私の知ってる超かぐや姫!がなんかおかしいんだけど質問ある?   作:天空ラスク

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久しぶりに日刊ランキング載れました。小難しく書いちゃってるこの作品を読んでくださり、いつもありがとうございます。

ハーメルンって超かぐや姫!作品いっぱいあるよね


アリアドネの糸を探しに

 チホには説明がてら私の目的を伝える事にした。

 

 地球という星で彩葉に会った事。

 ツクヨミという仮想空間の事。

 ヤチヨカップに優勝して三人でコラボライブをした事。

 彩葉をヤチヨと犬DOGEに任せて月に帰った事。

 そして、また彩葉の所に帰りたいと。

 

『なるほど、マスター・かぐやはイロハの所に帰りたいんですね! 把握しました。それならチホはお手伝いできます!』

 

『ほんとに!? ほんとに良いの!?』

 

 彩葉に会える。

 彩葉の声が聴ける。

 彩葉の隣を歩ける。

 彩葉の音楽が聴ける。

 彩葉と一緒に寝られる。

 彩葉の笑顔が見られる。

 彩葉とご飯が食べられる。

 彩葉の温もりを感じられる。

 彩葉のパンケーキを食べられる……やっぱアレはいいや。ほんとにトラウマになるくらい不味かったし。料理の基礎からやり直せ。

 実に八十年振りの再開はまだ叶ってないのに、今の私は情報体なのに、彩葉との再開が叶いそうになった途端、涙が浮かんでくる。

 こんな世界の外れみたいな場所で助けてくれる存在と出会えたのが何よりも奇跡だ。

 

『ハイ! 宇宙船の修理はここの資財を使ってください! ……いっぱいはありませんが』

 

『うぐっ! ……その、ごめん』

 

 チホは不思議そうにクルンと回った。

 

 “もと光る竹”を抱いてチホの背中(どこ?)を着いていく。最深部なら自由に使ってもいいと言われて、こうして運んでいる。

 それにしても、面白そうなもんが多すぎて目ぇ回りそう。配信に使いて〜! 

 

『確認です。マスター・かぐや。宇宙船の破損箇所の確認は終わってしまいましたか?』

 

『んにゃ、まだだよー?』

 

『それなら幸運です! 早速チホを使ってください!』

 

 うお、押しが強え。チホが光りながらグイグイと頬に体?を押し付けてくる。

 でも使うってどーやるん? 振ればいいのか?

 

『要望です。宇宙船の修理が楽になりますように、と思いながらチホを振ってください。報告、最深部に到着です!』

 

 辺りの物をキョロキョロ見る観光客してたら、いつの間にか着いた。

 そこは星々の明かりが無く、それでいて何か物が置いてある訳でもない。でもKASSENのフィールド位の広さはありそうな空間だった。壁、床、天井に至るまでツルリとした無機質な素材でできていてツヤも無い。プラモデルの素材みたいだな。いつかはここも物で埋まるのだろうか。

 不思議と視界は確保できる明るさがある。そんな場所のど真ん中に“もと光る竹”を置き、チホを握りしめた。

 

『こ、こう? “もと光る竹”が楽に修理できますようにー。────おお、なんか光ったー!』

 

 どーゆー理屈だこれ!?

 チホを軽く振ったら、チホと連動するように“もと光る竹”がうっすらと白い光に包まれた。変身ヒロインみたいにピッカピカ。

 チホ持って帰ったら私プリキュアになれるな。決めた。絶対やろ。彩葉と一緒に二人でプリキュアだ! 黒鬼をKASSENでボコせるぞー!

 

『終了です。どうぞ確認してみてください!』

 

『うん! ちょっと待ってて〜』

 

 そそくさと乗り込んで破損箇所の確認をする。

 でも、あんなデッカイ石に勢いよく当たった上に洗濯機みたいに回ってたら、まぁ、一ヶ月で直れば良いなー…………おん??

 

 壊れてない。いやごめん嘘ついた。思ったより壊れてないって意味だ。少しパーツを交換してちょいちょいと調整すれば二日もあれば直せる程度の損傷で落ち着いていた。

 

『スッゴ〜!? ぜ〜んぜん壊れてな〜い! かぐや、超グルグル掻き回されてたのに。何をどーやったらこーなんの!?』

 

『ハイ! 説明です! チホは炉心に溜まった運命力を消費して、運命の可能性を調整できます!』

 

 う、運命力……ってなんぞ? 科学的アプローチを仕掛けようにもそんなよく分からん物出されたら、その、困るよ?

 

『解説です。運命力とは所謂(いわゆる)存在強度です。保持している運命力が高い程、その個体は誤った運命を進みにくくなります』

 

 ほうほう、つまり運命力がたけーとバッドエンドになりにくいんだ。ほへ〜〜。

 

『チホは対象の願いが叶う運命になりますように、と可能性を上げる事ができます。ちなみにマスター・かぐやの運命力は…………』

 

 待って。なんで止まるの。ヤダよ、そこで止まるのはだめだってば。

 

『うわーん! すっごくすっごく低いです! チホの消費する分も回収できません!』

 

『え゙っ!? かぐやバッドエンド確定って事ぉ〜〜!? ヤダヤダ何とかしてぇ!』

 

『否定です! チホがそうはさせません! 必ずマスター・かぐやの願いを叶えます!』

 

『ほんと!? 約束だよ!! 裏切りは許さんかんな!』

 

『ハイ! 当機は何があってもマスター・かぐやをイロハの元に連れていきます! 約束です!』

 

 ん〜〜〜〜、うん、なら良し!

 ピカっと光ったチホにも伝わるようにコクリと頷いた。やーるぞー! さっさと直して彩葉の所に帰るんだ!

 えい、えい、うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前には少しだけバラされた“もと光る竹”がある。……まぁ、さっきも二日かかるって思ってたよ。ここの素材を破損箇所にハマるように加工しなきゃなんないし、手前は無事でも奥が壊れてるとかもあるし。情報体だから乗り込めば同期してどこが壊れてるか分かるけど、降りたらさすがに天才かぐやちゃんでも分からんよ。かなぴ〜。

 

『質問です。マスター・かぐや』

 

『なぁぁ〜〜にぃぃ〜〜』

 

『この宇宙船による時間遡行の成功確率はどれ程のものですか?』

 

 うーん。ぶっつけ本番だったし、実験もしてないからなー。むむ、もしやデカイ石に当たらなくても失敗してたか?

 

『あー……んまり高くないなー』

 

『把握しました。“窓”を持ってきますので少し待っててください!』

 

 あ、ちょ、飛んでっちゃった。ふむふむ、ここにも“窓”有るんだ。月にあったのとは違うのかな。気になりますなぁ。

 ……ん? 何処に設置するんだ? 壁とかに貼るのか。でもまだ修理に時間かかりそうだし、生活空間に置きたいな。

 うぅむ、作るか。懐かしのボロアパート。宇宙船の修理の分を確保したら残りの資材ギリギリだけど、あの部屋だけなら作れるはずだ。

 チホが倉の管理がーとか言いそうだけど、この倉の管理はチホと彩葉と帝と、あと芦花と真実とヤチヨも誘って一緒にやろ。こんな面白い場所置いていけないよ。ゼッテー地球に持ってくから!

 

 チホが戻って来たのは大体二十分後だった。窓枠に紐を巻き付けて飛んで来たチホに向かって、開いたドアの隙間から手を振る。

 

『マ、マスター・かぐや? 質問です。この建物は何ですか?』

 

 ふふん。戸惑っておりますな。いえ〜い、ドッキリ成功!

 

『おか〜。窓付けるとこいるかなーって思ったから、部屋作ったよ〜』

 

 記憶の中のボロアパートそっくりにできてとても満足している。階段を上る手間が無くなったのも良い。良〜き〜か〜な〜。モチ、資材は宇宙船の分と予備に少しは確保してあるので安心安心!

 チホが戸惑いながら壁に“窓”をはめ込む作業を眺めつつ、

 

『そんで何見るの〜? 彩葉が今何してんのかなーとか?』

 

 なんて聞いてみたり。やっぱり会話って楽しい訳よ。

 

『ハイ! その前にチホを握ってください』

 

 丁度“窓”をハメ終わったチホがチカチカクルリと光って回って手に収まった。また何か叶えてくれるのかな。次はふわふわパンケーキが良い〜! 八十年ぶり……うへ、じゅるり。

 

『ハイ。確認しました。次に“無事にイロハの元に帰れますように”、と願いながら振らずに持っててください。これでマスターがイロハと会えるか、成功確率を計算します』

 

 振らなくていいんだ。今度はどうなるんだか気になりますなぁ。ま、チホにも手伝って貰えたし、絶っっっ対帰れる!

 希望的観測の元に生まれた楽観的思考に促され、気楽にチホを握りしめた。

 

『ほいほい、彩葉の元に帰れますように〜……っと』

 

 おっ? チホがゆっくりと光出した。光が強くなったり弱くなったりを繰り返してる。情報を読み込んでるみたいな感じかな。

 

『願望の成功確率、計算終了しました。マスター・かぐやがイロハの元に無事に帰宅できる可能性は──────エラー。再試行実行────エラー。判定結果改変(ありえません)────エラー。再試行実行。再試行実行。再shi行実行。さaI試こUJikkoう(みとめません)。sAisHiKoUjiっこう(みとめません)─────』

 

『チ、チホやめて!? お願い一回落ち着いて。バチバチいってるから! チホが壊れちゃうよ!』

 

 チホの表面を金色の稲光がバチバチと音を立てて走る。このまま放置したら絶対に良くない。でもチホが動く原理なんて分からないし、声をかける事しかできない。

 彩葉が倒れた時も彩葉が休んで回復するのを待つだけだった。おじや作ったりふかふかで囲ったりしたけどそれで体調不良が治ったのかは分からない。彩葉が強いから治っただけの可能性もある。

 私、自分で思ったより何もできないや。

 

『謝罪です。マスター・かぐや。当機はこれをするべきではありませんでした』

 

 ほのかに煙を立ち登らせたチホは、感情を感じさせない冷たい声を出した。最悪の出来事を見たような、それを私に伝えるのが嫌だと言うような、そんな声を出して、

 

『回答。マスター・かぐやがイロハの元に無事に帰還できる可能性は、──────ゼロです』

 

 絶望が一つ、私の心に打ち込まれた。

 

『あ……え、や、やだなー! 冗談止めてよもー!』

 

 そう、冗談に決まっている。だって約束したんだもん。ハッピーエンドまで彩葉も一緒に連れてくって。……冗談、だよね?

 

『ハイ。マスター・かぐや。冗談ではありません。マスターがイロハの元へ帰る際、必ずトラブルが発生します。……ああ、やはり“窓”を持ってきて正解でした』

 

 ふらふらと弱った羽虫のようにチホが浮き上がる。“窓”でどう変わるって言うんだ。そう言おうとしたけど声は出さない。まだチホは諦めていなそうだからだ。私が諦めてどうする……!

 

『マスター・かぐや。この“窓”はマスターの居た次元とは違う次元を観測する為のものです。これを使用してマスター・かぐやが最小限の犠牲で帰れるよう、他の次元の対象名・かぐやを参考にしましょう!』

 

 違う次元? なんか急に規模デカくなった。

 

『違う次元ってなーにー?』

 

『返答です。マスター・かぐや。ここに来る途中枝のようなものと光り輝く点があったはずです』

 

 ああ、確かにあった。あれが次元って事なのだろうか。

 ほむ。なら他の次元の私を集めてKGY48を結成するのも夢じゃないね!

 

『解説です。枝のようなものが各々の次元。光り輝く点が全ての始まり、当機は汎人類史と呼んでいます。全ての次元は汎人類史を大まかになぞり、僅かに流れを変質させながら存続していきます。マスター・かぐやの居た次元は恐らくマスター自身が運命の変数なのでしょう』

 

『そっ、か? えー、………ん? じゃミスんなかったらかぐやもうとっくに彩葉ントコ帰れてたじゃん!』

 

 こ、これが運命力がナメクジレベルの代償ってか……。おぉう、膝から崩れ落ちそう。はんじんるいし? の私はもうササッと帰って彩葉とヤチヨと芦花真実帝犬DOGEのみんなでワイワイやってんだろうなー。……いいなぁ。

 

『他の次元の対象名・かぐやの中には、汎人類史をなぞってイロハの所へ無事に帰宅している個体が居るはずです! マスター・かぐや。諦めないでください!』

 

 重く沈みかけた心がほんの少しだけ軽くなる。

 そうだよ、無傷じゃなくたって彩葉に会えればそれで良い! ちょっとくらいなら痛いのも……我慢、する!

 私は誰だ。天才歌姫で、月のプログラマーで、彩葉の相棒! 令和にときめくかぐや姫、いや、超かぐや姫だ!!

 気合いだ、私! やったるぞおおおおお!!!!

 気合い注入に両頬を力強く叩いた。痛ってぇ!

 

 

 

 

 

 

 

 良い感じのクッションとポップコーン、それと結露するくらい冷えたタンブラーにキンキンのコーラ! 準備おっけぇ〜〜!! “もと光る竹”は部屋の隅っこに寄せてある。ある程度見終わったらまた修理の続きしよ。

 

『方針。まずはマスター・かぐやと似た境遇の次元を探します。マスターと同じように進んでいたら、無事に帰れるか様子を見ます!』

 

『オケイ!  他のかぐやってど〜んな〜かな〜』

 

 壁掛けテレビよろしく壁に取り付けられた“窓”を見ると、段々と何か映像が浮かび上がってきた。

 懐かしき立川の街並みが広がっている。あの頃のままの光景に感慨深い思いを抱いていると、一件の建物に目がいった。

 

『チホ、あの建物にズームできる?』

 

『了承です』

 

 アングルが建物に勢いよく近ずいていく。追加でお願いして入口側の視点にしてもらうと、その店内の様子が伺えた。

 それは、都会にそぐわない昔ながらの化石みたいな駄菓子屋さん。子供達が小銭を握り締めて駄菓子を買いに集まり、店員らしき少女が優しい表情で見守っている。奥には座敷があり、古いテレビとちゃぶ台、それと壁に月見ヤチヨのタペストリーが飾ってある。

 その部屋の椅子に座っていたパーカーのフードを被った男が静かに本のページを捲りながら、チラと子供達の様子を確認している。店員らしき少女が何も反応していない所を見ると彼が店長だろうか。

 

『質問です。マスターのいた次元はこんな感じでしたか?』

 

 チホが確認のために声をかけてきた。けれど、私はそれどころでは無かった。

 店員の少女は綺麗な濡羽色の髪をしていた。吸い込まれそうな翡翠色の瞳に人目を引く整った相貌。年は女子高生くらいだろう。目の下に隈を隠すメイクをしていないところから見ると、私の次元と違って夜遅くまで無理して勉強はしていないのだろう。

 だって、あの店員は、

 

『────いろ、は……』

 

 そこに居たのは、カフェでバイトをしているはずの酒寄彩葉その人だった。

 いきなり違うところを見つけたと思ったら、八十年ぶりの大切な人の新衣装がアップデートされました。スパチャはどこに送るといい?

 

 チホの声掛けに気づかずぼう、と見ていると客を捌き終えた彩葉がフードの男に近づいてフードを下ろした。

 

 知らない顔だ。少し長めの白髪を後ろに流した精悍な顔つき。それだけでも目立つことこの上ないが、中でも目立つのは口元と右目部分に走る傷跡だ。平和な現代でどうしてそんな傷が着くのか、考えても分からないだろう。

 彩葉と同年代に見える顔からは見た目不相応の落ち着いた雰囲気を纏った駄菓子屋の店長の男。そんな存在は私の次元に居なかった。

 

 店長と彩葉が駄菓子の値段設定で揉めている。どうやら店長が譲らないようで、顔にぐぬぬと浮かべた彩葉が諦めの表情に染まる。そして、仕方ないですね、と呆れが混ざってはいるものの優しい微笑を浮かべた。

 

『……………………………………………………』

 

『マスター?』

 

『うえっ!? あ、ごめん気づかなかった! ここは私の居た次元と似てないし、参考になんなそーだから、違う次元見してっ!』

 

 彩葉が私以外にあんな優しい顔を見せている。モヤモヤした心を優しく宥めながら、チャンネルが切り替わるその瞬間まで綺麗な表情(顔)を目に焼き付けた。

 

 私絶対に帰るから。彩葉、私だけを見てね? ……絶対だよ。




夢霧ノエルさん、ebiflizerさん、夢霧ノエルさん(二回目)、夢霧ノエルさん(三回目)、誤字報告ありがとうございます!

望む声があれば望む世界が見える。三次元を生きるあらゆる人の妄想が新しい世界を作るのだ。



   終 
 制作・著作
 ━━━━━
  ⓃⒽⓀ 

大規模コラボってあり?

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