あれから時は経ち、弥生時代、鎌倉時代、戦国時代、江戸時代と時代は移り変わっていき、その間本当に色々なことがあった。
ウミウシの体のかぐやに恋をした恋を詠み続ける歌人、俺と喧嘩別れしたかぐやを誘って二人三脚で太夫を目指した花魁、人間不信になっていた見ず知らずの俺を助けてくれた再度人を信じるきっかけになった女性。
そんな忘れがたい人物達も過去のものとなり、人間は徐々に科学技術を発展させていった。
昭和時代に入ると現代では当たり前にある電話や冷蔵庫、ラジオが開発されていったのだが、やはり1番感動したのはブラウン管テレビだろう。
元いた時代で暮らしていた時に最大の娯楽がTV番組だったため、懐かしさが半端じゃなかったのだ。
そして、1990年頃。
ついに人類はワールドワイドウェブを作り出した。
2005年
「で?これはなんですか?」
とパソコンに向かって問いただすように声をかける。
今この状況をはたから見れば、部屋でPCあいてに話しかけているやばい奴であるが勘違いしないでほしい。
しっかりと説教すべき相手に向かって話しかけているのだ。
『えーと、いやー、その.....』
たちまちPCのスピーカーから電子音声が返ってきた。
ことの経緯は、ある日俺がパソコンのログを確認しでみたことが発端だ。数日前に某掲示板にログインした経歴があったため、内容を確認してみたところ問題が発覚した。
そのため、俺は今その問題である某掲示板に投稿されている内容について張本人に問い詰めていた。
タイトルは「8000年前から地球見守ってるけど質問ある?」というものだった。
まず第一投稿に「縄文時代からいろいろ見てきたけどインターネット楽しすぎワロタ」とある。
ここまではいい。どうせこんなの嘘だと思われて信じる奴なんて居ないだろうし、ネットを満喫しているようで何よりだ。
それにしても喋り方がネットに染まりすぎだろうとは思うけど。
だが、問題はそのあと。
しばらく茶化すような質問がきて、それにスレ主の
「結局ピラミッドってどうやって作ったん?
......至って普通の質問ですね。それに対してあなたなんて返したんですか?」
『......えっと』
「自分で調べろカス......ねぇ」
『だらだらだら』
と汗をかいて焦っていることを実際に声に出して伝えてくる。
「俺いってるよね?ネットリテラシーはちゃんと守れって。この掲示板ではよくある流れなのは知ってるけどさあ。急に相手に暴言吐くのはどうかと思うんだけど?」
『うぐっ、返す言葉もありません......
くそー、まさかミコトに見られるとは思ってなかったのにー!』
「見られなくてもやるな!」
ここのところ彼女は活発さを取り戻してきていた。
いや、訂正しよう。
クソガキ度が上がってきたというべきだろう。
インターネットの発達によって世界中の人と会話のやり取りができるようになり、彼女のコミュニケーションの機会は劇的に増えた。
そして、今まではか弱いウミウシの体であったため、何かあった時のことを考えてしまい対面する人間は心の奥底では少し警戒していたという。
まあこれは生き物としての本能だから仕方ないだろう。
だが、ネットでは直接危害を加えられる心配がないため、思う存分言いたいことも言えるし、プロレスもできる。その影響か昔のような生意気な性格に戻ってきているのだ。
とはいえ会ったばかりの頃と比べると、かなり元気がなくなっていた彼女が毎日楽しそうにしているのであまり怒る気にもなれないのが正直なところだ。
「いいですか?ネットを使う際は、言葉選びに注意して相手を傷つけないよう心がけましょう」
『はーい、先生!』
「誰が先生だ」
以前はこういう冗談を言うことも少なかったので、大切な相棒が元気になって少し嬉しくなってしまう。
それはそれとして──
「一応聞くけど。他にはこういうことしてないんだよな?」
「......。も......もちろん?」
「ケーブル引き抜こっかな(ボソッ)」
「あ────!それだけは!それだけはご勘弁を!
もと光る竹とPCを繋いでいるケーブルに手をかけると彼女は慌てて止めてと懇願する。
ヤチヨ
もといかぐやは1995年のある日、突然自分のことをこの名前で呼んでほしいと言い出した。
ワールドワイドウェブが誕生して全国に普及されるようになり、かぐやは初めてチャットを使い、目に見えない相手と意思疎通ができるようになった。
その時の衝撃の受けようったらすごかった。
「ミコトミコト!ほら、見て!かぐや宛にメッセージが返ってきたよ!」
としばらくはしゃいでいたほどだ。
それから、なぜかぼ〜としている日が何日か続いたあと。
「ミコト。これからは私のことヤチヨって呼んでほしいの」
突然、自分のことはかぐやではなくヤチヨと呼んでほしいと言い出した。
ヤチヨって、昔言ってたツクヨミの創造者のAIの名前だろ?
なんでその名前を──
「......あ」
そういうことか。
ヤチヨは肉体を持たない電子の歌姫。そして、8000歳で縄文時代から生き続けているという設定。この二つの条件を満たす存在が1人だけいる。それは他ならない目の前にいるかぐやだ。
つまり、ヤチヨの正体はタイムスリップして8000年前から生き続けたかぐや本人だったのだ。
「そういうこと。さすがミコトは理解が早いね〜」
よせやい。伊達に8000年生きてないんだからこの程度の推理、朝飯前よ。
......ふむ、ということはこれからかぐやから耳にタコができるほど聞いた、俺の世界には存在しなかった仮想空間『ツクヨミ』を作るっていうことか。
......なんか嫌な予感がしてきた。
「そっかそっか、じゃあこれから大変だな〜。俺も応援してるからぜひツクヨミが完成したら遊ばせてくれよな!」
「何いってんの?ミコトも手伝うんだよ?」
さも当たり前のように俺も手伝うことが確定していた。
「いや、でも俺プログラミングの知識とかないし」
「ヤチヨが教えたげるから。単純に2人の方が効率もいいし。何よりミコトは食事も睡眠も必要ないし、疲労もないから24時間働けるじゃん」
やばい!コイツ俺のことをSSR労働力としか見てない!無賃で24時間働かせる気満々とか、どブラック超えて漆黒企業でもやらないぞ!
「いやだ!仮想空間作るとか絶対大変とかいうのも生ぬるい作業だろ!絶対付き合わないからな!」
そう答えるとしばらく沈黙が続いたあと、ポツリと自分の心のうちを吐露するようにかぐ......ヤチヨが話し始めた。
「私、みんなが好きなことをして、殺し合うことも、誰も孤独になることもない、そんなみんなの拠り所になるような場所を作りたいの」
ぽすっと音がしたので振り返ってみると、いつのまにかテーブルの上によく見るウミウシがいた。そして、そのウミウシが喋り出した。
「ねえ、ミコト」
まずい、この流れはまずい。八千年間何度も体験してきたからわかる。
「ヤッチョだけじゃダメなの.....」
なにがヤッチョだ。そんなか弱い声出しても無駄だぞ。
「ミコトにも手伝ってほしい.....」
絶対いや!
「ヤチヨを助けて?」
言え!言うんだ俺!ただ一言、Noって!
「......今回だけだからな」
そんな意思とは裏腹に俺の口から出たのは承諾の言葉だった。
「やったー!絶対ツクヨミ作るぞー!」
くそ、どうして、どうして......
そして、壁に貼られた紙を見る。
ヤチヨがウミウシの体で書いたためだいぶ字は汚いが書いてある内容は
「ツクヨミかんせいまでのみちのり」
・高きのうなPC
・ぼう大なプログラミングコード
・かそうくうかんを体けんできるデバイスききのかいはつ
(できればコンタクトがた)
・協力してくれるスポンサーのかく保
こうしてヤチヨの指導のもと、俺のプログラミング勉強会兼絶対に死ぬことのないデスマーチが始まったのだった。
それから約20年が経って2005年の今に至る。
「まあ、たまにの息抜きなら仕方ないからいいか」
と言ってケーブルから手を離す。
あれから20年が経ち、俺もプログラミングについてはかなり詳しくなった自信があるがまだまだツクヨミ完成には程遠い。
まず、PCの性能が全然足りないのだ。
こればっかりはさすがに俺たちに出来ることはないのでPCの進化を待つしかないという結論になった。
「ミコト!ほら、ゲームやろ!ゲーム!」
と先ほどまでの反省はどこにやら、今度はゲームで遊ぼうと誘ってきた。
まったく、本当に反省してるんだろうな。
「しょうがないなー。ボコボコにしてやんよ!」
K.O! Winner YACHI
「だ〜負けた〜〜!!やっぱり電子信号送って直接操作すんの狡いって!誤差ないじゃん!」
「へへーん、負け犬の遠吠え〜」
「くっそー、じゃあ次は条件を公平にしてウミウシの体で勝負だ!」
「それはさすがに無理!」
そうして、たまに息抜きもしながら、協力してくれるスポンサーを確保して、高機能なPCの提供、そしてコンタクト型のVR機器『スマコン』の開発およびその生産体制の確保が完了し──
2020年
とうとうツクヨミの原型とも言えるプロトタイプが完成したのだった。
天津命《アマツ ミコト》 永遠の19歳
身長171cm、痩せ型、容姿は現代でも整っている方
本作の主人公。超かぐや姫!の原作とは違う世界
からタイムスリップしてきた。不老不死。
性格は彩葉と似ており、ツンデレで
人に頼まれると断れない性格。
そのせいでかぐやに8000年間振り回され続けた。
8000年生きているので体捌きはトップクラス
のため、KASSENは結構強いがあまりやらない。
かぐやは自分と違いウミウシの体がなくなると
もと光る竹内から動けなくなるため、胸ポケット
に入れてだいぶ過保護に守ってきた。
なお、もと光る竹は8000年間持ち運び続けたが、
ウミウシの体はもと光る竹から信号を
受けているため、その場所は常にわかる
と言われ運ぶ必要がなかったことを
最近になって知り、ブチギレた。
ヤチヨ(かぐや)
原作と同じく8000年前に墜落してしまった。
何年も1人で地獄のような日々を過ごしていたが
そこに主人公が現れウミウシとして
動けるようになる。
ミコトがなるべく危険なところは避けていたため、
戦争もあまり経験しておらず、ずっとミコト
もいたため、原作よりも元気がある。
今現在はウミウシの体はFUSHIに明け渡し
主に電子空間で活動している。
彩葉に対しては8000年という月日で自分が
変わってしまったため遠慮してしまうが、
ミコトは8000年間隣にずっといたため、
そんなこと気にせず堂々と甘えて
振り回している。
もと光る竹は自分自身であり、
ずっとミコトに持っていて
もらいたかったため、上記のことは
黙っていた。そして、怒られた。