異世界ントム   作:色々残念

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思い付いたので更新します


真剣恋編その3 今こそ汝が右手に

霊力は魂などの霊体が発する力であり、気は肉体が発する力で、また別物であるが、同じではないということは併用が可能ということで、霊力による身体強化に気を使用した身体強化を重ねがけすることも可能となっていた直江少年と榊原少女に椎名少女。

 

この世界の鍛えた武術家よりも高い身体能力を発揮することが可能になった俺の弟子達と鍛練をしていると、弟子達の気を探知して姿を現したのは川神百代で間違いなさそうだったが、俺の弟子ではない戦闘狂に使ってやる時間はない。

 

手当たり次第に強そうだと思う相手に殴りかかろうとしていた川神百代の頭部を掴んだ俺は、強力な波紋を流して気絶させておく。

 

その場に気絶した川神百代を放置して鍛練を続けた俺達は、しっかりと霊力と気に肉体を鍛えることができたが、こうして鍛練を行っていると毎回毎回川神百代に襲撃されるのは面倒だった。

 

戦闘狂は強い相手と戦うことが好きなだけで、強い相手に瞬殺されるのは好きじゃないという面倒な存在であり、川神百代も俺に瞬殺されて倒されていることを不満に思っていたようだ。

 

「せめて少しは戦わせろ!」

 

などと文句を言ってくるようになった川神百代は、全く戦えずに気絶させられることを不満に思っていたみたいだが、此方からすれば邪魔な襲撃者でしかない存在の希望通りにしてやる必要は全くない。

 

今日もいつも通りに川神百代を気絶させておき、その場に放置したまま、鍛練を開始した俺達に近寄ってきていたのは、川神百代の祖父である川神鉄心であろう存在だったが「百代が全く相手にならんとはな」と驚きの表情を隠せてはいなかった。

 

「ご家族の方ですよね。とりあえずそこの戦闘狂は寝かしつけといたんで、持って帰ってもらえると助かります」

 

気絶している川神百代を指差しながら、直江少年が放つ数多の霊糸を避けて、榊原少女の霊力の具足を纏う蹴りを逸らし、椎名少女が放って操る霊力の盾を回避していく俺。

 

3対1で、絶えず動き続けていた俺達を見ていた川神鉄心さんは「見事なもんじゃな。1人1人が今の百代よりも間違いなく強い3人が連携して動こうとも、たった1人で容易くそれを捌いておるのはとんでもないのう」と感心していたみたいだ。

 

それからしばらく続いた実戦的な鍛練は、俺がハリセンの形に変形させた霊波刀で直江少年達の頭部を叩いたことで終わりとなる。

 

「百代のライバルと言うのはお主達には失礼じゃな。未熟な百代とは実力差が有りすぎるようじゃ」

 

未熟な今の川神百代よりも俺とその弟子達が強いと認めた川神鉄心さんは「それでもお主達の誰か1人でも構わんから、百代と戦ってもらえると助かるんじゃが」とも頼んできた。

 

そんな川神鉄心さんの言葉を聞いた直江少年が何故か乗り気で「我が永劫の友に教わりしこの力を、今こそ示す時」と川神百代と戦いたがっていたので、気絶した川神百代を抱えた川神鉄心さんと一緒に川神院まで移動した俺達。

 

気絶した状態から起こされた川神百代は凄まじく不機嫌ではあったが、直江少年と戦えると知ると機嫌を直し、組手を行う準備を楽しげにしていた。

 

直江少年と川神百代が真正面から対峙した状態から始まる組手が開始されると、川神院で学んだ技を直江少年へと放つ川神百代。

 

並みの武術家なら、1発でダウンするような威力が秘められた川神百代の拳を涼しげな顔で回避していく直江少年。

 

「今こそ汝が右手に、その呪わしき命運尽き果てるまで」

 

川神百代の攻撃を避けながら、1分間のイリュージョンを見せる邪眼を使える何処ぞの主人公と同じ詠唱を唱え始めた直江少年は、そういえば俺が以前見せたゲットバッカーズのアニメを気に入っていたな。

 

「高き銀河より降りたもうアスクレピオスを宿すものなり、されば我は求め訴えたり」

 

「何をブツブツと!」

 

詠唱を続けながら攻撃を避けているだけの直江少年に、絶対に攻撃を当ててやるとムキになっていた川神百代。

 

「喰らえ、その毒蛇の牙を以て」

 

詠唱が完了したところで、霊糸を用いて右手に纏わせるように蛇の頭部を形作った直江少年が、霊力と気による身体強化を高めて川神百代に接近する。

 

「このっ!」

 

迎撃しようと動く川神百代よりも素早く動いた直江少年の霊糸の蛇を纏う右手が、川神百代の頭部を掴んだ。

 

「スネークバイトォ!」

 

蛇がその顎で噛みつくかのような一撃が川神百代に放たれて、握力200キロを遥かに越える握力で繰り出された直江少年の真似っこスネークバイトは、川神百代の意識を一撃で刈り取っていた。

 

ゲットバッカーズの主人公である美堂蛮の詠唱からの必殺技を繰り出せて満足気な顔をしていた直江少年は、これがやりたかっただけかもしれない。

 

川神院での組手は、直江少年が大満足しただけで終わったが、弟子である直江少年が大満足しているなら組手をやらせて良かったとは言えるな。

 

川神鉄心さんは物凄く微妙な顔をしていたが、孫娘が中二病な直江少年に一矢報いることも出来ずに敗北したなら、微妙な顔になっても仕方ないような気はする。

 

まあ、一応ちゃんと組手の範囲で終わらせたんで、文句は言えない筈だ。

 

その後、ゲットバッカーズをアニメでしか知らない直江少年にスネークジェノサイドの詠唱を教えてみると、物凄く目を輝かせていたな。

 

いつまでも中二病な直江少年は、カッコいい詠唱には目がないようだった。




真似っこスネークバイトの威力は結構高かったりしたようです
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