ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった   作:七夕茸

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兵站兵・ステムの効果に表記ゆれがありました。相手の打点依存と書いていたのをブロック時に1エナジー増加に変更しました。
今更ですがブッロが初めて場に出た話だと効果が微妙に違っていました。修正してそれ以降のライフ1をコストでエナジーと手札を2つ増やす効果にしました。
ガバガバ構成で本当に申し訳ございません。


第三十話

「くっ!お嬢様を穢した不届き者を処断できなかったとは不覚!」

「穢したって……とりあえず全員の事情の把握をしようか」

「ですね。一応マキア中にも話しましたけど要領を得なかったですし」

「三砂さんたちと春陽はほぼ初対面だし、まずは自己紹介からしようか」

 

 かくかくしかじかで自己紹介を済ませることができた。私と戦った方が兵華(ひょうか)さん、冬雪と戦った方は三砂(みさ)さんらしい。

 兵華と言う名前で使っていたのが植物兵士のデッキって名は体を表しすぎでは?

 

「で、事の発端である。春陽、何か弁明は?」

「冬雪はどっちの味方なんですか!私の弁護をしてくださいよ……」

「いや、うん。春陽ならやるかなってね」

「あ、秋雨ちゃんは……」

「ウチも冬雪と同じ意見なの。それと教師として生徒同士の諍いは静観するの、美砂から守ってあげただけだいぶ譲歩してあげてるの」

 

 冬雪たちからここまで信用されていないとは思っていなかった。私たちは10年近い付き合いがあるのに私が他人を泣かすと思っているのだろうか?

 そしてジリジリと兵華さんと三砂さんが距離を詰めてくるのが怖い。

 

「まず、私たちの知っている情報を話しますからそれで判断してください」

「うん、じゃあ被告として誠意を込めて弁明してみて」

 

 カクカクシカジカと事情を説明してみる。しかし私が京(みやこ)さんと会話したのはマイクとスピーカー越しだ。表情という人間の感情を判断する上で重要な要素が欠けている以上事実をただ淡々と話すしかない。ちなみに相談された内容についてもしっかり京さんには不義理だとは思うが話させてもらう。

 

「……ということで私の耳には涙ぐんだ声が聞こえてきまして」

「うんうん!ボクもカミヤマの隣で聞いてたけどそんな感じだったよ!」

「なるほどね」

「これで私たちの無罪が証明できたと思うんですけど」

 

 兵華さんたちは黙りこくってしまう。……これで有罪判決されたらどうしようか。先ほどここまで移動してきた速度的に逃げきれない。

 

 

「春陽様の言い分は理解できました」

「それで判決は……」

 

 私は怯えながら顔色を伺うと2人のメイドさんが深々としたお辞儀をした。

 

「この度は私どもの誤解でした。お嬢様の相談に乗り、そして救っていただいたことに感謝致します」

「は、はい」

「誤解が解けてよかったね!カミヤマ!」

「今の感謝はクレアに述べたものですよ」

「そうなの?」

 

 京さんの心を動かしたのはクレアの言葉だ。ただ私はそれに同意したにすぎない。まるで私が主犯のようにするのはやめて欲しい。

 

「まぁそんなわけで、京さんの悩みの根本的にはあなた方の協力が必須なわけですけど冬雪はどう思います?」

「でもさっきボクとかカルテを友達だって言ってくれたよ?」

「京の悩みは、身近に友達がいないってところだからね。クレアたちが友達だとしても解決にはならないんじゃないかな」

「それはわかってますが……私どもの立場ではお嬢様のご友人などの立場にはなれません」

「……今更なんですが、京さんってガチのお嬢様なんですか?お二人の姿とか振舞、冬雪と知り合いってことなんで事実だとは思ってますけど」

「あーそっか。去年も会ったけどマキアだけして春陽と夏雲はさっさと家に帰したからね。じゃあ三砂さんお願い」

「畏まりました」

 

 そうして三砂さんによって語られた情報によると京さんは大企業の社長令嬢らしい。そしてこの学園の運営もしてるのだとか。あと冬雪とは先祖代々レベルで繋がりがあるらしく、西の京さんの家と東の冬雪の家といえばその手の界隈だと有名らしい。

 

「いや初めて聞いたんですけどその界隈。冬雪って他所より規模の大きい地主みたいな感じじゃないんですか?」

「春陽の認識で間違いはないよ。それと界隈については初めて話したから知らない方が普通だよ」

「なるほど」

 

 幼馴染の真事実をとりあえず飲み込むしかない。そんなことよりも京さんの悩みについてだ。

 

「それで京さんの友人増やし計画ですけど」

「その名前どうにかならないかい?」

「わかりやすさ重視でいいですよね、ね?クレア」

「うん!」

「はいこれで2対1なので話を進めますけど、一番手軽なのがメイドさんたちが友達になることなんですけど、それは本人たちの要望で却下と」

「そうですね」

「一応聞くんですけど他のメイドさん……あの乱暴な口調のミニスカメイドさんとかも同じ感じですか?」

 

 私が先ほどであった印象最悪のメイドの姿を思い出す。あんな人間なら目上の人間の目線が対等になるなら喜んで友達になりそうだけど。

 名前を上げていないのに、該当者が一人だけなのか三砂さんは頭痛をこらえるようなポーズを取りながら苦し気な表情で返答してくる。

 

「それはおそらく火奈(ひな)のことですね。確かにお嬢様のご友人になれると聞いて拒否しない人間ではありますが……その素行が悪くお嬢様の隣に立つ人間に相応しくないので」

 

 は?

 

「相応しくないってなんですか!?そういうところが京さんを孤立させてると思わせてるんですよ!他人を評価して京さんの友人にさせるより、あなたたちが相応しい友人になれるように頑張るべきなんですよ!それをくだらない理由で自分を除外しといて他人は評価するって何様ですか!」

「それができたら苦労はしませんよ!部外者だから好き勝手言わないでください!」

「部外者ぁ!?あなた方には相談できないから私に話が来たんですよ!」

「くっ……」

「冬雪の隣に居る私を見てくださいよ!ぶっちゃけお嬢様の近くにいるような人間じゃないです!ただのモブですよ!そんなのを大量に所望してるんですか!?」

 

 転生者であるという特異性はあるけれど前世の記憶があるくらいでこの世界においてアドバンテージらしいアドバンテージなんて一切ない設定(フレーバーテキスト)だ。

 

「京さんが求めているのは有象無象の誰かじゃなくて、あなた達なんですよ!?」

「くっ……」

「……なら私とマキアしてください。賭け(アンティ)です、私が勝ったら京さんと友達になってあげてください」

「誰が受けると……!」

「嫌ですよね、こんな木っ端なモブごときに負けたら罰ゲーム扱いで大事なお嬢様の友人になれなんて」

「お嬢様と友人になるのを罰ゲーム扱いですか!?お嬢様に相談を持ち掛けられたり、兵華に勝ったからって調子に乗っていませんか?賭け(アンティ)!私が勝ったら二度とお嬢様に近づかないでください!」

 

「「起動(セット)」」

 

「「実行(プレイスタート)」」

 

 フィールドが展開されるのと同時に賭けが成立したことを証明するブレスレットが出現する。コイントスの後先行は三砂さんに決まった。

 

「3コストで《三叉竜ギド》を召喚します!召喚時効果で《三叉竜ギド》を手札に!ターンエンドです」

「いいカードですね、私は手札から《観測されるモノ・ゲット》を場に出して召喚時効果でライフ1を支払い《観測されるモノ・チンウー》を場に!そして効果発動、ライフ1を支払いギドを破壊!バトルに入り一斉攻撃!」

「ライフで受けます」

「ターンエンドです」

 

 賭けをしているマキアだがサクサクと進んでいく。そうしてまた《三叉竜ギド》が出され私のライフを削ったところでこちらのターンにまた移った。

 

「ドロー!私はコストの代わりにライフ6を支払い《観測されるモノ・アサド》を召喚!そして5コストで《魅了せし狂気の跡》!をアサドに使用してバトル!アサドで攻撃!」

「2コストでインタラプトスペル《死に至る愛》を発動!ギドを破壊しそちらのアサドを破壊します」

 

 拳銃のようなものにギドと呼ばれたツチノコが装填されて打ち出される。

 だがアサドのたてがみにすっぽりと収まって沈黙した。

 

「な!?」

「アサドは召喚時に支払ったライフ未満の相手からの効果を受け付けない!」

 

 アサドの元々の打点は2、ゲットとチンウーによって削られていた三砂さんのライフ8をスペル込みで一撃で削りきった。

 

「終了(プレイオーバー)」

「そういえば春陽、今回は痛がったりしなかったね」

 

 冬雪に言われて気づく、そういえばそうだった。痛く……ない?ヨネ、

ウン

 ダイジョウブ

 

イタイ

 

くらい

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