私の知ってる超かぐや姫!がなんかおかしいんだけど質問ある?   作:天空ラスク

2 / 14
なんか思ったより読まれてたので急いで書き上げました。この酒カスをよろしくお願いします。

1000UA突破!かんしゃあああああああああ!(∩∇∩)
評価バー赤!超かんしゃああああああっ!(☆∇☆)


推しの生き霊が部屋に出るんだけど質問ある?

 酒寄彩葉(仮)は部屋の中にカメラと海琴(推しモドキ )が現れたことにも気付かずすぅすぅと寝息を立てて机に突っ伏している。恐らく勉強中に寝落ちしたと思われる。布団で寝ろよと言いたいところだが東大を目指している状況かつ生活費と学費を自力で稼ぐ超女子高生にそんな悠長にリラックスしている時間はなかったのだ。悲しいね。

 

 

「ねえ、みんな。この状況どうしよう……」

 

 

 まさか本当に映画の世界に繋がってしまったのではないかと内心あばばばばと震えが止まらない。心臓の鼓動が太鼓の達人並に早まっている気がする。それでも小声で視聴者に助けを求めるだけの思考は回すことができた。

 

 

 ・これガチか?ガチか?

 

 ・この酒カスにこんなリアルな部屋とイロPを編集で合成できるスキルないよ!

 

 ・でもヤチヨそっくりだから出来てもおかしくないだろ!?

 

 ・出来たら最初から酒呑まずにやってるだろ!?絶対そっちの方が面白そうだなも!

 

 ・とりあえず起こすな!絶対起こすな!事態がややこしくなる!

 

 だがカメラの奥の視聴者達もあばばばばしてるので類は友を呼ぶ状態なのだった。酒カス共がよ。

 

 コメント欄を読んでいると少し落ち着いたが、そもそもこのコメントはどこに表示されているのだろう?と疑問が湧いてきたが冷静になればなんて事なかった。

 

 カメラと有線で繋いだ影響か、視界の片隅にコメントが表示されるようになっていたのだ。カメラは今海琴の右隣に彩葉(仮)を写すように置いてあった。

 

 

緊張と興奮を抑えるためにコメントだけに注視して読み進めていく。とりあえず彩葉(仮)を起こすなと言われたので元気に了承の合図を言った。怒られた。

 

 何はともあれ、せっかく彩葉(仮)の部屋らしきところに来たので見るだけ見てみよう。そう思いルンタッタ気分で歩き回ろうとしたのだが、

 

「あれ、歩けない……手もない……」

 

 

 一歩前に踏み出した、はずなのだ。確かに足の裏は浮いて一歩前の床を踏んだ。しかし視界は先まで立ってた位置から少しも動いていなかった。さらにバイザーのダイヤルを弄れば変わるかと手を顔の前に持ってきたが視界に手が映らないのだ。

 

 なら、そのままバイザーを外すと視界にはいつもの配信部屋が広がった。寝落ち女子高生なんて居なかったんだ!アレぜ〜んぶ夢だ!あははは!

 

 

 ・逃げるな酒カスー!現実から逃げるなー!

 

 ・(現実逃避の)判断が早い!

 

 ・酒カス、お前鬼殺隊降りろ

 

 

 鬼殺隊(コメント)の皆さんは許してくれませんでした。悲しみの海に沈んだあてくし……(深酒少女)。

 

 

 それからコメントとワイワイしながら器具を弄り回した結果次のことが判明した。

 

 メカメカしいバイザー。色々弄った結果これがメインにあたるデバイスだということが判明した。これには視界と聴覚を向こう────恐らく、超かぐや姫!の世界と思われる────と接続する機能がついている。右側面にラジオのボリュームのようなダイヤルがついていて、0から5までのメモリとスイッチが一つ着いている。

 

 0のメモリは何も変化なし。現実(リアル)でバイザーをつけて棒立ちするダルTショーパンのヤチヨモドキが爆誕するだけだった。当然向こう(超かぐや姫!)とも繋がらない。つまらない存在である。

 

 1のメモリは視界と聴覚を向こうに接続する。このモードだと向こうのものに干渉することは出来ない。完全に観賞用モードだ。だからか、向こうから自分は存在を認識できないらしい。彩葉(仮)がパンケーキを焼いている時に後ろでパラパラを踊っても反応がなかったから間違いない。スニーカーもどき──もうスニーカーでいいか──を履く事で向こうの世界を歩き回ることが可能になる。

 

 2のメモリは1メモリの効果に加え向こうのものに干渉出来るようになる。そう、付属の手袋とマスク(可愛い海琴ちゃんスマイルを添えて)をつけることでね!

 

 だが彩葉(仮)は自分の姿は見えないようだが干渉されたものは認識できるようなのだ。

 

 それは打出の小槌(ガチ?)デバイスが届いた次の日の夜の事、夜食を食べようとしていた彩葉(仮)の隣から手を伸ばしてパンケーキを持ち上げたら、

 

 

「ん????」

 

 

 とまるで七色に光るゲーミング電柱から赤ん坊が出てきたかのような声を挙げて見つめられたので気がついた。急いで食べ切ったらなんかこちらを見て放心してたのでもう二枚貰った。保存用と視聴者プレゼント(先着一名)にした。(酒)カスかな?

 

 3のメモリは2のメモリの効果に加え視界の、いや世界の切り替えが可能になった。これによりコチラの物品を向こうに、向こうの物品をコチラにそれぞれ移動可能になった。

 

 2のメモリの実験をした次の日に彩葉(仮)が外出中に冷蔵庫を漁ったらコメントも海琴も涙を堪えきれなくなるレベルで貧相だったので何とか出来ないかとメモリを弄った結果これに気がつくことができた。なので先日食べた分のパンケーキ(手作りふわふわ)と色々惣菜を詰めておいた。

 

 彩葉(仮)?幻覚を見てると思って何度も開け閉めしてたよ。

 

 

「ん? ……ん?? ……ん!?」

 

 

 あの彩葉(仮)はコメント欄と共に笑わせてもらったものだ。神棚アクリルスタンドのヤチヨに拝み泣きながら惣菜を食べる姿はコメントと共に涙を流しながら喜んだ。せいぜい豪華な夜ご飯を食べるがいい。おかわりもあるぞ。

 

 4のメモリは3のメモリの効果とマスクをつけることで向こうに声を届けることができるようになる。打出デバイスが届いて三日目頃、彩葉(仮)が眠たげな顔で勉強していたので応援しようと耳元で、

 

 

「がんばってね、彩葉♡」

 

 

 とヤチヨ成分全開の声真似でささやいてみた。

 すると解放されたバネのように椅子から飛び上がって『ヤヤヤヤヤヤヤヤチヨ!?』とそれはもうキョロキョロ超えてギョロンギョロン見回していたのでお腹が痛くなるくらい笑った。そのせいなのか神棚スタンドに盛り塩が追加されました。

 

 生き霊扱いされた……。これにはコメントも草が豊作だった。刈り取ったろか。

 

 5のメモリはもう何となく察しがつくと思う。向こうの存在に自分の姿が認識されるようになる。鏡の前で身支度を整えている彩葉(仮)の背後でなんか無いかなーとウロウロしてたら鏡越しになむなむと拝まれたからだ。だから生き霊扱いはやめて欲しい。

 

 最後にシンプルなスイッチ。これは電源ではなく視界を現実──当然向こうの世界の──からツクヨミに切り替えるものだった。ゲームを楽しむ彩葉(仮)を見てどうしても自分もツクヨミに行きたくなって弄ったら視界が彩葉(仮・ツクヨミの姿)の背後に切り替わったことで判明した。この状態は他のメモリも影響を受けるようでツクヨミ内でカリカリメモリを切り替えてたらツクヨミの掲示板に、

 

 【暇を持て余した】ヤチヨ、神戦(KASSEN)中に徘徊してしまうWWW【神の遊び】

 

 とスレッドが建てられてしまったことで認識した。馬鹿かな?

 これにはヤチヨ氏(多分本人)も困惑したようで、

 

 

「ヤッチョもうボケちゃったのかな〜〜」

 

 

 とデフォルメされた涙を流しながら配信内で呟いていた。犯人は団子食いながらその配信を彩葉(仮)の隣で見てた。(酒)カス!

 

 他にはマスクをつけていると向こうの物が食べられたり(2のメモリの時着用)、スニーカーを履いていないと向こうで歩けずこちらの世界をウロウロするだけだったり(空き缶につまづいてコケた)。あと打出デバイスを全部つけて5のメモリにしても向こうには衣装として反映されないらしい。向こうの鏡で確認したのでマスクと手袋とスニーカーとバイザーを付けたダルTーショーパン電脳(笑)AIライバー月見ヤチヨが降臨することはなく、ダルTショーパンの月見ヤチヨがそこに立ってただけだった。やっぱり、今日の私画質良いな……と枝豆片手に呟く様を彩葉(仮)に見られなくてよかった。

 結論。バイザーが一番スゴいヤツでした。

 

 

 

 

 

 

 

 それは酒カ、海琴が彩葉────教科書を覗き見したら酒寄彩葉と書いてあったので確定で本人です。ありがとうございました────の部屋に出没するようになって一週間ほど経った真夏の夜のこと。

 

 

「彩葉はスゴいね〜。私は何がどうなってるのかまるで分からないよ〜」

 

 

 女子高生の復習を隣で見ながら晩酌配信。最近はもっぱらこの部屋で配信をするのがマイブームであった。無料(タダ)で美少女キャストが雇えるから仕方ないね。もっとも彼女はこちらを認識出来てないけど。女子高生の私生活晒しながら酒進めんなよ。

 

 定番になりつつあるこの光景に突っ込みを入れるものはとうに無くなり、手慰みに後ろ髪を指で弄りながら背後からノートを覗き込んでいた。もはや隠れる気がないぞコイツ。

 

 

 ・さすが学費と生活費を自力で稼ぐ眉目秀麗才色兼備成績優秀スポーツ万能無量空処耐性持ち天才美少女だ

 

 ・彩葉、なろう主人公説

 

 ・てめえ……彩葉に失礼だろうが!同列に語るな!

 

 ・なろうアンチの方?

 

 ・このノート見るとめっちゃ眠くなるんだけど今どきの女子高生みんなこんな事勉強してんの?

 

 ・(んなわけ)ないです

 

 

 彩葉は本当にすごいよ!だって一週間ずーっと観てた私が言うんだからね!

 

 何故得意気になるのか誰もよく分からないがふんすふんすと鼻息荒く暖かい肉まんに齧り付く。

 

 なお現在3のメモリになっているので、向こうには姿も声も認識されない。彩葉さんは推し(ではない)の生き霊に後ろ髪を弄られながら肉まんの香りをテロられているのだ。勉学を頑張る女子高生の内心などまるで考えない悪の所業。絶景かな。

 

 

「あの……そこにいるんですか?」

 

 

「んっ────いないよー」

 

 

 ちょうど肉まんを咥えた瞬間に彩葉から声が投げかけられた。すわとうとう存在がバレてしまったかと焦る。そもそも3のメモリにしている時点で手に持った肉まんだけが向こうに浮いて見えている事にこの者まったく気がついていない。

 

 

「はぁ、仕方ない。……効果あるのか分かんないけど、やるだけやってみよ」

 

 

 唐突に彩葉が鉛筆を置き立ち上がる。およよっと戸惑いながら道を開ける不審者(見えてない)をガン無視してゴソゴソと紙を取り出すとそれをちゃぶ台の上に置いた。

 

 見てみると一枚のチラシがひっくり返され裏面を晒されている。その面に鳥居と50音の平仮名、0から9までの数字、はい・いいえが書かれている。鳥居の上に五円玉が置かれ、華奢な人差し指がその上に乗せられた。

 

 

 ・これは、まさかっ!?

 

 ・やるんだな彩葉!今ここで!

 

 ・やらんくていい!喚ぶな酒カスなんて!

 

 ・やってみせろよイロP!なんとでもなるはずだ!

 

 ・ツクヨミだと!?

 

 ・ナラナイコトバヲモーイーチードエガーイテー!

 

 

「ヤチヨさんヤチヨさん、おいでください」

 

 

 コメントの賑わいと反比例するように、静寂に満ちた部屋に声が通る。

 

 そう、これはコックリさん召喚の儀ではない。廃スペック天才女子高生プレゼンツ、推しの生き霊召喚の儀だ。

 

 彩葉の部屋に前触れなく出現する推し(の皮を被った酒カス)の生き霊。それと何とかして意思疎通を取れないか。廃スペックな脳味噌を回転させて出力されたのがこの古来より知られる完璧な降霊術だった。まだ疲れてんなこの人。

 

 よっぽど本気でこの儀式に(のぞ)んでいるのか、当社比三割増しで目を見開いている。でも君が喚ぼうとしてるのジェネリック推しモドキだよ。

 

 

 ・疲れてるんだよ。そっとしてやってくれ

 

 ・耐えきれなくなったら、ヤチヨをキメるといい。飛ぶぞ

 

 ・先生、酒カスじゃだめですか?

 

 ・お前はタミフルで元気になるのか?

 

 

「はいはーい、先生の事ヤバい薬と同列に扱うのどうかと思いまーす」

 

 

 海琴は彩葉の隣に正座して肉まんをツマミに酒を呑んでいた。右手に肉まん、左手に缶。これ、コンビニ帰りの酒カスね。授業に出るからメモ取ってね。

 

 

「……………………なにやってんだろ、私」

 

 

 さすがの天才女子高生も今やっている行為が何の意味も無いことは内心理解していたのだろう。なかなかに虚無い顔をして十円玉から指を離してしまった。何故かコチラを向いてきたので口に肉まん(食べかけ)を突っ込んだ。

 

 もむもむもむもむ……。

 

 リスみたいに食べてた。可愛い。でもFXで有り金全部溶かしたような顔で食べられてもなんか嬉しくないぞ。

 

 

 ・ヒント、お前が手に持ってるものは向こうにも見えてる

 

 ・節子それヒントやない答えや

 

 ・推しと関節キスした気分はどうだ?感想を述べよ!

 

 ・すみません、ウチの酒カスが……後でよく言い聞かせますので

 

 ・お、オカンや……オカンがおる……

 

 ・虚空からいきなり現れ浮いている肉まん、明らかにかじられ減っていく肉まん、明らかに誰かが呑んでいる傾きを見せる缶……

 

 ・推しが隣で飲酒してるとこ想像させるとか人の心無いんか?

 

 

「ふふふ。今日はコレの気分だからだいじょーぶ!」

 

 

 カメラに向けてどでんっ!と勢いよく突き出された缶飲料にはアルコール度数3%とプリントされていた。

 

 

「なのでこれは清涼飲料水、いいね?」

 

 

 ふんすっ。

 得意気に胸を張るこの酒カス、コメントの後半部分だけ読んで一番大事な前半部分を読み飛ばしていたのだった。

 

 

 ・酒カスから酒抜いたらカスや

 

 ・アルコール低けりゃ良いってもんじゃねえぞ?

 

 ・見ろよ隣の女子高生をよぉ!貧乏人にはなかなか手が届かないコンビニの暖かい肉まん求めてコイみたいにパクパクしてんじゃねえか!責任取れよ!

 

 ・この人次からツクヨミライブどんな顔して観に行くんやろ

 

 ・彩葉「ヤ゛チ゛ヨ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」

 

 ・スゴい!驚くほど変わらない!東北の雪かきみたい!

 

 ・もう粉と水のパンケーキには戻れなくなってしまった悲しき彩葉さんなのでした

 

 ・戻すなそんなもんをよぉ!

 

 

「ヤチヨさんヤチヨさん、どうか何卒また惣菜の方をわたくしめにお恵みください……」

 

 

 彩葉は降霊術を諦めたのか、とうとう神棚アクリルスタンドのヤチヨに向かってなむなむと拝んでいた。どうやら惣菜のストックが切れてしまったようだ。でもヤチヨはウーバーの人じゃないから惣菜は届けてくれないと思うよ。

 

 

 ・お前お前お前お前お前お前

 

 ・たかしー?ペットを飼うならちゃんと世話しなさいって言ったわよねー?

 

 ・女子高生をペットに……ガコンッ

 

 ・適応すんな

 

 

「にしても、なかなかかぐやちゃん来ないねー? なんかもうスグひゅーんって来るものだと思ってたよ」

 

 

 そう、降霊術と復習に気を取られていたが本日の配信のメインテーマはそれなのだ。

 

 既に一週間経とうというのにメイン人物が登場しきっていない問題。

 

 ただ三度の飯より勉強バイト推し活に明け暮れる美少女の降霊術という名の食糧支援祈願が面白かっただけでちゃんと彩葉ハウスで話している理由はあったのだ。あ、彩葉ー寝る前にガリガリ君食べよー?ほらほらー糖分は脳にキクよー。

 

 

 ・お前不法侵入者の自覚ある?

 

 ・推しと一つ屋根の下だぞ?喜ぶだろ

 

 ・バッカモーン!ソイツは酒カスだ!

 

 ・実際ヤチヨって味覚実装したら酒呑むのかな

 

 ・パンケーキに合えば呑むんじゃない?知らんけど

 

 

「んくんく……うまうま……」

 

 

「うう、ヤチヨが私の部屋でアイス片手にお酒呑んでる……ていうかなんでここで呑むのー!」

 

 

 浮遊しているアイスと缶という怪奇現象を推してるアイドルのほろ酔い姿と重ねるように脳裏に投影してしまい幻想との剥離具合に苦しむ彩葉さんなのであった。

 

 

「彩葉ー大丈夫? 胃薬あるよ?」

 

 

「大丈夫だから! お酒やめてえええ!?」

 

 

 頬にぐいぐいと押し付けられる胃薬のパッケージ(やさしさ)が辛い。声は聞こえないし姿も見えないけど推し()に心配されている嬉しさと、でもお酒はちょっと……という無念さの板挟みになるのだった。

 

 




使用楽曲情報 閃光 261-2157-3

怪猫蜜佳さん誤字報告ありがとうございます!

ストックは彩葉が美味しそうに食べてました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。