恐らくは後輩の横島くんが美神さんの事務所で働き始めてから、季節は巡るが時が進むことはないサザエさん時空のような状態となっているこの世界。
今年もクリスマスがやって来るが、去年と違うのは野原除霊事務所に鬼道さんとセイリュートという職員が居ることだろう。
クリスマスには特に予定がないという鬼道さんとセイリュートは、何かあった時の為に野原除霊事務所で待機しておくつもりのようだが、それならケーキと料理位は所長として用意しておこうと考えた俺。
人間である鬼道さんだけではなく、宇宙船に宿る特殊な霊体であるセイリュートにも給料は支払っているが、通常の幽霊とは違って食事も可能なセイリュートは特に洋菓子を好んでいた。
土地神として崇められていた頃に和菓子などは奉納されたことがあったらしいが、これまで食べたことがなかった洋菓子を気に入っていたセイリュートは外見を人間に見えるように調節してから、ケーキ屋に通っていたりもするそうだ。
クリスマスということで「どうせならワンホールのケーキが食べたい」と言ってきたセイリュートの望みを叶えておく為に、セイリュートと一緒にケーキ屋に向かうことになったが鬼道さんも誘っておき、野原除霊事務所の全員で移動していったケーキ屋。
ちなみにケーキ屋に向かう途中で横島くんと出会ったが「クリスマス前に和服美人と黒髪長髪美人を連れてケーキ屋やとっ!野原先輩の裏切者っ!罰として美人2人だけ置いていってもらおーかっ!」などと言い出した横島くんが鬼道さんとセイリュートに飛びかかろうとした。
すると鬼道さんの影から素早く飛び出した夜叉丸のアッパーが横島くんに叩き込まれたかと思えば、デンプシーロールを行った夜叉丸からのパンチの連打が繰り出されてボコボコにされていた横島くん。
まっくのうち、まっくのうち、というコールが響きそうな程に夜叉丸が幕之内一歩みたいな動きをしていたが、いつの間にかボクシングまで身に付けていた夜叉丸は、対人戦が更に強くなっていたかもしれない。
なんてことがあったりもしながら、ボコられた横島くんに軽く治療を施して、鬼道さんとセイリュートが野原除霊事務所の職員だと紹介しておくと「和服美人と黒髪長髪美人が同じ職場に、う、羨ましい!」などと言いながら横島くんは血の涙を流していた。
「野原所長の後輩くんは個性的な子やね」
「ワタシには凄まじく女好きの馬鹿にしか見えんが」
苦笑いしていた鬼道さんの隣で、辛辣なことを言っていたセイリュート。
「一応後輩ではあるので、少しは気にかけてくれると助かりますが、セクハラされそうになったら迎撃しても問題はないですよ」
とりあえず鬼道さんとセイリュートにはそう伝えておき、横島くんからのセクハラに対処しても問題ないことも教えておく。
「ちょっと位ならセクハラしても、ええやないかあああ!どちくしょおおおお!!」
そんなことを叫びながら涙を流して走り去っていった横島くん。
「いや、セクハラは駄目だろう」
「せやね」
常識的なことを言う宇宙船の霊体であるセイリュートに、鬼道さんも頷いていた。
「横島くんは基本的にあんな感じですから、気を取り直してケーキ屋に行きましょうか」
それからケーキ屋に行ってクリスマスケーキを購入した俺達は、野原除霊事務所に戻ると、ケーキを冷蔵庫に入れておき、クリスマス用の料理を作ることにしたが、和食とは違って洋食を作ることには慣れていない鬼道さんには手伝いだけしてもらう。
俺がメインで洋食を用意していき、野原除霊事務所のそれぞれが食べたいものを作っていった俺。
完成した料理を食べていき、クリスマスケーキも食べた俺達は賑やかなクリスマスを過ごす。
それから鏡餅でも作ろうかと考えて、野原除霊事務所の面々で餅つきでもしようかと思い、スキル【商品購入】で用意した道具一式。
全員で上手くタイミングを合わせて餅つきを行っていき、出来上がったつきたての餅を食べた野原除霊事務所の面々。
きなこ餅にした鬼道さんと、海苔と醤油で食べていたセイリュート。
意外と大根おろしと醤油の組み合わせが美味しかったと思いながら、事務所の近所の人々にもつきたての餅を提供したりもした俺。
鏡餅を用意してから新年が近付く時も、野原除霊事務所の面々は事務所におり、とある霊山の社から繋がる異界で千年に1度だけ授けられる神秘が、卑弥呼様による運勢占いだと知っている俺は、新年を霊山で迎えることはなかった。
そんな新年も過ぎ去って横島くんが韋駄天に取り憑かれたりもして、やたらと俊足になったことでドーピングを疑われたりしたそうだが、横島くんの身体でバレバレな変装をしてヨコシマンを名乗り、ヒーローみたいなことをしていた韋駄天。
とりあえず横島くんに憑依していた韋駄天の神通力で、死にかけていた横島くんの身体は少しずつ治療されていたみたいだが、頻繁にヨコシマンを呼ぶ美神さんのせいで、あまり治療は進んでいない横島くんの身体。
死ぬことがなくても両腕両脚がボキッと折れて肋骨にヒビが入り、苦しくなってうずくまったところに小錦がドスンと乗っかってきたような痛みを味わうことになるのは、流石に可哀想だなと思った俺は、高校に来ていた横島くんの身体に波紋と癒しの波導にヒーリングを施しておき、韋駄天の治療を手伝っておく。
どうにか骨折は全て治療することができたので、これで両腕と両脚がボキッと折れることも肋骨にヒビが入ることもない筈だ。
ついでにスキル【廃棄貯力】で貯めていたエネルギーを【霊力変換】で霊力に変換し、今の美神さん10人分の霊力を、横島くんに憑依している韋駄天八兵衛に譲渡しておいたんで、韋駄天九兵衛に、ヨコシマンが遅れを取ることもないだろう。
その後、無事に事件は解決したみたいだが、横島くんのシャツ全てに縫い付けられた数字の8を取り除くことに苦労したらしい。
ちなみに本作主人公の野原くんから、霊力を沢山渡された韋駄天八兵衛が九兵衛を素早く倒したので、美神さんの服が破れることはありませんでした