「よぉ 俺はコガネ」
羂索の呪術により生み出された、死滅回游の各泳者(プレイヤー)に憑く天使の羽根を生やし悪魔の尻尾を持つ、虫のような姿をした式神「コガネ」がぽんっと姿を現す。
「この結界の中では死滅回遊って殺し合いのゲームが開催中だ! 一度足を踏み入れたらお前も泳者!」
流暢に喋る式神が死滅回遊に参加しようとする者の覚悟を問う。
「それでもオマエは結界(なか)に入るのかい⁈」
「あぁ 問題ない」
コガネに問われた男が間を置かず答えた。
「伏黒恵が死滅回遊へ参加しました。総則(ルール)を参照しますか?」
あらかじめ天元から死滅回遊のルールを聞いていた伏黒恵が「必要ない」と伝えると、コガネは残念そうに舌打ちをした。
突入する前に共に行動していたもう1人の少年の名を呼ぶ。
「虎杖、まずは日車の情報収集だ」
これから突入するデスゲームを前に覚悟を決める伏黒恵。
「いくぞ」
虎杖悠仁は「応!」という言葉だけ発し、結界内に突入した。
死滅回遊の結界は侵入した泳者を設定された9つの地点にランダムで転送する。しかし、本来虎杖悠仁が転送されるべき場所にいたのは謎の男。
(これは……どういうことだ……?)
パーカーのフードを深く被っている為にその顔は確認できないが、東京の上空から落ちているにも関わらず両の手をポケットに入れたまま動じる様子もないこの男の正体は、紛れもなくーー。
2086年、今より68年後の未来から来た老兵 虎杖悠仁であった。
死滅回遊の総則(ルール)にはない結界の法則(ルール)、泳者が転送される9つの地点には奴らがいる。
(あれは……甘井? 夢ではない、よな)
落下しながらも赤く光る誘導灯が目に入る。
総則にはない現象に動揺した泳者を狙う初心者(ビギナー)狩り。その1人である羽生(はにゅう)が髪の毛をジェット機に変形させて虎杖悠仁へと突撃してくる。
「死滅回遊……これはまた、酷く懐かしいな」
高速で向かってくる羽生に対しゆっくりとも思えるような動きでポケットから右手を抜いた虎杖悠仁は、そのまま中指を親指で抑え羽生に向ける。
(死にやしねぇだろ)
" 黒 閃 "
放たれた"デコピン"から黒い火花が散る。頭頂部に喰らった羽生は突撃してきた速度よりも加速して高層ビルにぶつかっていく。
対する虎杖悠仁は少しの衝撃もなく、甘井の立っている近くに柔らかく着地した。得点が入らなかったことに若干の安堵をしつつ……。
「よっ久しぶり、つっても分からないか」
「……虎杖?」
(今の俺が甘井だと分かるように、この時代より少し成長したくらいの俺のことも分かるもんなのかね)
虎杖が内心でそう思っているとけたたましい音が近づいてくる。
「なんじゃあワレェ! 人の女になにしとんのじゃ!」
頭髪をプロペラに変え、音を切り裂きながら羽場(はば)が虎杖を見下ろしている。
何も考えずに書き始めてみる。