ライフ減少がリアルダメージになる世界で自傷デッキを拾ってしまった   作:七夕茸

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九話です。「マスターデュエル リボルボット 回し方」


第九話 お相手お願いします。四季神部長

「クレア、部室に案内しますね」

「カミヤマが案内したかった場所だよね」

「はい、ほんとは部活にだけ顔を出してもらいたかったんですけど……学校はどうでしたか?」

 

 今彼女がここにいるのは私が連れ出したからだ。それで彼女を不快に思わせてしまったらとても申し訳ない。コンビ解消の原因になったらとても怖い。

 

「賑やかで楽しかったよー?」

「そうですか……よかったです」

「あ、でも一つだけ嫌なことあったかもー」

「それは?」

「あの小っちゃい子!ボクは不審者じゃないって何度弁明しても拘束解いてくれなかったっし!」

 

 確かに四季神(しきがみ)部長の身長はとても小さいがクレアだって私と同じで身長150㎝くらいだ。同年代の女子からすれば小柄な方だと思うけど……黙っておこう。

 

「えっとその件につきましては……私が寝坊しなければ発生しなかったことなのでどうか怒りは私に向けて貰えれば……」

「カミヤマ的にはそうかもしれないけど!ボクの話を聞かなかったのはあの子だし、ボクを組み伏せたのもあの子!カミヤマが責任を感じなくてもいいと思う!」

「そうですか……」

「だから、この鬱憤はマキアで返す!たのもー!」

 

 クレアはスライド式のドアを勢いよく開ける、どうやら彼女と話している間に到着していたらしい。部室の中には四季神部長に夏雲、冬雪と秋雨のマキア部の部員全員がいた。

 

「ん?ああ朝の君か、いらっしゃい」

「いらっしゃい……じゃないよ!ボクは朝の出来事水に流したつもりはないからね!マキアで勝負だ!」

「なるほど、君が相手するのか?」

「もちろん、カミヤマが!」

「ということなのでお相手お願いします四季神部長」

「じゃあ早速始めようか、起動(セット)

「ありがとうございます起動(セット)!」

「やったるぞー!」

 

 私の隣でクレアが意気込んでいる。今さらだがマキアをする際にコンビのマキアスはカードに戻る必要はない。彼らにとってカードは扉みたいなもので別に封印されてるわけでも何でもない。扉をくぐった先にはカードには書かれていない世界があるらしいしそこでも時間は進んでいる。

 

「先攻後攻はどう決める?」

「コイントスで、部長お願いします」

「わかった。サモン・《コイン》」

「何もない所からコインが出てきた!?」

「プレイマットの基本機能の一つですよ。他にもダイスとかジャンケンカードとか色々便利なものが呼び出せます」

「……紙山部員、表か裏どっちだい?」

「表ー!」

「君には聞いてないんだが……まあ紙山部員も異論がないなら問題ないか」

 

 四季神部長は慣れた手つきで親指でコインを真上に高く打ち上げる。私は不器用なのでコイントスは大抵変な方向に飛んで行くことになる。都合のいい話だがこういう時は実年齢で年上の先輩を頼らせてもらおう。

 コインはクルクルと回転して部長の左の手の甲に収まる。あれどうやったら綺麗に受け止めるんだろう……私だったら縦の時に受け止めてコインが手の甲に刺さりそうだ。

 

「表、紙山部員の先攻だ」

「では実行(プレイスタート)!私は《観測されるモノ(オブザーブド)・プロフィール》を召喚!このシルエットは、ダウン(行動済み)状態で召喚されてターンの開始時にアクティブ(復帰)状態にならない。ターンエンドです」

 

 ゲット(いつもの初動)はいない。当たり前だ、毎回毎回同じカードを初手にドローできる方がおかしい。だから取り敢えず召喚できるものを召喚する。

 ……とはいえプロフィールはクレアのカードだ、何かしらの縁で初手に来たのかもしれない。そう考えると少し頬が緩む。まるでなにかの主人公のようだ。

 

「《観測されるモノ》?……紙山部員いつものデッキはどうしたんだ?」

「あっちは当分休業です。あ、あとオリンピアにはこっちで出るつもりです」

「そうか、なら部長として品定めすることにしよう。ドロー、《木瓜隊(チームモッコー)・森林のナガヨシ》を召喚」

「!?」

「くっ」

 

 血と土に塗れた特攻服を着て廃車にしか見えないバイクに乗ったおどろおどろしい落ち武者が召喚される。初手からナガヨシを持っているのはまずいな……。

 

「登場時に効果発動、デッキの上から四枚を墓地に落とす。その後墓地から《木瓜隊》カードを1枚回収する」

「カミヤマー!?外見のイメージからなんか想像できないホラーな感じのシルエット出してきたんだけど!?」

「使用者と使用テーマに相関なんてないと思いますけど……だけどあのテーマは四季神部長に似合ってると思いますよ」

「バトルだ。ナガヨシで紙山部員を攻撃」

 

 落ち武者がバイクですり抜けざまに十文字槍で私の体を薙ぎ払う。多少刃こぼれしているがこれがマキアじゃなかったらこれだけで致命傷の一撃だ。

 

「ライフで!いったた……」

「ターンエンド、軽い先制攻撃だが紙山部員の目を覚まさせるにはちょうどいいだろう」

「?ちゃんと起きてますけど」

「寝てるさ。今までと全く違うデッキで今からオリンピアを勝ち上がろうなんて寝言が聞こえるからな」

「寝言じゃないよ!カミヤマは本気でボクと大会に出るって決めたんだから!」

「だったらそれを証明してみたまえ!」

 

 ……クレアの言葉は嬉しいけど四季神部長の言葉も最もで、デッキを丸ごと変えるというのはそれほど非常識なことだ。しかしなんというか四季神部長がすごい芝居がかかってるな……。

 

「ね~冬雪~なんか部長の様子おかしくな~い?」

「夏雲、静かにしておいた方がいい。多分あの子を試しているだけだから」

「うん、あの人はなんか急にふざけ出す。だけどマキアの内容は多分本気」

 

 外野の三人も私と同じようなことを口にする。クレアは四季神部長に怒っているからか聞いてないとは思うが私も冬雪と同意見だ。四季神部長はクレアを試している。新たな部員となることを見定めているのだ。コンビの私が出来ることはただクレアの力を証明するだけだ。

 

「私のターンドロー!《観測されるモノ(オブザーブド)・ゲット》を召喚、そしてライフを支払って効果発動!あ”あ”あ”!」

「紙山部員!?大丈夫か!?」

「ええ、大丈夫です」

「そ、そうか。ならいいんだが……」

 

 四季神部長もそうだが、(はざま)さんも夏雲も私がライフをコストにするたびにとても心配させてしまう。

 私はこのデッキをオリンピア宣伝して勝たなければならないのだ。知人にドン引きされるようなリアクションをするのならそれは赤の他人から見れば敬遠されるものだ。どうにか改善しないといけないな。

 

「カミヤマ?」

「大丈夫ですよクレア、マキアを続けましょう。ゲットの効果でデッキの上から3枚を見てその中から《観測されるモノ》シルエットを手札に加えます。さらに今回収した《観測されるモノ(オブザーブド)・チンウー》を召喚!」

 

 今回はチンウーの効果は使わない。ナガヨシのパワーは1000を超えているため破壊対象にならない。チンウーはあくまで小型(雑魚)専門の効果だが中型以上のシルエットには無力だ。

 

「バトル!チンウーで部長を攻撃!」

「ライフだ……っ!」

「ターンエンドです」

 

 取り敢えず前哨戦は一旦終了した。ただ時間はあまりかけたくない、四季神部長のデッキは時間をかければかけるほど厄介になるデッキだ。

 切り札を出された瞬間私の盤面は一気に崩壊して負けてしまうだろう。

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