台座ごと聖剣で戦う偽勇者を、神々が実況するスレ   作:匿名

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第11話 邪神の策略

【魔界ディープウェブ】人間界侵略・実況板

スレッド:【実況】真の勇者vs物理ゴリラ【闇堕ちワンチャン】Part.11

 

1:名無しの邪神

いけえええええええええ!!

やれ!カミーユ!!その物理ゴリラを殺せええええええ!!

 

2:名無しの破壊神

頑張れ真の勇者!!神の剣技を見せてやれ!!

 

3:名無しの絶望神

……おい。

「真の勇者を応援する邪神」って、冷静に考えたらどういう状況だよwww

存在意義バグってんぞ俺たちwww

 

4:名無しの疫病神

>>3

しょうがねえだろ!!

あのゴリラ、俺たちが1200%のリソース突っ込んで生み出した最高傑作(ヒュドラ)をワンパンして、素材(ボーナス)にしやがったんだぞ!?

俺の左腕の恨みを晴らしてくれるなら、もう真の勇者でも誰でもいいわ!!

 

5:名無しの謀略神

あっ。

カミーユの渾身の神速連撃、ゴリラに『人差し指一本』で全部捌かれてる。

 

6:名無しの邪神

使えねえええええええええええええ!!!

本物の勇者のくせに何やってんだよ!!指一本だぞ!!

 

7:名無しの破壊神

だからアイツの身体能力はおかしいんだって!!

腕力だけじゃなくて動体視力も反射神経もカンストしてんだよ!!勝てるわけねえだろ!!

 

8:名無しの絶望神

おい見ろ!カミーユの様子がおかしいぞ!

右手の『勇者の紋章』から、どす黒い靄が出てる!!

 

9:名無しの疫病神

えっ、マジだ!!

あれって……圧倒的な敗北感と、ゴリラへの憎悪が極まって、神聖力が反転してるんじゃねえか!?

 

10:名無しの謀略神

キターーーーーーーーーー!!!

闇堕ちチャンスキターーーーーーーーーー!!!

 

11:名無しの邪神

マジかよ!!真の勇者が俺たち側に寝返るのか!?

それならあの物理ゴリラに対する最高のカウンターになるぞ!!

 

12:名無しの破壊神

おい謀略神!すぐに現場の魔王に連絡しろ!

なんとかしてカミーユに接触して、魔王軍にスカウトするんだ!!

 

13:名無しの謀略神

わかった、今魔王の脳内に直接念話を繋いだ!

『──聞こえるか魔王よ。緊急事態だ。王都で物理ゴリラに敗北し、追い出される真の勇者を確保しろ』

 

14:名無しの絶望神

おお!現場の返答はどうだ!?

 

15:名無しの謀略神

魔王『はっ、偉大なる邪神様。……とはいえ、私はまだ魔界の最奥です。ですが、王都のすぐ外に偵察用の使い魔(カラス)を潜伏させておりますので、伝言くらいなら可能です』

 

16:名無しの疫病神

よっしゃあああ!伝言できるなら十分だ!!

ボロボロになって王都を追い出されたカミーユのところに、カラスを飛ばせ!!

 

17:名無しの邪神

なんて声かける?やっぱ定番のやつか?

 

18:名無しの謀略神

魔王に指示した。

カラスの口を借りて、こう言わせる!

 

『──力が欲しいか。全てを奪ったあの男に復讐したくば、魔の森まで来い』

 

19:名無しの破壊神

完璧だ……!!

このテンプレ台詞、傷ついた人間のプライドを刺激するのに最高に効くからな!!

 

20:名無しの絶望神

真の勇者を魔王軍幹部に迎えて、物理ゴリラにリベンジだ!!

 

21:名無しの疫病神

まさか俺たちが、真の勇者を熱烈歓迎する日が来るとはなwww

ようこそカミーユ!ブラック職場(魔王軍)へ!!ww

 

 

#

 

 

 トラキア王都の正門から、一人の青年が姿を現した。

 

 金糸のような髪は泥と埃にまみれ、衣服は無惨に引き裂かれている。何より、彼の尊厳たるプライドは、たった一撃の理不尽な暴力によって完全に粉砕されていた。

 

 真の勇者、カミーユ。

 

 彼はふらつく足取りで街道を歩きながら、痛む腹部を押さえ、血の滲む唇を強く噛み締めた。

 

「……許さない……絶対に、許さない……ッ!」

 

 喉の奥から絞り出されるような声は、もはや世界を救うべき勇者のものではなかった。ただの嫉妬と憎悪に塗れた、亡者のごとき怨嗟の響きである。

 

 彼の右手の甲。神に選ばれた証であるはずの『勇者の紋章』からは、もはや清らかな光は失われ、漆黒の靄がとめどなく溢れ出していた。

 

 陽が西の地平に沈みかけ、空がまるで不吉な血のように赤く染まっていく。

 

 人気のない街道の外れ、枯れ木が立ち並ぶ寂れた森の入り口まで辿り着いた時だった。

 

 バサッ……。

 

 不気味な羽音と共に、一羽の漆黒の鴉が、カミーユの目の前の枯れ枝に舞い降りた。

 

 その鴉は、ただの鳥ではなかった。赤い三つの瞳を持ち、カミーユの絶望を嘲笑うかのように、首を奇妙な角度に傾げている。

 

 そして、その嘴が不自然に開かれた。

 

『──力が、欲しいか』

 

 響いたのは、鳥の鳴き声ではない。地の底から這い上がってきたような声。

 

 カミーユはビクリと肩を震わせ、咄嗟に腰の剣の柄に手を伸ばそうとした。だが、続く言葉が彼の身体を縛り付けた。

 

『名誉も、力も、そして女も……本来お前が手にするはずだった全てを奪った、あの男。あの忌まわしき偽物に、復讐をしたくはないか?』

 

「……ッ!」

 

 カミーユの動きが止まる。濁りきった瞳が、大きく見開かれた。

 

『理不尽に踏みにじられた己の尊厳を、取り戻したくば。我らがお前の刃となろう』

 

 鴉は三つの赤い瞳で、勇者の心に巣食う深い闇をじっと見つめる。

 

『──魔の森へ来い。お前の真の運命は、そこにある』

 

 それだけを告げると、鴉は再び不気味な羽音を立てて、夕闇の中へと飛び去っていった。

 

 静寂。

 

 カミーユは、己の右手の甲を見た。漆黒の靄は、先ほどよりもさらに濃く、彼の腕を這い上がるように侵食し始めている。

 

 世界を救うという使命など、もはや彼の頭の片隅にも残っていなかった。彼の心を支配しているのは、ただ一つ。あの規格外の暴力で自分を蹂躙したアレスという男への、底知れぬ殺意だけである。

 

「……魔の森、か」

 

 ぽつりと呟いたカミーユの顔に、もはやかつての純朴な青年の面影はなかった。

 

 彼はゆっくりと踵を返し、人間が決して足を踏み入れてはならない方角──深い絶望が支配する魔王軍の領域へと向かって、重い足を踏み出した。

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