今回で真剣恋編は終了となりますが、次回からまた別の世界が始まりますね
武道四天王と呼ばれる武術家達が、この世界には存在していて、俺達4人に武道四天王になってみないかと打診してきた川神鉄心さんに、断りを入れておいた俺達。
しつこい九鬼からの勧誘にも毎回断りを入れておき、未熟な有精卵は此方に近付けないようにしておいてほしいとも伝えておくと、勧誘に来ていた九鬼の人間は「有精卵ですからね」と笑いを堪えていたりもしたな。
敵を増やすような言動をしていた有精卵な金髪老人を快く思っていない九鬼の人間は、意外と少なくはないらしい。
中学二年を過ぎても直江少年の中二病は終わることなく継続しており、いつまで続けるつもりなのかを聞いてみると「無論、死ぬまで」と力強く答えた直江少年。
「そんな大和をそれでも愛そう」
そう言って直江少年を抱きしめていた椎名少女は、中学を卒業してから直江少年と付き合い始めていたようだ。
恋愛関係に発展した直江少年と椎名少女を祝った俺と榊原少女は、恋人となった2人に配慮して、直江少年と椎名少女に2人だけの時間をつくっておこうかと考えていたが、これからも4人で一緒に居たいと直江少年と椎名少女から頼まれたので、4人で過ごすことは変わらなかった。
川神学園に進学した俺達は、Sクラスまで行ける学力があったとしても、特にSクラスには興味がなかったんでCクラスで、普段は普通に学生生活をしていた俺達全員。
武神と言われるようになった川神百代よりも普通に強い俺達に、決闘を挑むような物好きはおらず、頻繁に挑んでくる川神百代を瞬殺していた俺達。
それからしばらくして川神学園には様々な転校生がやって来ていたが、中でも九鬼が造り出したという偉人のクローン達には、誰もが注目していたのは間違いない。
義経、弁慶、那須与一、そして葉桜清楚の4人だけが転校してきて、川神学園の生徒達は賑やかな日々を送っていたのは確かだ。
クローン組の性格は基本的には善良で、那須与一だけが中二病だった為に直江少年と物凄く仲良くなっており、アルコールは含まれていないが酔えるという謎の水な川神水を飲みながら、断金の契りを交わす程に意気投合していた直江少年と那須少年の2人。
直江少年に影響された那須少年が弓で矢を放つ際に「赤原を行け、緋の猟犬!」と言うようになったりもしたが、もとから中二病だった那須少年の中二が進行していたとしても、何も問題はないな。
そんな特に何事もなく過ぎ去っていくかと思った日常は、九鬼の従者である筈のマープルとやらが起こした反逆で崩れ去り、真の武士道プランとやらについて語り始めたマープルの言い分は、蘇らせた偉人のクローン達にこの国の舵取りを任せた実力社会というものだった。
今の若者に期待できないから、過去の偉人のクローンを引っ張り出して任せるというのは、別に好きにすればいいと俺は思うが、それなら堂々と小細工抜きでやればいい。
要求を通す為なのかもしれないが、マープル達が無関係な川神学園の生徒を何人か人質にとっているのは普通に迷惑だろう。
同じ川神学園の学友とも言える存在が人質として捕まっていなければ、俺が動くつもりはなかったが、目的達成の為と宣って余計なことしかしない存在であるなら、マープル達を排除しておいた方がいいと判断した俺。
クローン組の中でも、マープル達に従うつもりがなかった那須少年は最初から此方側で戦うつもりのようだったが、完全にマープル側で襲いかかってきた有精卵な金髪老人を、武術家として再起不能な状態にしてからズタボロにして、放り捨てた俺に、物凄く怯えていた那須少年。
身体を奮わせて怯えながらでも「この戦いが終わった後に、俺はどうなってもいい!だから主と姉御の命だけは、どうか、どうか奪わないでやってくれ!」と土下座までして懇願してきた那須少年は、義経と弁慶の助命を頼んできた。
直江少年の親友となった那須少年の頼みであるなら仕方ないと思った俺は「顔を上げろ那須少年、きみがそこまで頼むなら義経と弁慶の命は助けておくし、身体も五体満足な状態で気絶させる程度で済ませておくから安心しておけ」と伝えて安心させておく。
文珠を用いた瞬間移動で人質を全員助け出してから、義経と弁慶だけは波紋で気絶させる程度で済ませて避難させておいたので、人質と生きていてもらわなければいけない存在が、これから起こることに巻き込まれることはない。
梁山泊とやらは椎名少女と榊原少女に任せて、突き進んだ先に居たマープルとやらの目の前で、マープルを守るように待ち構えていた項羽のクローンと直江少年を戦わせてみることにした俺。
「俺が鍛えた現代の若者と、そちらが現代に蘇らせた項羽のクローン、どちらが強いか見てみるといい」
マープルに向かってそれだけ言った俺は項羽のクローンと直江少年の戦いを見届けることに決めて、腕を組んで戦いが終わるまで待つ。
霊糸を用いて項羽のクローンが振るう得物を軽々と弾いた直江少年は指から伸ばした霊糸を巧みに操っていった。
「やるではないか直江大和!」
「項羽のクローン、葉桜清楚」
下から上に振り上げるように指を動かした直江少年の霊糸が、項羽のクローンの得物ごと身体を斬り裂いていき、致命的なダメージを与える。
「吠えるな、駄犬」
直江少年がそう言い放つと同時に地に崩れ落ちるように倒れた項羽のクローンの身体。
一応俺が癒しの波導で血止めはしておいたので、出血多量で項羽のクローンが死ぬことはないだろう。
「さて、どちらが勝者であるかは誰が見ても一目瞭然だが、現代の若者が偉人のクローンに劣っていないことは理解したよな」
有精卵ほど沸点が低くはないようで、いきなり怒り出すことはなかったマープルは「ああ、誰が見てもあたしらの負けだね」と、ただ静かに敗北を認めた。
その後、今回の問題を起こしたマープルと一部の九鬼の従者が責任を取ることになったようで、有精卵な金髪老人が武術家として再起不能になっていたことに頭を抱えていた九鬼の関係者は多かったそうだが、此方としては知ったこっちゃないな。
川神学園を卒業してから数年後に直江少年と椎名少女は結婚し、榊原少女と俺も結婚することになり、前田小雪となった小雪。
直江くんと直江京さんの間に生まれた娘と、俺と小雪の間に生まれた息子は幼馴染みのような関係となり、息子達が成人して就職し、生活が安定した頃には結婚までして、直江くん達とも家族ということになった俺達。
とても賑やかな家庭ではあったが、家族仲は悪くなかったので、全員が幸せには暮らせていたのは間違いない。
長く長く生きて、もう少しで今生も終わりが近くなった頃、セイリュートと一緒に川神水を飲んでいると「アルコールは欠片も含まれていないのに、ワタシでも酔えるこの川神水は何なんだろうな」と言って首を傾げていたセイリュート。
酒よりかは身体に悪くない川神水が、セイリュートに分析されたとしても、謎の水のままであることに俺は笑った。
武術家として再起不能となったヒュームは、武術が関係ない分野で働くことになったようですが、有精卵というアダ名が広まっていたようで、九鬼帝からも有精卵呼ばわりされることになったようですね