野球部とE組で野球勝負した時、140キロの速球を放てる進藤という野球部エースで主将の球を、毎回真芯に捉えてホームランを連発した俺に、同じE組のクラスメイトである杉野が一緒に野球をやらないかと誘ってくるが、野球にはそこまで興味がないんで断っておく。
それからしばらくして鷹岡明という防衛省の人間がやってきて、菓子や飲み物を生徒達に配って懐柔しようとしていたが、普段俺が提供していた菓子の方が数段美味しかったようで、いまいち食い付いていなかったE組の生徒達。
冷静に鷹岡のことを見極めようとしている生徒達は多く、やたらと親しく接しようとしてくる鷹岡には裏があるのではないかと警戒している生徒達は、鷹岡を監察していた。
あまり生徒達が自分を受け入れていないことに気付いた鷹岡は、早めに本性を露にして、暴力で生徒達を従えようとしたようだが、そんなことをさせるつもりはない。
女たらしではあっても悪い奴ではないクラスメイトの前原が最初に文句を言うと、前原へと近付いて膝蹴りを叩き込もうとした鷹岡。
とりあえず前原に膝蹴りが当たる前に鷹岡の足を掬うように足払いしておき、体勢を崩した鷹岡を放り投げておくと、鷹岡は地を転がっていく。
「怪我はないな前原」
「サンキュー渡。あのままだと蹴られてたよなオレ」
「間違いなく膝蹴りが直撃コースだったぞ」
「マジ助かったわ。オレが女なら間違いなく惚れてたね。男のオレでもカッコよくてドキッとしたもん」
「今生は遺伝子提供者がろくでもないから、誰に告白されてもお断りするんで、付き合えないぞ」
「告白してないのに何かフラれた気分だわ、この胸の痛みは何だろう」
なんて会話を俺と前原がしている間に地を転がっていた鷹岡が立ち上がり、逆上しながら此方へと向かってきて殴りかかってきたが、鷹岡の打撃に掌で触れると同時に最小限の力と動きで打撃を流し、体勢を大きく崩した鷹岡を再び投げ飛ばした俺。
「烏間先生、この人は役立ちそうにないんで送り返してもらってもいいですか?最低でも烏間先生レベルはないと、学ぶべきことが俺にはないし、クラスメイトを暴力で従えようとしているんで、見ていて不快ですからね。それに、こうも容易くあしらわれて何度も地面を転がってるこの人が教える位なら、俺が教えた方が役立つような気がします」
素直に思った感想を言葉にしておくと、更に怒り狂った鷹岡が手荷物からナイフを取り出して再び襲いかかってくる。
「刃物出したんなら、此方も投げ飛ばすだけじゃ済ませないが、そこら辺は覚悟してるよな?」
此方からの問いかけに答えることがない鷹岡は、怒りで正気を失っているようで、自分の立場とかもどうでも良くなっているのかもしれない。
鷹岡が繰り出してきたナイフによる刺突は、素人ではなく訓練された精鋭軍人の一撃であったが、俺に当てるには遅すぎる。
「スロー過ぎてあくびが出るぜ」
そう言いながらナイフを持つ鷹岡の手首を掴んで捻り上げてナイフを手放させて、手の中に生成して握り込んでいた4個の文珠に「激」「痛」「千」「倍」という4文字を込めて鷹岡へと押し当てて発動させた俺は、手首、肘、肩と順に鷹岡の関節を外していった。
「ろくでもない父親なら、子どもにこうされることもあるとよく覚えておきな」
関節を外される痛みが千倍となった鷹岡が発する絶叫が聞こえようが容赦なく、もう片方の腕も同様に関節を外して完全に両腕が使えないようにしておいて、地面に鷹岡を転がしておくと「ヒィィィッ、来るな!来るなぁ!」と俺に怯えていた鷹岡。
歩いて帰れるように足の関節まで外すことはなかったが、躊躇なく鷹岡の両腕の関節を外して凄まじい激痛を与えていった此方に、ようやく勝てないと思った鷹岡は怒りよりも恐怖の感情が勝ってきたらしく、俺が近付くだけで身体を震わせて怯え、少しでも離れようと必死になっていた鷹岡の心は完全に折れていたようだ。
これまで教導を行う際に、ナイフを持たせた新人と素手で戦ってみせてぶちのめし、敵わないという恐怖で心を折って従えていた鷹岡が、俺という敵わない相手から与えられた凄まじい痛みによって完全に心が折れていたのは、皮肉だと言えるかもしれない。
鷹岡の惨状を見てドン引きしていたE組の生徒達は多く、烏間さんも思わず身構えていて、ビッチ先生は「拷問するのに慣れてないあの子」と若干怯えていたが、殺せんせーは骨もないのに「先生の関節は外さないでください」と完全にビビっていた。
その後、一部始終を見ていても平然とした顔で現れた椚ヶ丘中学校の理事長は、丁寧に鷹岡の関節を痛いはめ方ではめてやり、解雇通知を態々手渡しで渡していたが、あの人は間違いなくドSだと思う。
とりあえず鷹岡の心は今回で間違いなく折れたんで、リベンジしに来ることはないだろうが、もし鷹岡が次も生徒達を傷つけようとするなら容赦をしてやる必要はない。
その時はきっちりと処理しておかないといけないな。
理事長が鷹岡の関節を痛いはめ方ではめていたのはわざとですね