超かぐや姫! 星の降る音   作:サトウシュン

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2話 目覚めの青年と月から落ちたウミウシ②

 

「ねえ、ねえ、起きて!お願い、目を覚ましてよ!」

 

 

 どこかから声が聞こえる。

 その声の主はよほど焦っているのか、胸の辺りを何度も叩いてくる。

 

 

 うるさいなー、まだ眠いんだが?

 

 

 なんせこっちはさっきまで拉致されて、海で喋る謎の生物と出会う夢を見ていたのだ。

 

 

 ったく、ふざけやがって。風邪ひいててもそんな夢見ねーぞ。

 

 

 質の良い睡眠が取れていない証拠だろう。どうせ今日は大学も2限からだし、まだタイマーも鳴っていない。

 

 

 ......鳴っていないが、もしかしたら寝過ごしているのかもしれないと気になり、スマホを見ようと目を開けると──

 

 

「あ、よかった〜!やっと起きたっ!」

 

 

 目の前にさっき夢で見た謎生物がいた。

 

 

「夢じゃなかった──!」

 

 

 咄嗟に体の上に乗っていたそれを振り落とし、慌てて距離をとった。

 

 

 ヴェェといって砂の上に着地したそいつは、こちらを責めるように視線を向け、

 

 

「もう、危ないじゃん!いきなり何すんのさ!」

 

 

「こっちのセリフだわ!俺に何しようとしてたんだよ!

 捕食!?食べようとしてたんだろ!」

 

 

「そんな物騒なことしないよ!かぐやはただ、あなたとお話がしたかっただけ!」

 

 

「かぐや?」

 

 

「そう、かぐや!私の名前!今はこんな姿してるけど、元々は人間だったの」

 

 

 なるほど、元人間ねえ。この目の前の生き物が。

 

 

「へっw」

 

 

「鼻で笑われた!?」

 

 

 もー!絶対信じてないでしょー!

 

 

 足元で相変わらずやかましくわめいている謎生物をよそに、俺は一旦気を失って休んだことで冷静になった頭で考えた結果、ある一つの考えに至った。

 

 

これはドッキリなのではないのか?という説だ。

 

 

 いや、ドッキリに決まっている。

 

 

 だって、朝起きたら突然砂浜にいるとかありえないだろ。酒を飲んで酔っ払っていたとかならまだしも、俺未成年だし。

 

 

 そのため、近くにカメラがあるはずと思い周りを見渡してみる。

 

 

「......?なんでキョロキョロしてんの?」

 

 

 すると少し離れたところに、先が尖った機械のようなものが転がっているのに気づいた。

 

 

 ははーん。なるほど、あれがカメラってわけか。

 

 

 カメラを見つけたことで、自分の推測が真実味を帯びてきたのを感じる。

 

 

「ねえ、聞いてる?ねーえー」

 

 

 そして1番の証拠はコイツ......名をかぐやなるものの存在だ。

 

 

 最初見た時はびっくりしたが、よくよく考えれば人の言葉を話すナマコなど存在するわけがないのだ。

 

 

 おそらくこれは作り物で、中にスピーカーが入っており、遠隔で誰かが声を出しているのだろう。

 

 

 つまり、今回のドッキリの進行人?......進行役がこの謎生物ということなのだろう。なぜナマコチョイスなのかはよくわからないが、最近流行ってんのか

 

 

「無視すんなー!」

 

 

 ──ゴスッ!

 

 

「おうっ!?」

 

 

 突然腹に衝撃が走り、思わずうずくまる。

 

 

 鳩尾を抑えながら顔を上げると、そこには明らかに怒り心頭という雰囲気で俺を見ているものがいた。

 

 

「痛ってえな!急に何すんだよ!ナマコ!」

 

 

「ナマコじゃない!ウミウシ!ていうか、かぐやっ!

 そっちがかぐやのこと無視するからでしょ!」

 

 

 どうやら俺が考えに耽っていた間、ずっと話しかけていたようだ。

 

 

「ごめん、ちょっと考え事してて」

 

 

「まあ、突然ウミウシが喋り出したら驚くのもしょうがないとは思うけどさー。かぐやも聞きたいことがあるんだけど」

 

 

「どうぞ」

 

 

 とにかく今は、このドッキリがどういう設定なのかを把握する必要がある。

 

 

 そのためにも、この進行役から情報を引き出さなくてはならない。

 

 

「まず君の名前は?なんていうの?」

 

 

天津命(アマツ ミコト)。19歳の大学一年生」

 

 

「ミコト......ねえ、ミコト。今って何年なの?」

 

 

「今?2026年だけど」

 

 

「2026年......ちょっと早かったけど、まあ誤差でしょ!

 さっすがかぐやちゃん!天才すぎー!」

 

 

 そういってぴょんぴょんと跳ね出した。

 

 

 何コイツ?急に年代聞いてきたと思ったら急に自画自賛しだしたんだけど。こわっ

 

 

 なお、ミコトはこの一連の出来事については海辺に連れて来られるドッキリだと勘違いしているため、まさかここが8000年前の日本だなんて夢にも思っていない。そのため勘違いが発生しているが、それがわかるのはもう少し後の話。

 

 

「あのさ、こっちも聞きたいことあるんだけど。ここってどこ?」

 

 

「え?むしろこっちが聞きたいんだけど?かぐや、ここのこと全然わかんないんだよね」

 

 

 まさかの返答に面食らう。場所くらいは教えてもらえると思っていたのに、それもダメなのか。

 

 

「いや、俺もさっき目が覚めたら急にここにいたから、まだ全然状況把握できてないんだけど。じゃあ、あれなに?」

 

 

 といって、さっき見つけたカメラらしきもの(もと光る竹)を指差す。

 

 

「あー、あれはもと光る竹っていう、えーと......

宇宙船とかタイムスリップのこととか説明しても絶対信じてくれないよね

 

 

 質問に対して「えーと」と困っているのを見て、大体察することができた。

 

 

 ふむ、やはりカメラのことはバレるとまずいため、言ってはいけないのだろう。

 

 

「とりあえず、あれ持って移動すればいいの?」

 

 

 ならば仕掛け人の立場になり、向こうがしてほしい行動を自分から取っていけばいいのだ。

 

 

「え?いいの?持ってくれるなら助かるんだけど」

 

 

 あれはかぐやの本体といっても過言ではないため、かぐやからすれば放置せずに運んでくれるならありがたいことこの上ないのだ。

 

 

 そしてミコトがもと光る竹をぐっと持ち上げると

 

 

「うわ、おんもっ!?」

 

 

 と、見た目にそぐわぬ重量に思わず声が漏れてしまった。

 

 

「えっ!?」

 

 

「えっ?なに?なんか持ち方ダメだった?」

 

 

「い、いや。何でもない。何でも......」

 

 

 持った瞬間にかぐやが変な声を出したので持ち方がダメだったのかと思い聞いてみたが、別に問題なかったらしい。

 

 

 先ほども言ったが、かぐやからすればあれはもはや自分自身といっても過言ではないため、重いと言われると少々複雑な気持ちになるのだが、運んでもらっている立場のため、ぐっと言葉を飲み込んだのだった。

 




ミコト
この一連の出来事についてはドッキリだと勘違いしており、まさかここが8000年前の日本だなんて夢にも思ってない。なお、主人公は超かぐや姫!の世界とは違う世界からきているためツクヨミを知らない。

かぐや
月から地球に向かって戻ってきたが原作と同じように8000年前に墜落。ずっと一人で絶望していたところ主人公が登場。1番最初にあった人である主人公はタイムスリップのこととか何も知らないのでここが2026年の日本だと思ってぬか喜びしている。
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