次回で女子会編も終了となりますね
私達が集められた一室にある大扉は押しても引いても開くことがなかったから、もう誰も開けようとはしていなかったけれど、今になってその扉が開き、数名の女性達が室内に入ってきた。
先頭に立っていたのは魔法使いのような帽子を被って片眼に眼帯をした黒髪赤目の少女で、身に付けたマントを翻しながら「我が名は、めぐみん!紅魔族随一の爆裂魔法の使い手にして、我が義父ガレッドの娘なり!」とポーズを決めながら名乗りを上げていたが、めぐみんには恥じらいなど全くない。
そんなめぐみんを見たゆんゆんが恥ずかしそうな顔で「死んだ後もそのノリなの、めぐみん」と呟いているのを聞いて「ゆんゆんの映像通りの個性的な子やね」と言っていた野原政子は苦笑いしている。
ゆんゆんの生涯を映像として見た私達全員がめぐみんについて知っていたので、めぐみんの自己紹介が個性的でも驚くことはなかったのは当然として、新たにメンバーが数名追加されたことには驚いている面々も居た。
めぐみんの後ろから前に出てきためぐみん似な少女は「我が名は、こめっこ。紅魔族随一の魔性の妹にして、ガレッドさんの娘。とりあえず何か食べるものをください」と自己紹介ついでに食べ物を欲しがっていたので、思い浮かんだ食べ物を出してこめっこに食べさせておく私達。
「カトレア様も居たんですね」
カトレアに話しかけていた緑髪の女性は、ガリアという国の王となったあの子の妾となったマチルダで間違いない。
「また会えて嬉しいわ、マチルダさん」
「あたしもですよカトレア様」
正妻であるカトレアを立てるように振る舞っているところは、カトレアの生涯を映した映像に登場したマチルダとは、若返っていること以外は変わらない。
「レーガさん、わたしも来ました」
「リーシャちゃんも来たのね」
茶髪で緑の目をした少女でレーガの知り合いであるリーシャなら、若返ったリーシャ・ロングボトムであるのは確実だ。
レーガの旦那であったジェイドの双子の妹がリーシャであり、彼女もまた魔法使いではある。
新たに4人ほど追加されたメンバーは、ゆんゆんの義理の娘になる「めぐみん」と「こめっこ」の2人に、カトレアにとっては夫の妾である「マチルダ」と、レーガにとっては義理の妹となる「リーシャ」となり、4人はそれぞれの関係者で、あの子とも縁が深い面々ではあった。
4人追加されたことで合計が11人となった室内は一気に賑やかになっていて、めぐみんがゆんゆんに喧嘩を売り、ちょっとした口喧嘩が始まったと思ったら「決着はこれでつけましょう」と室内に置いてあったオセロで勝負することになった紅魔族の2人。
オセロによる勝負はゆんゆんが優勢で、あと少しでゆんゆんが勝利するとなったところで「エクスプロージョン!」と言いながらオセロの盤をひっくり返すめぐみん。
「何してるの!めぐみん!」
「紅魔族のローカルルールでは、いかなる盤上遊戯でもエクスプロージョンはアリですよ」
「そんなローカルルールないでしょ!」
「友達が居ないゆんゆんは知らなくてもおかしくはないですねぇ」
「ガレッドさんが居ればそれでいいから」
「くっ、我が義父ガレッドと結婚してから、やはり精神的に強くなりやがりましたねゆんゆん」
なんてやり取りをしているめぐみんとゆんゆんは口喧嘩はしていても、そこまで仲が悪い訳では無さそうに見えるから、何だかんだでちゃんと友達ではあるんでしょうけど、ゆんゆんを義理の母として認めたくないめぐみんの方が突っかかっているように見えていた。
「か、辛っ!これめっちゃ辛い!」
オセロで勝負していた紅魔族の2人から離れた席では、菓子好きなリーシャが百味ビーンズとやらを出して、赤いビーンズを食べて悶絶してるけど、リーシャは顔を真っ赤にしているから、かなり辛いのだろう。
「ああ、それはハバネロ味ね。相変わらずリーシャちゃんはハズレな味ばかり引き当ててるけど、ある意味凄いわよ。はい、辛さを消す飲み物よ」
激辛な唐辛子味のビーンズを食べていたリーシャを介抱していたレーガは手慣れていて、リーシャが百味ビーンズのハズレ味を食べた後のフォローも的確だ。
「あ、これ兄さんがよく用意してくれたラッシーですね。かなり酸っぱいけど辛さが消えるやつ」
「この部屋なら何でも出せるから、ジェイドが用意してたのも出せるのよ」
「ありがとレーガさん。よーし今度こそ当たりの味を」
「ハズレ引いても、また直ぐに百味ビーンズに挑戦する貴女は変わらないわねリーシャちゃん」
ハズレな味を引いても再び百味ビーンズに挑戦するリーシャを見ていたレーガは、リーシャの挑戦を止めたりはしていない。
「此処ならどんな茶葉のお茶も出せるのよね、それに合う茶菓子も自由に出せて便利だわ」
「カトレア様はアールグ様が用意してくれた緑茶とヨウカンがお好きでしたが、それも出せるのですね」
「ええ、お茶会するのには便利な場所で助かるわ。マチルダさんも、ほら座って座って」
「お気遣いありがとうございますカトレア様」
椅子に座って緑茶を飲んでいたカトレアは、マチルダにも座るように促していて、恐縮しながらマチルダもカトレアの対面にある椅子に座っていく。
「マシュマロあげる」
ずっと何かを食べているこめっこへとマシュマロを渡す前田小雪に「ありがとうございます」 と礼を言いながら、一気にマシュマロも食べていくこめっこは食欲旺盛だった。
「ずっと何か食べとるあの子は、よっぽどお腹空かしてたんやね」
「ゆんゆんの生涯の映像からして、こめっこはントムの義理の娘になるまで満足に喰えてなかったみたいだからねぇ。食い物への執着は人一倍強いんだろうさ」
野原政子とフリュネは、沢山食べるこめっこを見ながら会話していて、意外とフリュネはこめっこのことを理解しているように思える。
子沢山な母親となっていたフリュネは子どもを大切にしていたからこそ、子どもの気持ちを理解することにも長けているのかもしれない。
私もこの場に居る誰かと交流してみて、それぞれの生涯の映像を見ただけでは完全には理解できていない彼女達の気持ちを、実際に言葉として聞いてみるのも悪くはないと思えた。
ちなみに後から来た追加メンバーは、最初から居たメンバーよりも後に亡くなったという共通点があったりします