ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった 作:七夕茸
「さらに蔵の効果で2枚ドローするでごぜーます」
時に公開情報というのは非公開情報よりも圧になる。
それよりも、さっきの闇のカードのスペルは使用可能エナジーで追加するものだった。つまり彼女がこのターン使えるエナジーはまだ6もある。
「そして6コストで《座敷童》を召喚するでごぜーます」
黒い髪をぱっつんに切った和服美幼女……トオノさんとそっくりなシルエットが召喚された。
……トオノさんって座敷童だったんだ。
「バトルに入るでごぜーます。《座敷童》で攻撃」
「ライフで受けます!」
「打点は2でごぜーます」
トオノさん似の幼女が私の腕をとって腕を強烈に叩く。加減してくれてるのかとても痛いが痛みが持続するような感じではない。
「っぐ……く……」
これで私のライフは5、軽率にライフも削れなくなってきたが一応手札には先ほどのトオノさんの闇のカードの効果で回収された《うさぎの献身》がある。これで同じく回収した《観測されるモノ・ブッロ》を破壊して回復できるけど……。
「ターンエンドでごぜーます。春陽は
トオノさんの言う通りではある。この盤面1枚で逆転できるカードは私の知る限りデッキに入れていない。だから次の私のターンに取れる手はライフとリソースの回復ぐらいしかできることがないわけだけど、アレがまだデッキに眠っていることはわかっている。
「ドロー!……!?」
「ならもうぶっつけ本番!8コストでスペル《
スペルを唱えると消灯されたように暗くなり手に握っているカードすら見えなくなる。そうして私たちの頭上に一つの薄暗く光る円がぽっかりと浮かびあがる。
「私の全ての
手札の《
「私は《
今まで
「私はカードを回収してその後エナジーを1つ破壊する」
ただし相応のデメリットを。宣言とともに私は身構えるが何も起こらない。マキアにおいてエナジーを砕くというテキストは初見で、自傷ダメージのようにこちらにデメリットを課してくる可能性があったからだ。何もなくてとてもよかった。
「そして今回収した《
今までの観測されるモノはライフという有限ではないけれど1あれば十分なものを求めてきた。副次的にくる痛みを考慮しなければとても軽いものではあったけど埋もれるモノはエナジーを求めてくる。多ければ多いほどがいいものを破壊するのはコストだとしてもあまり強い効果とは思えない。
「だからこそいい!
「急に牙をむくでごぜーますね!それでも盤面にはたった2体、先ほど墓地から回収したシルエットも含めて攻撃するでごぜーますか?」
「私にはさっきゲットで回収したもう一枚のカードがあるんですよ」
私は《
「5コストで《
「な!?春陽のエナジーは……」
「ええ、今唱えた5コスト分しかないです。でもそれで十分!エナジーを5つ破壊してアサドの打点を+5!バトルに入ります!まずはゲットで攻撃!」
「ライフで受けるでごぜーます!」
《
「続いてアサドで攻撃!」
「ライフで受けるでごぜーます!」
「アサドの元々の打点は2!合計で7ダメージです!」
ゲット同様黒く染まったライオンの前足がトオノさんに向かって振り下ろされライフを削りきる。
「……
闇のカードを用いたマキアであっても決着が付いた後のことは変わらない。通常マキアで
「手前の負けでごぜーます……春陽は今後も
トオノさんが諦めたように大きくため息をつく。若干の申し訳なさを感じるが私にだって譲れないものはあった。
「今日のところは帰るのならば送るでごぜーます。ヤトリー留守番頼むでごぜーます」
大きな声でそう言ったトオノさんは私の帰路についてくることになった。
「それにしても外から見るとただの一軒家にしか見えませんよね畏怖百百の拠点」
「外から見るも何もただの一軒家の空き家を手前たちが勝手に間借りしてるだけでごぜーます」
「そうなんですか?」
「手前が住めるところを探している時に偶然ヤトリと知り合ってあそこを紹介してくれたんでごぜーます。住んでから空き家だったことに気づいたでごぜーますが……」
ヤトリさんとトオノさんの距離感的に同じ世界のマキアスだと思っていたけど違うのか。なんというか意外だ。そうしてそのあの拠点のやや不便なところ等の話を聞いていると私が昨日使ったリニアの駅の近くまでやってきていた。
「そういえば春陽はここに他の人間とともに来たのでごぜーますよね?連絡を取らなくていいのでごぜーますか?」
「……あ」
バッグからスマホを取り出してみるとバッテリーが切れていた。いつから切れてたんだろ……今からモバイルバッテリーを使えば最低限は充電できるだろうか。
「春陽、これを受け取るでごぜーます」
トオノさんがクッキーが入っているような感じの缶を差し出してくる。許可をもらって開けてみると中には大量のお札が入っていた。
「手前たちが帰還の時に使う札でごぜーます。使い方は問題ないでごぜーますね?」
「はい」
「一応連絡用の符も数枚入れてるでごぜーますから困ったことになったらちゃんと相談するでごぜーますよ」
「わかりました」
なんだかお母さんみたいだ。うちは父子家庭だからお母さんがいたらこんな感じなのかと、くだらないことを考えてしまう。こんなことを考えるのは失礼だろう。私は感謝の言葉を述べた後駅構内のコンビニへと歩みを進めた。
「あ、カミヤマ」
聞き馴染んだ声が聞こえたので私はそちらに振り返る。そこにいたのは私のコンビのマキアスであるクレアがお菓子売り場を眺めていた。
「クレア、今日は楽しめましたか?」
「ナグモが色々連れてってくれて楽しめたよー!あ、でもみんなカミヤマのこと探してたよ」
「……ですよね。
「いっしょだよー」
「じゃあ私もそっちに合流するので案内お願いしても?」
「りょうかーい」
私はモバイルバッテリーを購入した後クレアに連れられて