今回から女子会編になりますが、短めで終わると思いますね
母さんと呼んでくれた彼に看取られて年老いた私は寿命で死んだ筈だったのだけれど、気付くと広めの一室で椅子に座っていた私の身体は若返っていて、触れてみた顔にはシワもないし、肌の張りも違っている。
一室内には他にも椅子に座っている面々が居ることは見れば理解できて、今の私よりも外見年齢的には若い女性ばかりが集まっているみたいではあった。
あのカエルに似た顔をした少女は個性がカエルなのかもしれないけれど、他の面々の個性は見ただけでは判別できない。
「魔法が使えない?この空間はそういう場所なのかな」
杖を持って振るう若々しい銀髪の女性の個性が魔法だとして、この空間は個性が使えない場所であるとするなら私の冷風の個性も使用できそうにはない。
一応試すと決めて、誰にも当てないように冷風を放とうとしてみたら、全く冷風を放つことができなくて個性が封じられていることがより明確に実感できてしまう。
誰が何の目的でこの場に居る面々を集めたのかは気になって、だけどそれよりも気になるのは、椅子に座っている私達の前にそれぞれ1つずつ置かれた水晶玉のようなもので、態々置いてあるということは何かしら理由があるに違いない。
年齢にしては胸部が豊かな黒髪赤目の少女は「もしかしてこれってウィズさんの魔道具のアレじゃあ」と水晶玉を見ながら言っていたが、何かを知っていそうな彼女に聞いてみようと考えたのは私だけではなかったようで「そっちのお嬢ちゃんは何か知っとるみたいやね。良ければ教えてくれへん」と言った和服の女性。
「お嬢ちゃんって、今は若返ってますけどわたしほんとはそんなに若くないんですよ。夫に看取られて死んだと思ったら此処に居て戸惑ってはいますけど」
「奇遇やね。僕もおばあちゃんになるまで生きて旦那に看取られたと思っとったら此処に座ってたんや。幽霊になる前にいきなり此処に座っとるから僕も戸惑っとるよ」
「そうなんですか!?じゃあ此処に居る人って看取られて亡くなった筈の人しか居ないんじゃ」
「せやね。その可能性は高そうやけど、他の面々がキミみたいに素直に話してくれるかどうかはわからへんよ」
会話していた黒髪赤目の少女と和服の女性が周囲を見渡すと、桃色髪の女性が「病に苦しむワタシを助けてくれた殿方である主人と結婚しましたけど、主人は老いたワタシを看取ってくださりましたわ」と言って、次に白髪の少女が「ボクも結婚した愛する人に看取られて亡くなったね」と言い、銀髪の女性は「アタシもそうだね」と言うと「貴女はどう?」とカエルのような顔をした少女へと話しかけていた。
「アタイを看取ったのは家族達だけさ。その中にアタイを家族として大切にしてくれたントムって男は居たけどねぇ」
カエルのような顔をした少女が大切なものを思い出すようにそう言うと、その場に居る私を含めた全員がントムという名前に反応する。
私の義理の息子の魂に、刻まれていると言っていたもう1つの名がントムであり、毎回異なる世界に転生を繰り返していることを私に明かしてくれていた義理の息子の導紋。
そんな彼が私を看取った後も転生を繰り返していたとするなら、と思い至った私は「私の義理の息子であった波風導紋には、魂に刻まれたントムという名前がありました」と情報を明かして、他の面々の反応を確かめてみた。
「ガレッドさんのお義母様だったんですか」
黒髪赤目の少女はガレッド。
「別世界の多々良はんのお義母様やったんですね」
和服の女性は多々良。
「まあ、アールグ様のお義母様でしたのね」
桃色髪の女性はアールグ。
「ボクの大切な総司さんのお義母様だったんだ」
白髪の少女は総司。
「ジェイドくんのお義母様か、彼には最期までお世話になりました」
銀髪の女性はジェイド。
全員が違う名を言っていたけれど、それがそれぞれの世界で彼が普段名乗っていた名前なのだろう。
それから全員が自己紹介をすることになり、黒髪赤目の少女が「ゆんゆん」なんて独特な名前で紅魔族という異世界の種族だと判明。
和服の女性は「野原政子」と名乗った日本人の霊能者で式神使い。
桃色髪の女性は名前が長いからと「カトレア」とだけ名乗るが、魔法がある異世界の魔法使いであるみたいだった。
白髪の少女は「前田小雪」という名前の日本人で霊力と気が使えると言っている。
銀髪の女性は「レーガ」と名を明かしたけれど、彼女もまた異なる世界の魔法使いであるそうだ。
そしてカエルみたいな顔をした少女は「フリュネ」と名乗り、種族はアマゾネスであるそうで、女神イシュタルという神の恩恵も授かっていたらしい。
私は私で風間冷子という名前と冷風という個性も明かしたが、全員の異能と言えるものは、この部屋では一切使えないようである。
ついでに他者には触れられないようになっていて、暴力的な行為などもできないようになっているので、会話することや物に触れる位のことしかできない私達全員。
自己紹介で、ある程度情報が集まったところで遠回りになったけれど、ゆんゆんから水晶玉の正体についての推測を聞かされたが、ウィズという魔道具店の店主が商品としていた恥ずかしい過去を映像として暴く魔道具に似ているそうで、恐らくは過去の何らかの映像を映す魔道具ではないかと語ったゆんゆん。
ゆんゆんの推測が正しければ触れた相手の過去を映し出す魔道具である水晶玉は全員分が用意されていて、それぞれが触れることを期待しているかのように感じられた。
実際に触れてみないとどんなものなのか理解できない水晶玉を、警戒して触れない者達は多かったけれど、フリュネは「アタイに見られて恥ずかしい過去なんてないよ」と言いながら迷わず水晶玉に触れる。
それから流れたのはフリュネがントムと出会ってからの人生の映像であり、敵と決めた相手には容赦しないントムの姿を見て「あの人らしい」と笑う面々は多い。
倒した相手をフリュネにプレゼントしている所を見ると「あー、それをやるかやらないかで言えば貴方はやる人よね」と納得していた一部の面々。
血の繋がらない家族にも愛情を持って育てていたントムを見ていたフリュネを除いた全員は「家族に優しいところも変わらないみたい」と微笑んだ。
フリュネの人生の終わりまで映された映像では、家族に囲まれて穏やかな終わりを迎えたフリュネが映されていて、フリュネが彼に看取られていたのも確かな事実であると理解できる。
ちなみに映像が流れ出してからだと、欲しいと思った飲食物が出てくることに気付いた私達は、それぞれが何かを飲んだり食べたりしながら映画鑑賞でもするみたいに、フリュネの人生が終わるまでの映像を見ていた。
それからそれぞれの彼との出会いと人生の最期までを見たが、どうやら彼は真っ当な親から生まれた時ならちゃんと結婚していたけれど、子を捨てるようなろくでもない親から生まれた時は結婚だけではなく性的なことまでしないように徹底していたことがわかってしまう。
実の親から捨てられて、私の義理の息子になった彼が、別世界だとしても普通に結婚して幸せな姿を見せてくれていた時、やけに視界が滲むと思っていたら、自分でも気付かない内に私は涙を流していたらしい。
そんな私に物凄く動揺していた面々は多かったけれど、こんなに優しい伴侶を幸せにして最期まで看取った義理の息子を思い出すと、更に涙腺が緩んで涙が止まらなくなる。
別世界だとしても彼が、あの子が幸せになってくれていて良かったと思えた私は、しばらく泣き続けてしまった。
義理の息子だった存在が別世界では結婚して幸せな人生を送っていたことを知った風間冷子さんは、思わず涙を流してしまったようです
ちなみにそれぞれが登場した原作と簡単なキャラ説明も置いときます
風間冷子
原作、僕のヒーローアカデミア
ヒーロー公安委員会会長である女性
原作では名前が判明しない為、本作のヒロアカ編では風間冷子という名前になっている
ントムこと波風導紋の義理の母
個性は冷風、クーラー程度の涼しい風を放てる
ゆんゆん
原作、この素晴らしい世界に祝福を
本作ではントムことガレッドと結婚して、めぐみんの義理の母となった
紅魔族のアークウィザード
野原政子
原作、GS美神
旧姓は鬼道で、原作では男性であるが、本作では女性として生まれた性転換しているキャラ
ントムこと野原多々良と結婚して野原政子となった
霊能力者で式神使い
カトレア
原作、ゼロの使い魔
病弱だったが本作ではントムことアールグに治療されて完治、ガリアの王となったアールグの妻となる
魔法使い
前田小雪
原作、真剣で私と恋しなさい
旧姓は榊原小雪、真剣恋編ではントムこと前田総司に助けられて鍛えられて結婚した
原作では蹴りが強いが、本作では霊力まで使えるので更に強化されている
レーガ
原作、ハリー・ポッター
本作のハリー・ポッター編に登場したホグワーツレガシーの主人公ポジションだった女性
ントムことジェイドと結婚した
熟練の魔法使い
フリュネ
原作、ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
原作では性格がひん曲がっていた嫌われ者だが、本作に続く前作でントムの幼馴染みだったことで性格が結構変わり、原作よりも人生を謳歌していた
Lv5の冒険者