ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった   作:七夕茸

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デュエマのマンションがCSで入賞したというツイートを見かけて勝手に親近感を覚えて
わがことのように嬉しい。

スタンダードのカード確認してるんですけどなんか急にカードパワー上がってませんか?
3コススピリットを召喚するだけで1枚引けたり、4コスのマジックが2枚も引けるの強すぎる。


第三十二話

 目が覚める。今日は倒れた次の日そう、次の日なのだ。この日は私の勝負(デート)の日だ。

 身体の怠さは多少残ってはいるが一日動き回る分には問題ない。その辺りは経験則からなんとなくわかる。

 普段より早めに起きることが出来た私は、クレアが持ってきてくれた着替えの入ったカバンから以前夏雲(なぐも)と一緒に買いに行った服を取り出す。

 デニムのショートパンツに丈の長いカーディガン、シンプルな半袖のシャツ。動きやすく自分のサイズ感を大きく見せるための服装だ。

 着替えを終えた後、私は集合場所に向かうために保健室を出た、が……出口はどっちだ?この学園は外から見ただけでとんでもなく広かった。校門前に立った時も端から端が見えなかったほどだ。そして昨日は倒れて保健室に運び込まれた私は出口が分からない。一応保健室から外の風景も見えたが校舎の3階くらいの高さらしく外に出ることは無理だった。

 

「とりあえず、下に行けそうな階段を探そう」

 

 そう思って廊下に出てみるが呆然としてしまった。学校の廊下といえば普通掲示物が張りだされていたりするものだがこの廊下はまるで病院の廊下だ。白一色で何もない。

 しかし動かないことにはどうにもできないため一歩踏み出す。今の私はスリッパも履かず靴下だけだ。床の冷やかさが靴下越しに伝わってきて、熱が奪われ心細くなってくる。

 それにしても私の靴はどこにあるんだろう……外部の人が来たとき用にある下駄箱に入れてもらってるとありがたいけど。

 

「お腹減ったなぁ……」

 

 最後に食べたのは昨日の昼過ぎにクレアと一緒に食べたおやつだ。だからもう半日以上食べてない、とてもお腹が減った。

 

「人間は水さえあれば二十日はもつって何かで見たことはあるけどそれを実行して証明できた人間はきっとアホだ」

 

 半日食事を抜いただけでもお腹はとても空いて若干イライラする。それを1週間以上?無理に決まっている。

 そうして空腹感に苛まれながら廊下を進んでいるとついに階段を発見した。と、同時に下からフリルのついたヘッドドレスが上ってきた。

 

「春陽様、おはようございます」

「おはようございます。えっと……」

「三砂(みさ)でございます」

 

 そうだ三砂(みさ)さんだ。もう一人のクラシカルメイドと一緒に居たせいで名前が一致しないから名乗って貰えたのはありがたい。

 

「三砂(みさ)さん、なんでここに?」

「春陽様が目覚めたからでございます」

「……どうやって気づいたんです?」

 

 監視カメラの類を探したわけではないが目に付く範囲にはなかったはずで、私が早起きしたことなんて知りようがないはずだ。

 

「兵華(ひょうか)のおかげですね」

「兵華(ひょうか)さんって……もう一人の方ですか?」

「はい。春陽様との賭け(アンティ)でお菓子の用意されることを義務付けられた彼女は今、朝食としてパンケーキを用意しています」

 

 三砂(みさ)さんの説明を聞いて納得する。昨日、賭けの内容が実行される前に私が気絶したから、実行されるのが私が起きてからになったわけか。

 

「それと春陽様、履き物を」

 

 どこから取り出したのかスリッパを目の前に出現させた。直前まで何も持っていなかったはずだ一体どこから?

 

「ど、どうやって……」

「ゲストに不便をさせないのが我々メイドの存在意義ですので」

 

 三砂(みさ)さんは人差し指を口元に当てる。どうやらメイドには秘密が多いらしい。

 私は追求を諦めてスリッパに足を入れて安息を得る。足の裏が柔らかな感触で熱も奪われなくて、安心できる。

 

「春陽様、この度はご迷惑をお掛けしました」

「何のことです?」

「私たちと京(みやこ)の関係についてです。春陽様のご助力のおかげでより良い関係になれました」

 

 マキアをして少々人の事情に突っ込んだだけだ。あんなことで解決できた事案なら私なんかがいなくても解決できたはずだ。

 

「あれは、三砂(みさ)さんたちだけでも解決できたことなので……私なんかが何かしたとは思えませんよ」

「いえ、私たちの関係は長らくあの状態でした。例え一歩踏み出せば解決できることだったとしてもそれは踏み出せないものだった。よって最大限の感謝を」

 

 三砂(みさ)さんはスカートを持ち上げ礼をする。カーテシーと言うんだっけ?まさか生で見れることができるとは。朝からいいものを見れた。

 その後三砂(みさ)さんの案内でパンケーキを食べることが出来た。SNSで見るような映えを意識したパンケーキでびっくりしたが味はとても美味しく、もう一度食べたいと思うほどだ。

 

「非日常的すぎて現実感がない……」

「痒いところはないですか?」

「あ、大丈夫です」

 

 食後三砂(みさ)さんに案内されて学園のシャワー室も使わせて貰った。シャワー室というには広い湯舟があり公衆浴場と言っても差し支えがないレベルだ。そしてなんでか頭どころか身体も洗ってもらっている。

 

「三砂(みさ)さんが一家に一台レベルで欲しい……狭い家ですけど我が家に来ませんか?」

「嬉しい誘いでございますが、私は京(みやこ)に身も心も捧げたので申し訳ございません」

「残念です」

「火奈(ひな)は連れて行ってもらっても構いませんが……」

「ごめんなさい。丁重に断らせてください」

「そうですか……遠慮しなくてもいいんですよ?」

 

 そうして雑談をしながら丁寧に磨かれていく私の身体。女王様にでもなった気分だ。京(みやこ)さんは毎日こうしたものを受けているんだなーと思うとちょっとうらやましく思えてくる。

 お風呂から上がった後は丁寧に髪を乾かされて私は昨日到着した時よりも万全のコンディションになった。

 

「春陽様、今更ですがなぜ出歩いていたのですか?安静にしていた方がいいのでは?」

「今日はデートしようって約束していたので」

「デート!?」

 

 三砂(みさ)さんがすごい勢いで顔を近づけてくる。びっくりした。三砂さんって恋愛話好きなのか。いや彼女だって女子高校生のため年齢を考えたら普通のことだけど、何でもできるメイドさんだから下世話な話とか興味ないように思っていた。

 

「お相手は!お相手はどなたですか!?いや、無粋でしたね申し訳ございません……春陽様お時間にまだ余裕はありますか?」

 

 更衣室に備え付けられた時計を確認すると朝の8時50分、集合時間は午前10時に設定しているため移動時間を考慮してもまだ少し猶予はある。そのことを三砂さんに伝えると真剣な眼差しで。

 

「春陽様、私にヘアアレンジをさせていただけませんか?」

「え?構いませんけど、必要ですかね?」

「春陽様、それは驕りですよ。例え素がよくても!いえ、素がいいからこそ。より高みに至るためにそういったことは徹底するべきです」

「は、はぁ……」

 

 許可するのと同時に三砂(みさ)さんの手が私の髪の毛に触れる。私の髪は肩甲骨あたりまで伸ばしてはいるが色々めんどくさいので櫛でとかすくらいで結んだりもしていない。ゴムを無くすのもあるんだけど。探している時は見つからないのに家に帰ってから見つかるあの現象は前世でも今世でも変わらない。不可思議の一つだ。

 

「いかがでしょうか」

 

 くだらないことを考えていると終わったらしい。鏡で確認すると二つの三つ編みを後ろでまとめてその間からポニーテールを出している。

 

「いいと思います」

 

 いまいちわからないので適当に答える感じなのが申し訳ない。だけど凝った髪型というのは気合が入る感覚はある。そういった点ではとてもありがたかった。

 

「できれば、靴も変えたかったのですが……靴擦れなども起きる可能性もありますし、お力になれず申し訳ございません」

「いえ、できれば三砂さんに教えてもらいたいことがありまして……この辺りでいい飲食店知りませんか?一応調べてはいるんですけど地元の人の方が詳しそうですし……」

「なるほど、それなら力になれそうです……その、連絡先も交換しませんか?よければ今回のデートの詳細が聞きたいので」

「いいですね!お願いします!」

 

 準備は整った。いざデート間(はざま)さんとのデートだ。

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