私の知ってる超かぐや姫!がなんかおかしいんだけど質問ある? 作:天空ラスク
電柱産まれ「ダーっと行って、ガッ、ギュッ、ギリリリリリ……10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、ガクッ、カンカンカーン」
超人「KOすんな。一回話し合うとかしなさい」
電柱産まれ「バッて姿消せるのに?」
超人「世の中ってやつはどうしてすんなり行かないのよ……」
今回5000字くらいです。ちょっとだけプロレスじみた描写があるので注意
Focus:
まず気がついたのは鼻をくすぐる食欲を唆る香りだった。ちゃぶ台の上に所狭しと敷き詰められた皿の上には豊かな品目の料理が盛られ、見るものの腹を減らしにかかっている。
・うわ飯テロだ!
・俺の誕生日より豪華だ……
・今日記念日かなにか?
・罠では?
「ほむ、予定表には何も書いてないけど……?」
料理達の上に手をかざすと手のひらにほのかに熱を感じた。恐らく調理が完了してから少し時間が経っている。にもかかわらず食事が始まる気配がない。そうなると、あの二人はどこへ行ったのやら。
見回してみると浴室扉の磨りガラスの向こうに灯りが見えた。恐らく劇中のかぐやが泡の城を作って彩葉が注意してる時のシーンだろう。
「ははぁん。つまり今がFEVER TIMEって事だね?」
顎を摘み気持ちキリッとした顔をカメラに収め、カリカリとメモリを弄り5に合わせる。完全に実体化してしまう代わりに
「ぬっぬっぬ。もう誰にもね、私を止められないのだよ」
笑い方に突っ込むコメントを放置して料理に注目する。美味しそうな料理が沢山並べられている。お酒に合いそうな物も何個か見つかったので風呂から出てくるまでにつまみ食いを終わらせる事にしよう。
それにしても、どうしてこんなに料理が並べられているのだろうか。
泡風呂を楽しむにせよ、配信をするにせよ、終わってから調理すればいい。
料理を楽しむかぐやがそんな事も気づかない訳がない。
「(水音がしない? シャワーを浴びてる訳でもない。話し声は聞こえるけど。……彩葉達は何やってるの?)」
風呂場を見やるも扉に視線を遮られる。
「げに怪しき行動。うん、ちょっと見てこようかな」
軽やかに腰を持ち上げ風呂場へと歩みを進める。
「……ん?」
ちゃぶ台の脇を通り抜け正面の扉へ向かおうとした時、何故か山盛りにされているお酒が進みそうな料理の影に黄色が見えた。
「
高く積み上げられた料理に囲われ隠されていたのは、美しく焼かれた金色の卵膜に色鮮やかな赤が映えるオムライス。
三度の安酒よりオムライスを選ぶくらいオムライス好きである酒カスが食べないわけがなかった。同列はふわふわパンケーキ。
視聴者が気づいた時には既に元の席に着席しスプーンを握りしめていた。
・恐ろしく速い着席、……俺でなきゃ見逃さないね
・一個しかないけどそれ食って平気か?
・まさかオムライスを酒の肴にするつもりかオメー
・月見ヤチヨそっくりって設定通りなら間違ってないけどさぁ
「いんやぁ? オムライス食べる時は呑まないよ? それにつまみ食いだからそんなに食べないよ〜」
好きな物の味がボケてしまうのは悲しいので今だけは水派。当然好きな物を食べ終わったら残りを少しづつつまみ食いして呑む事に違いはないけど。
早速一口だけ頂く。卵が硬すぎず味付けも絶妙、さすがかぐやと言ったところか。
「もう一口だけ……もう一口だけ……」
・食うのはえーよホセ
・ハムスターみたいで可愛い
・俺も食いたい
・つまみ食いとは
本当に一口だけのつもりだったけれど、スプーンが勝手に動いて口に運んでくる。だからこれはしょうがない事なのだ。……あ、食べ終わっちゃった。
米粒一つ残っていない皿を眺め、気分と一緒に眉と頭の輪っかがへにょりと下がったその時、
バンッ! と正面の扉が勢いよく開く。
そこに立っていたのは一切濡れていないかぐや。金糸をサラリと揺らしてルビーのような瞳でこちらの姿を捉えていた。
「しゃあっ! 突撃ぃ────!!」
扉を勢いよく開けた勢いを活かして海琴が座っている場所へ駆け寄り、床を思い切り蹴った。
このままだとちゃぶ台を飛び越え、海琴は壁とかぐやに挟まれるだろう。
「わぁ!? ……っ、とっ!?」
驚きで固まる体を無理やり床に倒してかぐやの衝突を避ける。
かぐやは壁にぶつかったから少し隙ができたはず。
……いや、待った。ぶつかった割には音が小さい。
視線を向けると壁に腕をつけた状態のかぐやがいた。その腕には力が込められ、ぶつかった勢いを腕で受け止めてそのままこちらに跳んでくる為に力を貯めているのが見て取れた。
「そこだっ!」
起き上がる間もなくかぐやが壁と床を同時に弾くように海琴に飛び乗った。
掴みかかってきた手を腕で防ぎにかかるが、両手がカメラとスプーンで埋まっているせいで手首が掴まれてしまった。
「はっはー! これで逃げらんないっしょ! さぁ大人しくかぐやの専属アシスタントになるのだー!」
「なんでぇ!? なになになに、なにが起きてるの!?」
ジリジリと両腕の間隔が縮められていく。
視界の端に彩葉がこちらに向かってくる姿が見えた。その手には引越しでダンボールをまとめるようなビニール紐が握られており、それで海琴の腕をまとめて逃走出来ないようにするつもりだろう。
縛る担当の顔に『ほんとにやるのか? これを? ヤチヨ……じゃないけど同じ顔の人に?』と書いてあるが。ここで乗り気だったら恐らく亀甲縛りにされていたのでそこだけは
・ほらやっぱり罠だった!
・もうバレてたってこと……?なぜに?
・かぐや目光ってんな。スマコン装着してるぞ
・よく見たら彩葉も光ってるな。
・それ関係ある?
「(
上に乗られている不利な体勢というのもあり、抵抗は困難を極めた。かぐやは体重をかけながら力を込められるのに対して、海琴は自らの腕力だけで対抗しなければならない。しかも一番力が込められる押す方向ではなく後ろに引く方向にだ。あまりにも向こうが有利な戦いだ。
「そんなら、こう!」
故に海琴は全く異なる一手を打った。壁側に向かって全身を捻り、上に乗るかぐやを壁にぶつけた。
「んぎゃ!?」
まさかそんな手に出るとは思ってなかったのか、あっさりと手が自由になる。
・わかった!白甘鯛のあれだ!
・なるほど!寿司食えば見えるってことだな!
・月人でしょ、どうかんがえても(´△`)
・打出バイザーは透明化じゃなくて電脳化してたってことであってる?
・多分。じゃなきゃスマコンつける意味ない
・要は月人化(仮)ってことか。
・ツクヨミにそのまま行けたのも情報体として移動してたからか。納豆食う
・間違えた納得
・じゃあ今は完全に実体化してるから無防備だな!
・《¥874・username・うすほそにはビキニ派》酒カスがんばえー
・ガチ恋距離のかぐやスクショしたわ
「なるほどー、そういう事だったんだね。こりゃ一杯美味しく食わされたね〜」
バイザーを弄る、事はせずにメンダコに手を突っ込む。見られた原因らしきものは視聴者が教えてくれた。ならそれを記憶から消せばまた元の状況に戻れる。
捕まれば原作崩壊待ったなし、絶対に阻止する必要があった。
「小槌! 彩葉とかぐやの記憶から──」
「ぅおりゃあ!」
願いを伝え切る前にかぐやが復帰してしまう。ただ記憶を消してと伝えれば、最悪の場合産まれてから全ての記憶が消えるかもしれないと正確に内容を発しようとしたのが足を引っ張った。
がっしりとかぐやの両手が小槌の上部を握りしめる。
太い上部を握るかぐやに比べ細い持ち手を片手で握る海琴、かぐやが横回転の力を加えたら小槌はあっさりとかぐやの手中に収まってしまうだろう。
「──くっ、離して!」
「やだ! 彩葉もこれ取るの手伝って!」
「えっ、わ、わかった!」
彩葉がビニール紐を置きこちらに近づいてくる。二対一になれば海琴の抵抗はほぼ無に等しくなる。
だったら、片方を確実に落とす。
「小槌! かぐやの動きを止めて!」
「あーっ!? それズルじゃん!」
「ぬははー! 勝てばよかろうなのだ!」
お互いに力は拮抗している。彩葉がこっちに加勢する前にかぐやを止めてしまえば後は彩葉に眠ってもらう(深い意味は無い)だけだ。
二人に掴まれた小槌がぼんやりと白く光り、表面にパチパチと稲光が走る。
「彩葉早くー!」
「ああクソ、すみません失礼します!」
彩葉が海琴をかぐやから引き離そうと手を伸ばす。しかし、もう小槌は臨界寸前だ。
「早く早く早く早く! もう一気にやってー!」
瞬間、小槌が部屋全体を白く染めるほど眩く輝く。人体を確実に痺れさせ意識を刈り取る目的で生まれた稲妻が────、
「「アババババババ!?!?」」
「っ!?」
────二人まとめて放たれた。
結果的にかぐやの動きは止まった、ただ問題があるとすれば最後の一言が全部悪い。
両者が白目を向いて床に崩れ落ちる。
「…………私、生きてる?」
臨界中の両者に触れなかった彩葉がただ一人部屋に立ち尽くしていた。
呆然とする彩葉の元に小槌がクラゲのように宙を漂って近づき、その手の中に収まる。
「えぇ……、これ、使っていいのか?」
所有者と宇宙人を見ると床で仲良く添い寝中だ。ピクピクと引き
「あー……、とりあえず、
ぼんやりと白く光る小槌を握るその顔は疲労と呆れが混ざっていた。
Side:酒寄彩葉
目の前にヤチヨが眠っている。いや、ヤチヨでは無い事は頭で理解している。けどあまりにも似過ぎている。
「すぅ……すぅ……」
「むにゃ、いろはぁ、もう食べれないよ……」
あんたはまだ食べてないだろ。
二人とも凄まじい電撃を食らったように見えたけど、見た目だけだったのか、焼け焦げていたりはせず白い肌もサラサラの髪もそのままだった。
「小槌さん。そのー、もう一回お願いしてもよろしいでしょうか……?」
私の声に反応した小槌が微かに白く光る。改めて見ても凄い物だ。どうやって光ってるのかも、なぜ願いが叶えられるのかも分からない。まさに次元が違う代物だ。
一瞬、死者蘇生もできるのかとは考えた。でも、止めた。
お父さんはきっと前を向いて欲しいって言うと思うから。
「お願いします、かぐやを起こしてください」
そう言うと小槌はその光を強めた。
ふわり、とクラゲのように宙を漂いかぐやの元へ飛んでいく。
そしてふ、と光が消え──、
ゴッ!
──鈍い音を立てて額に落下した。墜落の瞬間光が瞬くように強く光り、
「イッタァ!? なになになに!? なにが起きた!?」
秘密基地の扉を開けるようにかぐやが勢いよく跳ね起きる。額を手で押さえているが、どうなっているのか全く赤くなってない。
「おはよ、具合はどう?」
「あ、彩葉! ダイジョブだよ!」
目が会った瞬間パッと笑顔が弾ける。
「そういやミコは? ……うぉっ、寝とる」
聴きながら横を見て小さく飛び跳ねる。そういう所あざとさがあるよね。体は私より大きいのに小動物みたいに動きまくるから、ショート動画を見るように何となく見続けてしまう。
「よし! 計画通り!」
「どこがだ! 死ぬかと思ったんですけど!?」
ガッツポーズを取る宇宙人に詰め寄る。部屋全体を包み込まれた時は一瞬走馬灯が見えた。
「まあまあ、一旦ここは落ち着いて! ほら、ミコが逃げないようにしないとまた消えちゃうよ?」
「ぐぬぬ、ああ言えばこう言えば良いと思って……」
こめかみに触れるだけで姿をくらます相手をこの方法でもう一回捕まえるのは間違いなく不可能だ。向こうもまさか巻き込まれるなんて思ってなかったろうし、仕方ないから許してあげるとしますか……。
布団の端に移動させ海苔巻きの要領で巻いて簀巻きにする。
こんな事して罰当たりじゃないか、とか考えたりもしたけどもう今更手遅れだ。
「じゃあ起こすよ」
小槌は私が握っている。かぐやに任せたら何を言うかわかったものじゃない。私と海琴さんの安全のためにも私がやった方が確実だ。
「……………………………………」
これ頭叩かないとダメなの? 私今からヤチヨの顔叩くの? ……無理無理無理無理無理! できるかそんな事!? 自責の念に踏み潰されるわ!
「小槌さん、なんとか頭叩かずに起こせませんかねー」
「もー彩葉ったら、小槌が喋るわけないじゃ〜ん。だって物だよ〜?」
それはそうなんだけどさ、ほら、推しの顔を叩くのは恐れ多すぎるというか……。
しかし先の方法を見るに頭を叩くのが確実なのだろう。やるしかないのかと腹を括りかけた、その時。
『回答、可能な願望です。実行しますか?』
「──えっ?」
「喋った!?」
男性とも女性とも判別つかない電子音声が小槌から聞こえてきた。というか喋れたの!?
驚いて離してしまったが小槌はふわふわとその場の空間に浮かぶように漂っている。まるで私の回答を待っているように、いや、事実待っているのだろう。
「えと、お願いします」
『了。願望コード・少雛海琴の意識を覚醒させる、実行します』
渡りに船とばかりに答えた。ぼんやりと白く輝くと持ち手から垂れた紐が掃除機のコードを引き出すように伸びて行く。
「んっ、んんん……」
海琴さんの額に紐が触れた数秒後、部屋の照明から逃げようと少し顔をしかめる。本当に目が覚めたらしい。
「にひ。ミコ、おはよ!」
「………………はえ?」
寝起きに宇宙人から挨拶された一寸法師は可愛らしくキョトンとした。
その顔めっちゃ可愛い……。けれど、かぐやが何かを企むような笑顔を浮かべているのがどうしても気になる。
小槌を利き手で握り締めた宇宙人が口を開く。
「じゃ、今日からかぐやのアシスタントよろしくっす!」
にぃっ、と綺麗な白い歯を見せて悪童が笑った。
「えっ、……え゛ぇ゛ぇ゛っ゛!? 小槌がNTRれた────!?」
目の前に突き出されたぼんやりと白く光る小槌に照らされたヤチヨ顔はまるで、急に隕石が落ちてきたかのような衝撃を受けていたのでした。
……あれ、この場合の願いって何を叶えるんだ?
霧が晴れるように姿を見せたゴーグルのような機械を取られ慌てる海琴さんと、ゴーグルを額に装着してカメラに手を振るかぐやを前に私は妙な危機感を抱いた。
そう、これはあの日電柱から赤ん坊を見つけた時のような、非常識が私の家に転がり込んでそのまま定着したような、そんな感覚だ……。
Uchide.log
マスター情報更新……
登録名_酒寄彩葉
種族_人間
年齢_17
性別_女性
主な構成要素_水分・タンパク質・脂質
状態_不調
運命抵抗力_極大
運命力_普通
付与権限_上級マスター権限
特筆事項_
登録名_かぐや
種族_月人
年齢_0(人間への擬態後)
性別_女性型
主な構成要素_ナノマシン(最高等級)
状態_良好
運命抵抗力_低
運命力_普通
付与権限_中級マスター権限
特筆事項_
登録名_オッズアンドエンズ
種族_月人
年齢_9(人間への擬態後)
性別_女性型
主な構成要素_ナノマシン(廃品)
状態_劣悪・アルコール中毒
運命抵抗力_対象外
運命力_超
付与権限_特別マスター権限
特筆事項_
登録名_七村唄葉
種族_人間
年齢_25
性別_女性
主な構成要素_水分・タンパク質・脂質
状態_普通
運命抵抗力_対象外
運命力_強(下位次元転移時は超へ変化)
付与権限_中級マスター権限
特筆事項_『
願望コード『じゃ、今日からかぐやのアシスタントよろしくっす!』を実行。対象名・月輪神楽の次元間接続器具に制限を付与。
次元間転移を制限しました。対象名・月輪神楽は
肉体の電脳化システムを停止しました。以後、対象名・月輪神楽は肉体の自発的電脳化が不可能になりました。アシスタント業務から逃走する行為は避けてください。
上位次元とのインターネット接続は継続されます。どうぞ、良き配信活動を。
記録終了。
大規模コラボってあり?
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アリ
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ナシ