみたらなんかできた感じで……」
「そ、そうなんですのね……
あ、なんだか揺れてる。押せばいけそうな雰囲気だ。
「じゃあ教えてください!」
「でもやっぱり秘密ですわ!」
「そっかー残念だねーカミヤマ」
「ですね」
チっ……ガードが堅い。しかし京さんは一度決めたことは曲げないタイプなはずだ。そんな彼女が秘密と言った以上これ以上の追求は無理か。まぁ本人の口から秘密であるという言質は取れた。つまり知ってはいるのだ。
「では次はこちらの質問に答えていただきたいですわ」
「私に答えられることならなるべく答えますよ」
核心に迫ったことは何一つ聞けなかったが、それでも知っているという情報自体は得られた。ならこっちも誠意を示すべきだ。
「春陽さんは、冬雪さんと幼馴染ですわよね?どうやって仲良くなったのか聞きたいんですの!」
「どうやってと言われましても……小学三年生くらいの時にクラス替えで同じクラスになってそこから小学校の間はずっと同じクラスだったから話す機会も増えてなんとなく仲良くなった感じですかね?」
よくある友人のできかたで、これ以上補足する情報もないと思う。一応、小学五年生の時に冬雪が秋雨ちゃんとコンビになって、私が秋雨ちゃんに近づくために距離を詰めようとしたのはあった。
「そうですの……」
「ご期待に沿えなかったようで申し訳ないです。よければ質問の意図を聞いても?」
京さんが何を考えてそんな質問をしたのかわかれば解決法は京さんが考えているものでなくても大丈夫なはずだ。ヒアリングは大事だ。
「わたくし、身近にお友達が一人もいませんの。だから、わたくしと似た境遇でいらっしゃる冬雪さんとお友達でいらっしゃる春陽さんに話を伺いたかったのですわ」
「そうなんですね……」
私は彼女の言葉を否定するつもりはない。会うのはこれで今日で二回目だが、それでも察するものはある。
同じ制服に身を包んでいるのにも関わらず京さんと彼女以外の部員には大きな壁があった。腫れ物扱い……とかではなく身分違い故の壁と言うのだろうか?
彼女の周りには確かに人が集まっていたがそれが彼女の何に由来するのかはわからない。先ほど火奈と呼ばれていたミニスカメイドはお嬢様なんて言ってたしその辺りが原因か?そういうことなら彼女が私に質問してきたのも納得できる。冬雪は所謂お嬢様に属する人間だからだ。
……これらが分かったところで私ができることはなんだ?
「ミヤコの言いたいことがよくわかんないけどボクたちは友達だから手伝うよ!」
クレアが元気に、なんの手立ても考えずにそう宣言する姿がとても眩しい。そしてその言葉多分最適解なんだろうというのもなんとなくわかる。
「ですね」
一歩遅れて私も同調する。言葉なんて気休めで意味のないものだ。それでもこの場において最もふさわしいものなので私は言葉を紡ぐ。
「春陽さん……ありがとうございますわ!」
スピーカー越しの声が涙ぐんでいるように聞こえる。泣かないで欲しい。感謝しないで欲しい。ほっとくことでしか解決しないものは苦手だ。
そうして歩いていると山の頂上に到着した。意識の切り替えだ。ここから見渡せば相手方の部員を探すのも楽だし、夏雲たちも簡単に見つかるだろう。
そうして辺りを見回していると、頂上まで爆走してくる一団が目に入った。
「春陽!無事!?」
「ん、三春はしぶとい子だから大丈夫なの」
先頭に現れたのは冬雪と秋雨ちゃんのコンビだ。その後ろをクラシカルなメイド二人組が追いかけてきていた。
鬼の形相で、【春陽というやつは誰だ、お嬢様を泣かせたな】という文言とともに。
京さんたちの名前は近畿地方の県名から一字とった感じです。
京 京都
火奈 奈良
三砂 三重
兵華 兵庫