おそらく酒寄さんが必死にコメントをブロックしているのだろうがそれよりも明らかにコメントの届くペースの方が多かった。
:添い遂げよう
:かぐやちゃん色に染まりたい
:ケコーン汁
まあ、おそらく視聴者もノリでやっているだけであり本気では思っていないんだろう。思ってはいないんだろうが......
「はあ?許さんが?どこの馬の骨ともわからないやつにかぐやはやらんが?」
「ミコト......!や、やだ〜!そんなに
(まったく。かぐやは酒寄さんとくっつくんだから。それ以外の相手はお父さん認めませんからね!)
後ろでヤチヨが何やら言っているがそんなことも耳に入らず怒りに燃えていると
そこまで言うなら、とかぐやがキーボードをカタカタと叩き出し......
『よし!そんじゃあいろPに勝ったら結婚な!名付けてかぐや争奪KASSEN選手権「プツンッ」
・・・・・
「......はぁっ?やばっ!?何言ってんのっ!?」
思わずタブレットにいるヤチヨに問い詰める。
「きゃー!ミコト!どうしよう〜!このままじゃ
なぜかヤチヨは困っているのか喜んでいるのかよくわからない表情で身をよじらせていた。
こいつ他人事だからって......いや、他人事なのか?
だいぶ自分事だと思うんだが......
そして、この発言が話題を呼びSNSでもトレンド入り。後日実況解説ありの観戦型イベントとして開催されることになった。
「よし!俺もこの日会場に行くから!」
「ええっ!?そこまでっ!?」
「当たり前だろ!」
(もし万が一酒寄さんが負けるようなことがあれば俺が無理やり割り込んで相手を叩き潰してやる!かぐやの恋路は邪魔させん!)
(ミコトがもし参加して勝ったらかぐやとミコトが結婚......。いや、そんなことは起こらないってわかってるけど......もしそうなったら......ギリ許......せ......ぐ......ぎぎ......)
片方は謎の親バカっぷりを発揮して暴走し、片方は無駄に高性能な頭を回して謎に悩み出した2人。
そんな光景を水槽から見ていたFUSHIは
(相変わらずバカなこと考えてんだろうなー)
と呆れていた。
────────────────────────────────
そしていよいよ決戦の日。
俺も現地入りし多くの観客が見守る中、あの配信時に求婚スパチャをした人の中から抽選で選ばれた5人がいろPに挑む。
勝負の方法は『KASSEN SETSUNA』
盛り上がる特設会場の中、モニター席では実況の元プロゲーマー・乙事照琴と解説を務める忠犬オタ公が話し始める。
『どもっす〜実況の乙事照琴と......?』
『解説の忠犬オタ公で〜す!』
『さあ、注目のイベントが始まります! なんと!配信中にかぐやにまさかの求婚スパチャが殺到!ここツクヨミの会場でかぐやとの結婚を賭けた、かぐや争奪KASSEN選手権が始まろうとしています!」
『どうやら参加者が揃ったようですね!』
『いよいよ第1試合開始です!』
いよいよ始まるKASSENに全員が息を呑んで見守る。
最初に挑むのは『金作皇子【詳細はプロフへ】』
・・・おい!名前大丈夫なのか、これ!?
そんなことを考えながらもカウントダウンは進んでいき、3、2、1......0となった瞬間ーー
「んんんんんんん〜〜〜〜〜〜〜!!!」
開始早々かぐやへ迫る変態
その前にいろPさんがサッとかぐやを守るように立ち塞がり、ものすごいラッシュを叩き込む。
ドドドドドドドドド! K.O.!
『金作皇子【詳細はプロフへ】』 ❌
つづく第2試合
相手は『車いっぱい持ちおじさん(^-^)』
......さっきから全員名前の癖が強いのなんなの?
剣を使う先ほどよりも強敵な相手に対しても
ザシュッ! K.O!!
『車いっぱい持ちおじさん(^-^)』 ❌
一閃ーー
『あのスキンのヒットボックスで!?』
解説の忠犬オタ公さんが驚く。
いろPさんの着ている着ぐるみも攻撃を喰らうと当たっている判定になるため、単純に的がデカくなり不利なはずなのだが......
「なっ!?当たらない......ごばっ!?」
K.O!!
『大きなお半だち |FX/CFD』 ❌
そんなこと関係ないとばかりに相手を屠っていく。
4試合目
「あだだだだだっ、ぎゃ〜〜〜〜!」
K.O!!
『阿倍野みう氏』 ❌
そして5試合目
「ひぃっ!?ちょっと待っ......ぐばっ!?」
ドゴォォォンッッッ! K.O!!
『まろたり@DK2』 ❌
『いろP圧倒的だ〜!』
『5人連続撃破〜!』
わああああーーー!
5人抜きを達成して沸くモニター席と会場。
「いろP〜〜〜!」
そうして次々に迫る5人を鬼神の如き気迫で返り討ちにしたいろPさんにかぐやが駆け寄る。
さすがに疲れたのかゼーハーと息を切らすいろPさん。
「ありがとういろP〜!そんなにかぐやが他の人と結婚するのが嫌だったの〜?」
「べ、別にかぐやの結婚を阻止したいからじゃなくてゲーマーとして受けた勝負は負けられないと思っただけだし!」
相変わらずベタなツンデレ発言をするなーと思っていると
あっ、ただし......と先ほどの発言に付け加えて
「今後かぐやに求婚するのは禁止だから!
文句のあるやつはいつでもかかってこい!!」
と視聴者に剣を向け言い放った。
この配信の影響でーー
#イケメンいろP
#いろかぐ
がSNSでトレンド入りし、この日を境にかぐやいろPチャンネルにはいろPに向けた求婚スパチャが増えたという。
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「なんか最近かぐやの動画ばっかり見てな〜い?」
家でいつも通り、かぐやの“踊ってみた”を流していると――横からじっとりとした視線が突き刺さる。
振り向けば、ヤチヨが半目でこちらを見ていた。
「そ、そんなことないって。ヤチヨの動画も全部見てるし」
まあ、確かにかぐやの動画は突拍子もない内容のため刺激に溢れていておもしろいが、それに対してヤチヨの動画は実家のような安心感がある。
一概にどちらがいいとかはないのだ。
「ふ〜〜〜ん......まあいいけど。」
明らかに“よくはない”声色で、ヤチヨは肩をすくめた。
「そんなに配信が好きならさ、ミコトもライバーになっちゃえば?それで、私とコラボ配信しよーよ!」
「やだよ。ヤチヨとコラボなんてしたらファンに殺されそうだし。第一人前になんて出たくないし、目立つのも好きじゃない。だから、俺はぜったいにライバーにならないし、ぜっったいに配信にも出ないから!」
「へぇ〜……“絶対に”ね?」
にやり、とヤチヨの口元がわずかに歪む。
「ぜったい!」
「ほんとに?」
「ぜったい」
念を押すように、さらに言葉を重ねる。
「ぜっっったいに出ないから!!」
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・wkwk
・おっ!始まったぞ!
・かぐやちゃ〜〜〜ん!
「かぐやっほー!それでは今日はKASSENの指導役としてゲストをお招きしましたー!はい!自己紹介して?」
「は、はじめまして〜。ミコ.....で......す.....」
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん......なぜこうなった?