超かぐや姫! 星の降る音   作:サトウシュン

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前半はかぐや&彩葉メインだったので、
後半はミコト&ヤチヨメインの話になります。


エピローグプラス 後編  いつか消えた星の光のその先へ

 

 彩葉side

 

 

 はぁっ……はあっ……! 

 

 

 私は木々の間を縫うように走りながら、必死にフィールドを駆け抜ける。

 

 仮想空間だと言うのに息が切れる。額にはじっとりと汗が滲み、心臓が嫌な音を立てて暴れ回っていた。

 

 

 やがて、大きな木の陰へ飛び込むように身を隠し、木の幹へ背中を押し付けながら、口元を両手で押さえた。

 

 

(ふぅー、ふぅー。落ち着け、落ち着くんだ、私……)

 

 

 ここで呼吸音なんて聞かれたら"奴"に見つかってしまう。

 

 向こうはまだこちらの位置を把握していない……はず。

 

 そう自分に言い聞かせながら、じっと息を潜める。

 

 

 周囲は不気味なほど静まり返っており、遠くで風が木々を揺らす音だけが聞こえる。

 

 

 ──上手く巻けただろうか?

 

 

 そんな淡い期待が頭をよぎった、その瞬間。

 

 

 ザッ──。

 

 

 すぐ近くで草を踏む音がした。

 

 

「……っ!」

 

 

 ザッ、ズリッ……ザッ、ズリッ……ザッ。

 

 

 一定のリズムで、足音と何か重いものを地面に引きずるような音が聞こえる。

 

 

 その音が確実に私に近付いてきていることがわかる。

 

 

(近い近い近い近い! 木一本隔てた向こう側にいるんじゃないの!?)

 

 

 心臓がドクンッと大きく跳ね上がる。

 

 

(お願いだからこのまま通り過ぎて……!)

 

 

 私は祈るような気持ちで、さらに身体を縮こまらせた。

 

 

 すると、次の瞬間──

 

 

「彩葉〜〜! どこにいるの〜〜? 出てきて〜〜!」

 

 

「っ!?」

 

 

 思わず息が漏れそうになるのを必死に抑える。

 

 

 背後から聞こえてくるのは、いつも通りの明るい声……のはずなのだが、

 

 

『い"ぃ"ろ"は"ぁ"〜〜! と"こ"に"い"る"の"〜〜? 出でぎで〜〜!』

 

 

 脳が勝手に危険信号を鳴らしているせいで、私の耳にはまるでホラー映画に出てくる殺人鬼の声みたいに聞こえてしまっていた。

 

 

 ……なんでこんなことになっているのだろう。

 

 今日は敵チームと戦い、勝利を目指すゲームのはずだ。

 

 

 決して! 殺人鬼から命懸けで逃げ回るサバイバルゲームではないはずなんだ!

 

 

 そんな理不尽さに頭を抱えながらも、私はじっと息を殺し続ける。

 

 

「いるのはわかってるよ〜」

 

 

 すると、やがてかぐやの声は聞こえなくなり、足音も少しずつ遠ざかっていった。

 

 

 ……行った?

 

 

 恐る恐る周囲へ意識を向けるが、追ってくる気配はもうなくなっていた。

 

 

 それを意識すると、途端に全身から力が抜ける。

 

 

(あぁ、よかった……。どうやら、なんとか撒けたらしい)

 

 

 このまま、少しくらい休憩しても……

 

 

 そう思った、その次の瞬間──

 

 

 バキィィィィィィ!!! 

 

 

 凄まじい轟音と共に、後ろの大木が根元から薙ぎ倒された。舞い上がる土煙。飛び散る木片。

 

 

 呆然とそれを見ていると、場違いに明るい声が聞こえた。

 

 

 

「あっ! やっぱりここにいたんだ!」

 

 

 その向こう側から現れたのは──

 

 

 

「彩葉……み・ぃ・つ・け・た♪」

 

 

 巨大なハンマーを肩に担ぎ、満面の笑みを浮かべるかぐやだった。

 

 

「ぎゃあああああああああああああああっ!!!」

 

 

 私は反射的に踵を返し、全力で走り出す。

 

 

「彩葉!? なんで逃げるの!? 

 恋人同士なんだから、ちゃんと腹を割って話そうよ!!」

 

「いや腹を割るどころかハラワタぶち撒ける気満々でしょ、あんた!?」

 

 

「ひどいっ! そんなことないの……に"っっ!!! 

 

 

 ドゴォォン!! 

 

 

「嘘つけっ! 今説得力が地面と一緒に吹き飛んでったから!!」

 

 

「もう〜〜! かぐやはただ話し合いたいだけなのに!!」

 

 

 かぐやは不満そうに眉を下げながら、ぷんすかと怒っている。

 

 

 表情だけ切り取れば、ただ拗ねているだけの可愛い女の子なのだが、その手に握られたゴツイハンマーが全てを台無しにしていた。

 

 

「じゃあまずその『話し合い』において一番必要のない鈍器を捨ててから言えぇ──!!」

 

 

「やだっ!!」

 

 

 ドゴォォン!!

 

 

 説得も虚しく、またも私のすぐ隣の地面が爆散した。

 

 

「チッ……外した……」

 

 

 土煙の向こうから、赤く光る目がじっとこちらを見据える。

 

 

(怖い怖い怖い怖いっ!!)

 

 

 あれぇ!? おかしいなぁ!?

 

 今日は恋人のお家に遊びに来ただけのはずなんだけど……

 

 なんで最終的に巨大ハンマーを持った恋人から命懸けで逃げるイベントが発生してるんだろう!?

 

 

(……いや、確かにちょっとはしゃいだ自覚はあるけど!! でも仕方ないじゃん!! だって推しが目の前にいたんだもん!!)

 

 

 そう、推しが……推し……。あっ──

 

 

 その時、私はあることに気が付いた。

 

 

(……そうだ! すっかり忘れてたけど、これはチーム戦なんだから、同じチームの人に助けを求めればいいんだ!)

 

 

 つまり──

 

 

(ヤチヨさん!!)

 

 

 そう思った瞬間、私は進行方向を変えた。

 

 

 確か、さっきまであっちにいたはずだ。

 

 

 推しの元へ自分の頭をカチ割ろうとしてくる恋人から助けてもらいに行くという、人生でもそうそう経験しない状況に若干脳が混乱する。だが、迷っている暇はない。

 

 

 なぜなら、現実ではないとはいえ、巨大ハンマーで叩き潰されるのは普通に怖いからだ!

 

 

(よしっ! ヤチヨさんと合流して、かぐやを説得してもらえば──)

 

 

 その時だった。

 

 

 ヒュンッッ!!

 

 

「──え?」

 

 

 何かが、顔のすぐ横を凄まじい速度で通り過ぎた。

 

 

 わずかに遅れて後ろから爆風が襲いかかり、髪がバサバサと揺れる。

 

 

 思わず足を止め、恐る恐る振り返る。すると……

 

 

 シュウゥゥゥ……

 

 

 一本の"傘"が、白い煙を上げながら地面に深々と突き刺さっていた。

 

 

(へ?……"傘"?)

 

 

 なんで戦場で傘がミサイルみたいに飛んでくるの?

 

 

 そう思いながらその先へ視線を向けると、そこには──

 

 

「おいっ!! ちょっと待てコラァァァ!!」

 

 

 ミコトさんが必死の形相で逃げ回っていた。

 

 

 その周囲には五本の傘が宙に浮かんでおり、それはまるで意思を持った生き物のように空中を旋回しながら、隙あらばミコトさんへ襲いかかっていた。

 

 

 ヒュンッ!!

 

 

「うぉっ!!」

 

 

 ガギィィン!!

 

 

 飛来した一本を、ミコトさんが咄嗟に剣で弾き飛ばす。

 

 しかし、その隙を逃さないと言わんばかりに。

 

 

 ヒュンッ!! ヒュンッ!! ヒュンッ!! 

 

 

「ちょっ、待っ……数多いいって!?」

 

 

 ガギィン!! ガキィン!! 

 

 

 右から一発。左から一発。さらに背後から一発。

 

 まるで飽和攻撃のように次々と襲いかかってくる。

 

 

 すると、少し離れた場所にいる人物がそれを見て楽しそうに笑った。

 

 

「ふふふっ♪」

 

 

 ヤチヨさんだった。

 

 先ほど飛んできたものも含めて、合計で六本もの傘をまるで指揮者のように自在に操りながら、優雅に鼻歌を歌っていた。

 

 

 逃げ回りながら、ミコトさんが抗議の声を上げる。

 

 

「なんで一人だけ武器六本使ってファンネルみたいなことしてんだお前は! チートだろチート! BANしてもらうから今すぐ運営を呼べ! ……あっ、目の前にいたわ」

 

 

 すると、ヤチヨさんは不思議そうに首を傾げた。

 

 

「え〜、失礼だな〜? チートなんて使ってないよ〜?」

 

 

 そして、当たり前のように言う。

 

 

「自動追尾とか自律制御してるわけじゃなくって、ちゃんと全部ヤチヨが同時に操作してるんだから♪」

 

 

「はぁっ!? そんなの、"人間"にできるわけ──」

 

 

「ヤッチョの演算能力を駆使すれば、“傘を六本同時に操る”くらい、おちゃのこさいさいなのです♪」

 

 

 ミコトさんの顔が悔しそうに歪む。

 

 

「そういえばかぐやも"無駄に高スペック"だったな……くそっ、だからあんなに余裕そうだったのか……!!」

 

 

 そして次の瞬間、

 

 

 ブウゥゥゥゥン!! 

 

 

 二本の傘が開き、なぜかエンジン音を吹かせながら高速回転を始めた。

 

 

 ……いや、なんで傘からそんな音が出るの?

 

 

「うぉっ!? それはヤバいって!!」

 

 

 ギュイィィィィン!! 

 

 

 チェーンソーのような音を立てて高速回転する傘が一直線に襲いかかる。

 

 

 ミコトさんは慌てて身を翻し、その攻撃を紙一重で躱した。だが、完全には避けきれず、服の裾が僅かに切り裂かれる。

 

 

「うわっ……なにあれ……」

 

 

 いつの間にか追いついてきたかぐやも、ドン引きした表情で呟く。

 

 

 その光景はもはや戦闘というより、一方的な公開処刑だった。

 

 

 ……でも、あれよく避けられるなぁ。私だったら十秒くらいで蜂の巣……いや、傘の巣になってる気がする。

 

 

 そんなことを思っていると、不意にミコトさんがこちらへ視線を向けた。

 

 

「あっ、かぐや! ちょうどいいところに来た! 頼む、助けてくれ!

この戦いだけは絶対に負けるわけにはいかないんだ! 

 

 

 ミコトさんが鬼気迫る形相で助けを求めてくる。

 

 

 たかがゲームなのに、どうしてそんな命懸けみたいな顔をしているのだろうか?

 

 ……意外と私と同じようにゲーマーとしてのプライドが高いのかもしれない。

 

 

 すると、ミコトさんの頼みに対してかぐやが露骨に嫌そうな声を出した。

 

 

「え〜、どうしよっかな〜?」

 

 

 ハンマーを肩へ担ぎながら、頬を膨らませていじけていた。

 

 

「さっきミコト、かぐやのお願い聞いてくれなかったしな〜?」

 

 

「あ……」

 

 

 すると、ミコトさんの顔が心当たりのあるように少し引き攣る。

 

 

「いや、それとこれとは……話が別だろ?」

 

 

「別じゃないもーん。あーあー、ミコトだけはかぐやの味方だって信じてたのになー」

 

 

 かぐやは腕を組みながら、ふんっと鼻を鳴らした。

 

 

「謝るから……そこをなんとかっ……」

 

 

 すると、迫り来る傘を剣で弾きながら、ミコトさんは必死に食い下がる。

 

 

「頼む! かぐやしか頼れないんだ!!」

 

 

 すると、かぐやは少し考え込むように顎へ手を当てた。

 

 

「う〜ん……あっ!」

 

 

 そして、何かを思い付いたのか、ぽんっと手を叩く。

 

 

「……そこまで言うなら別に手伝ってあげてもいいよ?」

 

 

「ほんとか!?」

 

 

「うん!」

 

 

 そう言うと、かぐやは人差し指を一本立てて、とびっきりの笑顔を浮かべながらこう言った。

 

 

「その代わり──かぐやのお願いをなんでも一つ聞いてくれるならね? 

 

 

「え"っ!? いやっ、それは……それだと勝っても負けても変わんないんだけど……

 

 

 ちらりとヤチヨさんの方を見たミコトさんの顔が引き攣る。

 

 

 理由は分からないけれど、どうやら相当追い詰められているらしい。

 

 

「ふ〜ん、じゃあこの話はなしに──」

 

 

「聞きます!! なんでも言うこと聞くから助けてください、かぐや様!!」

 

 

 踵を返そうとしたその瞬間、ミコトさんが食い気味に頭を下げた。

 

 

「しょうがないな〜! あとでやっぱり無しって言っても聞かないからね!」

 

 

かぐやは目をきらきらと輝かせながら、後戻りは許さないとばかりにそう告げた。

 

 

「……母娘そろっておんなじこと言ってきやがって。でも、八千年付き合ってきた経験上ヤチヨは100%ロクでもないことを言ってくるから、かぐやの方がまだマシなはず………くそっなんであんな簡単な挑発に乗っちゃったんだ俺は! ……いやだ、絶対負けたくないぃ…」

 

 ミコトさんは震えながらブツブツと何かを呟いていた。

 

 

「おやおや〜……話は纏まったかな〜? さあ! いつでもかかっておいでよ!」

 

 

 ヤチヨさんが楽しそうに両手を広げる。

 

 

 その周囲では、六本の傘が獲物を待ち構える猛獣のようにゆっくりと旋回し始めていた。

 

 

 それを見たミコトさんは気を取り直し、すぐに指示を飛ばす。

 

 

「かぐや! あんまり近付くとあの傘の餌食にされるから、後ろから"援護射撃"任せた!」

 

 

「おっけー!」

 

 

 かぐやが元気よく返事をする。

 

 

 そして、不意にこちらを向いた。

 

 

「あっ、彩葉は後で相手してあげるから、ちょっとあっち行っといてー」

 

 

「えっ、ちょっ──」

 

 

 次の瞬間だった。

 

 

 バコンッッ!!! 

 

 

 視界が一瞬で空へ切り替わる。

 

 

「いや、私の扱い雑すぎない──!?」

 

 

 どうやら、かぐやのハンマーにホームランされたらしい。

 

 

 私は砲弾みたいな勢いで吹き飛ばされる。

 

 

 ゴロゴロゴロ……ゴンッ!! 

 

 

 しばらく転がり、岩に激突してようやく停止した。

 

 

「いったぁぁぁ……!!」

 

 

 実際に痛いわけではないのだが、リアルすぎる視界に思わず涙目になりながら顔を上げる。

 

 

 すると、いつの間にか戦場の空気が変わっていた。

 

 

 前衛としてミコトさん、後方支援としてかぐや。

 

 

 そして、その二人の視線の先には、六本の傘を従えながら悠然と立つヤチヨさんの姿。

 

 

 その光景は、まるで勇者パーティーが世界を滅ぼす魔王へ挑もうとしている──そんな構図にすら見えた。

 

 

 (な、なんか……急にレイドボス討伐戦が始まったんだけど!?)

 

 

 その直後、ミコトさんはヤチヨさんへ向かって一直線に駆け出した。

 

 

 すると、その後方ではかぐやが巨大なハンマーを変形させ、砲撃形態へと移行する。

 

 

 そして、片目を閉じながら真剣な表情で照準を定めた。

 

 

(おぉ……!)

 

 

 なんだかんだ言いながらも、ちゃんと前衛と後衛で役割分担をしていて、ミコトさんが前へ出て傘を引きつけ、その隙をかぐやが後方から援護する。

 

 

 さっきまでギャーギャー言い争っていたのに、こういう時はしっかり連携するんだなぁ……

 

 なんて感心していた、その時だった。

 

 

「ここっ!!」

 

 

 ズドンッ!! 

 

 

 かぐやのハンマーから砲弾が放たれる。

 

 

 うなぎ型の弾は勢いよく空を裂きながら、一直線に飛んでいき──

 

 

 ヒュゥゥゥゥ────……

 

 

 綺麗な弾道を描き、そして見事に──

 

 

 

「ぎゃああああぁぁぁぁ〜〜〜!?」

 

 

 

 ミコトさんに直撃した。

 

 

 (いや、そっちぃぃぃぃぃ──!!?)

 

 

 盛大な爆発が巻き起こる。

 

 

 つい数秒前まで「おぉ、連携してる!」って思ってた感動が、一瞬で消し飛んだ。

 

 

(早い早い早い!! 連携崩壊するの早いって!!)

 

 

 開始十秒で味方を爆破する後衛なんて初めて見たんだけど!?

 

 

「うわ──!? ごめん!?」

 

 

 耳をピコンと跳ね上げたかぐやが、慌てたように地面に伏したミコトさんのそばへ駆け寄る。

 

 

「……ご、ごめんで済むか──!! 何やってんだこのヘタクソ!! 今ので片腕吹っ飛んだんだが!?」

 

 

 地面から立ち上がると、すぐさま文句を言うミコトさん。

 

 

「だって、遠くて狙いにくくって……それに! ミ、ミコトが後ろから射撃しろって言ったんじゃん!」

 

 

「"援護しろ"っていう一番大事な部分が抜けてんだよ!! 当てる自信ないならもっと近くから撃て!!」

 

 

 

「え? でも、"遠後射撃"しろって……」

 

 

 

漢字一文字ずつ拾って解釈するな!!  誰が『"遠"い"後"ろから味方ごと"射撃"しろ』なんて指示出すか!!」

 

 

 これじゃ3対1で戦ってるみたいなもんだろ!

 うぅ〜〜〜……あっ、でもでも! 腕から桜の花びら出ててすごい綺麗だよ!

 わ〜ほんとだ〜! ……じゃねーわ!!

 なに人の欠損エフェクトで花見してんだバカ!!

 

 

 味方同士でギャーギャーと騒ぐ二人を見ながら、少し離れた場所にいたヤチヨさんが楽しそうに微笑んだ。

 

 

「ふふっ♪ 二人とも仲良いね〜! ……でも、ミコトも片腕じゃ動きにくいでしょ?」

 

 

 気付けば、六本の傘が二人を包囲するように配置されている。

 

 

「「あ」」

 

 

 ようやく自分たちが戦闘中だったことを思い出したらしい。

 

 

 そんな二人へ向かって、ヤチヨさんはにっこりと笑った。

 

 

「今、楽にしてあげるね♪」

 

 

 次の瞬間。

 

 

 ヒュンッ!! ヒュンッ!! ヒュンッ!! 

 

 

 戦場に、二名分の短い悲鳴が響き渡った。

 

 

(……これはヤチヨさんだけでなんとかなりそうだなー。ていうか、一緒に遊ぼうって誘ってきたくせに、この兄妹誰も私に操作教えてくれないし……私はもうこのまま観戦してよ)

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 ミコトside

 

 

「だ〜もう何やってんだよ! さっきのお願いの件はなかったことにするからな!」

 ミコト:残機2→1

 

 

 俺は頭を抱えながら叫ぶ。

 

 

「え〜! さっきはなかったことにするの禁止っていったのに〜!」

 かぐや:残機2→1

 

 

 隣でかぐやが不満そうな声をあげる。

 

 

(まったく、利敵行為しておいて何言ってんだコイツは!……どうせかぐやも、ヤチヨと同じくらいろくでもないこと言ってくるに決まって──)

 

 

 すると、かぐやが少し頬を膨らませながらこう言った。

 

 

「かぐや、家族みんなで遊園地に行きたかったのにな〜」

 

 

「……え?」

 

 

 突然飛び込んできた言葉に耳を疑い、思わず聞き返す。

 

 

「──今なんて?」

 

 

 するとかぐやは、"計算も打算も一切ない、心が浄化されるような純真無垢な笑顔"を浮かべた。

 

 

「みんなで遊園地行きたいの! ジェットコースター乗って、写真いっぱい撮って、あっ! あと観覧車とかにも乗ってみたいな〜ってずっと思ってたんだ!!」

 

 

「…………」

 

 

 ……なんだろう。さっきまで勝ち負けばかり考えて怒鳴っていたのが、急に恥ずかしくなってきたんだけど。

 

 ただみんなで遊びに行きたい。それだけの願いを、かぐやはこんなにも嬉しそうに語っていた。

 

 

「……はぁ。まったく、そんなのお願いされなくても今度連れていってやるから」

 

 

「えっ、ほんと!?」

 

 

「ああ。可愛いむす──妹のお願いだからな」

 

 

「やった〜!!」

 

 

 かぐやは嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる。

 

 

 その姿を見ていると、荒んでいた心が少しずつ洗われていくような気がした。

 

 

 すると、そのやり取りを聞いていたヤチヨがニコニコしながら手を挙げた。

 

 

「お、奇遇だね〜! ヤッチョも『遊園地に行きた〜い!』ってお願いしようと思ってたんだ〜♪」

 

 

 なんだ、そうだったのか……。

 

 

 かぐやは否定していたけど、やっぱり二人は同じ思考をしているみたいだ。俺が勝手に警戒しすぎていただけで、ヤチヨのお願いも案外可愛らしいものだったのだと安堵する。

 

 

(まったく。8000年も一緒にいたのに、俺は何を疑っていたんだろうか……)

 

 

「じゃあ丁度いいし、今度みんなで──」

 

 

「ううん♪ 二人っきりで♡」

 

 

「……あ?」

 

 

 突然飛び込んできた言葉に耳を疑い、思わず聞き返す。

 

 

「──今なんて?」

 

 

 するとヤチヨは、"計算と打算しかない、心が穢されるような邪念に満ちた笑顔"を浮かべた。

 

 

「朝から手を繋いでデートして〜!お揃いのカチューシャ買って〜! あっ! あと観覧車で二人だけの空間になったら──」

 

 

「待て待て待て待て!!」

 

 

「その後は『もう少し一緒にいたいな……♡』って流れになって〜、そのまま別の遊園地に──」

 

 

「──ちょっと黙れお前」

 

 

 子供達の前で何言おうとしてるんだこのバカは!?

 

 

(はあ、もうやだ……なんでこうなっちゃったんだろうか……)

 

 

 一体、どこで道を踏み外した?

 

 

 かぐやの方はただ遊園地に行きたいっていう、微笑ましいお願いだったはずなのに。

 

 

 それが"八千年の間"でこんな……"八千年"……??

 

 

 まるで、長年誰にも解けないとされていた数式の答えが、突然頭に浮かんだかのようだった。だが、俺はすぐさま頭の中からそれを放り捨てた。

 

 

(……いや、違う。俺じゃない…俺は悪くない……悪いのは…悪いのは全部、彩葉さんだから!!)

 

 

「なんか今全然関係ないのに私のせいにされた気がする……」

 

 

 少し離れた場所で酒寄さんが何か言っていた気がするが、気にしている余裕はない。

 

 

「そうとなれば、雑談はここまでだな」

 

 

 俺は再び剣を構え、正面のヤチヨへ視線を向ける。

 

 

 すると、ヤチヨも傘を肩に担ぎながらニコニコと笑った。

 

 

「え〜、もう終わり〜? まだ朝六時から深夜二時までのスケジュールしか決まってないよ〜?」

 

 

「うるさい。そのプランを実行する気はないし、ここからが本番だ」

 

 

 そして、ボイスチャットをチーム内のものに切り替え、かぐやに指示を出す。

 

 

『えっ、でも……』

 

 

 かぐやは作戦に対して困惑した声を上げるが、俺は迷わず言い切った。

 

 

『いいから。俺を信じろ!』

 

 

『……うん、わかった!』

 

 

 元気よく返事をすると、その場から駆け出していく。

 

 

 そして俺は、その後ろ姿を見ることもなく、ヤチヨと複数の傘を相手取るため距離を詰めた。

 

 

 数秒後──。

 

 

 ヒュンッ!!

 

 

 後方から、空気を切り裂くような鋭い風切り音が聞こえた。

 

 

 だが、俺は振り返らない。

 

 背後で何が起きているのかを確認する必要すらなかった。

 

 迫ってくる軌道も、速度も、狙われている位置も、全て把握している。

 

 

 だからこそ、慌てることなく、一歩にも満たない距離だけ体を横へずらした。

 

 

 それだけの動作で、見えない砲弾は俺の頬を紙一重で掠めて通り過ぎる。

 

 

 回避された砲弾は勢いを一切殺すことなく、そのまま一直線にヤチヨへ向かって飛んでいく。

 

 

「っ!?」

 

 

 突如として俺の背後から現れた砲弾に、ヤチヨが目を見開いた。

 

 

 驚愕しながらも、すぐさま手に持った傘を前方へ突き出し、防御姿勢へ移行する。

 

 

 次の瞬間──。

 

 

 ドガァンッ!!

 

 

 耳をつんざくような轟音と共に、衝撃波が周囲へと吹き荒れた。

 

 

 どうにか直撃は免れたらしい。

 

 

 だが、その代償は決して小さくなかった。

 

 

 攻撃を受け止めた傘の表面には、無数の穴が穿たれ、先ほどまで飄々と振り回していた武器は、見るも無惨な姿へと変わり果てていた。

 

 

「ありゃりゃ〜……。もうこの傘はお勤め完了かな〜?」

 

 

 ヤチヨは苦笑しながらボロボロになった傘を眺める。

 

 

 そして、どこか感心したようにこちらを見る。

 

 

「なるほどね〜。昔の配信でやってたみたいに、あのハンマーについては知り尽くしてるし、"かぐやの行動は大体予測できる"んだっけ?」

 

 

 僅かに頬を緩め、"どこか嬉しそうな笑み"を浮かべながらそう言ってくるヤチヨに対して。

 

 

「ああ……」

 

 

 こちらも笑みを浮かべて、少し間を開けて答えた。

 

 

「まあ、伊達に長い付き合いじゃないからな『えっ? ミコトとは会って二年くらいしか経ってないけど?』

 

 うん、ちょっと黙ってようか。

 

 

 

 それからもかぐやの砲撃と俺の前衛による連携で、ヤチヨの傘を一つ、また一つと破壊していく。

 

 

 ヤチヨも反撃を試みるが、かぐやの砲撃を警戒しているせいで俺相手に手数を増やせない。

 

 

 そして──。

 

 

 ガキンッ!!

 

 

 俺の剣が、残り二本のうち一本の傘を弾き飛ばした。

 

 

「おっとっと〜☆ とうとう残り一本になっちゃった〜♪」

 

 

「余裕かましてるけど、これでチェックメイトだろ!」

 

 

 そのまま地面を蹴り、一気に距離を詰める。

 

 

 あと少し。もう少しで剣先が首に届く──。

 

 

 その瞬間だった。

 

 

「かかったね♪」

 

 

 ヤチヨの身体が、ふわりとわずかに後方へ浮き上がる。

 

 

「なっ!?」

 

 

 距離にして僅か一メートル。

 

 

 ほんの少しだけ高度を上げ、俺の剣が首に届くギリギリの射程圏外へ移動した。

 

 

「えへへ〜♪ 実はちょっとだけ飛ぶこともできたのでした〜♪」

 

 

 すると、残った一本の傘が俺のガラ空きの胴体へと照準を定める。

 

 

 ヤチヨはニヤリとしながらこちらを見下ろした。

 

 

「いや〜、残念だったね〜♪ あのジャラジャラした剣を使われてたら負けてたかもしれないけど……ミコトはそのヤッチョお手製機能ゼロの剣が大好きだもんね〜♪」

 

 

 そして、余裕たっぷりにこちらを煽ってくる。

 

 

「さあ! これで、チェックメイトだよ!」

 

 

 勝ちを確信したような表現を浮かべるヤチヨに対して、向こうばかり手の内を明かさせるのも悪いため、俺も一つ教えてやることにした。

 

 

「……ヤチヨ」

 

 

「ん〜? なんだいなんだい? 今更謝ってももう遅──」

 

 

「お前、"いつからこの剣になんの機能もないって思い込んでた?"」

 

 

「──え?」

 

 

 ヤチヨがきょとんとした表情を浮かべる。

 

 

 次の瞬間──刀身の先端から半透明のエネルギーブレードが展開され、一気に長さを伸ばした。

 

 

 俺はそのまま、真っ直ぐに剣を振り抜く。

 

 

「──へっ?」

 

 

 ヤチヨが昔、ブラックオニキスとのKASSENで、勝利を確信した直後に地雷トラップを踏み抜いた時と全く同じ表情を浮かべる。

 

 

「なにそれっ!? ちょ、ちょっと待っ──」

 

 

 ──ヤチヨの言葉は、そこで途絶えた。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 彩葉side

 

 

「……ねぇ、止めなくていいの? "あれ"……」

 

 

 私は隣にいる、KASSEN開始時とは打って変わってすっかりと落ち着きを取り戻したかぐやへ尋ねた。

 

 

「いいよ……いつものことだから」

 

 

 その口調からは、もはや諦めのようなものすら感じる。

 

 

 私はもう一度二人へ視線を向ける。

 

 

 視線の先では──

 

 

「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉ────!!」

 

 

 ツクヨミ内にヤチヨさんの声が響き渡る。

 

 

 声の発信源では、ミコトさんとヤチヨさんが鍔迫り合いをしながら、激しい舌戦を繰り広げていた。

 

 

「何勝手に私の贈った剣、魔改造してんの!? そんなの許可した覚えないんだけど!?」

ヤチヨ:残機2→1

 

 

「許可なんて必要ないだろ! もう俺のなんだから!」

 

 

 すると、ヤチヨさんは「はぁ!?」と声を上げる。

 

 

 まるで、とんでもない裏切り行為を目撃したかのような反応だ。

 

 

「必要だよ!! いい!? 二次創作っていうのはね──

 公式へのリスペクトがなによりも大事なんだからね!!

 

 

「なんの話してんだお前は! ていうか、なんで新しいツクヨミでもまた機能ゼロの剣プレゼントしてきたんだよ! どうせなら性能もりもりの武器よこせよ!」

 

 

「それは、今回みたいなときに私が簡単に勝てるように……じゃなくて、あ、愛ゆえに決まってるでしょ!!」

 

 

 剣と傘が火花を散らし、互いに一歩も譲らない……はずなのだが、どうにも緊張感がない。

 

 

 というより、ただの痴話喧嘩にしか見えなかった。

 

 

「嘘つけ!! 思いっきり魂胆丸見えだったぞ! 今回やたら自信満々だったのも、『近接攻撃しかできない俺になら遠くから傘で攻撃してれば余裕で勝てるなw うぇーい、勝ち確〜〜!』とか思ってたからだろ!」

 

 

 次の瞬間、図星を突かれたのか、ヤチヨさんの動きがぴたりと止まる。

 

 

 そのまま視線を泳がせ、口をぱくぱくと動かすものの、反論の言葉が出てこない。

 

 

 ──どうやら、かなりの割合で当たっていたらしい。

 

 

 そして数秒後、ヤチヨさんは、ぐぬぬっと悔しそうな表情を浮かべた。

 

 

「〜〜〜で、でもっ! 見た目そのままなのに中身だけ別物にするとかズルじゃん!!」

 

 

「武器六個使ってきたお前が言うな!!」

 

 

 そのまま、二人はさらにヒートアップしていき。

 

 

「そもそも、恋人の首をなんの躊躇もなく"首チョンパ"するってどう言うこと!? ありえないんだけど!!」

 

 

「お前だってさっき俺の胸に風穴開けただろ!! な〜にが『そのハートを射抜いてあげる♡』だ! 物理的に心臓(ハート)くり抜いてんじゃねーか!!」

 

 

 そう言い返すと、ヤチヨさんはむっと唇を尖らせる。

 

 

 自分がやるのはいいけど、やられるのは納得できないらしい。

 

 

「というか、ミコトはここ最近(百数年)私の扱いが雑すぎるよ!! 昔の過保護すぎるくらいにヤチヨのことを守護ってくれたミコトはどこにいっちゃったの!? 返して!あの頃のたくさん甘やかしてくれたミコトを返してよ〜!!」

 

 

 だが、その言葉には責めるような響きよりも、どこか拗ねたような甘えた響きの方が強い。

 

 

 そんな調子だからだろうか。鍔迫り合いをしながら言い争っているはずなのに、どうしても殺伐とした空気にならない。

 

 

 ヤチヨさんも、先ほどまでとは雰囲気が変わっていて、今ならかぐやの姉だと言われても妙な納得感があった。

 

 

(いや〜、兄妹なのに仲がいいな〜。うちもお兄ちゃんとは仲良い方だと思うけどここまでではないからな〜)

 

 

 いや〜なるほどなるほど……それで?

 

 

「今、なんて?」

 

 

「「え?」」

 

 

「今……"恋人"って、言いました?」

 

 

「「あっ」」

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 ヤチヨside

 

 

 そうして無事にKASSENも終わった後──

 

 

『ほ〜ら、彩葉〜? 落ち着いて〜……こらっ!待て!!ステイだよ!!』

 

 

『〜〜〜〜〜っ!!!!』

 

 

『よ〜しよしよし、いい子いい子〜。そのまま駅まで行こうね〜!』

 

 

 かぐやはそのまま『彩葉を駅まで送ってくる〜……ほらっ、彩葉!ハウスだよ!』と言い残すと、怒り狂う大型犬のような彩葉を連行していった。

 

 

 

「お前……最後の"あれ"ずるくない?」

 

 

 そうして今、二人で並んでソファに座っていると、さっきまで彩葉にビビってかぐやの後ろに隠れていたミコトが急にそんなことを言ってきた。

 

 

「あれってなんのこと〜?」

 

 

「とぼけんなよ。絶対ヤチヨが酒寄さんに仕込んだだろ?」

 

 

 ミコトの言うあれとは、彼にトドメを刺す決定的な隙を作った言葉のことだろう。

 

 

 あれから、正気を失った彩葉は殺意全開でミコトを仕留めにいっていた。

 

 

『説明して下さい!! 今、私は冷静さを欠こうとしていますッッ!!!』

 

 

『いや、もう葬式どころか冷静さの墓石まで建ってる勢いなんだけど!?

 とりあえず、おおお落ち着いて”彩葉さん”!』

 

 

『誰が彩葉さんですか!! 急に名前呼びなんて馴れ馴れしい!!』

 

 

『いや、そう……ですよね』

 

 

 ミコトはショックを受けて少し落ち込んでいた。

 

 向こうの世界では立場が逆で、彩葉がミコトから距離を取られて落ち込んでいたから、少し見ていて面白かった。

 

 

 とはいえ、流石に今のままでは実力差がありすぎて相手になっていなかったため、少し彩葉に助言をした。

 

 

『えっ? こんな言葉を言って何の意味が……? まあ、でもそこまで言うなら……』

 

 

 そして、ただ真っ直ぐ突っ込んでいくだけの彩葉に、ミコトが警戒を示す。

 

 

『ミコトさん!』

 

『っ!!』

 

 

 そして、次の瞬間──

 

 

『──さあ! "実験の時間ですよ"!!

 

 

『!?!?!?』

 

 

 かつてのトラウマを刺激されたミコトの動きが大きく崩れる。

 

 

 その隙をついて彼にトドメを刺し、結局勝負は私と彩葉のチームの勝ちとなった。

 

 

 

 そんなことを思い出していると、ミコトが呆れたようにため息をついた。

 

 

「まったく……これからはあんまり酒寄さんを困らせるなよ?」

 

 

「え〜? でも、彩葉も喜んでたじゃん♪」

 

「最後、悪魔に憑かれたみたいな顔して帰っていったけど?」

 

 

 ミコトが疲れたように額を押さえる。

 ……いや、多分、本当に疲れてるんだろうな。

 

 

(やっぱり、かぐやがあんなに全力ではしゃいでたからだろう……

まったく、ミコトのためにもあとできっちり言っておかないと!)

 

 

「……とにかく、酒寄さんは向こうの彩葉さんとは違うんだから、あんまり変に振り回してやるなよ」

 

 

「は〜い……」

 

 

 再三釘を刺すような言葉に適当に空返事をして、私はちらりと彼の方へ視線を向けた。

 

 

 ……おかしい。

 

 

 さっきから、ミコトは彩葉のことばっかり話している。それに、普段のミコトなら、ここまで私に説教なんてしないはずだった。そういう面倒くさいことは、基本的に避ける人だから。

 

 

 ……いつだったか、ミコトが私との会話のわずかな違和感から、かぐやの初配信を見抜いたことがあった。それと同じように、私の脳裏にも一つの答えが浮かび上がっていた。

 

 

「もしかして、ミコトさぁ……」

 

 

「……なんだよ?」

 

 

 露骨にめんどくさそうな顔をするミコトに、私は構わず追撃を仕掛ける。

 

 

「彩葉に、"ヤキモチ妬いてる?"」

 

 

 いつもの彼なら、即座に『はぁ? そんなわけねーだろ』と、

 皮肉っぽく返してくるはずなのに……

 

 

「………」

 

 

 返ってきたのは、まさかの無言だった。まるで、不意打ちで急所を突かれて思考が止まってしまったみたいに。

 

 

「えっ……?」

 

 

 そして、誤魔化すように慌てて顔を逸らした彼の耳は、ほんのり赤く染まっていた。

 

 

 ……ああ、やっぱりそうだった。

 

 

 なんだろう。胸の奥がくすぐったい。

 

 こんなにも長い時間を一緒に過ごしたのに、今でもこうして私のことでヤキモチを妬いてくれるなんて……それがなんだか嬉しくて、自然と笑みが零れてしまった。

 

 

 八千年も一緒にいるのに、こういうところは全然変わらない。

 

 私だけを見て、私だけにこんな姿を見せてくれる。

 

 そんな彼が、たまらなく愛おしかった。

 

 

 そして、改めて思う。

 

 

 ──ああ、やっぱり私は、この人のことが大好きなんだな〜って。

 

 

「えへへ〜〜♪ 安心していいよ〜♪」

 

 

 そうして、私は思い切り彼の肩に寄りかかった。

 

 

「……何が?」

 

 

「──少なくとも、かぐやと意識を分けたあの日から……私の心は、ずっとミコトだけのものだから」

 

 

「っ……」

 

 

 その瞬間、ミコトが固まった。そして、照れ隠しをするように頭を掻く。

 

 

「……そんなこと言ってるけどさ」

 

 

「ん〜〜? なにかな〜?」

 

 

「お前、いつから俺のこと好きになったんだ?」

 

 

「……え?」

 

 

 不意にそんなことを聞かれ、私は少しだけ目を丸くする。

 

 

「いや、だって……一回も聞いたことなかったし。八千年もあったんだから、どっかにきっかけがあったんじゃないのかな〜って」

 

 

「………」

 

 

(う〜ん、今日は本当に珍しいなぁ〜。でも……きっかけ、かぁ……)

 

 

「ふふっ♪」

 

 

 そう聞かれると、意外と答えは簡単だった。

 

 

 だって、私の中では"ちゃんと覚えているから"。

 

 

「ミコトがさ……縄文時代の時に私に言ってくれたこと、覚えてる?」

 

 

「縄文時代の……いつの時の話?」

 

 

 何とかノーヒントで当てようとしたものの、あまりにも時間の幅がありすぎて速攻で諦めたミコトが聞いてくる。

 

 

「ほら……タイムスリップしてすぐの頃の、“星の光の話”」

 

 

 ──あれが、始まりだった。

 

 

 私がミコトを、ただの恩人でも、ただの友人でもない。

 

 

 かけがえのない、たった一人の"特別な存在"として意識し始めた日。

 

 

「えっ!?……あぁ、あれ?」

 

 

 すると、途端に気まずそうな顔になる。

 

 

「……いや、あれは……できれば忘れてほしいんだけど」

 

 

「──は?」

 

 

 思わず間の抜けた声が漏れる。

 

 

 だって、あれは私にとって今でも大切な思い出の一つなのだから、そんな反応をされるなんて少し意外だった。

 

 

「あの頃って、まだ自分が不老不死だって気づいてなかったから。かぐやを励まそうと思って、やたら格好つけたこと言ってたし……」

 

 

 どうやら本人の中では、若気の至りみたいな扱いらしい。

 

 

 でも──

 

 

(忘れられるわけ、ないよ)

 

 

 だって、あの言葉があったから。

 

 私は、人との別れを乗り越えてこられた。

 

 何千年という長い時間の中で、出会いと別れを繰り返しても、立ち止まらずに歩き続けてこられた。

 

 

 人が生きた証は消えないことを。

 

 

 誰かを想う気持ちは、遠い未来まで届くことを。

 

 

 教えてくれたのは、ミコトだったから。

 

 

 もし、あの日の言葉がなかったら……私は、ここまで生きてこられなかったんだから。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 土をかける音だけが、静かな夜の中に響いていた。

 

 

 目の前にあるのは、土を盛り、その上に石を置いただけの小さなお墓。

 

 

「ありがとうね、ミコト。"かぐや"じゃ……こうしてお墓を作ってあげることも出来ないからさ」

 

 

「いや、俺だって……最後まで一緒にいてあげられなかったから」

 

 

 そこに眠っているのは、五歳の男の子。

 

 

 拾ったどんぐりを嬉しそうに見せてきたり、私が少し褒めるだけで照れ臭そうに笑う、つい数週間前まで元気に走り回っていた、普通の男の子だった。

 

 

 けれど、その小さな命は病に抗うことができなかった。

 

 

 まだ薬も存在しない縄文時代では、それはあまりにも避けられない運命だった。

 

 

 それでも──

 

 

 私は、"初めて体験する身近な人の死"という現実を、どうしても受け入れることができなかった。

 

 

 最初はただ熱が出ただけだと思った。

 

 少し熱が出て、「今日は遊べないんだ」って笑っていた。

 

 でも、五日後には起き上がれなくなって。

 

 十日後には、ご飯も食べられなくなって。

 

 

 そして、病が集落に広がることを恐れた大人たちは、まだ五歳の子供をたった一人で外へ追いやった。

 

 

 ミコトはそんな人々に怒りを露わにし、自分も看病しようとしてくれたけど、彼だって病気にかかれば死んでしまうかもしれない。

 

 

 だから、病気にかからない私が一人で看病するとなんとか言い聞かせた。

 

 

 それからも、その子の身体は日に日に痩せていって、声も小さくなっていった。

 

 

 そして最後の日。

 

 

 彼は、掠れた声で私に『かぐやの歌が好きだからさ、歌を歌ってよ』と言った。

 

 

 私は精一杯歌い続けた。彼が少しでも元気になるように、少しでも笑ってくれるように。

 

 

 ──でも、その子はそのまま眠るように息を引き取った。

 

 

 周りには私以外、誰一人見送る者はいない……あまりにも呆気ない最後だった。

 

 

 

「……こんなの、ひどいよ」

 

 

 震えた声が漏れる。

 

 

「だって……まだ五歳だよ……?」

 

 

 視界が滲む。

 

 

「まだ、やりたいことがあったはずなのに……」

 

 

 まだまだ遊び足りなくて。

 

 まだまだ食べたいものもあって。

 

 最後に──"会いたい人"だっていたはずなのに……。

 

 

「まだ、これからなのに……」

 

 もっと大きくなって、もっと色んなことを知って。

 

 大人になって、家族を作って。

 

 そうやって生きていくんだと思っていたのに……。

 

 

 でも、もう……そんな未来は、全て奪われてしまった。

 

 

「なんで……なんでこんなに早く、死ななきゃいけなかったの……?」

 

 

 ぽろりと涙がこぼれ落ちる。

 

 

 胸の奥が痛い。苦しい。

 

 

 やっぱり、どうしても納得できない。

 

 

 だって、こんなに早く死んだんじゃ……なんのために生まれてきたのか……

 

 

「これじゃあ、()()()()()()()()()()()……()──」

 

 

「かぐや」

 

 

 隣から、静かな声がした。

 

 

 ただ、「それ以上先は言っちゃいけない」と、そっと呼びかけるような声だった。

 

 

 そして、しゃがみ込み、小さな墓を優しく撫でる。

 

 

「人ってさ……長く生きたから偉いとか、意味があるとか、そういうものじゃないと思うんだ」

 

 

 そう言って、彼は少しだけ目を細めた。

 まるで、ここに眠る誰かの人生を静かに思い返しているように。

 

 

「短くても、誰かの心に居場所を作れたなら、それだけで十分すごいことなんじゃないかな」

 

 

 ミコトが私を励まそうとしてくれていることも、その言葉が心からのものだということも、十分すぎるほど伝わっていた。

 

 

 それでも、一度溢れ出してしまった感情は止まらず、涙と一緒に次々と零れ落ちていった。

 

 

「……でも…っ……それでも悲しいよ……っ」

 

 

「うん」

 

 

「誰かがいなくなるのは、嫌だよ…っ…」

 

 

「……うん」

 

 

「だって、この子が大人になるところも見たかったし……もっと一緒に遊びたかったし……」

 

 

 声が震える。

 

 

「……っ、死んでほしく、なかった……っ!」

 

 

 嗚咽が漏れる。

 

 

 すると、ミコトは私のすぐ隣に座り込んで、そっと頭を撫でてくれた。

 

 

「……そうだな」

 

 

 ただ、それだけを返し、私が泣き止むまでずっと隣にいてくれた。

 

 

 

 ──それから、どれくらいの時間が経っただろう。

 

 

 夜風が頬を撫で、少しだけ呼吸が落ち着いてきた頃だった。

 

 

「……なぁ、かぐや……知ってるか?」

 

 

「……?」

 

 

「あそこに光ってる星ってさ、"実はもう死んでるかもしれないんだって"」

 

 

「……え?」

 

 

 思わず空を見上げると、無数の星々が暗い夜空を埋め尽くし、かつて日本で見たものよりも何倍も美しい満天の星空が広がっていた。

 

 

「星ってめちゃくちゃ遠くにあるだろ? だから、今見えてる光は何百年、何千年も前に放たれた光なんだ」

 

 

 ミコトは、ひとつの星を指差した。

 

 

「もしかしたら、もうあの星は存在してないかもしれない。

 ──でも、その光がこうして暗い夜を照らしてくれてる」

 

 

 私は、黙って星を見つめる。

 

 

「──"人も同じなんじゃないかな"って、思うんだ」

 

 

 夜空を見上げるミコトの横顔には、言葉にできない感情が滲んでいた。

 

 

「例え死んじゃったとしても全部がなくなるわけじゃなくって、誰かが覚えている限りその人が生きた証は消えない」

 

 

 ミコトは再び小さな墓へ視線を落とした。

 

 

「この子が生きていたこと。笑ってたこと。泣いてたこと。好きだった食べ物とか、転んで泣いてたこととか……そんな、何気ない思い出がさ」

 

 

 ミコトは少しだけ笑った。

 

 

「これから先、何千年っていう長い時間が流れても、

 "その記憶がかぐやを照らし続けてくれると思うんだ"

 

 

 ……照らす。

 

 

 その言葉が、不思議と胸に残った。

 

 

「だからさ」

 

 

 そして、ミコトが真っ直ぐに私の目を見る。

 

 

「かぐやが、この子のことをずっと覚えていてあげればいいんだと思う」

 

 

「……」

 

 

「そうすれば、遠い先の未来でも、"この子の生きていた意味は確かにあったんだ"って胸を張って言えるはずだから」

 

 

「…──!」

 

 

 私は、もう一度墓を見た。

 

 

 たった五年。

 

 

 あまりにも短くて、あまりにも理不尽な人生だ。

 

 

 それでも──もし、私が忘れなければ。

 

 

 この子が笑っていたことも、生きていたことも、未来を夢見ていたことも……全部、消えないのだろうか?

 

 

 もし、そうなら──

 

 

「……そっか」

 

 

 私は心の中で、静かにその子のお墓に手を合わせる。

 

 

「じゃあ、かぐやが覚えてる」

 

 

 君がいたことを、笑っていたことを。

 

 

 そして、生きていたことを。

 

 

「絶対に……忘れない」

 

 

 その言葉を聞いたミコトが、安心したようにふっと表情を緩めた。

 

 

 きっと、私が立ち直れるか心配してくれていたんだと思う。

 

 

 そんな優しさが、少しだけ嬉しかった。

 

 

「それにさ──」

 

 

 ミコトが立ち上がり続ける。

 

 

「星の光が何千年もかけて届くみたいに、"誰かを想う気持ちだってきっと遠い未来まで届くはずだ"」

 

 

 その横顔はどこか穏やかで、それでいて少しだけ寂しそうだった。

 

 

「俺は、そのときにはもういないけど……」

 

 

 ずっと先の未来にいる私の姿を思い浮かべるように遠くを見て。

 

 

「かぐやが大切な人と再会できることを、ずっと願ってるから!」

 

 

 そう言って笑う彼が、"どうしようもなく綺麗だった"。

 

 

 月明かりに照らされたその姿は、まるで輝く星みたいに見えて。

 

 

 優しく誰かを照らしながらも、自分はいつか消えてしまうことを受け入れているような、そんな儚さを纏っていた。

 

 

 その姿を見つめているうちに、胸の奥がじんわりと熱を帯びていく。

 

 

 そして、その瞬間。

 

 

 たとえ何千年という長い時間が流れたとしても、彼のことだけは絶対に忘れたくない。

 

 

 そんな想いが、静かに胸の中へ刻み込まれていった。

 

 

 

 その日から私は人の名前を忘れないようになった。

 

 

 短い人生だからこそ。

 

 

 この輝く星たちが消えてしまうには、あまりにも勿体ないと思ったから。

 

 

 そして、今でも──

 

 

 かつて出会い、別れた人たちの光は。

 

 

 私の心を静かに照らし続けている。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

「それで〜? 私にあんなことを言っておきながら、今も隣にいる感想はどうですか、ミコトさん!」

 

 

 手でマイクを握るようにしながら満面の笑みで問いかけると、ミコトは心底めんどくさそうに視線を逸らした。

 

 

「……なんだよ急に」

 

 

「いいからいいから〜♪ ほら、感想をどうぞ〜♪」

 

 

「はぁ……」

 

 

 これは言うまで終わらないと察したのか、ミコトは観念したように口を開く。

 

 

「……嬉しいよ。完全に予想外だったけど、今もこうしてヤチヨの隣にいられるんだから」

 

 

「……っ!! もう……そういうことさらっと言うんだから

 

 

 思わぬ不意打ちに、胸の奥がきゅっと熱くなる。

 

 

 嬉しくて、くすぐったくて、顔が緩むのを止められない。

 

 

 ……うん。よし、決めた。本当は別の機会に使おうと思ってたんだけど……せっかくだし、この幸せな気持ちのまま勢いに乗っちゃおう!

 

 

「じゃあ……さっそくだけど、勝者の特権を使っちゃおうかな〜♪」

 

 

「えっ、このタイミングで……?」

 

 

 私はふふんと胸を張ると、「嫌な予感しかしないんだけど」と呟く彼の方へ近づいた。

 

 

「というわけでミコト……目を閉じて?」

 

 

「や、やだ──」

 

 

 まったく!ミコトは私が何かをお願いするとすぐに否定から入るんだから……これがイヤイヤ期と言うやつだろうか?

 

 

「『勝った方のお願いを一つ聞く』って、約束したよね〜?」

 

 

「ぐっ……!」

 

 

 渋々といった様子で、ミコトが目を閉じる。

 

 

 耳まで真っ赤になっていて、肩にも妙に力が入っていて、緊張しているのが丸分かりだ。

 

 

 ……ふふっ、可愛いな〜

 

 

 私は幸せを噛みしめるように笑みをこぼしながら、そっと目を閉じて顔を近づける。

 

 

吐息が触れ合い、あと少しで互いの距離がなくなろうとした、その時──。

 

 

 ──ガチャッ

 

「ただいま──!」

 

 

 玄関が開く音に続いて、かぐやの元気な声が聞こえてきた。

 

 

「あっ」

 

 

 どうやらミコトも気づいたらしい。

 

 

 次の瞬間、すぐに距離を取ろうとしたので、私は逃がさないようにすかさず首の後ろに腕を回した。

 

 

「ちょっ……!?」

 

 

 そして、私はそっとミコトの耳元へ顔を寄せた。

 

 

「……あ〜あ、キスだけで済ませてあげようと思ったのに♡ 帰ってきちゃった……」

 

 

「……っ!?」

 

 

 ビクッと肩を震わせるミコト。

 

 

 そんな彼に、さらに追い打ちをかける。

 

 

「続きは──また今度ね♡」

 

 

「っ……お、お手柔らかに…」

 

 

「ふふっ♪」

 

 

 次の瞬間、ちょうどリビングの扉が開いた。

 

 

「ただいま〜!」

 

 

「おかえり〜♪」

 

「お、おかえり……」

 

 

「……? ミコト、なんか顔赤くない?」

 

 

「い、いや、全然!!」

 

 

 ほとんど反射で返ってきた返事に、かぐやが不思議そうに首を傾げる。

 

 

 一方で私は、隣で真っ赤になっているミコトを見て、満足そうに笑うのだった。

 

 

「ふ〜ん……まあ、いいけど」

 

 

 どうやら誤魔化せたらしい。ミコトがほっと胸を撫で下ろした。

 

 

「それで、彩葉さんは無事に送り届けられたか?」

 

 

「うん! バッチリだよ!」

 

 

 かぐやがピースを作りニカっと笑う。

 

 

 そして、次の瞬間──

 

 

「あっ! それとね!」

 

 

「「っ!!」」

 

 

 私とミコトの身体が同時に強張る。

 

 

 ──まずい。

 

 これはわが家ではもうわかりきったことだけど、かぐやが『あっ! それとね!』と言い出した時は、大抵ろくなことがない。

 

 しかも、本人は満面の笑みのため、危険度はさらに跳ね上がる。

 

 

 ……嫌な予感しかしなかった。

 

 

「ど、どうしたの……?」

「何かあったのか……?」

 

 

 二人して恐る恐る尋ねると、

 かぐやは嬉しそうに笑いながらこう言い放った。

 

 

「今度、彩葉のお母さんがこっちに来るから、挨拶に来たいんだって!」

 

 

「「ごふっ!!!」」

 

 

 次の瞬間、私とミコトは揃って魂が抜けたようにソファの背もたれへ倒れ込んだ。

 

 

 あの圧倒的な存在感。逃げ場のない空気。そして、得体の知れないプレッシャー。

 

 

 並行世界での記憶が脳裏に鮮明に蘇ってしまった。

 

 

「ちょっ!? ど、どうしたの二人とも!? ねぇ、返事して!? 」

 

 

 突然倒れた私たちに、かぐやが慌てて駆け寄ってくる。

 

 

「やだぁ〜〜、かぐやを一人にしないで〜〜!!」

 

 

 そんなかぐやの悲鳴が聞こえる中、私たちの意識は静かに現実逃避を始めるのだった。

 




というわけで、昔はもうちょっと優しくて好青年だったミコトでしたが、八千年隣にいたウミウシの影響で今みたいになりました。まあそれはヤチヨ側も同じですが。

最後の過去のシーンは、『星降る海』の──

ほら きらきら輝く星は
色褪せず太古から照らし続けてる
きみと辿り着けるさ

この部分の歌詞を見て、ヤチヨが"過去に出会った人のことを、忘れずに覚えてくれてればいいなー"と思って書いた場面です。
ずっとどこかで書きたいと思っていたのですが、最後になんとか入れることができて良かったです。

正直、作者の中では書きたいことはひと通り書ききったつもりなんですが……今までも「これで終わりです!」と言いながら、なんだかんだ感想に背中を押されて続きを書いてきた前科があるので、あまり余計なことは言わないでおきます
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