超かぐや姫! 星の降る音   作:サトウシュン

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ブラックオニキス登場回。

KASSENについての独自設定がでてきます。




9話 サプライズは嬉しいものとは限らない

 2028年

 

「へー.....」

「ほう.....」

「ふーん.....」

 

「は、はは.....」

 

 俺はいまブラックオニキスの3人から強烈な敵意を向けられていた。

 

 ──な、なぜこんなことに?

 

 時は遡ること3日前。

 

 ────────────────────────────────

 

「KASSENの新ルールの追加?」

 

 ヤチヨから用があるためプライベートルームに呼び出された俺は今回呼び出された理由を聞かされていた。

 

「そう!

 その名も『KASSEN SENGOKU』〜〜〜!」

 

 いつのまにか鎧を着たヤチヨがノリノリでKASSENの新たなモード名を告げた。

 

 まあ、おそらくまたヤチヨが未来の知識から持ってきたものだろう。

 

『KASSEN』

 ここ数年のゲーム業界を席巻している、戦国時代の合戦をモデルにしたフルダイプ型アクションゲーム。まるで本当に戦のただ中にいるような三百六十度の視界と音声による没入感と、高度な操作性・戦略性を併せ持つ。プレイヤー数は国内外合わせてぶっちぎりのナンバーワンを誇るツクヨミ専用のゲームだ。

 

 ツクヨミを作ったのは俺たちだが、こういうゲーム作成に関してはこちらからコンセプトを提出して他社で開発してもらっている。

 

「実はもう2年くらい前から企画書だして株式会社〇〇さんで開発してもらってるんだよね。それでベータ版ができたらしいから2人で実際にプレイして確かめてほしいんだって」

 

「え?何それ初耳なんだけど」

 

「初めて言ったからねー」

 

 一応もうすでに実装されているモードについては、ヤチヨが覚えていた内容をもとに、俺もある程度ルールやコンセプトを把握して企画書づくりを手伝っていた。

 

 だが、今回に関してはまったく知らされていなかったのだ。

 

 なぜ?と聞いてみれば

 

「サプラ──ーイズ!!!」

 

「は?」

 

「スゥー......って言うのは冗談で。今回の『SENGOKU』については他のやつと比べても遊んだ回数が多いし、特に印象に残ってたから別に1人でも大丈夫かな〜って思って」

 

 一瞬マジでキレそうになったが、1人だけで負担を背負うと言うのはあまり感心できなかった。

 今までは2人でやってきたのだから急に除け者にされるのはあまり良い気分がしない。

 

 そんなことを思っていると俺が不満に思っていることに気づいたのか、ぽつぽつと理由を言い始めた。

 

「......実を言うとね。今回のモードはミコトに純粋に楽しんで欲しかったんだ。だって、ミコト開発に関わった今までのモードは全然やってないでしょ?」

 

 ......まあ、その通りである。ぶっちゃけ自分が考えて開発に関わったゲームなのでもうすでに仕組みや機能なんて理解し尽くしているし、進捗チェックで何度もプレイするため、あまり遊ぶ気が湧かないのだ。趣味は仕事にしてはいけないと言うのがよくわかった経験だった。

 

「今回は良いけど。次からはちゃんと相談して。

 1人でやらないように。......あと、ありがとう」

 

「......!ミコト〜〜〜!もう本当にツンデレなんだから!」

 

 そう言って腕にスリスリと体を擦り付けてくるヤチヨを引き剥がしながら

 

「それで、今回はどんなルールなんだ?」

 

 KASSENの中にも様々なモードが存在している。

 

 まず『SETSUNA』。これは1対1の対戦格闘ゲームモードだ。先に相手の体力ゲージを2本先取した方が勝ち。

 

 次に『MUSOU』。これは無双ゲームモードであり、いかに早くNPCを全滅させられるかタイムを競うものだ。1人〜最大3人までで挑戦することができる。

 

 そんな中新しいモードを追加すると言うことなのでどんなルールなのか聞いてみると

 

「一回しか言わないからよ〜く聞いてね。

 まず『SENGOKU』モードは3体3の陣取り合戦でね。円形のステージを左右に分けて、それぞれのチームに天守閣があって先に相手の天守閣を落とした方が勝ち。天守閣の間には三本の道があって、それぞれ上の道がトップレーン、真ん中の道がミドルレーン、下の道がボトムレーンていうんだ。そんでこれが奥深いところでね、相手の天守閣は最初から落とせるわけじゃなくってペラペラペラペラペラペラペラペペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ.....」

 

「まてまてまてまて」

 

 せきを切ったように言葉を並べ始めたので、手を前に出して止める。

 

「え?どうしたの?」

 

「どうしたの?じゃない!早いわ!途中から三倍速になってるから。

 こっちは6行目から聞き取れてないから」

 

 本当に途中から早すぎてペラペラとしか聞こえなかったぞ。

 

「もー……しょーがにゃいにゃー」

 

 そういってヤチヨはプロジェクターに音声付きの映像を映し出して再生し始めた。

 

 映像付きで見る解説はとてもわかりやすく、このままプレイヤーに説明用資料として使っても良いと思えるほどであった。

 

 ......いちいち突っ込んでたら進まないことはわかっている。わかっているのだが......

 

「初めからそれで説明すれば良くなかった?」

 

「......てへっ⭐︎」

 

 ウインクをしながら頭に握り拳をコテンと当てると、頭から星が飛んでいった。

 

「......まあ、いいや」

 

 ヤチヨの悪ふざけをなんだかんだ許してしまうのがこの8000年で体に染み付いてしまっているのを感じる。くそっ!

 

「でも今回って3体3の陣取り合戦なんでしょ?またヤチヨが分身してテストすんの?」

 

 今までの進捗チェックのテストではヤチヨの分身能力を使いさまざまな武器を片っ端から試すというヤチヨだからできる力技でテスト期間を大幅短縮していたのだ。

 

「いやー、今回は陣取り合戦っていうこともあってできることが多いからなるべくたくさんの戦略パターンを試してみてほしいみたいなんだよね。それでその中でこれは修正が必要だったりとか挙動が明らかにおかしなところがあれば報告をお願いします、だって」

 

 それだとヤチヨがどれだけ分身しても元の頭脳は同じなため、考えつくパターンには限界があるだろう。

 

「だから今回はプロチームにベータテストへの参加を依頼して協力してもらうことにしたんだ!」

 

 ヤチヨの言う通り出来るだけ多くの人、特にKASSENに慣れているプロにお願いするのが最適解だろう。

 どのチームに依頼したのか聞いてみた。

 

「いろんなチームに声かけてるんだけど、まず最初にやるのは『ブラックオニキス』。通称『黒鬼』だよ」

 

「あー、今新進気鋭のプロチームか」

 

『ブラックオニキス』

 現在『SETSUNA』や『MUSOU』を主に扱っているプロチームであり、今年できたばかりでメンバーが比較的若いのが特徴だ。

 

「でもなんでブラックオニキスなんだ?」

 

 俺は知っていたが、正直まだできたばっかりでそんなに知名度も高くないチームなため何か関わりがあるのかと聞いてみれば

 

「いや、()()()は会ったことないかな。

 理由は......んー、信頼できるから......かな」

 

 となんとも含みを感じる回答であった。

 

「まあ、ヤチヨが言うなら大丈夫か......

 で、ベータテストの日っていつなの?」

 

 おそらく過去で何かしら関わりがあったのだろうと思いあまり深くは聞かないことにした。

 

 そうと決まれば、しっかりとベータテストへ向けて準備をしなければと思い日程を聞いてみた。

 

「3日後だよー」

 

「3日後っ!?」

 

 いやいやいや、時間なさすぎるって!こちとら今ルール知ったばっかりだぞ

 

「なぜこんな直前に言ったのか。理由を述べよ」

 

「サプr「サプライズって言ったらキレるから」

 

「......てへっ「てへじゃねぇ」

 

 はぁーとため息をつく。ヤチヨはときどきこう言う無茶なことを言ってくるから困る。俺が困る様子をみて楽しんでるのだろうか?

 

 あーもう!時間がないものはしょうがない!

 

「今から速攻で戦術パターン考えるぞ。あと俺最近全然KASSENやってないから鍛え直さないと。わざわざプロの方に頼んでるんだから中途半端じゃ許されないし、何より企業の方にも申し訳が立たない!ヤチヨにも協力してもらうからな......何笑ってんだ?

 

 こんな事態になった張本人である肝心のヤチヨときたらこっちをみてニヤついていた。

 

「えっ!?いや、顔に出てた?......も、もちろんヤッチョも協力するよ!じゃあ今日から3日で最強になっちゃおう!目指せ三日天下!」

 

「それ意味違うから!不吉な意味の言葉だから!」

 

 こいつ......誰のせいでこんなに時間ないかわかってんのか?やはり俺を困らせて楽しんでいるに違いない。

 

「ほら、早く行くよミコト!休んでる暇はないよー?」

 

 だ・か・ら......

 

「誰のせいだと思ってんだ──────!!!」

 

 ────────────────────────────────

 

 ヤチヨside

 

 今回ベータテストのことを前もってミコトに言わなかったのには理由がある。

 

 それは、事前に十分な期間があれば真面目な彼は諸々の準備を自分だけで終わらせてしまうからだ。これは今までの経験からもうわかっている。だが......

 

 時間がないと分かれば、彼は私を頼らざるを得ない。

 そして、3日間目的のためにずっと行動を共にすることができる。

 

 先ほどは計画通りに進み、つい笑みが抑えられなかったようでそれをミコトに指摘されて焦ってしまった。反省反省。

 

 あっ、もちろん企業からの依頼なので彼がもし断った時のために事前に私の方で準備は終えているよ?

 

 ヤッチョはできる女なのです!

 

 ......こんな直前になって言って彼を困らせたのは申し訳ないとは思う。でも、普段忙しい私に遠慮して、目的がないと一緒にいてくれないミコトも悪いんだからね?

 

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