ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった 作:七夕茸
スタンダード環境でのゼクーガ強すぎません?白が回復する効果に注力してる中あやつは物のついで回復するのズルすぎる
前回の話を再投稿したのは大幅に効果を変えたためであり更新直後に読んでいただいた人たちにも気づけるようにしたためです。今後はないように気を付けます。
色々あった交流試合から翌日の部活において私は正座させられていた。私以外の部員が私の前に横一列に並んでいるが、まず口を開いたのは私の親友である
「昨日は私たちも春陽を探すのに疲れていたから駅に到着した後解散したわけだけど今日はしっかり説教するからね」
「お手柔らかにお願いします」
「まず、顧問の立場として秋からお言葉があります」
そうして私の前に一歩近づいたのは冬雪のコンビのマキアス兼我らがマキア部の顧問も務める秋雨ちゃんだ。普段は過去の私の所業のせいで嫌悪感を露わにしているが今はそんな感じはしない。
「春陽、ウチから言うことはあまりないの。連絡方法はちゃんと確保して、生存確認さえできていればこっちでいくらでもやりようがあるの。お前のせいで冬雪とのデートの時間削られたの」
「それについては申し開きもなく……」
「これでウチからの説教は終わりなの。次、
「わかりました」
続いて一歩出てきたのは我らがマキア部の部長である3年の
「自分からの言葉は昨日の内に済ませているが再度言っておこう。紙山部員、校外活動の際には我が校の部員であることをしっかり頭に入れておくように。我々が制服を着て校外活動するのはそれぞれがどこの学校か示すのと同時に自身が集団の一員と自覚させるためにある。そもそも制服とは……」
前世でも話の長い教師がするような感じの説教が延々と続き四季神部長のターンが終わった。その間ずっと正座だったので多少足がしびれてきた。
「じゃあ次は副部長の私かな」
真打登場と言わんばかりに冬雪が車椅子を動かして前に出てきた。ぶっちゃけ四季神部長の説教でお腹いっぱいなので彼女に何か話すことがあるのだろか。
「まあこれは副部長というより一人の友人としてなんだけどね。いつ頃から行方不明になっていたとかは分かってるから詳しくは聞かないけど……悩みがあったら聞くからね」
優しい声音で親友が話しかけてくる。私が間さんとのデートの最中にいなくなったから心配しているのだろう。そういえば間さんと冬雪は親戚同士だから私が行方不明になってたってどこからの情報かと思ったけどそこからか。
「それについてはもう吹っ切れてるから大丈夫」
「……そっか。いつでも相談に乗るからね」
実のところそれほど吹っ切れてはいない。昨日の今日だからできるはずもない。この後のバイトがとても気まずい。
「まあ私からはこの辺にしておいて、次はカルテと
「私は大体秋雨先生と同じような感じだからないわ」
突き放すようにカルテさんが話す。それが若干ありがたくもあり、それが彼女が私のことを心底どうでもいいからそうなのだと思うと若干悲しくもある。
「じゃあ夏雲は?」
冬雪の言葉につられて私は正座のまま身体を夏雲の方に向き直る。ここまで黙っているのは夏雲らしくない。夏雲はもうちょっとうるさくあるべきだ。
「ないかな~」
あっけらかんと何の感慨もなく夏雲は言い放った。それがなぜか私にはとても意外だった。夏雲はもうちょっと私にネチネチ言ってくるイメージがあったのに。夏雲らしくないのは疲れがたまっているだけならいいんだけど心配だ。
「じゃあ春陽の説教はこのあたりしておいて部活を始めようか」
冬雪の音頭で私の説教は終わった。正座しすぎて足が動かなくなってしまったわけだが今回の非は私の方なので甘んじて受け入れよう。夏雲とか絶対足をイジってきそうだけど。
しかし夏雲は何もしてこなかった。
疑問が尽きないけど、夏雲を気遣えるほどの余裕はない。今の私には
最も大事なことと今1番興味のあること、私にはそれで手一杯だ。どちらの項目でも2番目の夏雲の案件は後回しにするほかない。
そうして私の方針が決まったところで部活が始まった。今日の活動内容は一昨日の試合を含めたデッキの調整だ。私のデッキは大まかに区分すれば速攻だから調整するところは少ないはずだったがこの交流試合を通して私は2枚のカードをデッキに入れることになった。
ミニスカメイド戦で私のデッキに入ってた《口伝されしモノ》とトオノさんからもらった闇のカードが変化した《
前者はライフ1を支払うことで1ターンの間の全てのライフコストを踏み倒せる。ミニスカメイド戦ではクレアのカードである《
後者はエナジーをコストとしたデッキに作り変える。
どっちも1枚しかないのがすごい嫌だ。引ける前提でデッキは構築したくない。ネットで検索すれば見つかったりしないだろうか?
「ないんだろうなぁ……」
逆に闇のカードから生まれたものがストレージコーナーにあったら私は膝から崩れ落ちて数日は寝込む自信がある。
ないものねだりはしょうがないと諦めて、デッキの速度を下げてリソース回復を主軸にすべきだろう。軽量を沢山入れてさらに速度を上げるべきとも考えたがあの2枚には適さない。そうするならデッキ全体を見直す必要がある。
……楽しくなさそうだからそれは却下でいいか。どうせなら相手のデッキも把握して勝ちたい気持ちもあるし、元々遅いデッキの方が私の好みではある。
デッキのプランも決まったところで今日の部活は終わった。そうしたら次はバイトの時間だ。
私はバイト先であるカードショップカナリア到着する。ドアを押して中に入るとドアについているベルがカランカランと鳴る。
「いらっしゃーい……紙山ちゃんか」
間さんが迎えてくれるも私は昨日のことを思い出してしまい目を伏せる。私から間さんに誘ったデート、それをこちらの都合で勝手に消えて心配までさせてしまった。
……多分心配してくれたと思う、思いたい。私が間さんの立場だと私と連絡が取れないとわかった瞬間諦めるけど好きな人には心配してもらいたい。1秒でも長く彼女の心の中にあり続けたい。
「間さん……昨日は、ごめんなさい。一人で居なくなったあと連絡もとれなくて……」
「ああ、大丈夫だよ」
何がですか。何が大丈夫なんですか。私なんかいなくてもいいってことなんですか。
「あ、カミヤマーおかえりー!」
店の裏からクレアが元気な笑顔とともに挨拶してくれる。それだけで場の空気がいくらか和んでいくのを感じる。
「別に私の家じゃないのでお帰りは違うのでは?」
「あれ?前にカミヤマがここは家みたいなものって言ってなかったっけ?」
「言ってませんよ」
「そうだったっけ?」
あれー?と悩んでいるが多分私がそれっぽいことを言ったんだろうか?記憶力には自信がないため言ったかもしれない。それはちょっと私が悪いかも……。
「カミヤマ、大丈夫?」
クレアが真正面から私の目をとらえる。金色の瞳の中に私が写りこむ。綺麗な瞳でずっと見ていられるな。そういえば彼女の瞳をちゃんと見たのは出会った時かもしれない。
「大丈夫じゃなかったらバイトに来ませんって」
「ほんとーに?」
「大丈夫ですって」
クレアを安心させるために頑張って作り笑顔を作る。普段はこうして能天気っぽいのにどうして人の顔色を伺うのが得意なのかがわからない。私とは正反対だ。
「紙山ちゃん」
「なんでしょうか?」
「喋ってないでさっさと着替えてバイト入ろうね」
「……それもそうですね」
怒られてしまった。店の中には私たち店員とお客さんが2、3人いるだけだ。このくらいなら普段の間さんなら何も言わなそうだけど、昨日間さんの時間を無駄にしてしまったから怒っているのだろう。気を引き締めないと。
しっかり謝るなら手土産も必要だ。明日はバイトがないわけだし間さん相手に何か買っていこう。