唐巣神父に許可を貰って、教会の一部を畑にする為、小石や雑草などを取り除いてから、鍬で土を耕していき、固くなっていた土を柔らかくしてほぐす。
ひたすら耕していきながら土の栄養となる肥料なども混ぜ込んでいって、土を鍬でかき混ぜるように耕した俺は、鍬で幾つかの畝を作ると、買い込んでいた野菜の苗を植えて、野菜の種を蒔いたりもした。
これでとりあえずは形となった家庭菜園の野菜畑。
土に植えたきゅうりや茄子にプチトマトの苗に水をやっておき、ホウレン草や小松菜の種を埋めた場所にも軽く水やりをしておいたら、試しに【廃棄貯力】で貯めたエネルギーを【霊力変換】で霊力に変換し、波紋と組み合わせて苗や種に与えてみると、凄まじく成長が早まった苗と種。
苗は立派に成長して野菜の実を宿し、種は芽が出て成長を始めていった。
霊力と波紋の相乗効果で植物の生命が強化され、一気に成長していった家庭菜園の野菜。
苗で植えていた方は、もう収穫が可能になるほどに成長していたので、きゅうりと茄子にプチトマトを収穫しておくと、唐巣神父に見せにいく。
「もう収穫が出来たのかい!?」
そう言って驚いていた唐巣神父には「霊力と波紋を組み合わせて使ってみるとこうなりました」と伝えておくと「野原くんが使える波紋には、そんな効果もあったんだね」と波紋の活用法にも驚いていた唐巣神父。
急成長させた野菜の味を確認する為に、水で洗ったきゅうりやプチトマトを食べてみた俺と唐巣神父だったが、野菜の味に問題はなく、寧ろ新鮮で瑞々しくて美味しかったんで、波紋と霊力を使って野菜を急成長させても問題はないようだ。
茄子の味を確認する為、収穫した茄子の一部と挽き肉を使って麻婆茄子を作っておき、唐巣神父に食べてもらったが「この茄子も美味しいよ」と言っていたんで、茄子の味も大丈夫だったみたいだな。
とりあえず苗で植えた野菜は、波紋と霊力による急成長で既に実っているから、唐巣神父には沢山野菜を食べてもらうとしよう。
ちゃんと食べられる野菜が出来たんで家庭菜園を試したのは成功だと言えるかもしれない。
唐巣神父の方は、これでしばらくは大丈夫そうだと判断し、高校生活を送りながらGSとしての仕事を行った俺。
俺が通っている高校の後輩である横島忠夫という生徒が、GSの事務所でアルバイトを始めたと噂になっており、俺の事務所かと聞かれて「いや違うぞ」と答えておくと、俺の事務所と無関係なら何処の事務所なんだと話していた生徒も多かった。
数日後、横島くんのアルバイト先のGSが美女だったとか、机の妖怪が生徒になったとかが噂になっていたりもしたが、どうやら机妖怪の愛子は無事に学校に受け入れられたらしい。
それからGS業界ではかなりの力を持つ六道家から野原除霊事務所に依頼が届いたが、それは式神使い六道冥子の除霊失敗率をどうにかしてほしいというものだった。
ちょっとしたことで式神を暴走させて、マンションだろうがビルだろうが更地にしてしまう六道冥子さんの悪名がとんでもないことになっているのを、流石にどうにかしたいと六道家は考えているみたいだな。
そこで地道に精神修行させるということを選ばないのはどうなんだと思わなくもないが、六道家からの依頼を断ると面倒なことになりそうだ。
ちなみに何故俺の事務所にこんな依頼が回ってきたのかと言うと、依頼達成率が高い事務所であることに加えて、事務所の職員に実力ある式神使いが居ることが決め手となったらしい。
六道家から面倒な依頼がきたことを気にしていた鬼道さんから「すんまへん野原所長、僕が式神使いなせいで」と謝られたが、鬼道さんは何も悪くないんで「気にしないで大丈夫ですよ鬼道さん。貴女は何も悪くありません」と伝えて安心させておく。
僕っ子和服式神使い女性という属性の多い鬼道さんは、式神使いとしてはいい腕の持ち主だ。
そんな鬼道さんがうちの事務所の職員となって野原除霊事務所は、GSとして働ける人数が増えたことで安定感が増して、単独で働いていた時よりも環境が良くなっていたのは間違いない。
「鬼道さんが居てくれたことで助かったことは沢山ありますから、これからも鬼道さんには、うちの事務所で働いてもらえると嬉しいですね」
俺の気持ちをしっかりと鬼道さんに伝えておくと「野原所長に何処までも着いていかせてもらいます」と笑顔を見せた鬼道さん。
そんなことがあった日も過ぎて、六道家からの依頼を引き受けた野原除霊事務所は、問題の六道冥子さんと対面することになる。
甘やかされた女の子がそのまま大人になったかのような女性である六道さんは、ちょっとしたことで泣いて、式神の暴走を引き起こしてしまう人であるそうだ。
とりあえず六道さんの守りを固めて、依頼を達成することから始めるとしよう。
式神ケント紙を用いて用意した簡易式神で六道さんの守りを万全にし、一気に除霊を終わらせるということを繰り返した結果、改善した六道さんの依頼達成率。
除霊だけではなく建物の損壊率もゼロに近付いた六道さんに喜んでいた六道家の面々。
とりあえず俺と鬼道さんにセイリュートが居なくても六道さんが暴走しないように、十二神将の式神だけではなく式神ケント紙の簡易式神まで、六道さんには使えるようになってもらう。
式神使いとして十二体の式神以外も同時に使える霊力を持つ六道さんなら、十二体の式神を出しながらでも、式神ケント紙の簡易式神を一緒に使うことも可能だ。
六道さんが暴走しても問題ない採石場で、十二の式神と式神ケント紙の簡易式神を同時に操る訓練を積み重ねた六道さん。
今では十二の式神ではカバー出来ないところを簡易式神で補うこともできるようになっていた六道さんは、式神使いとして天性の才能を持っていた。
まあ、今の六道さんならそう簡単に暴走するようなことはないだろう。
式神ケント紙では、人型以外にも鳥や犬などの形にした簡易式神を用意して、六道さんは十二体の式神を出しながらも、それら全ての簡易式神を操れるようになりました