私の知ってる超かぐや姫!がなんかおかしいんだけど質問ある?   作:天空ラスク

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 なかなか原作が進められず申し訳ない
(´∩∇∩`)

 代わりに酒カスが美味しく呑むので許し亭ゆるして
(`∩∇∩´)


 追記・なんか不透明度タグが機能してないです。なにゆえー(´・ω・`)


彩葉が運命と出逢うけど質問ある?

 目の前にもうもうと煙が立ち込める。煙の中心に佇むのは至って普通の電柱……だったもの。

 この電柱はもうただの電柱では無い。超電柱に進化したのだ!

 

 

「このシーンを楽しみにしてきた神々のみんなー? お待たせ! ようやくお楽しみの時間だよー!」

 

 

 カメラに向かって手を振る。もちろんみんなが好きなヤチヨ(風)スマイルを添えて。笑顔の作り方だけは酔っていてもいなくてもバッチリ決められるのだ。いっぱいやってきたからね。

 

 話を変えまして。この物語を見に来たみんなの原作でお気に入りのシーンベストテンを挙げるとしたなら、確実にこのシーンが思い浮かぶでしょう。

 思い浮かぶよね? そう、思い浮かぶのです! 浮かべ!

 

 

 ・誰と話してんだこいつ

 

 ・ナレーションも担当しないといけないのがソロ配信者の悲しいところ

 

 ・でも原作もナレーション担当ヤチヨだったから原作再現では?

 

 

 コメント欄はいつも通りワイワイガヤガヤ盛り上がっている。

 海琴もいつも通りのテンションを見せているが既にアルコールがだいぶ抜けてしまっている。

 

 なので、無駄な思考を回してしまった。

 

 この世界、ちゃんとハッピーエンドに辿り着くのかな、と。

 

 だが、そんな不安は体にアルコールが(かよ)ってないから思い浮かぶのだ。

 なので後でアルコール補充すればヨシ! 酒は百薬(ひゃくやく)(ちょう)って言うからね!

 限度はあるが。

 

 

「静粛に! 長〜い前置きは無粋でしょう! さあ、神々のみんな、準備はいいかー! せーの……」

 

 

 

 

 

 

 ────もと七色に光るゲーミング電柱なん一筋ありける。

 

 

 

 ・キターーー!

 

 ・キターー(゚∀゚)ー!

 

 ・出たわね全ての始まり

 

 ・《¥8046・username・いーある算数》ワロス

 

 ・いつもより強めに輝いております

 

 ・定期的に月人来とるん??

 

 

 ザワつくコメント欄を他所に、海琴は今最高にワクワクしていた。正面から顔を見たなら目がシイタケみたいな十字のキラメキを放っているだろう。

 

 なにせ、好きな映画のワンシーンが今目の前で始まろうというのだから!

 

 そわそわと心の奥底から溢れてくる楽しみの感情に揺さぶられるように体が揺れてくる。別にお酒の禁断症状ではないと思うがそろそろ何か呑んでおきたい。今日はガンバったんだから一杯、いや五杯くらい許される!……はず。

 そんなわけないのだ。ね、ハムトゥルー。へけっ。

 

 そんなことを考えていると帰宅してきた彩葉が少し離れたところに見えてきた。海琴はメモリを4に合わせ道のど真ん中で正座してスタンバった。カメラがブレないように肩に担いで頭に密着させる。

 

 メモリを弄ったことには理由があり、最近になって気がついた事がある。

 

 バイザーのメモリの数字を上げるほど画質、と言っていいのかわからないが視界が鮮明になるのだ。ほかのメモリでも見えることは見える。だがテレビの通常画質と4K、8Kだと見え方が全然変わってくるように、なんというかボケが晴れたように見える。

 

 なので道のど真ん中で無意味に正座してカメラを構えているのも、左手によく冷えた缶を持っているのも全てはより良い配信にするためである。

 なお4のメモリに合わせると声が向こうにも聞こえるようになる。なので喋った瞬間向こうにバレるリスクがあるゆえに全力で黙る。

 

 

「んくんく……うみゃー! スーパーなドライが染み渡るううううう!!」

 

 

 そう、例え晩酌を始めようと絶対に黙っているのである! カメラ片手にビール、これぞ完璧な隠密スタイル! サイコーに気持ちいいぜ! 

 やっぱり酒カスはこうじゃないと。

 

 

 ・コイツに隠密任務させたやつだれ?

 

 ・即バレするに10円

 

 ・じゃあ即バレに1ドル2セント

 

 ・15168142ジンバブエドルで

 

 ・もうバレてるだろコイツ

 

 

「およよ〜、もうちょっと信頼してくれると嬉しいんだけどにゃー?」

 

 

 いつも通り冷たいコメント欄に軽口で返しながらカメラを構え直す。アルコールが軽く喉を炙るような熱を与えてくる。燃料としてはまだまだ足りないけど無いよりはましだ。

 この高燃費がよ。

 

 そろそろあの曲がり角から彩葉が出てくる。そしてゲーミング電柱を目撃するだろう。

 さあ、はよ来なされ。

 

 ウワサをすれば美少女高校生、酒寄彩葉選手の入場です。酒寄選手、今のお気持ちはー? なんて聞きに行こうものなら今は声がバレてしまうので、気持ちだけ思ってそそくさと近づく。

 ビールウマっ(二本目)。

 

 

「疲れすぎかな、なんかヤチヨの声が聞こえた気がしたんだけど……んなわけないか」

 

 

 疲れきった顔でフラフラと日本の経済みたいな不安定な足さばきでコチラに歩んでくる彩葉さん。そこに待ち受ける七色に輝くゲーミング電柱なん一筋ありける。

 もはや言いたいだけである。

 

 

「…………は?」

 

 

 はい、ナイスショットキターー!

 

 喜びのあまりついついカメラを担いでいることを忘れて跳ねてしまった。ここはアルコールを呑んで落ち着かないとね……ビールウマっ(三本目)。

 

 

「ふっ、なんだ、幻覚と幻聴か──」

 

 

 疲れきった頭では現状は理解出来なくても仕方がない。でも現実が許すかな! カモン、ゲーミングスモーク!

 なんて声を挙げたい気持ちを抑え少しづつ歩き撮影位置を変える。最高の配信を届けるためなら頑張れる、それが配信者の少雛海琴なのです。

 ビールウマっ(四本目)。

 

 

「──うおおうっ!?」

 

 

 電柱から勢いよく噴き出した煙に彩葉は今できる全力のリアクションで驚いた。咄嗟に飛び退きかけるが足が追いついておらずあまり離れられないのだった。

 やっぱり疲れてるよこの人!

 

 

「キターーーーー!!」

 

 

 いよいよここから物語が始まる、そう思うと叫びたくなるがここは配信者として我慢の時なり。鋼の精神こそが撮影においてうんぬんかんぬん……ビールウマっ(五本目)。

 我慢出来ましたか?

 

 

「やっぱりヤチヨの声するし……てかなんでココなの?」

 

 

 ・運命ってもんさ、ボウヤ

 

 ・ここに来ないとタイムパラダイスが起きちゃうからね( *¯ ꒳¯*)

 

 ・タイムパラドックスな

 

 

 視界の端に流れるコメントを無視して撮影を続ける。

 

 彼女はゆっくりと電柱に近付いていく。いつの間にか電柱に扉が出来ていて、竹で出来た手すりが着いていた。訝しげな目つきで────疲れ過ぎて目が死んでるだけかも────見詰められながらも和を感じさせる音楽と共に扉はゆっくりと開いていき────。

 

 

 手すりをしっかり持って閉められた。

 

 それアリ? と皆が思うことをしっかり実行出来るのがこの酒寄彩葉という女なのだ。

 さすが超かぐや姫! の超担当。

 

 

 ・ハア?ハア?ハア?ハア?

 

 ・音楽それにしか聞こえんくなったんだが?

 

 ・《¥168・username・フランスの鈍器》ハア?( ゚д゚) ハア?( ゚д゚) ハア?( ゚д゚) ハア?(゚д゚)

 

 ・こっち見んな

 

 ・次開く時後ろから歌ってみなよ

 

 

 了解(りょ〜)

 小声で呟くとコソコソ、グビグビと(六本目)彼女の背後に回る。黙っているつもりでいたが、要望が出たなら配信者としてできるだけ叶えたい。それにこれくらいならさすがに原作も崩壊しないだろう。

 

 扉を閉め終えた彼女は数歩後ろに下がりしばらく扉を見詰め、完全に閉まったと思ったのか帰ろうとした。

 瞬間、また電柱の扉が開いていく。

 

 

「あっはっふ!?」

 

 

 慌てて扉を抑えにかかるが段々と抵抗が強くなっているようで手元からギシギシと鈍い音が聞こえてくる。

 

 

「ハァ? ハァ? ハア? ハァ?」

 

 

 あと推しに似た何かの歌が耳元から聞こえてくる。

 あーでも声がいい……あとなんか吐息がかかってるような気もする! そう思うとなんか元気になってきた彩葉なのです。

 この女無敵か?

 

 

「ぬぐぐぐ、ちょ、チカラ強っ!」

 

 

 しかしやる気が出たところで怪力になれるはずもなく、女子高生の細腕をものともせずに扉が開ききる。

 

 中には小さなベビーベッドが鎮座していた。照明代わりなのか電柱の光を反射して輝くミラーボール、柔らかなクッションに振る者を待つピンク色のガラガラ。見るだけで楽しくなる……気がする小さなメリーゴーランドのオモチャが上から糸で垂れ下げられてゆっくりと回っている。

 

 ここまで用意されているのならば当然、それらにもてなされる主が存在する。

 

 

「ふぇ、ふぇ…………ぶしゅっ」

 

 

 スッキリしたように微笑みを浮かべる電柱の主。それをくしゃみで濡れた顔を呆然とした表情で固め、ただぼおっと見つめる。

 

 

「それで彩葉はこう言ったの!」

 

 

「ん????」

 

 

 なんか推しのボイスのナレーションが聴こえた気がしたが目の前の現実が彩葉の目を鷲掴みにして離さない。

 

 間違いない。ゲーミング電柱の中に眠るこの孤独なsilhouette(シルエット)は……、

 

 

「あ……赤ちゃん?」

 

 

 なんとか絞り出された言葉に一体何が楽しいのか赤子は笑い声で応えた。

 

 

 ・祝え!物語の主人公である輪廻に囚われた少女と永劫の友となる少女の定められし邂逅、その瞬間である!

 

 ・ちっちゃいね〜カワイイね〜( *´꒳`*)

 

 ・ハアハア

 

 ・彩葉さん、ちょっとその顔にかかった異星人の分泌物を頂いてもよろしいでしょうか

 

 ・キミは一体ナニをしようと言うのかね?

 

 ・おさわりまんこっちです

 

 ・誤字にも程がある!

 

 

 コメントが盛り上がる中、チャンネルの方の主である海琴は目をキラキラさせながらカメラを構えていた。

 今喋ったら向こうに筒抜けになるので盛り上がりたい気持ちを抑えてああダメだビールウマっ(七本目)。 

 

 それはともかく、ようやく原作の始まりと立ち会えたのだ。このままずっと苦学生と不法同居酒飲み配信者としてやっていかないといけないのかと覚悟する必要は無くなったのだ。

 捨てちまえそんな覚悟。

 

 

「す、すまん! しかしわたくし手一杯ですので……」

 

 

 気がつけば、赤子の視線から逃れるようにそそくさと彩葉が電柱の脇を通り抜けようとしていた。

 

 そこに酔っ払いの罵声と野良犬の遠吠え、カラスの鳴き声にガラスの破砕音や酒カスの喜びのタップダンス。スラム街級の治安の悪さがダイナミックエントリー!

 この酒カス、カメラのことなんてまるで考えていない!

 

 

「あう〜〜……」

 

 

 そして赤子の潤んだ視線が追撃を仕掛ける! 彩葉は人の心に致命傷を負った!

 

 冷たい汗をかきながら彩葉は思案した。この現状であの赤ちゃんを放置するのはさすがにヤバい。

 

 

 ────彩葉、そこに愛はあるんか?

 

 

 脳内お母さんもこう言ってるし一旦赤ちゃんを安全な家に連れて行って保護した方が良いのでは? と思考が巡る。

 だが、最近はヤチヨ(違う)が食事を養ってくれてるが生活が苦しいのは変わらないし……。

 

 

────非道(ひど)いなぁ、人の心とかないんか?

 

 

 脳内お兄さんもこう言ってるしやっぱり安全なところに移動するだけでも、

 

 

「って誰だよ脳内お兄さん! ああ、ごめんねあなたに言ったんじゃなくてぇ……」

 

 

 思わず声を挙げたら赤ちゃんが驚いて泣き出してしまった。『ヤバいですね!』と響く泣き声はどうしようもなく近所迷惑以外の何物でもない。

 

 

「やっぱりここは危ないから……ええと、どう持つんだこれ」

 

 

 赤ちゃんが返事をする訳もないがこれ以上大声で泣かれても困るので出来るだけ優しい声をかけながら赤ちゃんを持ち上げた。

 

 そして扉が閉まり光が完全に消えた。

 なんとなく、『役目は果たしたぜ、あばよ』と言われた気がした。

 

 

「ちょ!? ちょ、待てよ、おい! おーい! すみません、お忘れ物ですよー!」

 

 

 慌てて電柱をノックするも扉が現れることはなく、疲労困憊美少女苦学生とうさ耳風ヘッドタオル装備の赤子のコンビが爆誕した。

 

 油の切れた機械のようにぎこちない動きで抱き上げた赤子の顔を見つめる。

 

 出来れば夢かなにかであってくれ。そんな考えを蹴っ飛ばすように『やっと逢えたね、彩葉(ママ)♡』と伝わってくる感覚がするほどにふにゃりと笑う赤子。思ったよりは軽いがそれでも腕にかかる生命の重みは間違いなく現実のものだった。

 

 

「こ、これじゃ私が誘拐したみたいだぁぁぁ────!?」

 

 

 頭上からドラマチックなライトに照らされ夜道に一人、赤子誘拐犯の酒寄彩葉氏は昼ドラの犯人のように震え上がった。

 

 一方海琴はカメラを道路に置くと電柱をよじ登り、スマホのライトで上から彩葉を照らしていた。

 

 

 ・もうちょっと、もうちょっとで見え……見え……

 

 ・見えぬ、見えぬぞぉ!

 

 ・《¥3000・username・フランスの鈍器》見えなーい!ヒーハー!( ゚∀゜)

 

 ・バカヤロウ!何処を撮ってる!?フザケルナアアアアア!!!!

 

 ・《¥100・username・野菜伝説》バァァァカァァァナァァァ!?

 

 

 あとコメント欄は女子高生の下着を覗き込もうと賑わっていた。

 この変態共め。

 

 突如発された彩葉の大声に驚いただろう、赤子が再び大声で泣き出してしまった。

 慌てて彼女は赤子を揺らさぬように気をつけながら自宅へ向かって走る。

 カンカンと赤いペンキで塗装された金属製の階段が耳障りな歌を歌う。二階へ辿り着くとカバンを大急ぎで漁り自分の部屋の鍵を取り出した。

 開かれた鍵の音にすら赤子が反応するのではとあちこちに注意を向けていた。

 

 だからこんな幻聴を聞いてしまったのだろうか。

 

 

「やっと逢えたね、彩葉……」

 

 

 違和感。ドアの取っ手を掴んだまま弾けるように階段の方へ振り向いた。

 静かだ。それは当然夜も遅く人気も無い上にこんなボロアパートに来る輩がいるはずもない。

 

 

「…………」

 

 

 だが特に危険な気配は感じずゲーミング電柱のような奇妙な存在も見当たらない。

 ほう、と気持ちを落ち着けるように漏れた吐息が小さく開かれた口から抜けていく。

 

 

「ああああああ!! あああああああああ!!」

 

「ヤバっ、ああもう泣かないでよぉ〜……」

 

 

 依然として泣き続けている赤子の存在を思い出しさっさとドアを開けて騒々しい帰宅を果たした。

 

 ……赤ちゃんってどうやって寝かしつけるの? と困惑するまであともう少し。




わたあめ将軍さん誤字報告ありがとうございます!

超かぐや姫!小説は数あれどかぐやと彩葉の出会いだけで一話使ったのは私だけだと思います(∩∇<)

アンケートは一旦終わりますがその他リクエストは継続中ですのでこちらからどうぞ
(∩∇∩)ว↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=338066&uid=319389
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