生徒達の青春の1ページ 作:バームクーヘン
「先生先生!」
「モモイモモイ!」
「最高のゲームってどんなゲームだと思う?」
「うーん」
「正解はね!」
「いや私の答えは!?」
「時間を忘れて夢中になることだと思うんだ!」
「間違いではないと思うけど時間を忘れるだけなら最高とは言えなくない?」
「アイテムドロップのための周回とかそういう意味ではないよ? 物語やゲームに夢中になるって意味だから!」
「そうだね。そういう意味なら最高のゲームだと思うよ」
「でしょ!? だから私たちが作ったゲームは最高のゲームだと思うんだ! シナリオも奇想天外、イラストもグロいのから可愛いものまでよりどりみどり、コマンドも通常では思いつかないものも用意している! これほど夢中になる要素はなかなかないよね!」
先生は戸惑ったような、呆れたような、悲しそうな顔をしていた。
私は先生の顔を見ないで話を続ける。
「新しいゲームも考えたんだ! これはゲーム初心者でもわかりやすいはずだよ! テストプレイ付き合って」
「...モモイ」
「楽しいゲームを作れたらアリスやミドリ、ユズも楽しんでくれるよね。きっとそうだよね」
先生にゲーム端末を渡す。部室には私と先生の荷物しか置かれていない。前までは置いてあったPCやスケッチブック、ロッカーなどは全て無くなっている。
「このコマンドはきっとユズ気に入ってくれると思うんだ。なんせ1フレームを見切るために常人では思いつかないようなコマンドを使用していたからね。あ、この絵はミドリが好きそうな感じでしょ? ミドリはメイドとかに興味を持っていたからね。ハウスキーパー?とかそんな感じのことを言ってたかな。あ、ここはアリスの好きなセリフを入れたんだ。勇者といえば魔王を倒すことを想像しがちだけど、今回は逆にしたんだ。魔王が勇者を止めるの! 道を踏み外した勇者は帰る場所がないと自暴自棄になっていたけど、魔王が勇者に寄り添って一緒の道を歩きづづけたんだ。それから」
「モモイ」
「あ、まだ説明が足りないよね! わかっているよ。レトロでありながら最新ゲームの要素も取り入れて」
「モモイ」
「...」
私の口は閉じてしまった。さっきまで饒舌に話していたのが嘘のように黙ってしまう。
先生は机の上にあった写真を私に見せようとしたが私は目を背けてしまった。
その写真は至るところにセロハンテープが張り付いており、今にも崩れそうなのを必死に繋ぎ止めていた。写真に写っているのは4人の女の子。
そのうちの3人はよく見知った顔であり、もう二度と会うことがない顔でもある。
「今日はもう帰るね。また来るね」
先生は私の頭を優しく撫でた後に部室から出て行った。
私は何も返事をすることができず、ボロボロの写真を見つめることしかできなかった。