あの世でもジョゼフ兄さんに詫び続けろと言いたくなるようなことをしでかしたシャルル兄さんには、文句が山ほどあるが、既に死んでいるシャルル兄さんは、この世に魂が残っていないようなので、文句を言えたりはしない。
兄2人が亡くなったことで、末弟である俺に回ってきたガリアの国王という仕事。
これまでの人生経験もあって、なんとか王様業もこなせていたが、ガリアの国王として働く合間に行っていた魔法の修行で、四系統全てのスクエアメイジとなることにも成功し、風魔法による遍在や土魔法の錬金で土を金に変化させることも可能となった俺。
風魔法である遍在で分身を増やせるようになったことは、どの作業でも役立ち、分担して作業することで早めに王としての仕事を終わらせることもできたので、遍在による分身が使えるようになったのは良いことだ。
国王となったことでガリアという国を更に詳しく知ることになったが、国力の高いガリアは安定していて、見栄の為に借金ばかりをしているトリステインと比べると、豊かな国であるのは間違いなかった。
ガリアの国王としての仕事を欠かさず行いながら、風魔法で作り出した遍在達にフェイスチェンジの魔法まで使わせ、顔と髪色を変化させて変装をさせた状態で他国を調べるついでに、潤沢な資金で有用なものを購入してきてもらうということを繰り返していた俺。
トリステインに行っていた遍在の1人が魔剣デルフリンガーを一旦購入してから、また同じ武器屋に返却したようだが、一時的な購入だとしても買ったという事実があれば【商品購入】で購入が可能となることには変わりはない。
試しにデルフリンガーを【商品購入】で1本購入してみたが、喋る剣であるデルフリンガーは、とても喧しい剣であったのは確かだ。
デルフリンガーの本体は剣に宿る霊体であるが、どうやらそれすらも【商品購入】で購入可能な商品であるなら、増やすことが可能であったみたいだな。
【商品購入】で生物を通貨代わりにして商品と引き換えることは不可能だが、生きた生物を商品として購入したことがあれば、価値あるものと商品だった生物を【商品購入】で引き換えるということは可能であるのかもしれないと気付いてしまった。
人を購入するのは流石に問題がありそうだが、購入した家畜などを増やせるとするなら、それはそれで役立ちそうではある。
牛や馬に豚や鶏などを増やせるなら、農耕や畜産に役立つのは間違いない。
ロマリアという国自体がエンシェントドラゴンと配下の竜達によって完全に消え去った今なら、俺が四系統の魔法以外の力を使ったとしても、異端扱いすることはできないだろう。
という訳で、遍在の分身でも使えたスキル【商品購入】を用いて大量に家畜を増やし、ガリア国内の家畜が足りていない場所に様々な家畜を配布させた俺。
乳牛なども増やしておいたので、ガリア国内では乳製品の開発が盛んとなり、それぞれの地方で特産品なども作られるようになっていた。
錬金の応用で、乳牛のミルクからチーズなどを作り出す技術までもが生まれており、多種多様なチーズが売られることになっていたガリア国内。
美味かったチーズは個人的に購入しておき、スキル【商品購入】で買えるようにしておいたりもしながら、ガリアという国を更に豊かな国としていく為に働いていた俺。
それから幾つかの年月が過ぎていったが、アルビオンのモード大公とその家臣達に、モード大公の愛妾でエルフなシャジャルさんのガリアへの亡命を受け入れたり、ヴァリエール家のカトレアを密かに治療して健康にしておいたり、ガリアにやってきたエルフのビダーシャルに特製豆腐ステーキを振る舞ってみたりもしたな。
そんなことがあったりもしたが、トリステイン魔法学院にヴァリエール家のルイズが入学したようで、このままなら来年辺りに平賀才人くんが日本から召喚される可能性は高そうだ。
使い魔召喚と言えば聞こえはいいかもしれないが、平賀才人くんにとっては日本から異世界まで連れ去られるようなもので、拉致だと言われても否定はできない。
初期のキツイ性格なルイズと一緒に居るのは、凄まじい苦痛のような気がするが、平賀才人くん本人がどう思うかが重要なところだな。
そんなことを思っていたんだが、ルイズが召喚したのは平賀才人くんではなく、ワルド子爵だったみたいで、平賀才人くんがルイズに召喚されることはなかったらしい。
ルイズ本人にとっては此方の方が良かったんだろうかとは思ったが、日本から拉致されてくる平賀才人くんが居ないなら気にしなくても大丈夫か、と考えていた俺。
しかし、モード大公とシャジャルさんの娘で、ハーフエルフなティファニアが使い魔召喚で平賀才人くんを呼び寄せてしまうことになり、何故かガンダールヴとヴィンダールヴにミョズニトニルンという3つのルーンが刻まれていた平賀才人くん。
様々な武器を操るガンダールヴだけではく、幻獣を操るヴィンダールヴに、数多のマジックアイテムを操れるミョズニトニルンという3つのルーンを宿し、虚無の使い魔となった平賀才人くんには、自衛できるように魔剣デルフリンガーを渡しておいた。
早速仲良くなっていた平賀くんとデルフリンガーは、いいコンビになれるかもしれない。
とりあえず俺は、愛娘であるティファニアの使い魔が男だったことを知り、凄い顔をしていたモード大公のことを宥めておくとしよう。
まあ、可愛い娘の近くにいきなり見知らぬ男が現れたら、父親として排除したいと思ってもおかしくはないので、モード大公の気持ちは分からなくもない。
ちなみに豆から錬金の応用で代用肉を作っていた研究者にも、本作主人公はポケットマネーで資金援助をしていたりします