ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった   作:七夕茸

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帰省中に寄った地元のカドショでG城のハッスルキャッスルが1枚250円で売ってたのを買えばよかったと後悔
真面目に超天使ゴルドランギーニとヘブンズサンダーで最小4マナでクロック系のターンスキップ、秩序の意思みたいな封印を除けば無限攻撃できるので白緑ザゼゼーンに入れてもいい気がする
それにザゼ、ハッキャ、ヘブンズサンダー+減れば増えるコインは天下のまわりモノで綺麗につながるのもいい。
ドギ逆を買ってない人間の妄想です。


第三十一話

「知らない天井だ……」

 

 重い頭を頑張って動かし左右を確認するが白いカーテンに遮られて何も見えない。体を動かしてカーテンを開けに行こうにも体がとても怠いので面倒だ。

 

「春陽起きた~?」

 

 知ってる声とともにカーテンが開けられ夏雲(なぐも)が顔を出した。

 

「おはよ」

「おはよ~……じゃないよ!春陽倒れたんだからね~!?」

「そうなの?」

 

 夏雲に事情を聞くと私はマキアをした後糸が切れたように倒れたらしい。そのせいで交流試合は切り上げられたとか。倒れた私は下手な病院より設備の優れているこの学園の保険室に運ばれたらしい。

 

「あーなんか思い出してきたような気がする。それで他の皆は?」

「部長たちはなんかやることがあるって~」

「じゃあ、私が倒れた原因って?」

「睡眠不足じゃないかって~。春陽さ~小学生じゃないんだから遠出前日に夜更かしは止めときなよ~。あ~心配して損した~」

 

 寝不足?そんなわけない。昨日は寝坊しないように早寝を心がけたし、それにあの感覚は小学生の頃から外出する時にたまにあったやつだ。

 なんかフラッと意識を失って気が付いたら夕方くらいになっていて一日の予定が潰れるのだ。今までは原因不明だったが、今回は考えられる要因がとても少ないためいい考察材料になりそうだ。

 夏雲から情報を聞き終わったのと同時に知らない人が入ってきた。いや厳密にいえば異なる世界の人間つまりはマキアスだ。

 

「起きたか?」

「あ、はい」

「春陽~この人がここの保険の先生だって~」

「……嘘でしょ?」

 

 保険の先生と言えばもうちょっと優しそうな雰囲気なはずだ。この人は白衣を着ていなければ裏路地で売人とかやってそうな風貌だ。まぁ白衣を着ててもマッドサイエンティストにしか見えないけど。

 

「信じる信じないは勝手だが後にしてくれ、それと真面目な話だからそこの巨乳は部屋を出てくれ」

「私も聞きたいで~す」

「守秘義務ってものがあるんだよ。あとで本人の口から聞け」

「じゃ、そういうことだから」

「え~……困ったことがあったら手伝うから呼んでね~」

 

 多分夏雲に頼るより冬雪とか四季神部長を先に頼るだろうからきっと呼ばないと思うが、流石に無粋なので私は黙って見送った。

 保険室のドアがきっちり閉められたのを確認した後保健室の先生と名乗ったマキアスは椅子を引っ張ってきて乱暴に座った。

 

「さて、早速だがさっきまでの話のいくつかは嘘だ」

「はい?」

「私はこの学校の保健室の先生ではないし、お前の体調不良の原因も睡眠不足ではない」

「は、はぁ……」

 

 前者は私に真偽を確かめる方法がないし、後者は私も感覚で知っていることなので訂正されてもはいそうですねとしか言えない。

 

「あまり驚かないな?まあいい。私の正体は秘密で、お前が倒れたのはマキアエナジーの不足だ」

「はい!?」

「こっちには驚くのか……よくわからんやつだな」

「マキアエナジーの不足って私人間ですよ?」

「人間から無尽蔵に湧き出るものだと思っていたのか?一時的にではあるが枯渇するものだぞ。まあ普通はマキアエナジーが枯渇なんてしないがな」

 

 さも当然というように言ってのける正体不明のマキアスの言葉はとてもじゃないが信じられない。もし信じるなら普通は枯渇しないものが何度も枯渇することになる。

 

「私、この症状何度もあるんですけど……」

「……よく生き残っていたな」

「え。死ぬとかあるんですか?」

「知らないのか?」

 

 保健室の先生ではないらしいため推定不審者でしかないマキアスがホワイトボードを持ってくる。ツッコミ所が多いが私の身体に関わる重要な情報っぽいので黙り込む。

 

「マキアエナジーは我々マキアスがこの世界で活動する上でも重要だ。しかしお前たちこの世界の人間にも必要なものなんだぞ」

 

 ホワイトボードに備え付けられていたペンを使って絵を書いていく。

 絵、下手だなぁ……。

 

「なにか言ったか?」

「いえ、何も」

 

 棒人間の方がいくらか人間に思えるくらいぐちゃぐちゃな人のような何かに人間と書き込む。字は綺麗なのがチグハグだ。

 

「これがお前な。お前ら人間から発されるマキアエナジーは感情の揺らぎによって生まれるって知っているよな」

「知りませんけど」

「何で知らないんだ?」

「何で知っていると思うんですか?」

 

 マキアエナジーはなんとなく生きているだけで発せられるものだというのがこの世界の常識で、言語みたいにみんないつの間にか知っていることだ。それを感情によるものだと言われても知らん、なにそれ。

 

「お前、東の結界師の部下なんだろ?このあたりのことは常識だろ」

「なんのことですか?」

 

 東の結界師ってなんだ、そんな中二心がくすぐられるものは初耳だ。しかし目を輝かせる私に対してマキアスは呆れた様子で見つめていた。

 

「お前ほんとに東の結界師の部下なんだよな?」

「だから誰ですかそれ。ワクワクする名前ですね」

「……東の当主が言ってたはずだから間違いないよな?さっきの巨乳じゃないよな?」

 

 巨乳……夏雲もきっとそんな中二病チックな身分だったらもっと私に自慢している気がする。夏雲が秘密を守るなんてことあり得ない。

 

「正直言って東の結界師とか東の当主とか気になるワードですけど、私に何を説明したかったんですか?」

「そうだな……もうさっさとその話して終わるか。体力つけろ以上!」

「は!?いやいやいやもうちょっと話せますよね!?」

「マキアエナジーは体力が大事鳴要素の一つなんだよ。分かれ。そして話は終わりだ」

 

 そう言い残して不審者のマキアスは去ってしまった。追いかけようにも体が重くて動けない。閉められるカーテンを私は見送ることしかできなかった。

 そうして見届けてから数十秒もしないうちに夏雲が戻ってきた。

 

「春陽~先生なんだって~?」

「体力つけろって」

「そっか~寝不足でも体力あるならどうにかなるって話か~根性論だね~」

「だね……」

 

 夏雲にあのマキアスを追いかけてもらうことも考えたが夏雲に借りなんて作りたくないし、追いかけたところでどうにもできない。

 だからさっきの気になるワードについて質問してみることにした。

 

「そういえば夏雲って私に隠していることある?」

「え?唐突にどうしたの~?もちろんあるけど~……聞きたい?」

「教えてくれるなら聞きたいんだけどさ、もしかして秘密組織の一員だったりしない?」

「何言ってんの~?」

「だよね。そうだよね安心した……」

「もしかしてどこか頭でも打った~?」

 

 夏雲が心配そうに頭を撫でてくる。普段なら叩き落とすところだが身体が怠くて動かないためただされるがままなのが癇に障る。

 

「別に頭の病気とかではないからやめろ」

「そう言っても叩き落としてこないのを見ると身体は正直だね~」

「くっ……こっちが身体をまともに動かせないことをいいいことに好き放題してからに」

「悔しかったら抵抗してみなさ~い」

「ふっ!」

 

 怒りを原動力に力を振り絞って頬を叩こうとするが虚しくもヒョロヒョロとした一撃として優しく彼女の頬を撫でるだけで終わってしまった。

 

「あはは~春陽はかわいいね~」

「かわいくない」

 

 間(はざま)さんといい夏雲といいなんでそんなことを言うのか分からない。表情に乏しい私のどこがかわいいというのか。

 

「……もう寝るから出て行って」

「夕飯食べてないのに寝るの~?お腹大丈~夫?」

「できれば食べたいけど、夕飯食べたら歯を磨きたいしそしたらお風呂も入りたくなるからいい」

「そっか~お風呂もいけないの辛いね~」

「ドラッグストアとかで防災コーナーに清拭(せいしき)シート売ってるからそれ買えればいいんだけどね……」

「ドラッグストアにあるならこの保健室にもあるもんじゃないの~?」

 

 なぜそうなるとツッコミたくなるが見つかったら嬉しいので止めはしない。山歩きをしてその分汗もかいていて、できれば拭きたい。

 カーテンの向こうに消えた夏雲はガサゴソと物色していると「あったよ~」という声とともにそれっぽいものを持ってきた。

 

「じゃあ、お願い」

「なにが~?」

 

 私は夏雲が服を脱がせやすいようにゴロンと身体を横に向ける。

 

「私のさっきの力弱さ見たでしょ。だから私の服脱がして背中だけでもやってもらいたいんだけど」

「……?」

「私の服を脱がして拭いてって言ってるんだけど」

「いやムリだけど!」

「なんで?別に同性同士なんだしそんな気にするところではななくない?」

「同性同士でも気にするものは気にするよ~!!」

 

 夏雲はギャルなはずなのに恥ずかしいって感情あるのか……。

 まずい、さっきまでそれほど気にならなかった汗のベタつきが気になってきた。さっさと拭いてほしいな。

 

「じゃあクレア呼んできて。頼めばやってくれそうだし」

「……私がやる~!」

「いやどっちなの?やるって言ったりやらないって言ったり」

「いいからいいから~!」

「あっ、ちょっ」

 

 ぐいっと裾を捲って私の上半身が露わになる。薄くて細い我ながら貧相な体型だ。

 

「夏雲、ずっとお腹見られるのは少し恥ずかしいんだけど……」

「うん、わかってる」

「じゃあさっさとお願いね」

「うん、わかってる」

 

 返事はいいのに一切動こうとしない。拭いてほしいのは背中なんだけど、なぜ夏雲は私の前面ばかり凝視しているんだ?

 

「夏雲」

「うん、わかってる」

 

 というかコイツさっきから同じことしか話さないけど大丈夫か?

 

「夏雲、早く、お願い」

 

 夏雲にハッキリ伝わるように一単語ごとに区切って話す。そうしているとドタドタと誰かが走ってくる音が聞こえてきた。

 

「カミヤマー!起きたー?大丈夫ー?」

 

 声の主はクレアだった。ちょうどいい夏雲はなぜか全然拭いてくれようとしないし、彼女に拭いてもらうことにしよう。

 

「クレア、こっちで身体を拭くのを手伝って貰ってもいいですか?」

「いいよー!」

 

 カーテンを豪快に開けたクレアはなぜか動かない夏雲から清拭シートを受け取って私の背中を拭いてくれた。力加減を間違えていたのかやや痛かったので次こんなことになる際にはクレアに頼まないことに決めた。




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