ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった 作:七夕茸
どんどん光単ウィリデと呼ぶべきデッキになってきてる気がするけどまだザゼゼーン無限攻撃デッキなはず、きっとそう。
相手ターンにウィリデ効果でスローリーチェーン唱えられるのは若干強いと思ってる。
あっちは外部ゾーンから切り替えて使うが秋雨ちゃんは手札からにしか対応していない。
相手に合わせて動けるデッキなのにそれは自分の手札で左右されてしまう。それに秋雨ちゃんの装備後の姿は通常の方法で召喚できない制約持ちだ。一応スペルを使えば出せるが装備体の効果でターン終了時には手札に戻ってしまう。あくまで一時しのぎでしか使えない。
そのため理論上はデフォルトの秋雨ちゃんを出せなければ無防備な盤面を晒すことになる。
だけどなぜか冬雪は毎回一ターン目に秋雨ちゃんを場に出して相手に合わせて的確に装備させてくるのだから彼女相手に常識を考えるのは諦めた。
「それはそうと、どうしようか」
冬雪待ちもいいけど一応自分の力だけでも抗いたいものだ。相手のメイドさんの効果はブロック時に発動するものだ。そしてその効果の都合上パワーも同コスト帯に比べて高い。
「だけど相性が最悪だなぁ……」
《
「
「しませんが」
対戦相手のメイドさんがサレンダーを促してくるが、初対面なはずなのによくわからない理由で
「5コストで《
動けない……待つというのは嫌いだ。カードゲームにおいて最も弱い効果である相手依存。知っていれば引っかからないし、そうなってしまえばただの
私が今とっている戦術もそれだ。相手の効果をブロック時だけだと期待して、こちらが動かなければ動かなければ相手もなにもできないと思っている。そしてその代償としてこのデッキの最大の強みである攻撃力を捨ててしまっている。
フラストレーションが溜まっているのがよくわかる。苦手な戦法で、理不尽な要求、気持ちよくマキアさせてくれないことに対するストレスがかかっているのが分かる。
……イライラするな、ポーカーフェイスを崩すな。不快な表情を見せたら相手も不快になる。
マキアは楽しい、マキアは遊びだ。礼を欠くのはよくない。
******
「じゃあこちらのターンに入ろうか」
「フユキ、やったれー!」
なるべく早く春陽を助けに行きたいのは山々だけどその前に確実な勝利をだ。
「ドロー、3コストで《ストロング・エマージェンシー》2枚ドローしてその後手札1枚を墓地に送る。そしてバトルに入り秋で攻撃」
「ライフで受けます」
通常の秋が携えている装備は暗器だ。ちなみに今回飛び出したのは紐の先端に棘だらけの鉄球が付いたもの。あの細い体のどこに隠し持っているのかいまだにわからない寝る前とかお風呂に入る時も確認しているはずなのに。不思議だ。
「秋の効果発動、自身を手札に戻して手札から《
村雨ノ装は侍みたいな恰好で、秋が真正面から戦う場合の戦闘フォームだ。私の足のこともあって最近ではめっきり見なくなってしまった。
「……ライフで受けます」
「村雨ノ装は打点は2だから2ダメージ受けてもらうよ。そしてターンエンドだ。その時に村雨ノ装の効果で自身を手札に戻して秋を場に出す」
「なんかフユキのデッキすごいぐるぐるしてるねー」
「ウチは自分のコスプレが知り合いにばらまかれるみたいであまり気乗りしないの」
顔を真っ赤にして照れる秋はかわいいなぁ……!けど実際に口にすると半日は口を聞いてもらえなくなるので我慢我慢。
「流石ですね。冬雪様、秋雨様」
「様って呼び方されるの慣れないなぁ……もっとフランクでいいんだけど」
「いえ、
「フユキってなんか偉い人なの?」
「そうですが……なぜマキアスであるあなたが冬雪様たちのことをご存知ないのですか?」
「知らないよー。マキア部の部室ぐらいでしか顔合わせないしねー」
「
「は、はぁ……」
一応春陽が持っている他の《観測されるモノ》のシルエットの名前でも確認してみたけどどれも未登録で
そういえば間さん、ここ数日はなんかテンションがおかしくなっていたのか仕事を数日分終わらせて休みを取ろうとしてたし。お土産ぐらいは買って帰ろう。
「ええと、では私のターンです。6コスト《六叉竜ギドグロス》を召喚し、召喚時効果で手札または墓地から《三叉竜ギド》を2体まで場に出せるため墓地のギド2体を場に出しターンエンドです」
気を取り直してマキアに戻ろう。先ほど破壊したばかりのシルエットがなんのこともないように蘇生されるのは少し厄介だな。
「ドロー……秋、もしかしてあんまり乗り気じゃなかったりする?」
いつも通りならこの場面に最適なカードを引けるが、今引いたカードは今の盤面をどうにかできるがそれ以上の効果は期待できない。こんな引きの時は大抵私と秋の心が一致していない時だ。
「否定はしないの。でもウチは冬雪と一緒にマキアするならやる気は出るはずなの!なのに鳥肌が止まらないの!頭では何をすべきかわかってるのに、春陽なんかのためにウチが体を張るのを心が嫌がってる感じがするの!」
「カミヤマってもしかして嫌われてる?」
「やはり京お嬢様を泣かせたというのは誤解ではないのではないですか?」
「そっか」
両腕で自身の身体を抱きながら震えてかわいい秋の言い分も少しだけ理解できてしまう。
今は鳴りを潜めているが春陽は秋に対して私よりもキモい時があった。今は自分のコンビがいるからそっちに意識が向いているけど小学校の頃は、コンビになった私たちに付きまといどうやったらコンビになれるのかを四六時中聞きに来ていた。
そしてさり気なく秋の身体に触れて人間の身体とどう違うのかとか調べてきたこともあった。あれは流石に許せなかったので二人で春陽にお灸をすえたが、その後も何事もなかったかのように私たちと絡んできたため秋は春陽若干苦手意識を覚えるようになってしまっていた。
一応最近は春陽も大人になったのか秋にむやみやたらにボディタッチをすることを辞めてきたので日常会話をする程度にはなっていたが潜在意識ではまだ春陽に生理的嫌悪を覚えていたんだね。
「3コストで《
「おーナグモが使ってたやつ!」
「あれは私があげたカードだからね。そしてバトルに入り秋の効果発動。自身を手札に戻して《
「ラ、ライフで受けます」
「ターンエンド、するときに霧雨ノ装の効果発動。自身を手札に戻して秋を場に戻す」
さてこれで
「ドロー、3コストで《三叉竜ギド》を三度召喚します。召喚時効果で先ほどデッキに戻されたギドを手札に加え、さらに2コストで《死に至る愛》を唱えます。効果は自身のシルエット1体を破壊して相手のシルエット1体を破壊します。私はギドを破壊し、そちらは秋雨様を指定します」
自身のシルエットを犠牲とした確定除去。十分な信頼関係を培っていないと後々禍根を残すため世間一般には使われないカードだがまさか使ってくるとは……。
だけどその効果では秋を侵すことはできないよ。
「秋の効果はいつでも発動可能だ。よって効果発動!自身を手札に戻して手札から再び《秋めく心・秋雨─
銃の筒に入り弾丸となった太ったヘビが秋を襲うが、効果により手札に戻った秋は着弾する前に姿を消し、忍者衣装を来た秋が正体を表す。
「バトルに入り、《六叉竜ギドグロス》で攻撃します」
「ライフで受けるよ」
ギドと呼ばれたヘビよりは細く長くなり竜という呼称が納得できる双頭のヘビが襲ってくる。デフォルト衣装の秋でならブロックしてもよかったけど装備を変更してる秋が破壊された場合はそのまま墓地に置かれてしまうためブロックはできないから温存のためにもライフで受ける。
「ターンエンドです」
「じゃあその終了時に細雨ノ装の効果で手札に戻り秋を場に出す。そしてこっちのターンだ」
山札の上に指を置き、カードを一枚引き抜こうとするといつも通りの重さを感じる。秋と同じ気持ちでとても嬉しい。
「秋、そろそろ決めに行くけど大丈夫そう?」
「ん……春陽のためにするって考えるとまだ鳥肌が立つけど覚悟は決めたの」
「ありがとう、じゃあドローしようか」
私が確認を取ったのは次に引くカードをなんとなく察したからだ。秋とコンビになって5年以上、その間死闘とも呼べるものを何度も経験したからこそ私たちは盤面ごとに次に引けるカードが分かる。だから私はデッキから引いたカードを見ずに唱えた。
「7コストを支払いスペル発動!《秋雨の嫁入り》!」
そう唱えた直後フィールドの中に降るはずのない雨がぽつりぽつりと降り始める。このスペルを唱えるといつもこうなのであまり気にしない。
「効果で手札から秋雨と名のつくシルエットを全て場に出す。こうして3体以上場に出せた場合、さらにデッキから《
その後は一斉攻撃をして三砂さんのライフを削りきった。私のデッキ的にはまずまずの速度で倒せたと思うけど春陽は大丈夫だろうか……。
秋雨のコスプレ考えるの楽しい。秋雨のデフォルトは山ガール系だと作者が嬉しい。
エリア分割についてはビルドの三つに分かれ、混沌を極めていたのシーンイメージ