ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった 作:七夕茸
直近まで握ってたのデッキの八割が呪文で呪文効果で盾を増やしアンタップしながら殴りきる種族がメカサンダーのザゼ・ゼーンだったので逃れられない縁……。
「クレア、学校に行きませんか?」
「学校ー?」
クレアとコンビを組んでから数日私は、自室でクレアとスマホで連絡を取っていた。ちなみにクレアはスマホを持ってないので私のバイト先の店長である
「はい、正確にはうちの高校のマキア部に顔を出してみないかといった感じです」
「学校ってボクが行ってもいいのー?不審者扱いされない?」
「そのことでしたら大丈夫ですよ。コンビのマキアスは入館証さえ貰えれば学内である程度自由に行動できますよ」
「そっかー」
コンビのマキアスと言ったが実際はまともな人なら誰でも入館証は発行される。言い方を間違えた気もするがまあわざわざ否定する必要もないし問題ないだろう。
「明日の昼過ぎ4時頃カナリアに迎えにいく感じでいいですかね?」
「あ、テンチョーが普段カミヤマが学校でどう過ごしているか気になるから朝からにしないかだって。え?そのまま伝えるな?どういうこと?」
電話口の向こうで間さんの説教する声が聞こえる気がする。間さんが怒るとか滅多にないからレアボイスだ。それは置いておいて……まあ朝からでも別に問題はないか。
「じゃあ明日の8時頃迎えに行きますから起きててくださいね?」
「わかってるって、あとカミヤマなんかテンチョーに伝言とかある?」
「特にないですね」
「だって、テンチョーよかったね」
通話終了の画面を見ながらふと考える……何がよかったのだろう。朝からの方が間さんがクレアの面倒を見る時間が減るから楽できるとかそんなところだろうか?
そうして結論を付けた翌日私は、寝坊した。
「もしもし間さん!」
コール音がするだけで一向に出る気配がない……そうだ、この時間は間さん寝てるんだった。いや、それでも電話が鳴ったら起きて欲しい。
10秒ほど経っただろうか、通話が繋がった。
「カミヤマーどうしたのー?」
電話の相手はクレアだった。間さんに取り次いでもらうしかないと思っていたが直接本人に謝罪できた方が都合がいい。
「クレアごめんなさい寝坊したので今日カナリアに寄ってから学校に行くのは難しく……日を改めてということになりませんかね?」
「ん-わかった。あ、カミヤマはまっすぐ学校行ったら遅刻しないで済むの?」
「え?それは、まあ」
部屋の時計を確認してみると、真っすぐ学校に向かったなら多分間に合う時間だ。経由すると遅刻するだけで、今家を出たら普段より数分遅れて学校に着くくらいだろう。
「じゃー学校で待ち合わせしない?」
「クレアはうちの学校の場所知りませんよね?」
「知らないけど、前にカミヤマが着てた服……制服だっけ?あれ着てた人間が何人か通り過ぎて行くのは見たことあるからあれについてけば多分着くよね?」
「それは多分そうですけど……」
それならまあ大丈夫……なのか?本人が大丈夫だと言っている以上信用するしかない。元々私が寝坊しなければ彼女に変な負担を強いることはなかったのだから私がとやかく言うのもなんか違う気もする。
「なら問題なし、カミヤマーまた学校でー」
「え、ああ、はい」
一方的に通話が切られてしまった……というか私もそろそろ家を出る準備しないとほんとに遅刻する。早足で学校に向かうとクレアが校門の前で捕まっていた。
「君がうちの生徒をつけていた不審者か!」
「だからボクは不審者じゃないって……カミヤマー早く来てー」
「紙山?うちの部員の名前を出しても無駄だぞ、紙山部員にはコンビのマキアスはいないからな」
捕まえていたのは私も所属しているマキア部の部長である
「えっと……四季神部長その子、私のコンビのマキアスです……」
「ん?紙山部員かおはよう、君がマキアスとコンビになりたがってるのも知っているが流石に不審者のマキアスを庇う必要はないぞ」
「おはようございます……じゃなくてほんとに私のコンビのマキアス、クレアなんですよ」
「……そうか、紙山部員がそこまで庇うなら取り敢えず信用はするが、後で先生方に事情は説明するんだぞ」
「はい、わかりました」
そうして四季神部長は、クレアを解放して校舎へと歩みを進めて行った。その後の私は教師陣に何が起きたのか事細かな説明をすることになった。
どうやら最近このあたりで不審者情報があったらしく、クレアはそれと勘違いされたらしい。傍迷惑な話だ。一応コンビの証明として《
一通りのことが済んでから教室に移動しながら、ふと思いついたことをクレアに質問してみることにした。
「そういえば、クレアの世界だと学校とかってあるんですか?」
「ん-?ないよー」
「え」
即答する彼女に私は呆気にとられる。クレアの外見年齢はぱっと見私とそう変わらないはずだが、彼女の世界のことがよくわからない……《観測されるモノ》のデッキのシルエットは大体動物型で、クレアみたいな人型はとても少ない。
基本的にマキアスたちは同じ
だからこそ彼女の世界がわからない。例えばこれまでフィニッシャーとして活躍してきた《観測されるモノ・アサド》はライオンなわけだけどそれがただの少女にしか見えないクレアとライオンが共存できるはずがない。となると何らかの方法でライオンが脅威ではない状態ということだろう。
「クレアって魔術とかそういったものを使えたりするんですか?」
「急に話題変わったねー使えないよーすごいよねーボクも使えたりしないかなー」
「じゃあ何かこの世界より進んだ科学技術とかを持ってるとか?」
「ないない、ボクはそんな高度な技術は持ってないよー……それで、質問の意図が読めないんだけど?」
「クレアの世界ってどんな感じなのかなって思いまして」
「なるほどーじゃあ、教えない!カミヤマがボクを見る目が変わる可能性あるしねー」
「そうですか」
「というかカミヤマ、授業大丈夫なのー?あ、今チャイム鳴った」
「それはまずいですね」
授業には数分遅れとはなったが、ちゃんと一時間目の授業を受けることができた。クレアが退屈しないかと少し心配したが、興味深そうに授業を聴いていたので少し安心した。
昼休みにはクラスの女子から囲まれて転校生みたいに色々質問されていた。聞き耳を立てていたが特に目新しい情報はなく、そうして一日が過ぎて放課後になった。