今回から暗殺教室編が始まりますね
俺と藍が住んでいる家までやってきた防衛省の人間である烏間さんは、此方の情報も少しは知っているようで、俺がプロの殺し屋や傭兵を幾人も返り討ちにしていることも知っていた。
依頼されて藍を殺しに来ている連中を死体も残らず処理することは簡単だったが、殺し屋や傭兵達に入院が必要なダメージを与える程度で生かして返してやることで、藍を害そうとしている相手がどうなるかの見せしめにしておいた俺。
そうやって失敗しても懲りずに何度も殺し屋や傭兵を雇って藍を狙わせた依頼主達は、こっそりと処理しておいたが、そちらの方は痕跡と死体は残していない。
そんな俺がこれまで倒してきた傭兵達の中には、実力が高いと評判な傭兵集団である群狼と、そのリーダーで神兵とも言われるクレイグ・ホウジョウとやらも含まれていたらしく、それら全員を返り討ちにして残らず病院送りにした俺の実力を政府は高く評価しているとのことだ。
常人とは並外れたその戦闘力を活かして、ある超生物を暗殺する為、とある中学校に転校生として潜り込んで、暗殺を手伝ってほしいと俺に頼んできた烏間さん。
「暗殺の成功報酬は100億となるが」
「金銭以外のものも報酬に加えてくれるなら、参加しても構いませんよ」
「何を報酬にすればいい?」
「飛行機落としのイミナの国際指名手配解除と、殺し屋や傭兵に依頼してイミナを害そうとすることは世界中で禁止にするとかですかね。これが駄目なら俺は暗殺には参加しません」
「試しに上に掛け合ってみよう。少し待っていてくれ」
そう言って携帯を片手に此方から離れた烏間さんは、上司に俺からの条件を話して交渉してくれているようだった。
しばらくして通話を終わらせた烏間さんが戻ってきて「あくまでも成功報酬であるなら、きみの出した条件を受け入れるつもりはあるそうだ」と言った烏間さんの言葉に嘘はない。
烏間さんが嘘を言ってはいないとしても、暗殺が成功した後に此方の条件が必ず叶えられるという保証はないので、烏間さんの上司には釘を刺しておくとしよう。
僅かな間だけ借りた携帯で烏間さんの上司に伝えることは1つ。
「約束が破られた場合は、貴方を含めた関係者の首が物理的に飛ぶんで、覚悟しておいてくださいね」
文珠を使えば遠隔斬首も簡単にできるから、単なる脅しではなく予告になるが、遠隔斬首をするようなことにならないのが1番だな。
とはいえ遠隔斬首という俺にしかできない手段を知らない烏間さんの上司からすると、約束破ったら俺が直接殺しにいくという殺害予告に感じたようで、明らかに怯えていた烏間さんの上司。
烏間さんの上司は烏間さんほど肝が座っていないみたいだから、いきなりの殺害予告には怯えても仕方ないのかもしれない。
それからはトントン拍子に話が進み、手続きに多少時間はかかったが、椚ヶ丘中学校3年E組に転校生として訪れることが決まった俺は、人間に偽装したセイリュートに藍の護衛を任せ、椚ヶ丘中学校へと足を踏み入れていく。
進学校であるという椚ヶ丘中学校では、成績や素行が良くない生徒はE組行きとなるようで、山の上にある旧校舎という隔離された場所で授業を受けることになるが、現在のE組担任教師は月を三日月に変えた超生物であり、教師として優秀ではあるそうだ。
今では生徒達に殺せんせーと言われている超生物な教師を暗殺する為、プロの殺し屋の女性が教師として派遣されていたようだが、超生物の暗殺には失敗したらしく、現在はE組の生徒に英語を教える教師として働いているようである。
そして修学旅行から帰ってきたE組の生徒達は俺よりも先に転校していた転校生暗殺者な自律思考固定砲台さんと仲を深めていたようだった。
事前に烏間さんから聞いた情報としてはそんなところだが、残る後1人の転校生暗殺者は、まだ転校してきていないらしい。
順番としては2人目となる転校生暗殺者の俺をE組の生徒達は警戒しているようで、扉の向こう側の生徒達からの警戒心が伝わってきたが、教室に入るように言ってきた烏間さんの言葉に従い、扉を開けて教室に入った俺は「渡砕牙だ。よろしく」とだけ生徒達に言っておく。
「良かった人間だった」
そんな言葉を漏らしていたE組の生徒達は、自律思考固定砲台さんのように人間じゃない転校生が来るんじゃないかと考えていたみたいだが、外見は普通の人間に見える俺を見て安堵していた。
普通の人間だと安堵している生徒達に、俺の生まれが普通じゃないクローンであることを伝えてみたい気持ちはちょっとあったが、流石にそれはドン引きされるかと考えて、シックスという邪悪な存在のクローンであることをE組の生徒達に明かすことはない。
とりあえず今日からE組の生徒となる俺は、殺せんせーを見ることになったが、触手を生やした奇妙な身体をした生物であっても、霊能者として確認してみると魂は人間であることが理解できる。
「はじめまして、わたしがE組の担任です」
そう言うと触手を此方に差し出してきた殺せんせーは握手をしようとしているんだろうが、触手を守るように手袋がしてあり、此方が手に細工をしていても効果がないようにしていた殺せんせーは、転校生暗殺者である俺のことも一応警戒しているようだ。
「よろしく先生」
今日はいきなり暗殺するつもりはない俺は普通に握手をするだけにしておき、用意されていた席に座ることにした。
普通に授業を受けた後、休み時間の間にE組の生徒達からの質問があったが、答えられることだけに答えておくと、何故か殺せんせーも興味津々に聞いていたのは確かだな。
「渡くんから美味しそうな甘い匂いがしていたのは、そういうことでしたか」
俺の趣味が菓子作りであることを知った殺せんせーは、そんなことを言っていたが、俺が自作の特製クッキーを持ってきていることを知ると「先生食べたいです!」と生徒からお菓子を貰おうとしていた担任教師。
あまりにも必死に頼んでくるんで、そんなに食べたいなら、とクッキーを殺せんせーに数枚渡しておくと「おっ美味し過ぎるっ!」と激しいリアクションをしていた殺せんせーの反応を見て、特製クッキーがどんな味なのか気になった生徒達が食べたそうにしていたんで、この際全員にクッキーを提供しておくと「美味いっ!」と喜んでいたE組の面々。
まあ、前の世界では菓子屋をやっていたから、お菓子作りはかなり上手になっているんで、今生は別のものを極めたいところだな。
主人公から美味しそうな甘い匂いがしていることに気付いていた殺せんせーはクッキーを貰ってから、主人公が作る菓子の虜になってますね